「パニック株」を狙ったパニック株投資法というものがあります。
あまり知られていない投資法ではありますが、場合によっては有効な投資法となります。
今回は、そんなパニック株とはどういった株なのか、パニック株投資法とはどういった投資なのかをわかりやすく解説します。
■ 今回のポイント:
- パニック株とは、不祥事や事故などで大幅に下落した株。
- パニック株は大量の売りが入り、株価が売られ過ぎることがある。
- 売られ過ぎたパニック株の株価回復を狙うのがパニック株投資法。
- パニック株投資法は株価の下落要因が一時的な場合にのみ行う。
目次
Contents
パニック株とは
パニック株とは文字通りパニック的に株価が急落している株のことを言います。
具体的には事故や不祥事などにより、株価が急落した株のことです。
事故には、天災や人的ミスによるものなど様々なものがあります。
また、不祥事にも個人レベルのものから企業全体に関わるものまで様々な不祥事があります。
パニック株を取引する際には、こういったパニックの原因をしっかりと分析する必要があります。
マイナスの要因が一時的なものかどうかで株価の動きが大きく異なるからです。
つづいて、パニック株を利用したパニック株投資法を紹介します。
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パニック株投資法とは
パニック株投資法とは、不祥事や事故などにより急落した株をあえて購入して、値上がりを狙うという投資方法です。
下がり過ぎた株を購入しその後上昇することで利益を得ることを狙います。
実際、相場の世界では不祥事などにより売られ過ぎた株が数日でかなり回復するというケースが多々あります。
では、なぜパニック株は売られ過ぎるのでしょうか?
パニック株が売られ過ぎる原因を解説します。
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パニック株はなぜ売られ過ぎてしまうのか?
パニック株が売られ過ぎる理由は、売りが売りをよび正にパニック状態で大量の売り注文が入るからです。
まず、不祥事などがあった企業の株は注目度が高くなります。
従い、普段より取引量がかなり増加します。
もちろん、売り注文が大量に入ります。
しかし、この売り注文は既存株主が売却しているだけではありません。
「信用取引」を利用した空売りという売り注文もあります。
つまり、既存株主が持ち株をそれほど売らない場合でも株価は下落するのです。
そして、空売りによる株価の大幅の下落を目の当たりにした既存株主はどう思うでしょうか?
動揺してパニック状態で株を売ってしまい、株価が更に下落します。
パニック株は空売りにより株価が大幅に下落したことが、更なる売りをよんでしまうことで助長されます。
通常の取引ではありえないような下落の仕方をすることがあるのです。
パニック株投資法はこの売られ過ぎた状態の株を買うことで利益を狙います。
不祥事などはもちろん株価にとってマイナス要因です。
しかし、不祥事によりマイナスを考慮したとしても株価が下がり過ぎている場面というのが多々あります。
前述のように冷静な判断ができていないパニック売りにより株価が大幅に下落するからです。
わかりやすく数字で表すと、もともと100の価値がある株が不祥事により価値が10減ってしまったとします。
本来であれば90の価値はまだあるのですが、パニック株の場合市場では大幅に90を下回る株価になるのです。
もし、売られ過ぎた50で買うことができれたとしましょう。
すると、投資家が冷静さを取り戻し本来の価値である90に株価が近づけば利益を得ることができます。
パニック株投資法においては売られ過ぎた後に株価が回復するかどうかを見極めることが大変重要となります。
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〜コラム〜世界有数の投資家・バフェット氏もパニック株を購入?
