タイ株は買い?泰国の経済・財政をファンダメンタルズ分析!人口減少で陰る経済成長への期待。

タイ株は買い?泰国の経済・財政をファンダメンタルズ分析!人口減少で陰る経済成長への期待。

タイ株に投資をするにも、まずはタイの国について理解する必要があります。

ところで、タイといえば、何を思い浮かべますか?

秀次郎
タイマッサージ、トムヤムクン、ムエタイ・・・色々と思い浮かぶのぅ。

日本人旅行者にも人気で、パタヤビーチやプーケットでバカンスを過ごす人も多くいますよね。

パタヤビーチ

(引用:bangkok.com)

 

そんなタイに株式投資をするにあたり、ファンダメンタルズ分析をしていきます。

家三郎
参考にしてみるのじゃ。

タイとは?

まずは基本一般事項と経済概況を【JETRO(日本貿易振興機構)】の情報を参考に見ていきましょう。

国・地域名 タイ王国 Kingdom of Thailand
面積 51万3,115平方キロメートル(日本の約1.4倍)
人口 6,910万人(2017年、出所:IMF)
首都 バンコク(タイ語名:クルンテープ・マハナコーン) 人口852万人(2013年、出所:国家経済社会開発庁)
言語 タイ語
宗教 人口の約95%が上座部仏教、その他イスラム教(4%)、キリスト教(0.6%)など

 

タイは日本の国土のやや大きめである1.4倍程度。

人口は日本の60%程度となっており、国の人口密度が日本の方が高いことがわかりますね。

首都バンコクの人口は852万人と日本の東京(1400万人)のこれもまた60%程度の水準です。

 

政治面では、タイの前首相・タクシン氏が汚職など不祥事により2006年に退陣しこれをきっかけに軍部がクーデターを起こした過去があります。

「タクシン派VS反タクシン派」となり政権交代が短期間で繰り返され、国民の不安は高まっていました。

直近のニュースでは、軍政の継続とプラユット暫定首相の続投をめざす新党「国民国家の力党」の政権樹立で安定政権を目指しているのが現状となっています。

記者会見で連立工作に意欲を示した国民国家の力党のウッタマ党首

【バンコク=小谷洋司】24日のタイ総選挙(下院選、定数500)で、親軍政党が事前予想を上回る票を集め、2014年のクーデターから続く軍事政権が事実上継続する可能性が強まった。5年ぶりの政権奪還をねらったタクシン元首相派は伸び悩んだ。安定政権を樹立したい親軍政党は連立工作で下院の過半数をおさえる考え。第三勢力の出方が次期政権と政局の行方のカギを握る。

(引用:日経新聞「タイ、軍政継続軸に連立協議へ タクシン派伸び悩む 」

 

続いて基本的なタイの経済概況に移ります。

項目 2018年
実質GDP成長率 4.1(%)
名目GDP総額 n.a.
一人当たりの名目GDP n.a.
鉱工業生産指数伸び率 2.8(%)
(備考:鉱工業生産指数伸び率) 期中平均値
消費者物価上昇率 1.1(%)
(備考:消費者物価上昇率) 期中平均値
失業率 1.1(%)
(備考:失業率) 期中平均値
輸出額 253,431(100万ドル)
対日輸出額 24,942(100万ドル)
輸入額 229,808(100万ドル)
対日輸入額 35,260(100万ドル)
経常収支(国際収支ベース) 37,736(100万ドル)
貿易収支(国際収支ベース、財) 23,623(100万ドル)
金融収支(国際収支ベース) △21,620(100万ドル)
直接投資受入額 12,463(100万ドル)
(備考:直接投資受入額) フロー、ネット
外貨準備高 205,641(100万ドル)
(備考:外貨準備高) 金、その他含む
対外債務残高 n.a.
政策金利 1.75(%)
(備考:政策金利) 期末値
対米ドル為替レート 32.31(バーツ)
(備考:対米ドル為替レート) 期中平均値

