前回オニールが愛したチャート形状であるカップウィズハンドルについてお伝えしました。
本日はいよいよ本題としてオニールの投資手法として有名な「CAN-SLIM」についてお伝えしていきたいと思います。
「CAN-SLIM」は銘柄スクリーニング手法で長期にわたって継続して上昇する可能性が高い企業を継続的に選ぶ出す手法として知られています。
「CAN-SLIM」は個人投資家向けの投資手法で、時を経ても、また米国株市場以外でも有効性が確認されている点です。
因みに今回の内容は以下の「オニールの成長株発掘法」の内容をまとめたものとなります。
Contents
「C」:Current Quarterly Earnings=当期四半期EPSと売上
まずCAN-SLIMの最初の「C」はCurrent Quarterly Earningsの略です。
「C」の意味
株価が急騰する直前の1-2四半期で大きなEPSの上昇が見られたとしています。
株を買うときは最新の決算が発表された四半期EPSが前年同期比で大幅に上昇している銘柄を選ばないといけないとしています。
オニールは何はともあれEPSが最も重要であるとしています。
多くの投資家はただ安くなったという理由でEPSが下がった株を買いたがるが、多くの場合失敗すると言及しています。
EPSが急騰している企業の注意点
直前のEPSが増加している企業でも以下の点については十分に注意してくださいと継承を鳴らしています。
■:あくまで前年同四半期で比較すること
企業には季節要因で四半期毎に利益の傾向がある銘柄が多く存在します。前年度の同四半期と比較しましょう。
■:売上や純利益ではなくあくまでEPSでみること
売上が伸びていても純利益が売上ほど増加していないとコスト構造に問題があります。
更に純利益が増加していても新規に株を発行してしまっては「1株あたり純利益」は下落してしまう可能性があります。
あくまで自分の保有する株の価値が重要ですのでEPSに着目しましょう。
■:特別利益は除外する
不動産や保有株の売却などであた一過性の特別利益が純利益項目となる場合は要注意です。
継続的に発生するわけではないので特別利益は除外した上でEPSを加味しておきましょう。
■:長期間上昇した銘柄については注意が必要
既に長期間上昇をつづけていた銘柄では、EPS増加率が前年同四半期比で100%を超えていても株価が頭打ちする銘柄もある。
■:売上の上昇も伴う必要がある
売上が直近四半期で少なくとも25%以上増加しているか、直近三四半期で増加率が加速していることが最低条件。
これは収益増加を継続的に達成させるにはコストカットだけではなく売上そのものの増加が必要だからです。
■:売上の上昇も伴う必要がある
売上が直近四半期で少なくとも25%以上増加しているか、直近三四半期で増加率が加速していることが最低条件。
これは収益増加を継続的に達成させるにはコストカットだけではなく売上そのものの増加が必要だからです。
■:2四半期連続でEPS増加率が減少した場合は要注意
EPS増加率が2四半期連続で減少している場合は注意が必要です。1四半期だとたまたまなことがあるため、2四半期としています。
具体的には前回の増加率に比べて33%未満の増加率に2四半期連続でなった場合は何かしらの原因を抱えているとみた方がよいでしょう。
■:同業他社の銘柄のEPSを確認
狙っている産業が上昇基調にあるか確認するために、
同業他社で同じく強いEPS成長率を示している企業が少なくとも一つあるか確認する必要があります。
「A」:Annual Earnings Increase=年間EPSの増加
先ほどの「C」はあくまで直近の四半期EPSの上昇でした。しかし、それだけでは十分魅力的な成長を成し遂げていると断ずることはできません。
年間EPS成長率「Annual Earnings Increase」を見極める重要性と基準
しかし、購入を検討する企業の質が高いことを確認するためには年間EPSの増加を確認する必要があるとしています。
あくまで継続的な上昇基調を前提とした銘柄に投資をせよとしています。
たとえ3年目の結果が過去最高水準だとしても2年目のEPSが下落している銘柄は対象外とするべきと警鐘を鳴らしています。
EPSの成長率が高い企業の特徴として高ROEが挙げられます。
ROEは自己資本の何%利益を生み出せるかという指標です。
企業が生み出した利益から配当金を差し引いた繰越剰余利益は自己資本に組み込まれます。
つまり、利益が増加する企業は自己資本もふえていくので当然EPS成長率も増加していきますね。
「C」と「A」を簡単に確認する方法
ちなみに3年EPS成長率や直近四半期EPS成長率はオニール氏が運営している『Investors Business Daily』で確認することができます。
以下がアップルの例です。
また、『Investors Business Daily』を活用することで前項の「C」と「A」を確認する方法があります。
以下はマイクロソフトの画面ですが、EPS Ratingが97となっています。
EPS Ratingは1-99となっていますが、高ければ高いほど魅力的なEPSを成し遂げているとしています。
EPS Ratingは企業の直近2四半期のEPSの増加率を前年同期と比べ、過去3年でどれほど成長したかを測定したもの。その後、その測定結果を公開されている全銘柄と比較し、1-99の指数で表す。EPS指数が99の企業は年間EPSと当期四半期EPSの両方で残り99%の企業よりも良い成績であったことを意味する。
引用:オニールの成長株発掘法
コラム:PERは重要なのか?オニール流の考え方
銘柄選択の際にPERを非常に重要な指標として考えている方は多いのではないでしょうか?
ただ、PERで投資銘柄を考えることにオニール氏は警鐘をならしています。
PER投資では大化け銘柄は見つけられない
1952年から1985年まで大化け銘柄の上昇初期段階におけるPERは平均20倍と決して割安ではなかったとしています。
大化けする成長株の上昇初期のPERは25倍-50倍で、最終的に60-115倍まで上昇しているとしています。
市場全体が急上昇する強気そうなでは、ある銘柄のPERが高すぎるという理由だけで選択肢から除外してはならない。
あくまで重要なのはEPSの増加率であるとしています。
PERは利確ポイントを見つける時に有効
ただ、PERにも活用法はあるとしています。
PERは利益を確定するポイントを見つけるために有効としています。
具体的には買いポイントを見つけた時点でのPERを2倍して2年後の予想EPSを掛け合わせて利確ポイントの基準とするとよいとしています。
PER | EPS | 株価 | |
現在 | 30倍 | 120 | 3600 |
利確ポイント | 60倍 30倍×2倍 | 480 120×2倍×2倍 (2年後予想EPS) | 28800 利確ポイント |
上記のように具体的な目安のポイントを見つけるためには活用できますね。
「N」:Newer Companies,Products,High off Properly Formed Bases
CAN-SLIM の『N』はNewの頭文字です。
新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けた新高値を基準としています。
株価が驚くような上昇をみせるためには新たな何かが必要としています。
新しいユニコーンといわれるような企業や、経営陣、製品などが必要としています。
例えば以下の二つのチャートがあるとします。多くの人は安くなっているパターンBを選好する傾向にあるとしています。
しかし、実際に大きく上昇する銘柄はパターンAであるとしています。
まとめ
「C」:直近四半期EPSが前年同期の四半期EPSに比べて大幅に上昇しているか?
「A」:3年間の年間EPSの上昇が力強い上昇を見せているか?
「N」:新興企業、新製品、新経営陣、新高値を更新している銘柄を選ぶ