【かぼちゃの馬車事件】地銀に激震が走った!スマートデイズ・スルガ銀行不祥事の全貌とその後・現在について!

【かぼちゃの馬車事件】地銀に激震が走った!スマートデイズ・スルガ銀行不祥事の全貌とその後・現在について!

日本には、三菱UFJ銀行や三井住友銀行をはじめとする「メガバンク」が全国展開をしています。

しかし、各地方を基盤にする「地方銀行」も数多く存在します。

 

地域に根差した経営を行い、場所によってはメガバンクよりも利用者が多いところもあります。

そんな地方銀行の中で、静岡を基盤にもち、首都圏にも店舗を広めている「スルガ銀行」という地銀があります。

 

このスルガ銀行が、地方銀行に激震を走らせる事件を起こしてしまいます。

 

投資用不動産をめぐる不正融資問題で揺れたスルガ銀行は26日、定時株主総会を開いた。怒号が飛ぶなか、新たな経営体制が承認された。わずか2カ月前には、不正やその疑いのある融資が1兆円規模と判明。全てを開示する覚悟を固めた経営陣は、信用不安を懸念する金融庁と激論を交わしていた。

(引用:日経新聞「スルガ銀、「1兆円」覚悟の開示 過去の清算優先」

 

今回は、そんなスルガ銀行が起こした事件の全貌とその後について、徹底解説していきます。

目次

スルガ銀行とは

本題に入る前に、「スルガ銀行」とはどのような銀行なのでしょうか?

 

  • 名称:スルガ銀行株式会社
  • 設立年月日:1895年10月19日
  • 本店:静岡県沼津市通横町23番地
  • 代表者:取締役社長 有國 三知男
  • 資本金:30,043百万円
  • 従業員数:1,484名
  • 店舗数:全国132店舗

 

スルガ銀行の創業は、明治時代にまで遡ります。

静岡を基盤にしつつ、徐々に店舗を拡大。

現在では全国132店舗を展開する大手の地方銀行となっています。

 

スルガ銀行は、「インターネット支店」も開いており、地域に店舗がなくても、スルガ銀行の口座を開けるようにしています。

家三郎
非常に歴史の古い、老舗の地方銀行ですが、このスルガ銀行が、地銀に衝撃を走らせる事件を起こしてしまうのじゃ。

 

 

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スルガ銀行事件の全貌

スルガ銀行が起こした事件は、「不正融資」と呼ばれるものです。

銀行は融資を行う際、融資先の返済能力が十分にあるか、厳重な審査を行います。

 

返済能力が不足していると、貸したお金が戻ってこない可能性があるためです。

スルガ銀行は、この融資審査の際に、申込者の書類を改ざんしました。

なぜこのような事件が起こったのか、順を追って確認していきましょう。

 

 

シェアハウスへの融資

スルガ銀行は、「スマートデイズ」と呼ばれる不動産管理会社と提携しておりました。

このスマートディズは、「かぼちゃの馬車」と呼ばれる女性向けシェアハウスを次々に建築。

そして、それを売りさばいていました。

 

シェハウスの部屋のオーナーをどんどん増やしていったのです。

スマートディズは、シェアハウスを売る際に、「サブリース契約」という形態をとりました。

 

「サブリース契約」とは、不動産会社側がオーナーから部屋を借り上げます。

そして、それを代行して管理、運営して賃貸収入を得た後、サブリース賃料としてオーナーへ利益を還元する制度です。

 

サブリース契約を結ぶことで、オーナーサイドは賃貸の管理から解放されます。

つまり、手間をかけずに賃貸収入を得ることができます。

 

オーナーは、サブリース契約相手に手数料を支払う必要がありますが、手数料を払ってでも「楽をしたい」というオーナーが多かったのです。

 

サブリース契約自体は、合法的な契約ですので何も問題はありませんでした。

ただ、スマートディズは、シェアハウスを建築する際に、建設会社から「コンサル料」として建設費の約50%を建設会社から受け取っていました。

 

これは「キックバック」と呼ばれる慣習で、マンション建築の際は良く行われることなのです。

しかし、そのパーセンテージはせいぜい2~3%ほどです。

 

50%ものキックバックは、本来は行われません。

建築費の半分が返ってくる訳ですから、その建築物はもっと安い費用で建てられたということです。

 

キックバック分は、スマートディズの元へ渡ります。

オーナー側には、キックバック分は還元されません。

 

したがって、オーナーサイドは、本来もっと安く買えた不動産を「高く」買わされたのです。

 