GDP成長率は2018年は4.1%と高水準。

マレーシアやフィリピンなどに比べると低い水準ですが、ここからはさらに詳しくタイ経済について考察していきます。

経済成長(GDP)の推移

タイの過去からの経済推移を見ていきましょう。

タイGDP成長率推移

(引用:IMF「タイGDP成長率推移」)

推移を見ると、1998年はアジア通貨危機後にV字回復を果たしておりこれはASEAN諸国は同様の形をしていますね。。

2008年にはリーマンショックの影響を多少受けていますが、以降は安定して5%前後の成長率を維持しています。

家三郎
タイはアジア通貨危機の震源地じゃが、その後のV自回復は凄まじいものがあるのぅ。

ASEAN5」の中でタイの経済成長率を比較すると以下の通りとなります。(↙️右にスクロール可能)

ASEAN5/年 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
Indonesia 8.2% 7.8% 4.7% -13.1% 0.8% 5.0% 3.6% 4.5% 4.8% 5.0% 5.7% 5.5% 6.3% 7.4% 4.7% 6.4% 6.2% 6.0% 5.6% 5.0% 4.9% 5.0% 5.1% 5.2% Indonesia
Malaysia 9.8% 10.0% 7.3% -7.4% 6.1% 8.7% 0.5% 5.4% 5.8% 6.8% 5.0% 5.6% 6.3% 4.8% -1.5% 7.5% 5.3% 5.5% 4.7% 6.0% 5.1% 4.2% 5.9% 4.7% Malaysia
Philippines 4.7% 5.8% 5.2% -0.6% 3.1% 4.4% 2.9% 3.6% 5.0% 6.7% 4.8% 5.2% 6.6% 4.2% 1.1% 7.6% 3.7% 6.7% 7.1% 6.1% 6.1% 6.9% 6.7% 6.2% Philippines
Singapore 7.0% 7.5% 8.3% -2.2% 6.1% 8.9% -1.0% 4.2% 4.4% 9.5% 7.5% 8.9% 9.1% 1.8% -0.6% 15.2% 6.5% 4.3% 5.0% 4.1% 2.5% 2.8% 3.9% 3.2% Singapore
Thailand 8.1% 5.7% -2.8% -7.6% 4.6% 4.5% 3.4% 6.1% 7.2% 6.3% 4.2% 5.0% 5.4% 1.7% -0.7% 7.5% 0.8% 7.2% 2.7% 1.0% 3.1% 3.4% 4.0% 4.1% Thailand

 

2018年はフィリピン(6.2%)、インドネシア(5.2%)、マレーシア(4.7%)、シンガポール(3.2%)に対して、タイの経済成長率は4.1%となっています。

3年の平均ではフィリピン(6.6%)、インドネシア(5.1%)、マレーシア(4.9%)、タイ(3.8%)、シンガポール(3.3%)、となっております。

家三郎
ASEAN5」の中では伸び悩んでおる方じゃな。近年はタイ不動産の加熱も目を見張るものがあるが、今後の経済成長はまだ続くのかのぅ。

以下のグラフでは、青色の線がタイです。近年はASEANの中でも後塵を拝しています。

ASEAN5経済成長率

(引用:IMF「ASEANのGDP成長率推移」)

 

次に、一人当たりGDPに着目しましょう。

新興国株式の見通しについて解説しているコンテンツ「下落可能性は?2019年(令和元年)以降の新興国・途上国株式市場の見通し分析。」でも「中所得国の罠」(一人当たりGDP1万米ドル)について触れました。

中所得国の罠とは

「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを指す。これは、開発経済学でゆるやかに共有されている概念であり、その端緒は世界銀行が07年に発表した報告書にあるとみられている。

(引用:内閣府「中所得国の罠とは」)

