株式市場時価総額でアメリカ最大の保険会社です。
アメリカの営業用不動産、不慮の事故及び個人保険の2番目に大きな引き受け保険会社です。
1853年にミネソタ州に設立されたセント・ポール火災海上保険と1864年にコネチカット州に設立されたトラベラーズ保険の2社を母体としています。
法人向け労災保険や賠償責任保険、個人向け住宅保険や自動車保険などを提供しています。
旧トラベラーズは1993年にPrimericaに買収され、トラベラーズ・グループに名称変更し1998年にはシティバンクと合併しグループ名前をシティグループとしました。
当初の銀行と保険の販売チャネル統合による効果がみられなかったため2002年に保険部門を子会社化として分離し、2003年にメットライフに売却されました。
2004年にはセント・ポールとトラベラーズが合併し、社名をセント・ポール・トラベラーズとし、2007年にはシティグループが「傘付きロゴ」に関する標章権を買い戻したのにともない、トラベラーズに変更し現在に至っています。
一社で幅広く損害保険のジャンルをカバーしているので損害保険の業界動向をはかる上での重要企業とみられています。
2009年にはダウ構成銘柄の1つになり、2013年には保険会社のドミニオンを買収しました。
■ 投資判断基準:
中長期的に以下の点を総合的に勘案し短中期的に$140〜150ドルで推移
■ 指標関連:
▷ PER17倍程度で安定。ROEはほぼ10%超え。
■ 業績見通し:
▷ 現状は堅調に推移、短中期的にはネガティブ。
■ 株主還元策の動向
▷ 自社株買いにも積極的。長期保有でキャピタルゲインとインカムゲインを狙う。
トラベラーズの業績推移は膠着状態
ウォーレンバフェット氏のポートフォリオ銘柄のうち、構成比率が大きな企業であるトラベラーズ。
まず業績をみていきましょう。
Dec-14 | Dec-15 | Dec-16 | Dec-17 | Dec-18 | Dec-19 | |
経常収益 | 27,200.00 | 26,867.00 | 27,654.00 | 28,916.00 | 30,283.00 | 28,858.50 |
営業利益 | 5,458.00 | 5,113.00 | 4,416.00 | 3,099.00 | 3,313.00 | |
税引前 当期利益 | 5,089.00 | 4,740.00 | 4,053.00 | 2,730.00 | 2,961.00 | |
当期利益 | 3,692.00 | 3,439.00 | 3,014.00 | 2,056.00 | 2,523.00 | 2,899.69 |
トラベラーズでの個人保険商品の販売エリアは東海岸、カルフォルニア州、テキサス州などで、11000件を超える独立代理店を通じて米国で営業を行っています。
その売上の94%は米国からあがっておりますが英国やカナダ、アイルランドなどでも事業を展開しています。
わかりやすくグラフ化してみます。
売上高は緩やかに上昇しています。保険料収入、投資運用収益、サービス手数料収入すべて伸びています。
ただ最終利益は減益になっています。
これはハリケーンなど大災害に伴う保険料の支払いの影響です。
実際2017年には大災害損失が19.5億ドル発生したと開示しています。
損害保険会社はこのような災害のリスクとは常に隣り合わせなので影響は大きいかもしれません。
バランスシートでみても、総資産の約7割が預かり保険料を原資とする運用証券等です。
株式は少なく、満期固定債券が大半を占めています。
いつでも保険料を払える体制を整えていかないといけませんので比較的リスクの抑えた流動性の高いポートフォリオを組んでいます。
そのためキャッシュフローは非常に安定しているのではないかと思います。
EPSとBPSも冴えない動き
EPSとBPSを見てみましょう。
Dec-14 | Dec-15 | Dec-16 | Dec-17 | Dec-18 | Dec-19 | |
EPS | 10.82 | 10.99 | 10.39 | 7.86 | 9.36 | 10.97 |
BPS | 77.08 | 79.75 | 83.05 | 87.44 | 86.82 | 99.35 |
