リバランスはポートフォリオを運営していく上で非常に重要です。
本日はリバランスについて以下の点を中心にお伝えしていきたいと思います。
- リバランスの意味とは?
- なぜリバランスが重要なのか?
- リバランスの実施方法
Contents
リバランスの意味とは?ポートフォリオの構成比率を矯正しよう!
リバランスの意味とは?
リバランスとは運用しているポートフォリオの資産の再配分のことを指します。
例えば最初に株式と債券の比率を半々が適切だろ考えているとします。
しかし、時間が経過するに応じて、当然各資産の価格が変動します。
時間経過の結果として、株式と債券の比率が崩れ株式が60%、債券が40%に変動したとします。
ここで元々の比率である株式50%、債券50%に戻すように株式を売却して債券を購入する行為をリバランスと言います。
コラム:リバランスとよく似たリアロケーションとは?
リアロケーションは、そもそものポートフォリオの構成比率を変更することを意味ます。
例えば最初に以下の比率でポートフォリオの配分を行なっていたとします。
国内債券:25%
海外債券:25%
国内株式:25%
海外株式:25%
ここで、年齢の上昇に伴うリスク許容度の低下や、株式相場の加熱を察知した場合債券中心のポートフォリオに組み替えようと考えたとします。
すると、一例ではありますが変更後のポートフォリオは以下のようになります。
国内債券:55%
海外債券:20%
国内株式:15%
海外株式:10%
ポートフォリオのリバランスはリスクリターンを改善させる!
リバランスの重要性についてお伝えするためにオールシーズンズポートフォリオを元に考察していきたいと思います。
※超長期でリスクリターンを比較するために商品を抜いて金15%で考えていきます。
リバランスにより長期でみるとリスクが減少する
まず半年に一回リバランスを行なった場合と行わない場合でリターンの比較を見てきましょう。
【半年に一回リバランスした場合】
青:オールシーズンズポートフォリオ(半年に1回リバランス)
赤:S&P500指数
【リバランスを一度も行わなかった場合】
青:オールシーズンズポートフォリオ(リバランス無し)
赤:S&P500指数
年率リターン | リスク | シャープレシオ | 最大リターン | 最大損失 | |
リバランス有(半年) | 9.5% | 7.85% | 0.63 | 32.04% | ▲4.07% |
リバランス無し | 9.5% | 9.47% | 0.54 | 31.48% | ▲12.55% |
S&P500 | 11.38% | 15.02% | 0.50 | 37.45% | ▲37.02% |
上記の比較の通り、年率リターンは変わらないのですが、
リスク
シャープレシオ
最大損失
の三つの項目でリバランスを行なった方が優れた成績を残しています。
リバランスを行なった場合を上図の橙色とするならば、リバランスを行わなかった場合は青色ということになります。
また、シャープレシオというのは同じリスク量でどれだけのリターンを上げられるかという指標です、
シャープレシオが大きければ大きいほど優秀なポートフォリオなのです。
相場が不安定な局面ではリターンも改善する
【半年に一回リバランスした場合】
青:オールシーズンズポートフォリオ(半年に1回リバランス)
赤:S&P500指数
【リバランスを一度も行わなかった場合】
青:オールシーズンズポートフォリオ(リバランス無し)
赤:S&P500指数
年率リターン | リスク | シャープレシオ | 最大リターン | 最大損失 | |
リバランス有(半年) | 7.80% | 7.26% | 0.99 | 18.32% | ▲2.35% |
リバランス無し | 7.17% | 7.52% | 0.88 | 19.56% | ▲4.12% |
S&P500 | 8.31% | 15.75% | 0.55 | 32.18% | ▲37.02% |
なぜリバランスを行いリスクやリターンが改善するのか?