シェアハウスが赤字化する

このように、建築の段階で詐欺まがいなことが行われていたのですが、問題が深刻化するのはその後です。

スマートディズが運営するシェハウスに、入居者が集まらず、空室が目立つ状態になったのです。

 

スマートディズは、サブリース契約に沿って、オーナーに毎月一定額を支払う必要があります。

空室が多いと、その費用を賄うことができなくなります。

 

その不足分を補うために、また新しいシェアハウスを建築して、キックバック分をオーナーへの支払いに充てるという「自転車操業」状態に、スマートディズは陥っていきました。

 

そして、スマートディズはオーナーへの支払いができなくなり、2018年4月より破産申請の手続きに入ります。

 

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズ(東京・中央)は15日、東京地裁より破産手続きの開始決定を受けた。民事再生法の適用を申請していたが、4月18日に東京地裁から棄却されていた。

所有者から建物を一括で借り上げて女子学生らに転貸する「サブリース」を展開していたが、事業が行き詰まり、今年1月から所有者への賃料の支払いが停止した。負債総額は2018年3月末時点で約60億円。

(引用:スマートデイズ、破産手続き開始

 

スルガ銀行が融資を行っていた

スルガ銀行は、スマートディズのシェアハウスを購入するオーナーに対して、融資を行っていました。

 

この際、スルガ銀行の担当者は、オーナーの支払い能力が不足していた際、その情報を改ざんして書類を作成して、融資を通していたのです。

 

スルガ銀行が単体で、融資を行っていたら、このような書類改ざんを行うメリットは何もありません。

焦げ付く可能性が高い融資を自ら行う銀行は不自然です。

 

では、なぜスルガ銀行が書類改ざんを行ってでも融資を断行したのか。

それは、スマートディズがサブリース契約をして、一括してシェアハウスを管理していたからです。

 

スルガ銀行が、各オーナーの経済状態を管理する必要がなく、スマートディズの状態のみを追えばよかったため、多少オーナーの経済力が低くても、確実に回収できる見込みがあったからです。

 

ただ、スマートディズの経営状態が悪化してる状態を見て、スルガ銀行は融資の方針を転換します。

 

スマートディズから、賃料を受け取れなくなったオーナーたちは、自己破産、もしくは自己破産直前の状態に追い込まれました。

 

スマートディズの破産申請手続きを受けて、スルガ銀行の不正融資が明るみにでます。

金融庁はスルガ銀行に対して、6か月間の間、投資用の不動産に対する融資を停止する命令を出しました。

 

同時に、業務改善命令もスルガ銀行に出して、経営体制の刷新を求めました。

これを受けて、当時の会長、代表取締役などの経営陣は退き、新しい経営陣が整えられました。

 

スルガ銀行の経営体質の問題

不正融資が起こってしまった原因として、スルガ銀行の経営体質が挙げられます。

 

上司から部下に対する「パワーハラスメント」が常態化していることが明らかになり、時には人間性を否定するような言葉を使って、部下を追い詰めていたとされています。

 

営業成績を出せなければ、命を絶つよう命令した社員がいることも分かっています。

このような経営体質だと、融資担当は「何が何でも」融資を行うようになる可能性があります。

不正をしてでも、融資を進めるリスクが高くなるのです。

 

これは、スルガ銀行に限った話ではありません。金融業界全体に言えることです。

企業であるため、利益を追うことは非常に大切ですが、人間性を否定するような言葉を投げるのはお門違いですね。

 

 

 

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まとめ

スルガ銀行は、老舗の地方銀行でありながら、不正融資に手を出してしまいました。

スマートディズと呼ばれる不動産管理会社と提携して、書類の改ざんを行うことで、利益をあげていたのです。

 

スマートディズの経営が悪化したことをきっかけに、スルガ銀行は融資の方針を転換します。

しかし、時はすでに遅く、スルガ銀行の不正融資が明るみになりました。

 

金融庁から一部業務停止命令と業務改善命令が出され、スルガ銀行は経営体制の刷新を求められます。

現在は、新しい経営陣の下で、立て直しが進められていますが、簡単に信頼を取り戻すことは難しいでしょう。

 

地方銀行は、ただでさえ経営難が深刻化しているので、不正を起こしてしまうと、そこから立ち直るのは険しい道となります。

 

今後、スルガ銀行がどのような道を歩んでいくのか、注視していかねばなりませんね。

 

以上、【かぼちゃの馬車事件】地銀に激震が走った!スマートデイズ・スルガ銀行不祥事の全貌とその後・現在について!…でした。

 

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。