フリー(4478)の上場日は12/16(月)で、上場市場は東証マザーズとなります。
主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券で、IPOの申し込み期間(BB期間)は12/3(火)~12/6(金)となっています。
今回はフリーとはどのような企業なのかを事業内容や業績をチェックしながら詳しくご紹介していきたいと思います。
また、フリーの気になる初値予想やIPOでの購入情報もご紹介していきます。
Contents
フリーのIPOスケジュール
フリーの主幹事は国内大手5社の一角、三菱UFJモルガン・スタンレー証券です。
上場規模は300億円超と、東証マザーズではかなり大型の部類に入ります。
ブックビルディング期間 | 12月3日(火)~12月6日(金) |
市場 | 東証マザーズ |
公募価格決定 | 12月9日(月) |
購入申し込み期間 | 12月10日(火)~12月13日(金) |
上場予定 | 12月17日(火) |
当選株式数 | 18,566,000株 (国内8,354,700株、海外:10,211,300株) |
想定価格 | |
仮条件価格 | 1,800円 ~ 2,000円 |
公募価格 |
フリーの各証券会社の割り当て
それでは、フリーの引受証券会社及び引受シェアを確認していきたいと思います。引受シェアは以下のとおりです。
証券会社 | 株数 | 割当率 |
三菱UFJ・モルガンスタンレー証券 (共同) | 3,167,400株 | 43.60% |
大和証券 (共同) | 2,606,600株 | 35.88% |
メリルリンチ日本証券 (共同) | 147,400株 | 2.03% |
SBI証券 | 726,500株 | 10.00% |
野村証券 | 333,400株 | 4.59% |
みずほ証券 | 123,500株 | 1.70% |
岩井コスモ証券 | 24,700株 | 0.34% |
東洋証券 | 24,700株 | 0.34% |
楽天証券 | 24,700株 | 0.34% |
いちよし証券 | 12,300株 | 0.17% |
エース証券 | 12,300株 | 0.17% |
ちばぎん証券 | 12,300株 | 0.17% |
東海東京証券 | 12,300株 | 0.17% |
松井証券 | 12,300株 | 0.17% |
丸三証券 | 12,300株 | 0.17% |
水戸証券 | 12,300株 | 0.17% |
三菱UFJモルガンスタンレー証券、大和証券、メリルリンチ証券で80%をしめています。
フリーの事業内容
フリーの基本スペックは以下のとおりです。
社名 | freee株式会社 |
コード番号 | 4478(東証マザーズ) |
設立 | 2012年7月 |
資本金 | 161億603万円(資本準備金等含む) |
本社所在地 | 東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 9F |
電話番号 | 03-6630-3231 |
代表者 | 代表取締役社長 佐々木 大輔 |
従業員数 | 409人 |
事業内容 | スモールビジネス向けクラウドERPサービスの提供 |
同社は、「スモールビジネスを、世界の主役に。」を経営理念として、「スモールビジネス向けクラウドERPサービスの提供」に従事しています。
クラウド会計ソフトfreeeのほか、freeeシリーズを横展開しています。
優良課金ユーザー企業(顧客)は確実に増えています。
クラウド化された会計ソフトの普及率は日本国内では低いため今後も需要があると見込まれているサービスです。
データ的には中小企業の会計ソフトウェア利用率は54.1%でクラウド会計普及率は14.5%しかないそうです。
まだまだ国内での顧客開拓余地が多分に残されています。
クラウド会計サービスは、会計仕訳の負担を大幅に削減するフィンテックサービスであることから、
時代の流行に乗ったサービスと言えるでしょう。注目度は比較的高いと思われます。
フリーの上場理由とは?上場による資金調達の目的を探る
なぜフリーが上場に踏み切ったのかを紐解いていきましょう。
新規発行による手取り額
フリーは上場することにより手数料を引いた手取り金額で334.2憶円の資金を獲得します。
資金使途は後述のとおりです。
調達資金の使途
目論見書によると調達した資金は以下の用途に使用します。
- 新規顧客獲得のためのセールス・マーケティング活動に係る広告宣伝費・販売促進費及び人件費
- 製品開発に係るエンジニアの人件費等の研究開発費
- サーバーメンテナンス
- カスタマーサポートに係る人件費に充当するようです。
フリーは調達した資金を自社の発展のために用いる計画であった様子です。特に認知度の拡大と人材の確保が大きな課題であり、それを解決するための上場であると捉えることもできます。
目論見書から見るフリーの売上高と利益推移
本項目では、フリーの業績を分析していきたいと思います。
売上高は徐々に積みあがっている
売上高(千円) | |
2015年6月期 | 216,327 |
2016年6月期 | 568,799 |
2017年6月期 | 1,202,044 |
2018年6月期 | 2,414,913 |
2019年6月期 | 4,579,049 |
