相場の「買われすぎ」や「売られすぎ」といった過熱感を示す「オシレーター系指標」。
この中でも、百分率で簡単に表示されるRSIはテクニカル初心者向けの簡単なテクニカル・ツールであるといえます。
今回は、そんなRSIについてご紹介していきたいと思います。
また、実戦で即使うことができる簡単なRSIテクニックも紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
Contents
RSIとは「買われすぎ」と「売られすぎ」を判断するシグナル
金融商品をテクニカル分析するのに便利な指標が「RSI」です。
アメリカの証券アナリストJ.W.ワイルダーが考察した指標であり、「RSI」は”Relative Strength Index”(相対力指数)の略称です。
指標は0から100の数値で表されて、基本的に70%以上であれば「買われ過ぎている」と推測できます。
反対にRSIが30%以下であれば、その金融商品が「売られ過ぎている」と判断できるのです。
相場の動きによっては、RSIは0%や100%に達することもあります。
RSIと似たような動きをする指標である「RCI」と混同してしまう場合もあります。
しかし、RSIとRCIには計算方法による違いがあります。
RSIには2つの種類がある
テクニカル分析のひとつの指標として使われるRSIですが、RSIには2つの種類が存在します。
証券会社によってはRSI1とRSI2といった表記をされていますが、ひとつしかない場合には、どちらが採用されているのか確認する必要があります。
それぞれの違いは計算方法による違いで、 RSI1は J.W.ワイルダー氏のRSI計算式で計算されており、RSI2はカトラー氏のRSI計算式で計算されています。
しかし、2つの計算方法のどちらが優れているといったことはありません。
それでは、RSI1とRSI2の計算方法について解説していきます。
RSI1を計算する方法
RSIの使用日数は、14日足で計算するのが一般的であり、次のような計算式で指標を計算できます。
- RSI=A÷(A+B)×100
- A: 金融商品の14日間における価格上昇幅の合計
- B: 金融商品の14日間における価格下降幅の合計値
そして、この2日目以降は当日の価格上昇幅に重点を置きます。
- RSI=A’÷(A’+B’)×100
- A’=(前日までのRSI×13+当日の価格上昇幅)÷14
- B’=(前日までのRSI×13+当日の価格下降幅)÷14
RSI2を計算する方法
RSI2は14日足で計算するのが一般的であり、次のような計算式で指標を計算できます。
RSI(%) = A / ( A + B ) ×100%
- A:金融商品の14日間における価格上昇幅の合計
- B:金融商品の14日間における価格下降幅の合計値
Aには金融商品の14日間における価格上昇幅の合計を代入して、Bには金融商品の14日間における価格下降幅の合計値を入れます。
例えばAが200でBが800の場合、RSIは以下の通りです。
RSI(%) = 200 / ( 200 + 800 ) × 100 = 20%
過去14営業日に明らかに価格が下落していることが多いためRSIは20%と低めになっています。
日経平均株価を例に値動きとRSIの関係を確認
以下はYahooファイナンスを使ってみる日経平均のRSIです。
Yahooファイナンスで各テクニカル指標を確認する方法については、一目均衡表のコンテンツを用意しています。
下図は日経平均株価の日足にRSIをくっつけて表示したものです。
下に表示されているのがRSIになります。見ずらいので拡大してみました。
株価が底値圏の時はRSIが20程度、株価が天井圏の時はRSIが100に近い数値になっています。
RSIは0~100までしか表示されません。
単純に百分率と同じ表示方法なので、わかりやすい指標であることがわかります。
このようにRSIは相場の売られすぎ・買われすぎを百分率で表示してくれる、便利なテクニカル・ツールであるといえます。
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RSIの基本的な使い方
まずはRSIの基本的な使い方をご紹介していきたいと思います。
売られすぎを判断する
RSIは株価が下落していくと、数値が下がっていきます。
上図はパナソニックの週足チャートです。
株価が1,800円から845円まで下落していることが見て取れます。
株価の下落に伴い、1,800円の時は81もあったRSIが赤丸の時点では15まで下がっていることがわかります。
このようにRSIは株価が売られすぎの状態になると、数値が低くなることがわかります。
買われすぎを判断する
下図は日本電気の週足チャートです。
株価が2,550円から4,890円まで上昇していることが見て取れます。
株価の上昇に伴い、2,550円の時は22であったRSIが赤丸の時点では88まであがっていることがわかります。
このようにRSIは株価が買われすぎの状態になると数値が高くなることがわかります。
売られすぎ・買われすぎの判断基準
RSIの売られすぎ・買われすぎの判断基準は20~30%が「売られすぎ」、70%以上が「買われすぎ」と判断するのが基本です。
実はRSIは銘柄によって判断基準が異なります。
一部大型の銘柄や日経平均株価などの指数は20~30%が「売られすぎ」、70%以上が「買われすぎ」と判断するケースが一般的です。
しかし、値動きの激しい新興銘柄や短期的に暴騰する銘柄などは、RSIが100で固まったまま株価が上昇するケースも存在します。
また反対に、RSIが0で固まったまま、株価だけが下落するパターンも多くみられます。
ですから、RSIを使う場合は過去の株価推移とRSIの推移を見る必要があります。
この銘柄は○%以上が買われすぎ、×%以下が売られすぎだなと、先に銘柄とRSIの特徴を調べる必要があるといえます。
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RSIの注意点
百分率で過熱感がわかるRSIは便利なテクニカル・ツールですが、RSIが苦手(使えない)相場も存在します。
そういった相場では他のテクニカル・ツールを活用しましょう。
急騰・急落銘柄
RSIは短期で急騰する銘柄や急落する銘柄との相性が良くありません。
理由は一気に数値が上昇して、その後機能しなくなってしまうからです。
よって、急騰・急落銘柄の天底の判断にRSIを使うのは危険です。
相場にトレンドが発生しているとき
上昇トレンドや下降トレンドなどといったトレンドが発生しているケースでは、
数値が先に急上昇し、数値が固まってしまうため、トレンドが出ている相場向けの指標ではありません。
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RSIが活躍するのはレンジ相場!