タイの一人当たりGDPは現在どのような局面にあるのでしょうか。

ここでもASEAN5を並べてみていきたいと思います。

(USD) 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
Indonesia 1,254.02 1,394.50 1,308.11 572.09 829.574 870.154 834.139 1,002.91 1,186.85 1,280.70 1,403.88 1,764.79 2,064.23 2,418.04 2,464.96 3,178.13 3,688.53 3,744.53 3,684.00 3,533.61 3,367.69 3,605.72 3,884.72 3,870.56 Indonesia
Malaysia 4,612.50 5,103.04 4,941.36 3,470.47 3,710.07 4,286.83 4,130.38 4,379.64 4,673.91 5,171.42 5,599.05 6,264.42 7,378.59 8,646.57 7,439.44 8,920.48 10,252.59 10,655.46 10,699.66 11,008.87 9,511.81 9,380.98 9,827.67 10,941.75 Malaysia
Philippines 1,200.43 1,276.66 1,240.77 958.16 1,078.00 1,051.97 970.377 1,013.42 1,024.77 1,093.48 1,208.93 1,405.21 1,683.69 1,941.00 1,851.07 2,155.41 2,379.94 2,591.63 2,768.47 2,849.27 2,882.77 2,953.21 2,988.90 3,103.62 Philippines
Singapore 24,937.27 26,262.26 26,386.35 21,824.01 21,796.25 23,793.11 21,576.81 22,016.98 23,573.85 27,404.81 29,869.90 33,579.16 39,223.54 39,722.15 38,577.17 46,569.40 53,363.94 54,891.87 56,519.35 57,271.72 55,330.51 56,454.74 59,990.06 64,041.42 Singapore
Thailand 2,871.56 3,071.06 2,492.62 1,866.60 2,057.32 2,030.73 1,921.67 2,133.12 2,404.94 2,714.64 2,955.79 3,442.39 4,058.39 4,471.12 4,298.30 5,174.53 5,600.64 5,979.22 6,296.19 6,079.69 5,967.67 6,113.80 6,730.56 7,187.19 Thailand

 

ASEAN5の一人当たりGDP

(引用:IMF「ASEAN5の一人当たりGDP」)

シンガポールはすでに6万米ドル台の一人当たりGDPを誇っており(グラフからは省略)、マレーシアが中所得国の罠にちょうど差し掛かったところ、そしてタイが7千米ドル台で続いています。

家三郎
中所得国の罠までもう少しじゃな。マレーシアのようになかなか抜け出せない状況になってしまわんかどうか注視が必要じゃな。経産産業研究所も懸念しておる。

タイの経済成長の推移を見 てみると、成長率は鈍化傾向にあり、一人当たり GDP の水準も伸び悩んでいることか ら、「中所得国の罠」2に陥るリスクも懸念されている。

特に経済発展に伴う賃金の上昇と安価な労働力が豊富に存在する近隣途上国の追い上げによって、これまでタイの発展を支えた労働集約的産業の優位性が失われつつあり、産業構造の高度化が急務の課題となっている。

(引用:独立行政法人経済産業研究所

ここからは、国の経済の成長ドライバーとなる「人口」に着目していきましょう。

人口推移

一般的に、中国やインドのように人口が多い国は経済成長力が強く、人口が継続して増えていく段階においてはその成長が加速していきます。

タイはどのような人口推移になっているのでしょうか?