以下の議論ではわかりやすくするために株と債券のポートフォリオで考えていきたいと思います。
リスクがリバランスで改善する理由
リスクは割くほどお伝えした通り、価格変動のブレ幅のことを言います。
リスクは以下の通り「株>長期債券>中期債券>短期債券」となっています。
リスク(1977年〜2020年) | |
米国株 | 15.29% |
短期米国債 | 13.09% |
中期米国債 | 5.90% |
長期米国債 | 11.11% |
以下は短期国債と長期国債と米国株のチャートですが、リスク(=価格のブレ)は債券の方が低いですが長期リターンは株の方が大きくなっています。
つまり株と債券を半々に入れたポートフォリオを組んだとすると、時が経過するにつれて株の比率が高くなっていきます。
更に株と債券は基本的に逆相関となっています。
逆相関とは逆の動きをするということです。
例えば、株が20%下落する場合は、債券10%上昇するというように逆の動きをする傾向があります。
結果として株と債券を債券を多めに組み入れておくころでポートフォリオは安定し、最大損失をミニマイズすることができるのです。
リバランスをせずに株式の比率が高くなることを許容すればポートフォリオの安定性が損なわれてしまうのです。
相場が不安定な時にリターンも改善する理由
先ほどの検証で2008年から2020年のリーマンショックとコロナショックを経験すると、
リバランスをした方が高いリターンとなることをお伝えしました。
では、株価が大幅に下落するような危機発生時にはどのようなことが起こるのでしょうか。
最初の構成が株式と債券が半々だったとします。
ここで株価が大きく下落して株の比率が30%、債券の比率が70%というようにポートフォリオの中の債券の比率が高まるのです。
以下は長期債券と株の値動きですが、コロナショックのような株が急落する局面では債券はむしろ上昇しているのです。
株が下落すると、中央銀行は金利を引き下げすることで経済と株価を下支えしようとします。
結果的に金利が下落するので債券は上昇することになります。
故に、株が下がる局面では債券が上昇する傾向となるのです。
話を戻して、以下のように比率が崩れた状況でリバランスを行うとします。
右のようになった時は株が下落しているので、ここでリバランスをすると下落した株を購入し上昇した債券を売却して調整することになります。
つまり割安になっている株を購入することで、長期的にみるとリターンが向上する結果になるのです。
逆の場合も然りです。
株が上昇し続けて割高になっている時に以下のように株を売却して債券を購入してリバランスをすることで、
割高となっている株の利益確定を行うことができるのです。
リバランスを行うやり方・方法とは?
今までリバランスの意味と意義について紐解いていきました。
リバランスを行う方法について見ていきましょう。
リバランスを行うタイミングとは?
リバランスを行うタイミングは人其々ですが、大きく分けて二つのタイミングがあります。
一つ目は当初考えていたポートフォリオ構成から一定比率の乖離が発生した場合です。
例えば、5%以上乖離した場合、又は10%以上乖離した場合などば挙げられます。
例えば、先ほどの例ですと株式が通常の50%から60%に上方乖離した場合のリバランスを実施しています。
例えば、半年に一回、一年に一回といったように期間を設けてリバランスを行う方法も存在しています。
また、当然両者を組み合わせてリバランスを行う場合もあります。
ロバアドバイザーという選択肢
リバランスは手間がかかるし、なかなか私情を挟まずに実施するのは難しいと考える人もいるでしょう。
そのような方にはロバアドバイザーという選択肢が魅力的です。
最も利用されているロボアドバイザーであるウェルスナビでは半年に一回、又は5%以上乖離した時に自動的にリバランスを行なってくれます。
実際に筆者がウェルスナビで魅力的と考えているリスク許容度1でリバランスをした場合と、しなかった場合で以下のように差が出ています。
年率リターン | リスク 標準偏差 | シャープレシオ | Best Year | Worst Year | |
リスク許容度1 リバランス有り | 5.07% | 6.74% | 0.67 | 15.97% | ▲9.17% |
リスク許容度1 リバランス無し | 4.69% | 6.60% | 0.63 | 15.74% | ▲9.17% |
まとめ
- リバランスはポートフォリオの構成比率を当初比率に組み戻すこと
- リアロケーションは資産の構成比率自体を見直すこと
- リバランスによってリスクが改善する
- 相場が下落基調の時はリバランスによってリターンも改善する
- リバランスはポートフォリオの構成比率が大きく変わった時や決まった時間が経過した時に行う
- 手間がかかるという人はロボアドバイザーという選択肢も魅力的