RSIが活躍する相場はずばり「レンジ相場」です。
通常トレンドが発生しない場合は利用できないテクニカルが多い中RSIはレンジ相場で威力を発揮します。
よって、レンジ相場でのテクニカルはRSIを使うのが最も効果的であるといえます。
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RSIのダイバージェンスとは?
ダイバージェンス(逆行現象)とは、株価の推移とテクニカル分析の売買シグナルが逆になる現象です。
RSIだけではなく「MACD」でもダイバージェンスが起こることがあります。
弱気のダイバージェンス
弱気のダイバージェンスとは上昇トレンドで起きるダイバージェンスのことです。
弱気のダイバージェンスを実際に確認してみましょう。
RSIは1,232円の時に高値87をつけています。
しかし株価は上昇するのにもかかわらず、RSIは87を超えることがありません。
こうした状態が弱気のダイバージェンスになります。
なぜ弱気のダイバージェンスが起きるのか?
それはトレンド転換が近いことから、こうした現象が起きることが多いといわれています。
従い、弱気のダイバージェンスの発生は下降トレンドに転換する前触れであるということができます。
強気のダイバージェンス
強気のダイバージェンスとは下降トレンドで起きるダイバージェンスのことです。
強気のダイバージェンスを実際に確認してみましょう。
RSIは917円の時に低値15をつけています。
しかし株価は下落するのにもかかわらず、RSIは15を割ることがありません。
こうした状態が強気のダイバージェンスになります。
なぜ強気のダイバージェンスが起きるのか?
それはトレンド転換が近いことから、強気の大バージェンンスが発生することが多いといわれています。
従い、強気のダイバージェンスの発生は上昇トレンドに転換する前触れであるということができます。
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RSIを相場で活用する場面
ここでは実際に相場でRSIを活用する場面をご紹介していきます。
ダイバージェンスを活用した逆張り相場
ダイバージェンスが発生すると相場の転換が近いといわれています。
ダイバージェンスを活用することで底値圏で買いを入れることも出来るし、天井圏で空売りを入れたりすることもできます。
ダイバージェンスは他の指標よりも先にサインが発生するという特徴があります。
ですから、ダイバージェンスを活用することで、有利なポジションで相場に参加することが可能になります。
RSIのダイバージェンスを活用した場合、20,184円の時と20,173円の時を比較すれば簡単にダイバージェンスが発生していることがわかります。
よって、8/26の20,173円で相場に参加することが可能です。
一方、移動平均線では9/5のミニゴールデンクロスの発生になってしまい20,800円からの参加になってしまいます。
このように、ダイバージェンスは他のテクニカルよりも早期に発生します。
利益を上げやすいポジションをとることが可能になるのです。
急騰銘柄にはRSIは弱いケースが・・
基本的に急騰銘柄に弱いといわれるRSIですが月足のRSIが100に近い銘柄は暴落する傾向が高いといえます。
上図はニチダイの急騰相場です。
筆者はニチダイの空売りでずいぶん稼がせていただきました。
最終的な判断は「月足RSIが98は異常」だと考えたからです。
過去、多くの急騰銘柄を空売りしていますが、最終判断は「月足RSI」で判断しているケースが多いです。
よって、自分が参加している急騰系銘柄が「月足のRSIが100に近い」場合は早々に退出することが重要です。
なぜなら、ニチダイは3日連続ストップ安に張り付いて一発退場の動きになりました。
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まとめ
判断しやすい百分率で表示される便利なRSI。
近年は便利なテクニカル指標が多くなっているため利用者が減少しているテクニカルツールです。
しかし、ダイバージェンスを活用した逆張りはどのテクニカルツールよりも早く買いサインを発見することができます。
さらに急騰銘柄で暴落に巻き込まれることもRSIを見れば防止することが可能になります。
相場での大事故にあわないように、RSIをチェックすることも必要であると考えます。
以上、株式投資におけるRSIの見方と計算式とは?ダイバージェンスと組み合わせた使い方を含めてわかりやすく解説!…でした。
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