近年、金融業界は大きな変革期を迎えていると言われています。
そして、ブロックチェーンなどの話題が大きな影響を与える要因であると言われています。
以前、上記の点は以下のコンテンツで、メガバンクであるみずほ銀行のブロックチェーンへの取り組みを例に触れてきました。
今回のコンテンツ内では、今後変化していく金融業界、特に地方銀行に注目し、その未来について考えていきたいと思います。
目次
地方銀行を取り巻く経営環境
地方銀行の将来を考える上で、「マイナス金利政策」の及ぼす影響については、欠かせない要素だと思います。
「マイナス政策金利の影響」について詳しくは以下のコンテンツを参考にしてみてください。
日本銀行は「銀行の銀行」と呼ばれている通り、メガバンクなど市中の金融機関は日銀の中に口座を保有し、日銀に預金をおこなっています。
マイナス金利政策とは、銀行が日銀の当座預金に資金を預ける際に、逆に金利を支払わなければならないシステムです。
日銀はこの政策によって、巨額の資金を市場に放出する狙いがありました。
日銀の当座預金として眠っている資金を、企業の設備融資などに向けさせることで、経済を好循環にしようと考えたのです。
しかし、このマイナス金利政策は、市中金利の低下を招き、銀行は融資の金利も引き下げざるを得なくなりました。
マイナス金利とは、民間の金融機関が中央銀行(日本では日銀)に預けている預金金利をマイナスにすることです。
金利のマイナス化により、預金者が金利を支払うことになります。
日銀のマイナス金利政策は、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」として導入されました。
日銀のマイナス金利政策でマイナス金利が適用されるのは、金融機関が持つ日銀の当座預金のごく一部です。
日銀はマイナス金利政策によって、金融機関が日銀に資金を預けたままにしておくと金利を支払わなければならなくすることで、金融機関が企業への貸し出しや投資に資金を回すように促し、経済活性化とデフレ脱却を目指しています。
(引用:SMBC日興證券「マイナス金利政策」)
これにより、預金金利と融資金利の利ざやで利益を得ている銀行の収益力は、悪化する方向へ向かいました。
預金者に支払っている金利は元々0%なので、貸出金利の下落がダイレクトに収益に大きな影をもたらすことになるのです。
また、マイナンバー制度の普及も銀行に与える影響は大きいでしょう。
■ マイナンバー制度とは:
- 国民一人一人が持つ12桁の番号のことです。
- 今後、税や年金、雇用保険などの行政手続きに使います。
- マイナンバーの利用により、①税や、年金、雇用保険などの行政手続きに必要だった添付書類が削減され、これらの手続きでの皆様の利便性が高まります。
- また、②行政事務の効率化や③公平な各種給付の確保などが実現できます。
(引用:総務省「マイナンバー制度」)
マイナンバー制度の普及により、資金をすべて把握されてしまうことを嫌い、これまで銀行に預けていた預金を引き出す富裕層が増えています。
この影響で、全体のタンス預金量が増えてしまい、銀行の預金量が減ることで、ますます銀行は利益を挙げづらくなるのです。
「マイナンバー制度の開始も、資産を把握されることへの警戒感から、金庫の需要増につながっている」
そして、近年特に注目されているのが仮想通貨の話題かと思われます。
この仮想通貨を支えるブロックチェーンという技術が、金融業界にとって大きな影響を及ぼすのです。
ブロックチェーン技術を使えば、インターネットを利用することで、独自の元帳を自分で管理できるようになると言われています。
各ブロックチェーン・コミュニティ内の可視化と暗号化によって、銀行の信用介入なしに、関係者が直接的にやり取りすることが可能になるのです。
つまり、通常は金銭をやり取りする両サイドの人間が、銀行という信用保証機関を媒介にすることで、信頼できる取引が成立します。
しかし、ブロックチェーン技術が整えば、信用保証機関である銀行の媒介が不要になるのです。
銀行は今後ブロックチェーン技術によって、活躍できる範囲が狭まってしまう可能性があるのです。
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今後の市場変化と国民への影響
先述したような経営環境の中で、地方銀行は今後ますます収益をあげるのが困難になるだろうと考えられます。
そして、生き残りをかけて地方の金融機関は、合併の方向へと進んでゆく可能性が高まり、2~3行の銀行が合併することで、預金や融資の規模を大きくし、利益を確保するという動きが加速するはずです。
銀行の収益が悪化することで、まず考えられることは、各種手数料が増加することでしょう。
特にATMの引き出し手数料や、住宅ローン等、融資の繰り上げ返済手数料が増加することで、我々の家計にも少なからず影響があるはずです。
またリスクを増やさないためにも、銀行の融資審査の基準は厳格化することが考えられます。
融資金は増やしたい一方で、余計なリスクを抱えてはならないため、審査自体は厳しくなるのです。
決して融資の必要がなかったとしても、銀行の渉外係からしつこく融資提案をされてしまう、といった状況が予想されます。
そして、合併や収益悪化によって、地方銀行の窓口は減少するかもしれません。
今や銀行の窓口業務は、機械による自動化が可能であるとされています。
銀行員が不在の機械化された窓口が中心になる可能性もあります。
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まとめ
今後の金融業界、特に地方銀行は大きく変化していくことが予想されます。
手数料の増加や、窓口の減少も予想されます。
我々一般市民は、今一度、どの金融機関を選択するべきかを判断する必要があります。
「家から近いから」という理由も重要ではあります。
しかし、それに加えてサービスの多様性や将来性も加味したうえで銀行を選択し、金融機関と付き合っていくべきだと考えます。
また、我々一般市民はこの仮想通貨・ブロックチェーンなど新たな単語が生まれるイノベーションが起こる激動の時代を生きています。
銀行員以外のサラリーマンも自身の業界の現状を知り、将来への資産構築は真剣に考える必要があります。
しかし、「正確な金融知識」「正確な情報」は正しく獲得する必要があります。
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以上、地方銀行は今後生き残っていけるのか?地銀を取り巻く経営環境と潰れないための施策とは。..の話題でした。