まずは過去からの人口推移からですが、数字の方はせっかくなのでここでは「世界」と「日本」の人口と比較します。(国連データより

単位:千人 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
タイ 59,492 60,151 60,864 61,597 62,307 62,958 63,543 64,073 64,555 65,002 65,425 65,824 66,196 66,546 66,882 67,209 67,530 67,844 68,143 68,417 68,658
(世界対比) 1.03% 1.03% 1.03% 1.03% 1.03% 1.02% 1.02% 1.02% 1.01% 1.01% 1.00% 0.99% 0.99% 0.98% 0.97% 0.97% 0.96% 0.95% 0.94% 0.94% 0.93%
日本 126,375 126,654 126,903 127,127 127,336 127,534 127,724 127,903 128,068 128,214 128,336 128,433 128,505 128,551 128,567 128,552 128,505 128,426 128,313 128,163 127,975
(世界対比) 2.20% 2.17% 2.15% 2.12% 2.10% 2.08% 2.05% 2.03% 2.01% 1.98% 1.96% 1.94% 1.92% 1.89% 1.87% 1.85% 1.82% 1.80% 1.78% 1.76% 1.73%
世界 5,751,474 5,831,565 5,910,566 5,988,846 6,066,867 6,145,007 6,223,412 6,302,150 6,381,409 6,461,371 6,542,159 6,623,848 6,706,419 6,789,771 6,873,741 6,958,169 7,043,009 7,128,177 7,213,426 7,298,453 7,383,009
タイの人口推移

(引用:United Nation「DESA / POPULATION DIVISION」)

 

タイ(緑)は右肩上がりで緩やかに人口が増加、1995年には6千万人だった人口は7千万人規模に成長しています。

それでは今後の人口見通しはどのようになっているのでしょうか。

(単位:千人) 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 2036 2037 2038 2039 2040 2041 2042 2043 2044 2045 2046 2047 2048 2049 2050
タイ 68,658 68,864 69,038 69,183 69,306 69,411 69,498 69,568 69,621 69,660 69,685 69,699 69,701 69,690 69,666 69,626 69,572 69,504 69,419 69,318 69,200 69,063 68,909 68,736 68,546 68,338 68,114 67,871 67,613 67,337 67,046 66,739 66,417 66,081 65,733 65,372
(世界対比) 0.93% 0.92% 0.91% 0.91% 0.90% 0.89% 0.88% 0.87% 0.87% 0.86% 0.85% 0.84% 0.84% 0.83% 0.82% 0.81% 0.81% 0.80% 0.79% 0.79% 0.78% 0.77% 0.76% 0.76% 0.75% 0.74% 0.73% 0.73% 0.72% 0.71% 0.71% 0.70% 0.69% 0.68% 0.68% 0.67%
日本 127,975 127,749 127,484 127,185 126,855 126,496 126,109 125,697 125,259 124,796 124,310 123,801 123,273 122,725 122,160 121,581 120,987 120,382 119,765 119,138 118,500 117,853 117,198 116,539 115,876 115,212 114,548 113,885 113,226 112,571 111,923 111,283 110,650 110,024 109,406 108,794
(世界対比) 1.73% 1.71% 1.69% 1.67% 1.64% 1.62% 1.60% 1.58% 1.56% 1.54% 1.52% 1.50% 1.48% 1.46% 1.44% 1.42% 1.40% 1.39% 1.37% 1.35% 1.33% 1.32% 1.30% 1.28% 1.27% 1.25% 1.24% 1.22% 1.21% 1.19% 1.18% 1.16% 1.15% 1.14% 1.13% 1.11%
世界 7,383,009 7,466,964 7,550,262 7,632,819 7,714,577 7,795,482 7,875,465 7,954,469 8,032,487 8,109,533 8,185,614 8,260,710 8,334,802 8,407,900 8,480,027 8,551,199 8,621,416 8,690,674 8,758,973 8,826,316 8,892,702 8,958,127 9,022,590 9,086,104 9,148,684 9,210,337 9,271,063 9,330,846 9,389,656 9,447,455 9,504,210 9,559,909 9,614,545 9,668,093 9,720,526 9,771,823

 

国連のデータによると、2050年まで、タイの人口は横ばい、そして減少していくことが予想されています。

2035年をピークに、タイの人口は減少の一途を辿ります。(グラフは2035年まで)

タイの今後の人口推移

(引用:United Nation「DESA / POPULATION DIVISION」)

