投資で利益を生み出すには金融商品を「安く買って」、「高く売る」ことが基本です。
株式や投資信託は、市場動向によって値動きするため、投資家にはトレンドに合わせて売買する必要があります。
リターンを得るために売買するタイミングは「順張り」と「逆張り」の2種類があります。
戦略によって強みや弱みは異なるものです。
今回は、そんな投資の戦略である「順張り」と「逆張り」の概要とメリット・デメリットを解説します。
目次
Contents
まずは前提として、投資で売買するタイミングは2つある
投資家が株式や投資信託を売買して売却益を得るには、市場のトレンドを考慮した上で取引することが重要です。
値動きに合わせて金融商品を安く買って高く売ることでリターンを得られます。
売買するタイミングはトレンドによって決まるものです。
市場のトレンドにおける2つの性質は次の通りです。
- その金融商品の価値が裏付けされていて、市場参加者により偏った方向に値動きする。
- 金融商品のトレンドは市場参加者の心理で作られるものであり、トレンドが強いと値動きが行き過ぎることがある。
これらの性質によって値動きが発生すれば、投資家は金融商品で売却益を得られます。
トレンドの性質を考慮すると、売買するタイミングとして順張りと逆張りが役に立つのです。
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順張りとは?日本人の性格的に難しいが勝率は高い流れに沿う投資法
「順張り」は金融商品に対する買いが多く、価格が上昇している時に購入。
そして、価格が下落している時に売る投資手法です。
トレンドに合わせて売買するため順張りと呼ばれています。
基本的に、勝ちやすいのが順張りです。
上図はIT企業「サイバーエージェント」の月足チャートです。
「高いから買う」上昇トレンドではどこで買っても利益を上げることがわかります。
こうした上昇トレンドの銘柄を購入することを順張りといいます。
市場が決めた価格が正しいことが順張りの前提であり、マーケットの動きを考慮して投資するのが特徴です。
上昇トレンドや下降トレンドを知るために、チャートから「テクニカル分析」する場合もあります。
例えばA社の株が1,000円から1,200円に上昇していくとき、順張りの投資家は上昇トレンドであることを確認したうえでA社の株を購入します。
その後にA社の株が値下がりすれば、順張りの投資家は株式を売却するのです。
もしA社の株が暴落して割安になったとしても、上昇トレンドでなければ順張りの投資家は株を購入しません。
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逆張りとは?日本人の性格上多いが気をつけないと大損する投資法
「逆張り」では金融商品に対する売りが多くて価格が下落した時に買い、価格が上昇した時に売る投資手法です。
マーケットの動きに合わせるのではなく、自分の判断で売買するのが逆張りの特徴。
将来にわたって値上がりする金融商品を買うために、逆張りでは基準を設けて価格を評価することが重要です。
株式であれば「ファンダメンタルズ分析」や「テクニカル分析」により株価を評価できます。
例えばA社の株が500円まで暴落したけど、価値を生み出す技術力を保有しているとします。
逆張りの投資家はチャートや内情から割安感を把握して、A社の株式を購入するのです。
購入した後にA社の株価が回復したら、逆張りの投資家は株式を売却してリターンを得ます。
市場の値動きではなく自分の判断で取引するため、売買するタイミングが重要です。
上図は「アエリア」の週足チャートです。
2017年7月に3,730円で天井を付け、2018年12月には421円とものすごい勢いで株価が下落していることがわかります。
わかりやすく説明すると、37万3,000円で購入した株が1年半でたった4万2,100円になったということです。
図で見たように、下落途中のどこで購入しても利益は出ません。
逆張りとは底がわからない銘柄に買いを入れていく手法です。
これは底なし沼に足を踏み入れる投資方法であるということを認識しましょう。
■ 超初心者が覚えるべきテクニカル・ポイント:
- 相場はできるだけ順張りで投資
- 逆張りは安物買いの銭失いになりやすいので注意
- この発展形が「相場では天底はくれてやれ」になります
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各戦略ごとのメリットとデメリット
