日本では、国債と聞くと「国の借金」というイメージが先行しています。
しかし、投資家にとって国債は「安定して収益が出せる金融商品」という位置づけがなされております。
米国債に至っては2019年4月時点では10年物で利率が2.5%にもなります。
そんな国債ですが、実は「金利」と密接に関わっているのをご存知でしょうか?
今回は、国債と金利の関係について、分かりやすく解説していきます。
目次
金利とは何か?
まず、国債と金利の関係についてお話しする前に、「金利」の正体を解説します。
一般的な金利とは、「受け取る利息や支払う利子の割合」を指します。
大抵の場合、金利は「パーセント(%)」で示されます。
特に指定がない場合、金利は「1年間当たりの利子、利息」の割合を指します。
「年利」という言葉が使われることもあります。
金利が3%の国債を100万円分購入したとすると、1年後に受け取る利息は「100万円×3%=3万円」となります。
債券を保有しているだけで国債金利の利息で年間3万円儲けられるということです。
私たちの身近な生活に存在するカードローン。
金利が10%のカードローンを100万円利用した場合、1年後に支払う利子は「100万円×10%=10万円」となります。
この場合、カードローンで支払う利子は、いわば「お金のレンタル料」のようなものです。
多くの富裕層たちは、この「金利」を血眼になって見つめています。
金利は「お金を増やすパワー」そのものです。
如何に高い金利で運用できるかで、資産の拡大スピードが変化してくるのです。
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国債と金利の関係
国債についての概要は、「【債券とは?】債券投資のメリットと注意点を解説。」に譲ります。
ここからは、国債と金利の関係にフォーカスして紹介していきます。
一般的に国債と金利は相反する値動きをします。
国債価格が上昇すると金利は下がり、国債価格が下落すると金利は上昇するのです。
- 国債価格⤴️ 金利⤵️
- 国債価格⤵️ 金利⤴️
なぜこのような関係になるのでしょうか?
その理由を解き明かすには、「国債金利の決まり方」を正確に把握しておく必要があります。
国債を始めとした債券は、購入時に「利息の利率」が設定されています。
その利率は、購入した時から変わることはありません。
では、ニュースや新聞で騒がれている「国債の利回りが変わる」とは一体何でしょうか。
その正体は、「国債の価値変動によるリスクの上下」です。
イメージしやすいように、具体例を使って考えてみましょう。
例えば、ある企業が発行している債券(社債)を100万円分購入したとします。
その債券の利率は年利10%です。
1年間保有すれば、100万円が110万円になります。
リスクとして、発行元の企業が倒産すれば、債券はただの紙切れになってしまいます。
倒産寸前の企業の債券でも、償還される期間まで保有すれば、元本と利息が返ってきます。
さて、その企業が、業績悪化によって倒産の危機に陥りました。
100万円分の債券を持っていても価値がなくなる可能性が高くなりました。
ここで、保有している債券を債券市場にて売却するとします。
しかし、企業は倒産の危機に面しています。
購入時の価格と同じ100万円では買い手がなかなか付きません。
100万円で売るのは諦め、半額の50万円でその債券を売ることにしました。
さすがに、半額ともなると買い手がつき、無事に債券を売却することができました。
この結果、1年間保有すれば、100万円が110万円になる債券はどうなったのでしょう?