 

世界人口に対してタイの人口比率も下がっており、人口が減少していく未来がすでに見えている状況です。

タイの人口を総括すると、人口は緩やかに上昇するも伸び代は少なく、長期的な経済成長に寄与するとは言い難いものとなりました。

 

ここから先は、タイの産業構造と財政について考察していきます。

産業構造は産業転換の段階を確認、財政については国を操縦する政府が経済成長に向けて適切な政策を取っているのかをみることを目的としています。

産業構造

タイの産業構造を読み解いていきます。

以下はみずほ銀行、みずほ総研の資料です。

タイの経済構造[産業・貿易]

(引用:みずほ総研「経済構造[産業・貿易]」)

■ 1980年代に日系企業の進出ラッシュにより輸出指向型工業化が飛躍的に進展。足元では、進出地マーケット 指向型やクロスボーダーサプライチェーン型へ変化している。

■ 2017年の製造業のシェアは27%を占める中、経済が成熟化しつつあることからサービス業(56%)は過半を占める。

右図の2017年に目を向けると、他ASEAN新興国と同様、サービス業への産業転換が進んでいます。

  • サービス業:56%
  • 工業:35%
  • その他サービス等:14%
  • 農業:9%
  • 金融・保険:8%
  • 運輸・倉庫・情報・通信:7%
  • 宿泊・飲食:5%
  • 不動産:6%
  • 鉱業:3%
  • 電気・ガス:3%
  • 建設:2%

サービス業の比率高く、すでに知能集約型産業への転換が進んでおります。

タイは「アジアのデトロイト」となることを目標としていたことからも工業への比率も高くなっています。

しかし、近年は近隣諸国の豊富な労働力、経済成長の追い上げにより、労働集約型の産業から知識集約型への産業転換が急務となっています。

支出面からみるGDP成長率

ここでGDPとはそもそもどのような計算式で導かれるのかを念のため、おさらいします。

[GDP = 個人消費 + 政府支出 + 民間と政府の投資(=固定資本) + 純輸出 (輸出 – 輸入)]

家三郎
それぞれの言葉の定義は以下の通りじゃ。そう難しくはないじゃろう。
  • 個人消費:国民のモノ・サービスへの消費
  • 政府支出:政府が使用した金額
  • 固定資本:民間+政府の投資
  • 純輸出:貿易で得た利益

ここで注目したいのは「個人消費」と「固定資本」です。

個人消費で経済成長が伸びていればそれは「内需」、つまり自国の力で成長していることが判断できます。

「固定資本」は、基本的に、経済成長を継続していくには投資を止めることができず、投資を継続していく必要があります。

すでに国の投資比率が高い水準にある場合は、今後さらに投資を実行していく必要があります。

投資金額も巨額になっていくため、どこかで経済成長にブレーキがかかります。

 

また、その投資先がとある他国との貿易のため(工場設備への投資など)に実行しており、大規模であればあるほどそのとある他国への依存度は高くなります。

家三郎
資産運用と同様、「分散投資」の観点は国の経済成長に於いても非常に重要なことなのじゃ。
タイの支出面のGDP

(引用:みずほ銀行・総研「経済情勢」)

■ 実質GDP成長率の年間の推移をみると、2013~14年に減速した個人消費が持ち直していることが成長を牽引。

■ 四半期の推移をみると、直近の2018年4~6月期においては、前期比年率+4.1%と1~3月期(同+8.5%)か ら減速したものの、依然として高い伸びを維持しており、足元の景気は堅調と評価できる。内訳をみると、投資が伸び悩んだ一方で、個人消費と純輸出が回復。

 

上記図を見て見ると、2013年には個人消費(内需)が落ち込んだものの、2018年には回復基調となっています。

総固定資本形成の割合は総じて低いものの、在庫投資は高く、合計では高い投資水準にあります。

また、2018年は純輸出と個人消費に支えられ、堅調な経済成長に寄与していることがわかります。

人口減少が懸念される中、投資と個人消費水準は引き続き注視すべきポイントでしょう。

 

