投資信託に投資をしたいと思っても、たくさんの種類があってどれを買うか迷ってしまうという方も多いと思います。
特に、日本株に投資をしている投資信託はか非常に多く存在しています。
それぞれに特色があるため、選ぶのが結構難しいです。
今回は、多くの金融機関で取り扱いがある評判の「日本株アルファ・カルテット」について、投信の概要や特徴、見通しなどについて書いていきます。
Contents
日本株アルファ・カルテットの4つの収益源
日本株アルファ・カルテットは、日本株だけではなく、為替取引やオプション取引を使って収益を得ているという特徴があります。
日本株アルファカルテットの4つの収益源について見ていきたいと思います。
日本株
様々な日本株に投資していますが、99%が東証1部に上場している大型銘柄です。
2019年7月時点での組み入れ上位銘柄は、トヨタ自動車、日立製作所、日本電信電話、東京海上ホールディングス、NTTデータとなっています。
しかし、1位のトヨタ自動車でも5.1%となっているので、幅広い銘柄に分散投資しているようです。
また、業種では情報・通信や電子機器、卸売業、輸送用機器などが上位になっています。
為替取引
為替取引では、「高金利通貨戦略」を採用しています。
高金利の国の通貨を買い、円を売るという取引によって発生する金利差や為替変動を利用して利益を生み出そうとする戦略です。
つまり、この投信では日本株だけではなく為替のリスクも負うことになります。
現在はブラジルレアルを利用してこの通貨戦略を採っていますが、通貨が変わることもあるようです。
株価指数オプション取引
日本株アルファ・カルテットでは、株式カバードコール戦略を採っています。
商品説明を見るとTOPIXのコールオプションを売ることによってオプションプレミアムの確保を目指すと書いてあります。
コールオプションとは、対象となる資産を、特定の日に特定の値段で買うことができる権利のことを言います。
そして、オプションプレミアムとは、買い手が売り手に支払う対価のことを言います。
つまり、原資産を保有しつつコールオプションを売ることによってオプションの権利行使価格以上の値上がりを放棄する代わりに、
オプションプレミアムによる着実な利益を得るという戦略なのです。
つまりオプション販売手数料を受け取る代わりに価格の上昇益を一部捨てるという手法をとっているのです。
大儲けもしない代わりに値下がりしたときもオプションプレミアムによるクッションをつけてリスクヘッジをしているというイメージですね。
通貨オプション取引
為替についても、株式と同じカバードコール戦略を採用しています。
高い取引並びに信託手数料
日本株アルファ・カルテットを買うとかかる手数料としては、
- 購入時手数料:3.78%(増税後は3.85%)
- 信託報酬(運用管理料です):年率1.902%(増税後は1.9225%)
また、換金時には換金受付日の翌営業日の基準価格に対して0.3%の信託財産留保額(ほかの投資家への選別のようなものです)がかかります。
日本のアクティブ型の投信の手数料は高いことが問題視されています。
日本株アルファカルテットもアクティブ型の投信であり、同様に高い手数料体系が設定されています。
購入・換金は、申し込みをした翌営業日の基準価格をもとに代金が決定します。
申し込みは午後3時までなので注意しましょう。
毎月分配金型には要注意
日本株アルファカルテットは毎月分配金がもらえるタイプと年2回のタイプがあります。
分配金をもらう権利を取るには、決算日にその投信の受益者になっている必要があります。
毎月分配型の決算日は毎月4日、年2回型は3月と9月です。
ただし、実際には年2回型は分配金を出していません。
分配金は、投資信託が出した利益や元本を切り崩して支払われます。
そのため、毎月分配型の投信は、分配が出ないものに比べて基準価格が下がりやすく、
売却したときの代金が安くなってしまう傾向があります。
それでも毎月のお小遣いとして分配金を楽しみに持ちたいという方は毎月分配型、投信が生み出した利益は再投資してしっかり稼いで基準価格をアップさせてほしいという方は年2回型を選びましょう。
その際、毎月分配型でも月々にもらえる分配金が減る可能性があること、
年2回型でも基準価格が下がってしまう可能性があることは念頭に置いておきましょう。
日本株アルファカルテットの現状は?
現在、日本株アルファ・カルテットは、おおむね2017年末頃をピークに下落し冴えない動きとなっています。
全体的な動きとしては日経平均やTOPIXと同じような動き方をしています。
様々な戦略を採用してはいるものの、ベースは日本株の投資信託なので、基本的には日本株の動きに大体連動して動いていますね。
基準価格は、毎月分配型が1,770円ほど、年2回型が12,200円ほどとなっています。
投資信託は通常、設定されるときは10,000円ではじまります。
つまり、毎月分配型のほうは設定時から比べるとかなり値下がりしていることがわかります。
また、毎月分配型の分配金は、2019年7月まで60円だったのが、8月からは40円に引き下げられています。
毎月分配型が大きく値下がりしている原因としては特別分配金になっているということが大きいでしょう。
特別分配金とは投資信託が生み出した収益以上に元本を切り崩して分配金を支払っている状態を言います。
別名『たこ足分配金』ともよばれています。
たこが自分の足を食べるのに似ているのでこの名前が付いています。
たこ足分配になっているかどうかは運用報告書を見るとわかります。
分配金について記載があるところを見ると、分配原資の内訳が書いてあります。
分配金を60円に引き下げてから分配原資は当期の収益から賄われています。
しかし2018年以前は当期の収益以外、つまり元本の切り崩しなどで支払っていた部分が大きく、
2017年9月などは100円のうち当期の収益が10円だけとなっていました。
このような状況が長く続いた結果、毎月分配型のほうは基準価格が大きく下がってしまったのですね。
もちろん投資信託によっては、毎月分配金が出るものでもしっかりと利益を出して基準価格が順調に上がっているものもあります。
気になった投信があれば、過去の運用実績や分配実績、運用方針などを確認してみましょう。
今後の見通しを予想する!
日本株アルファ・カルテットについて採用している戦略や分配金についていろいろと書いてきました。
そうは言ってもベースは日本株を運用している投資信託です。
多少の時差や程度の差はあっても基本的には日本株が上がればこの投信も上がるでしょうし下がれば投信も下がります。
アベノミクスが始まって以降、多少の上下はあっても順調に上がってきた日本株。
しかし、米中貿易摩擦をはじめ様々な逆風が吹き始め各種景況指標などにも少しずつ陰りが見えてきました。
消費増税も控え、そろそろアベノミクスの効果にも限界が見えてきたようにも思えます。
実際に、株価も冴えない動きが続いていますね。
そのため、日本株アルファ・カルテットについても今後は少し厳しいのではと筆者は思います。
しかし、まだまだ日本株には前向きな方もいらっしゃるでしょう。
この投信の特徴は、カバードコール戦略を使って、日本株をそのまま持つより値動きが上にも下にも緩やかになるクッションのような効果を付けていることです。
これからも日本株はどんどん上がる!と思っている方にはあまり向かないかもしれませんが、上がると思うけど一応リスクヘッジがほしいという方には良い投信ではなのではないでしょうか。
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