まず、債券の価格が100万円から50万円に下落したことになりました。
この時、債券の実質的な利回りが変化しているのです。
このケースでは、100万円・利率10%で購入した債券を「50万円・利率10%」の債券として売却しました。
この債券を購入した人が満期まで債券を保有して、無事に償還を受けた場合。
これは50万円の投資で元本と利息分の計110万円がリターンとして返ってきます。
つまり「110万円-50万円=60万円」が利息として入ってきます。
通常、100万円で債券を購入して、それを満期まで保有すると、利回りは10%程です。
しかし、市場に出回っている債券を購入することで、投資額の倍額以上の利息を手にれることが可能になったのです。
上記の例は、かなり極端な例ではありますが、債券価格の変動によって生じる「最終的なリターンの大きさ」が利回りを変化させるのです。
これが「債券の価格が下がると利回りが上がり、価格が上がると利回りが下がる」ことを意味します。
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債券も「ハイリスク・ハイリターン」が原則
先ほどの説明だけ見ると、「市場で債券を購入した方がお得」と感じます。
しかし、購入した債券が途中で紙切れになる可能性も当然あります。
債券の世界でも、株式の世界と同様、「ハイリスク・ハイリターン」が原則です。
価格を下げてまで売りたいと思っている保有者が多いということは、それだけその企業が危険な状態にあるということです。
その後、打開策が打たれれば話は別ですが、確証がない限り、リスクが非常に高いということになります。
これは、企業が発行している社債のみならず、国が発行している国債にも言えることです。
国債の場合、「利息が支払われなくなる=国が財政破綻する」ことです。
基本的に、よほどの財政危機に陥らない限り、国債が紙切れになる可能性は低いです。
しかし、ギリシアをはじめ、財務危機に陥って、あと一歩で破綻していた国も世界では見られます。
国債で高金利といえば、トルコ・ブラジル・南アフリカです。
利回りが異常なレベルで高く、高金利国債として有名です。
しかし、高金利であることは、その反面為替リスク、カントリーリスクがと背中合わせであることも認識しておく必要があります。
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国債保有メリット。まとまったお金で先進国債券を購入する場合は魅力的!
国債を保有する最大のメリットは、「安定した利息が得られる」という点です。
債券の利回りが異常に高くない国債を長期的に保有すれば、利息こそ少額ですが着実に資産を増やしていけます。
特に、財務状態が安定している国の国債であれば更に信頼度が高まります。
まとまった資金を国債に回せる場合は、無理に利回りが高い国債に手を出すのではなく、利回りは低いけれども破綻のリスクが低い債券に投資する方が、安定して利益を出せます。
もちろん、いくら財務状態が安定しているからといって、1国の国債に全財産を投入するのは好ましくありません。
堅実な国債を複数ピックアップして、分配するようにしましょう。
国債の購入は、証券会社で簡単に手続きできます。
今は、ネット証券で自宅に居ながらでも国債を簡単に購入可能です。
店舗がある証券会社よりもネット証券の方が、手数料も安くておすすめです。
自分が購入する意図のない金融商品の営業もネット証券であれば受けることがないので、周りに惑わされずに購入を吟味することができます。
大手のネット証券であれば、インターネットから簡単に申し込みができます。
身分証明書、マイナンバーカードの提出が必要になりますが、書類の提出さえ済ませば、1週間ほどぐらいで取り引きを開始することができるようになります。
まだネット証券の口座を開かれていない方は、これを機に是非、口座を開設してみてください。
まとまった資金を運用するのであれば、国債は安全で魅力的ですが、少額の資金では資産形成には非効率です。
少額の資金から、まとまった資金まで資産を大きくするには、「知恵」が必要です。
その知恵を身につけるには、勉強が必要ですが、その勉強も方向性が間違っていれば、ただただ時間を浪費してしまうだけです。
そこで、選択肢に入ってくるのが「お金の学校」でしょう。
「お金の学校」は、学生時代、私たちがお金について学ぶ機会に恵まれなかった状況を打破する存在です。
国内では、グローバルファイナンシャルスクールとファイナンシャルアカデミーが有名ですが、「お金の本質」を学ぶのであれば前者がおすすめですが、検討してみてはいかがでしょう。
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まとめ
国債と金利の関係は、「最終的に得られる利息の額」が影響しています。
国債の価格が下がるということは、それだけ「国債が無くなってしまう」リスクが高いということで、それに見合った利率が付けられるのです。
債券投資の世界でも、ハイリスク・ハイリターンが原則ですので、債券を購入する際は、複数の債券を分配して買う等、リスク分散を怠らないようにしてください。
以上、国債価格が上がると金利が下がる?国債と金利の関係、その仕組みについて徹底解説。..の話題でした。