タイの「輸出」に目を向けると、ASEAN主要国の中でも中国依存度は高めです。

輸出面は中国経済が減速すると、影響は免れないでしょう。

中国輸出依存度

(引用:公益財団法人 国際通貨研究所)

 

さらに輸入に関しても中国に依存している部分あり、中国の経済状況次第で内需(消費)に影響が出る可能性を残しています。

タイ輸入内訳

(引用:みずほ銀行・総研「経済情勢」)

 

日本への輸出は天然ゴム、自動車・同部品、コンピュータ・同部品などが占めており、高度な品目(製造業)への貢献が大きいことが読み取れます。

日本からタイへの輸出入

(引用:外務省「タイ基礎データ」)

 

家三郎
最後にタイの財政面を見ていくぞよ。

財政

タイはすでに中所得国の罠からかなり近い水準の一人当たりGDP(7千米ドル台)。

人口減少の未来が見える中、今後も投資先として魅力的な国と言い切れない状況かもしれません。

この逆境を超えて経済成長をしていくにはその国の「ドライバー(運転手)」、つまり政府がしっかりと成長へ導く必要があります。

 

政府の財政を見る、というのは高度なことのように感じます。

しかし、稼ぎに対して借金がどれくらいあるのか、という視点で考えるとわかりやすいです。

ポイントは政府の財政収支・債務額に着目することですが、これはGDPに対しての比率を見ます。

タイ経済の現状と今後の展望」

(引用:三菱UFJリサーチ「タイ経済の現状と今後の展望」)

 

タイの財政収支(対GDP比率)はマイナスとなっておりフィリピンと同水準でありまずまずといえそうです。

タイといえば、アジア通貨危機に始まり、ITバブル、リーマンショック、2011年の大洪水などを経験し、財政収支の改善に向け様々な施策を打ってきましたが、それが功を制している状況となってきたように想像できます。

タイの洪水被害が一段と拡大する恐れが出てきた。これまで被災を免れていた中部アユタヤ県の「ハイテク工業団地」で12日午前、防水壁が破損し一部が浸水。政府は大規模な浸水の危険が高まっているとして、工業団地内に残る従業員や周辺住民に退避勧告を出した。

(引用:日経新聞「タイ洪水、日系企業の被害拡大 操業停止長期化も」

政府債務残高は、ASEAN主要国の中では中間値の40%程度にあります。

ASEAN主要国の一般政府債務残高対GDP比率の推移

(引用:三菱UFJリサーチ「タイ経済の現状と今後の展望」)

 

タイは2000年頃には政府債務残高(対GDP比率)が60%前後でしたが、現状は40%前後であり財政の改善が見られます。

まだまだ発展途上な国では、財政不安がある状況下では株式市場、債券市場などから外資資本の資金が引き上げられてしまいますが、現状、タイ財政は政府が適切にコントロールできているといえそうです。

まとめ

タイ株を分析するにあたり、ファンダメンタルな要素を読み解いてきました。

新興国株式投資で基本的に重要となる指標は上記で解説した経済成長(+率)の推移、人口・産業構造、財政があります。

国自体の経済成長が期待できることを理解した上で、為替リスク、そして株価・個別株分析をしていくことになります。

 

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現状、タイの経済成長は人口減少、中所得国の罠に突入間近という課題を残しており、貿易も中国に依存気味であり投資に踏み込む場合はさらなる精査が必要かもしれません。(情報は随時更新していきます)

リターンの大きい新興国株式投資、考えられるリスクは回避できるよう、分析を実施した上で楽しく投資をしていきましょう。

以上、タイ株は買い?泰国の経済・財政をファンダメンタルズ分析!人口減少で陰る経済成長への期待。…でした。

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