上記のとおり、フリーの売上高は順調に右肩上がりに推移していることがわかります。
特に2017年以降は毎年売上高が2倍前後増加しており、急速な成長を見せています。
経常赤字が続いているが・・
経常利益・損失(千円) | |
2015年6月期 | -983,273 |
2016年6月期 | -2,129,905 |
2017年6月期 | -2,205,591 |
2018年6月期 | -3,399,297 |
2019年6月期 | -2,764,820 |
昨今の市場の変化のなかで業界に対する注目度が急速に高まってきていることを背景に、
同社グループの認知の獲得やブランドイメージの確立を目的として、
新聞広告やテレビCM等を含めた大規模プロモーションを実施しており、広告宣伝費がかさんでいます。
加えてシステム開発にも多額の費用を投じていることから、経常赤字はまだ続きそうです。
さらに、売上は順調に伸びているものの、
他方でこれらの広告宣伝費による先行投資が増加したことが利益の重しとなっている模様です。
2020年3月期は経常赤字が拡大する見通しです。
しかしながら、同社のビジネスモデルはサブスクリプションモデルです。
顧客数が増加すれば売上高も自然と増加していくため、広告宣伝費への投資やシステム開発が一巡すれば業績が安定する可能性は十分に存在すると考えられます。
EPSも回復傾向。今後の成長に期待
EPS(円) | |
2015年3月期 | -108.35 |
2016年3月期 | -200.32 |
2017年3月期 | -193.73 |
2018年3月期 | -92.88 |
2019年3月期 | -66.15 |
EPSは、2018年3月期及び2019年3月期は復調傾向です。
売上高が現在のペースで増加し続けることができれば、経営の黒字化はそう遠くはないかもしれません。
フリーの上位10位までの大株主とロックアップ情報
株主名 | 保有比率 | ロックアップ情報 |
佐々木大輔(社長) | 24.90% | 360日間 |
DCM VI, L.P. | 11.66% | 360日間 |
A-Fund, L.P. | 6.84% | 360日間 |
IVP Fund II A, L.P. | 5.04% | 180日間 |
(株)リクルート | 4.81% | 360日間 |
横路隆 | 4.75% | 360日間 |
LINE(株) | 4.42% | 180日間 |
Palace Investments Pte. Ltd. | 3.72% | 180日間 |
(株)SMBC信託銀行 | 3.17% | 180日間 |
東後澄人 | 3.14% | 180日間 |
ロックアップとは、株式が公開された後に一定期間、市場で持株を売却することができないようにする制度のことです。
上位株主全員にロックアップが付されています。
とはいえ、赤字上場であり、上位株主にベンチャーキャピタルが名を連ねている点から、
ベンチャーキャピタルのエグジット案件である可能性が高いです。
フリーの初値を予想する!
ここでは編集部独自のフリーの初値予想を公開していきたいと思います。
フリーの総合評価
フリー購入のメリット
- 時代のトレンドにあったプラットフォームを提供しており、成長性大
- IPOは上値抵抗がないため、比較的株価が上昇しやすい
- サブスクリプション型ビジネスモデルであり、売り上げが増加しやすい
- 国内市場の開拓余地が十分にある
フリー購入のデメリット
- ベンチャーキャピタル等のエグジット目的での上場である可能性がある
- 上場規模が大きく、株価が高騰しにくい
- 経常赤字であるため、業績や業界の動向に要注意
- 同業のマネーフォワードと常に比較される可能性大
- 12月はIPOラッシュであるため、資金が分散しやすい
フリーの初値予想は3,078円
フリーは、EPSがマイナスであることに加え、経常赤字であるためPERも算出不能ですので、
同業他社のマネーフォワードを参照しましたが、マネーフォワードもPERは-131.21倍程度でした。
フリーの競合として考えられる上場企業として、会計サービスを提供しているオービックやビジョンが考えられます。
PER及びEPSから推定株価を算出します。
企業名 | PER | EPS |
オービックビジネスコンサルタント | 34.35 | 142.35 |
ビジョン | 41.06 | 43.67 |
ミロク情報サービス | 25.87 | 130.86 |
ピー・シー・エー | 18.96 | 236.28 |
TKC | 19.83 | 258.72 |
フリーの直近の業績を鑑み、上記のうちPERは1同社が経常赤字である点を踏まえ、
保守的に最小値である18.96倍を用いることとします。EPSは、平均値である162.38倍を用います。
以上より、想定初値は、PER18.96倍×EPS162.38=3,078円程度となります。
まとめ
12月17日上場のフリーですが、12月はIPOラッシュであるため、他企業の上場も控えており大幅な上昇は見込みにくい銘柄であると考えられます。
業績も現状経常赤字であるため心象が悪いです。
一方、同社のビジネスモデルは収益性が高く、システム開発や広告宣伝費への投資が一巡すれば経常黒字となり、株価が大きく上昇するポテンシャルを秘めています。
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