この10年で発行株数を半分以上も減らしている中、EPSは純利益とほぼ変わらない推移をたどっています。
2017年は上記でも申し上げた通り大災害損害の年であったため下がっています。
BPSは発行株式数の減少により、右肩上がりとなっています。
わかりやすく図にしてみましょう。
EPSも2017年に落ち込みましたがこの2年で5年前の水準にまで戻しています。
配当金と配当利回りも増加基調
次に配当金と利回りを見てみましょう。
Dec-14 | Dec-15 | Dec-16 | Dec-17 | Dec-18 | Dec-19 | |
配当 (ドル) | 2.1 | 2.32 | 2.56 | 2.78 | 2.98 | 3.23 |
配当利回り | 1.98% | 2.06% | 2.09% | 2.05% | 2.01% | 2.17% |
グラフ化してみます。
配当金については多少の上下はあるものの、きれいな右肩上がりであり、確実に増配を続けていっています。
連続増配年数は10年になります。
株価については後ほど解説しますが、株価をあげながら配当金を増配と非常に優良な銘柄の1つだと思います。
しかし配当利回りは株価上昇に伴い2%代にとどまっています。
ただ10年前に株を購入していれば、現在の配当利回りは約6%ほどなのでかなりの高配当銘柄になります。
トラベラーズのPERは標準並み
次にPERです。
Dec-14 | Dec-15 | Dec-16 | Dec-17 | Dec-18 | Dec-19 | |
PER(倍) | 9.78 | 10.27 | 11.79 | 17.25 | 15.86 | 13.54 |
PERだけでみると決して割高な水準ではありません。
グラフにしてみます。
過去の株価水準をみてみます。
多少の上下はあるものの、右肩上がりのチャートです。
10年で株価は約5倍近くになっています。
2017年の大災害損失の時でさえも株価は大幅に下落することなく、中長期でみれば上昇傾向です。
まとめ
トラベラーズは主に米国で損害保険を提供するビジネスである以上、寒波や大型のハリケーンなどの自然災害の増加による影響を大きく受けます。
やはり個人・企業の不動産保険などを対象に保険金支払い額が増えるので影響はかなり大きくなります。
また米国外でもカナダの企業を買収するなどして事業拡大に取り組んでいます。
あとは保険契約者の保険料で主に債権などに投資しているため、金利動向に投資収益も左右されるため業績にも影響されます。
またトラベラーズなどの物損人身保険提供事業者にとって自動車損害保険の保険料はさいだいの収益源です。
今後、無人運転や自動運転が実用化され普及した場合、事故率が低くなると予想されます。
すなわち保険商品の需要減の可能性もあります。
つまり保険契約数の減少や保険か買うの引き下げの圧力などの可能性があります。
このようなことに備え、トラベラーズも対策していかなければなりませんので今後の動向には注意してみていかなければなりません。
しかしトラベラーズは大手損保の中でも自社株買い戻しにかなり積極的であるため少しづつ対策はとってきているように感じます。
また保険会社ですので自然災害の影響を受けるのは当然のことで、それを見込んで保険料は計算されているはずです。
自然災害はいつ起こるか誰にもわかりません。
毎年大規模な自然災害が起こるわけでもありませんが長い目で見ればこのような影響は平均化されるますので大規模な損失がでたとしてもさほど気にする必要はないかと思います。
■ 投資判断基準:
中長期的に以下の点を総合的に勘案し短中期的に$140〜150ドルで推移
■ 指標関連:
▷ PER17倍程度で安定。ROEはほぼ10%超え。
■ 業績見通し:
▷ 現状は堅調に推移、短中期的にはネガティブ。
■ 株主還元策の動向
▷ 自社株買いにも積極的。長期保有でキャピタルゲインとインカムゲインを狙う。
以上、【TRV】時価総額でアメリカ最大の保険会社のトラベラーズの今後の株価推移を見通す!…でした。
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