記憶にある方も多いと思います2018年2月5日の株価の急落に関して、
その原因の一端といわれている恐怖指数と言われるVIX指数との関係性について書いて行きたいと思います。
2018年2月5日の暴落
株式投資を最近始められた方は今回の下落に驚かれたのではないでしょうか。
日経平均が2月2日の金曜から2月5日、2月6日で2000円近く大きく下落しましたが、発端となったのは米国株式市場の暴落です。
日経平均株価は米株式市場につれ安しただけということになります。
特に2月5日の米国市場の下落幅は過去最高で1,175ドルの下落となりました。
さらに2月8日にも1,033ドルの下落となり下落幅でいうと過去1位と2位を独占しました。
ただ気を付けないといけないのは、株価自体が大きくなっているので下落幅は大きいですが、
下落率でいうと4.7%で過去のトップ10にも入っていません。
因みに下落率で最も大きいのは1987年のブラックマンデー時の22.6%となっています。
一日で株式市場の時価総額の4分の1が消えたわけですね。
恐ろしい阿鼻叫喚だったと思います。
現在の23000ドルというダウ平均株価からかんがえると一日で5000ドル以上落ちることになります。
因みにリーマンショック時の大きく下落した日も何回かあります。
しかしいずれも7~8%の下落という感じになっていますので、過去対比でみると今回の下落はそこまで大きくないように思われます。
実際に何か危機が発生しているわけではないですしね。
下落の要因として特に米国企業の業績が悪化したとか、
なんらかの金融危機が発生したというわけではないのですが、単純に株価がOver Shootしていたということが大きいと思います。
そこに雇用統計が堅調で、賃金の伸びが観測されたので、インフレが愈々本格的に発生して、
FEDが利上げを行うという思惑が出てきたことが、背中を押したというのが実のところでしょう。
今回の下落の特徴
今回の下落の特徴ですが、下落のスピードにあります。
今回暴落前の直近の高値が1月26日の26,616ドルから10%下落した2月8日までにたった13日しかかかっていません。
因みにリーマンショックの時は2007年10月9日の14,164ドルから10%下がるのに2008年3月7日までの150日となっています。
このように下落のスピードが非常に速かった理由について、いわれている説を紹介していきます。
下落を加速させた要因
下落を加速させた要因として二つ紹介させて頂きます。
モメンタム系のシステムの影響
これは急激の度によく言われることなのですが、機械系のシステムの中にはある一定の下落を行いチャートポイントを割れてくると、更に追随売りを行うというアルゴリズムを組んでいるファンドが存在します。
相場というのはチャートポイントを割れると損切注文を巻き込んで下落幅が早くなるので、それを更に狙っていきましょう!という方法ですね。
これも今回大きな役割を果たしたでしょう。
VIX指数低下への過度な傾倒
今回の題にもしております、VIX指数との関係についてです。
そもそもVIX指数というのを始めて聞いた方もいらっしゃるとおもうのですが、またの名を恐怖指数といいます。
株式市場のOption市場のVolatilityを元に算出されているのですが、このVIX指数が上昇すると、将来株価が乱高下するという投資家の心理を反映していると捉えることが出来ます。
実際過去のVIX指数と米株の関係を見てみましょう。
ご覧のようにVIXが増加すれば、株価が暴落し、VIXが下落して低位安定すると株価がジワリと上昇していくという構図がみてとれると思います。故に恐怖指数といわれているのです。
この構造を利用して、VIXを購入しておくことで、相場急落時のヘッジをしていこうというヘッジの手段として通常使われておりました。つまり株価急落時にVIXが上昇するので、ここで損益を相殺できるというわけです。
然し、この2年ほど非常に相場は低ボラティリティな環境が継続していました。
この為、本来であればVIXを購入して相場の下落に備える投資家達が、あまりにも低くなり続けるボラティリティの動向をみて低ボラにかけて投機筋がVIX指数を寧ろ売ってしまっていたのです。
このような状況でVIXが上昇し、株価が下落したらどのようなことが起こるでしょうか。
本来であれば、恐怖に備えてVIXを買っていた人が利益確定して、安値で株を拾う動きもでて株価に多少なりとも下落の速度を落とす動きが発生します。
然し、VIXをみんなが売っていた状況ですと、VIXを買い戻して損失確定となる為、株を買い向かうことは出来ませんし、慌てて皆がVIXを買い戻すことでVIXが急騰!
それを見た株式市場参加者が更に株を売り込むという下落スパイラルが発生するということが連鎖的に起こり下落幅を上昇させたことも一因と考えられております。
10を下回っていたVIX指数が27と異常な急騰を見せています。
今後の見通し
これが下落の序章なのか、一旦落ち着いたのかということは誰にも分かりません。
リーマンショックの時は1年5カ月という時間をかけて、株式市場は半値になりました。
リーマンショックが発生するまでは企業業績も堅調だったので、現在の好調な企業業績だけをもって今回の下落を一時的と結論づけるのも早計ですし、サブプライムローンのような火付け役がまだ見当たらない為、ここから大きな危機となるのも早計です。
筆者自身は、リーマンショックの時に比べて銀行の資本は規制により増強されてますし、過剰にレバレッジを掛けている資産も見当たらないので、あくまでファンダメンタルズに基づく水準まで株価が調整して落ち着くだろうとみています。
PERが下落前は20倍だったので、16倍程度まで下落するとすると、あと10%程度の下落はありうるかなとみています。
ダウ平均株価にすると20,000~21,000ドル程度まではあってもおかしくはないかなとは見ています。
一つの指標となるかとは思うのですが、バフェット氏が経営するバークシャー・ハサウェイ社の現金比率は、リーマンショック時の水準まであがってきており彼も現在の株式相場は過熱気味であったとみていたことが分かります。
以上、恐怖指数「VIX」指数と2018年2月5日の株価急落の関係。…のコラムでした。
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