実は、投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏も、パニック株に注目しています。
まず、大前提として、相場に参加する95%投資家は以下のような情報に基づき極めて短絡的な考え方で株をの取引をしています。
バフェット氏はこのような一時的なニュースが企業価値を過大に算定したり過小評価されることを長年の経験でしっています。 そして、長期的には企業の株価は本来の価値に収斂すると考えています。 同氏の投資のスタイルとして、好ましくないニュースが出て企業の価値が過小評価されているタイミングで優良企業の株式銘柄を購入しているのです。 これは、バフェット氏の著書「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」にも記されています。 (目次に戻る) パニック株投資法は企業に不祥事や事故など何らかのマイナス要因があった時に行う投資法です。 ポイントはマイナス要因が一時的なものであるかどうかになります。 ■ パニック株投資のポイント: 不祥事などにより企業の根幹が危うくなるような場合はパニック株投資法は大変リスクが高く危険です。 不祥事により仮に株価が半分以下になったとしても、回復することは無いかも知れません。 企業価値を失ってしまうような場合は、いくら株価が下落してもその株価が妥当な株価となってしまう可能性が高いからです。 企業価値を失い回復の見込みが薄い場合の具体例を挙げます。 不動産融資に関わる大規模な書類の改ざんが明らかになった投資用不動産販売業者の「TATERU」があります。 アパートの施工、管理を手掛ける東証1部上場のTATERUが建設資金の借り入れ希望者の預金データを改ざんしていた問題で、国土交通省は21日、同社に対する聴聞を開き、宅地建物取引業法に基づき業務停止処分とする方針を伝えた。 不動産販売が主な事業である企業が不動産売買に関わる大規模な不正を行っていました。 そのため、ビジネスモデル自体が崩壊する事態となりました。 株価は不祥事発覚直後に大幅下落した後、少し回復しましたがその後株価は長期間に渡り低迷しています。 こういったケースの場合パニック株投資法を行うのはリスクが高いわりにはリターンを得られる可能性が低く止めた方が賢明です。 パニック株投資法が有効であるのは、不祥事などのマイナスの影響が一時的なものである場合です。 この場合は、一時はパニックによる売りによって、株価が大きく下落しますがその後株価の回復が見込めます。 例えば、大雨により工場などの施設が被災した場合などは短期的にはマイナス要因となります。 しかし、企業のビジネスモデル自体には問題はありませんので、株価はパニックが落ち着くとともに回復する可能性が高いです。 以下は2005年に火災が発生して株価が下落したドンキホーテを運営する「パン・パシフィック・インターナショナル」の株価推移です。 火災が発生して急落しましたが、すぐに株価は急回復しています。 また、株式市場では不祥事などがあった企業の同業他社にも売りが入る場合があります。 そういった場合は問題が業界全体に波及するようなもので無ければ買いのチャンスとなります。 パニック株投資法は不祥事などによる株価急落後の回復を狙う投資です。 不祥事などは一時的なものにせよマイナス要因であることは間違いありません。 企業のビジネスに大きな影響を与えない場合であっても、様々な対策費などの費用が発生し一時的には業績を圧迫します。 資金力豊富な体力のある大企業であれば、一時的なコストが発生しても十分に対応できます。 長期的には業績を回復させていくことも可能です。 パナソニックの事例を用いて解説していきます。 パナソニックは2013年3月期に7650億円の赤字を出したことで衝撃を与え株価が大幅に下落しました。 しかし、殆どの要因は8000億円をかけて過去に買収した三洋電気の減損損失というものでした。 減損損失は例えば1兆円の価値があると思っていたが、環境の変化で2000億円の価値しかないと判断した場合に計上されます。 つまり、現金のキャッシュアウトは存在しないので倒産の危機とはなりません。 また、減損により膿をだすことが可能なので、その後企業収益は回復する可能性が十分あります。 実際パナソニックも以下の通り暴落まえの水準まで回復してきています。 ですが、資金力の無い企業の場合一時的な業績悪化に耐えられずそのまま業績を回復させることができません。 最悪の場合倒産してしまうということも有り得ます。 パニック株投資法を行う企業が、逆境をはねのけるだけの力があるのかどうか見極めることも重要です。 (目次に戻る) パニック株投資法ではいつ売買を行うのかが大変重要です。 ここではパニック株投資法の売買ポイントを紹介します。 買いは下落が落ち着いてから行うのが原則となります。 いくら株価が下落していても、下落中はどこまで下がるかわからないのがパニック株です。 下落が落ち着いたことを確認してから購入するようにしましょう。 購入するタイミングについてはテクニカル分析も有用となりますので以下も参考にしていただければと思います。 パニック株の中では株価が下落した後強い上昇を見せる株もあり、「まだまだ株価は上昇するかも?」と思いがちです。 しかし、そもそも不祥事などが発生したこと自体はマイナスの要因ですのでもともとの株価よりは低い水準を売りポイントとしましょう。 パニック株投資法では普段の取引以上に欲をかかないということが重要です。 (目次に戻る) 今回はパニック株とパニック株投資法について紹介しました。 最後に重要点をまとめます。 ■ 今回の総括: パニック株投資法は場合によっては大きく利益を得ることのできる投資です。 ぜひこのコンテンツを参考に、トレードに生かしてください。 以上、【パニック株とは?】企業の不祥事は投資の好機?その投資法と事例をわかりやすく解説!…の話題でした。 パニック株投資法のポイントと事例
リスク高:不祥事などが企業の根幹を揺るがす場合(TATERUの事例)
リスク低:不祥事などの影響が一時的な場合(ドンキホーテの事例)
パニック株投資法は体力のある大企業に向いている:パナソニックの事例
パニック株投資法の売買ポイント
買いのポイント
売りのポイント
まとめ