上記で紹介した2つの投資手法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
片方の投資手法が必ずしも正しいとは限りませんし、時と場合によって手法により損する場合もあるのです。
投資によってリターンを得るために、順張りと逆張りのメリットとデメリットを知っておきましょう。
順張りのメリット
上昇トレンドでしか金融商品を購入しないため、価格が下落しても損しないのが順張りのメリットです。
価格が上がっている時に買うから、順張りでは大きな損失を被りにくいのです。
例えばA社の株価が1,000円であり、トレンドが停滞しているとします。
逆張りの場合はファンダメンタルなどを考慮して株式を買いますが、順張りでは上昇トレンドではないため株式を購入しません。
もし市場の動向や為替などで後にA社の株価が下がっても、順張りの投資家は株式を保有していないから損しないのです。
仮にA社の株価が上がり始めたら、その時に株式を購入すればリターンを狙えます。
価格が上がっている時に買い、価格が下がっている時に売れば、理論的には順張りで損することはありません。
デメリット
金融商品の値動きに合わせて投資するので、本来得られたはずのリターンを得られないのが順張りのデメリットです。
もし優良な金融商品が割安でも、トレンドが悪ければ投資してリターンを狙うのは不可能。
例えば商品や技術が優秀なA社が不祥事を起こしてしまい、一時的に株価が500円まで下がるとします。
順張りでは事業面で優秀であったとしても、株価が下落していれば投資しないのです。
しかし、しばらく経ってA社の株価が1,000円まで回復すると、順張りでは上昇トレンドに乗るのが遅れます。
ある程度上昇し始めてから投資するため、500円の差で利益を得るのが不可能です。
逆張りのメリット
相場ではなく自分の判断で投資できるから、順張りよりもリターンを増やしやすいのが逆張りのメリットです。
下落率や「移動平均線」を考慮したうえで、下落しすぎたときに金融商品を購入します。
例えばA社の株価が1,500円から500円まで急落した場合、移動平均線よりも株価が下がっているため逆張りの投資家は投資します。
その後である程度株価が回復したら、株式を売却して利益を得るのです。
トレンドの性質には「トレンドが強いと値動きが行き過ぎる」という性質があります。
株価が下落しすぎると回復する可能性があります。
デメリット
金融商品の値動きは事業成績や為替などで発生するものであり、必ずしも値動きが行き過ぎるとは限りません。
下落した後に企業に投資して、さらに株価が下落する可能性もあります。
価格が下落し続ければ損失は大きくなり、投資するメリットはなくなるのです。
値動きが行き過ぎる機会は多くなく、売買するタイミングが減ってしまうデメリットもあります。
市場の動向と逆の動きが求められるため、心理的に投資しにくいのも欠点ですね。
順張りよりも逆張りのほうが投資のハードルは高めです。
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どちらの戦略を選ぶべきか?
「自分にとってどちらの投資手法が最適なのか分からない」と悩む人はいるはず。
順張りと逆張りでそれぞれ性質が異なるため、各手法に適している人を見て戦略選びの参考にしましょう。
順張りが適している人
順張りでは価格が上昇している時に買うため、逆張りよりも高値を掴む可能性が高いです。
もし買った後に価格が下落してしまうと、いつまでも損し続けてしまう場合があります。
価格が下がったときにロスカットできて、投資で負けが多くても気にしない投資経験者に順張りはオススメです。
逆張りが適している人
仕事やプライベートで忙しくて投資できる時間が少ない人に逆張りはオススメです。
値動きが行き過ぎたときだけ投資するから、売買回数が少なくて取引する手間が減ります。
下落しすぎたときに買うから損失の不安が少ないので、ロスカットが苦手な人にも逆張りは最適ですね。
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まとめ
市場の動向に合わせて投資するのが順張りであり、自分の判断で投資するのが逆張りです。
上昇トレンドに合わせて投資する順張りはリスクを抑えられますが、ロスカットしやすいデメリットもあります。
逆張りは順張りよりもリターンを得やすい利点がありますが、投資できる回数は少なくなりがちです。
それぞれの投資手法における性質を理解して、自分に合った方法で投資しましょう。
以上、投資の戦略である「順張り」と「逆張り」とは?特徴やメリット・デメリットを解説。…の話題でした。