前回、インドネシアの経済の魅力についてお伝えしてきました。
インドネシアはまだまだ発展段階です。
今後人口増加と、1人あたりGDPの増加を伴い経済規模が拡大していくことが見込まれています。
現段階で、インドネシアは東南アジアの成長を今後索引していく重要な国であるといえます。
■ インドネシア経済の動向:
- 人口2.5億人で今後も人口増加の一途が見込まれる
- 2019年4月ジョコ大統領再任で政治も安定
- GDP成長率は5%程度で安定
- まだまだ1人あたりGDPは低く成長余地は大きい
- 対貿易主要国は中国次いで日本
- 財政は健全な状態
本日はインドネシアの株式投資の魅力についてお伝えする前の段階としてインドネシアの通貨インドネシアルピアの動向について見ていきたいと思います。
Contents
何故、為替の動向を予想する必要があるのか?
例えばわかりやすく米ドル建の例で説明すると、$100の株を買って1年後に$120に上昇します。
米ドル建でみると20%上昇していますが、同期間中に1USD=100円から1USD=80円に円高が進行するとします。
すると日本円建では10,000円→9,600円に減少してしまうのです。
たとえ現地通貨ベースで利益が出たとしても、日本円ベースで考えると損失が発生してしまうというケースも存在するのです。
それではインドネシアルピーの為替見通しについて見ていきましょう。
実質金利からみるインドネシアルピアの見通し
まずインシアルピア/円の動向を見る上で最も重要な実質金利の差を見る必要があります。
実質金利というのは表面上の金利である名目金利からインフレ率を差し引いた金利です。
実質金利の重要性
まず金利ですが皆さん金利が低い国と金利が高い国の通貨であればどちらが好きでしょうか?
当然金利が高い国の通貨の方が魅力が高いはずですね。
しかし、金利が高い国というのは基本的に連動してインフレ率が高くなります。
現在世界各国の金融政策はインフレ率を操作することを目的としています。
インフレ率が高くなると金利を上昇することによりインフレ率を抑制することができます。
発展途上国はインフレ率が高いので金利水準も基本的に高くなります。
金利が高い国の通貨は価値が高まりますが、インフレ率が高い国の通貨の価値は低くなります。
つまり金利の高さからインフレ率を引いた実質金利が投資家にとっての通貨の魅力の高さを意味するのです。
日本はご存知の通り名目金利もインフレ率も殆ど0なので実質金利は0です。
インドネシアの実質金利についてインドネシアの名目金利とインフレ率の両面から紐解いていきましょう。
インドネシアの名目金利
インドネシアの名目金利は度重なる利上げによて6.0%まで上昇しています。
以下大和証券の2018年11月移転の資料で6.0%となっていますが、2019年6月時点も変わらず6.0%となっています。
東南アジア諸国は通貨暴落の恐ろしさをアジア通貨危機で身を持って経験しているので通貨価値の下落を受けて拙速に対応しているのが読み取れます。
以下は現在までのドル/円とインドネシアルピア/.円の推移ですが特にドル建でルピア安が進んでおり、インドネシア中銀が対応しているのです。
インドネシアのインフレ率
インドネシアは経済の安定の共にインフレ率が低下傾向で2019年時点では3.34%という水準に落ち着いています。
アジア通貨危機の時はインフレ率が60%近くと脅威の水準に上昇したこともあります。
現在は大分安定した水準であるということができるでしょう。
インドネシアの実質金利は日本よりも高い
今までのまとめからインドネシアの実質金利は名目金利6%-インフレ率3.3%=2.7%程度となります。
日本の実質金利が▲1.0%-0%程度であることを考えると実質金利の日本とインドネシアの差は3%程度となります。
国際収支からみるインドネシアルピアの見通し
実質金利の他に資金の流入・流出を考えないといけません。
インドネシアに多くの外貨資金が流入するのであれば、外貨をインドネシアルピアに変換する為替取引が発生します。
つまり外貨売りインドネシアルピア買なのでインドネシアルピア高に傾きます。
一方、インドネシアから資金が流出するのであれば、逆にインドネシアルピアを外貨に変換する為替取引が発生します。
結果的に、外貨買いインドネシアルピア売が発生するのでインドネシアルピア安に傾きます。
資金の流入と流出の総量をみるには経常収支と金融収支を合算した国際収支を見る必要があります。
経常収支は悪化の一途
経常収支は当該国がどれだけ外国からお金を獲得しているか、又は外国に支払っているのかを示す指標です。
以下は直近のインドネシアの経常収支ですが大きく赤字に落ち込んでいます。
ここ数年は所得収支が大きくマイナスで経常収支の赤字の主因となっています。
所得収支は海外からの投資を受け入れたことによってインドネシア企業の配当金等が海外企業や投資家に支払われている為です。
積極的な外資誘致を行う国においては所得収支は赤字になりますが、成長加速のためには致し方ありません。
また特徴的な点としては近年は産油量の減少と国内の旺盛な需要により純輸入国になっています。
経常収支の赤字傾向は今後も拡大気味で推移することが見込まれます。
金融収支収支は流入超
一方、証券投資(つまり株式投資)や直接的な海外企業からの資金受け入れの合計である金融収支についてです。
どれだけ海外から投資を受け入れ外貨が流入しているかの指標です。
上記の図ではわかりにくいのですが数値がマイナスということはインドネシアに資金が流入していることを意味します。
証券投資と直接投資の合計で経常収支を大きく上回る金額の資金が流入していることが読み取れますね。
国際収支のまとめ
国際収支という観点でみても資金流入量が上回っておりインドネシアルピア高に有利に働いています。
しかし、リーマンショックのような危機が発生してしまうと資金が引き上げられてしまいます。
すると、金融収支も流出超となり大きくインドネシア安になるという事態も考えられます。
まとめ
インドネシアは2018年度の通貨下落を防衛するために政策金利を引き上げました。
結果的にインフレ率に対して金利が高く実質金利は日本に対して高くなっています。
また経常収支は赤字なものの投資による金融収支が上回る勢いで流入してきています。
結果的にネットで外貨の獲得がでてきておりインドネシアルピアの通貨高要因となります。
世界景気の大きなリセッションが起こり資本の大きな流出が起こらない限りは、
インドネシアルピアは円に対して堅調に推移していくことが見込まれます。
それでは本題のインドネシアの株式投資について詳しく分析している以下記事に移っていきましょう。
以上、【IDR】インドネシアの通貨「インドネシアルピア」の為替動向と見通しを徹底解説!…でした。