これまでは、起業などに際して利用する資金調達手段は、融資が一般的でした。
ただ、融資ですと審査が必要で、手軽に利用できる手段ではありません。
そんな中、新しい資金調達の手段が登場します。
それは「クラウドファンディング」と呼ばれるものです。
クラウドファンディングは徐々に知名度を上げていますが、それでもまだまだマイナーな存在です。
そこで、今回はこのクラウドファンディングについて、詳しく解説していきたいと思います。
目次
Contents
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディング(crowdfunding)とはどのような意味なのでしょう?
「群衆」という意味の「crowd」、「資金調達」を表す「funding」。
この2つの言葉を合わせて作られた言葉です。
クラウドファンディングは、インターネット上で資金を集める方法です。
自身のサービスや商品、事業内容をアピールすることで資金を提供してくれる人を募ります。
「クラウドファンディング」という言葉は、最近利用されるようになりました。
クラウドファンディングが世の中で知られるようになったのは2011年です。
「Readyfor」という会社がクラウドファンディングのサービスを始めたことがきっかけです。
筆者も実は、大学生時代に創業者の米良はるか氏のプレゼンテーションを聞いたことがあります。
当時は斬新な資金調達の手法で、今では有名になったベンチャー社長たちが「Readyfor」に注目していたことを思い出します。
その後、クラウドファンディングサービスを始める企業がどんどん増えていきます。
ネット社会が浸透して、個人がスマホを持つことが当たり前になった世の中では、如何に情報発信できるかが資金調達の鍵です。
クラウドファンディングは、こういった世の中の変動を的確に利用した資金調達方法と言えますね。
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見返りによるクラウドファンディングの種類
一言にクラウドファンディングといっても複数の種類があります。
あくまでクラウドファンディングは資金をWEBを通じて集めて資金需要者に提供するという仕組みです。
出資者側への見返り応じて分類することが可能となります。
それでは次の項目から各クラウドファンディングについてメリットやデメリットを含めて紐解いていきたいと思います。
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融資型クラウドファンディング(=ソーシャルレンディング)
最も有名で規模が大きいのが「融資型」のクラウドファンディング。
融資型のクラウドファンディングは、「ソーシャルレンディング」という名称で日本では知られています。
メリットは利息の享受
クラウドファンディング事業者が投資家から小口で資金を集め企業に対して融資するという形式です。
クラウドファンディング事業者は、融資先から返済を受けた後、利息を投資家に還元します。
株式投資のように元本自体は変わらず、利息という見返りを受け取ります。
そのため、ソーシャルレンディングは融資又は「個人向け社債」という位置付けになります。
殆ど0に近い利息しか受け取れない預金とは違い、5%-10%の利息を受け取ることができます。
そのため、市場規模は急拡大しており国内クラウドファンディング市場の8割以上を占めるに至っています。
貸し倒れというリスクがあるのがデメリット
銀行が融資を行う際に最もリスクとして考えるのが貸し倒れです。
企業の経営が悪化して支払いを行うことができなければ利息はもちろんのこと元本まで失うこととなります。
通常、大企業等に貸し出す場合は資金も豊富なため貸し倒れが発生することは殆どありません。
しかし、ソシャレンでは殆どの中小零細企業に貸し付けを行なっているため、貸し倒れリスクも考えないといけません。
ただ、追って紹介する「Funds」や「クラウドバンク」は安全度が高い業者ですので当サイトでもおすすめしています。
ソーシャルレンディングに関しましては、編集部でまとめた特集がありますのでそちらを参考にしてみてください。
ソーシャルレンディングは日本でも注目を集めており多くの業者が存在しています。
以下のコンテンツではソシャレン28業者についておすすめ度を含めて紹介していますのでご覧いただければと思います。
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株式投資型クラウドファンディング
比較的最近登場したのが「株式投資型」のクラウドファンディングです。
クラウドファンディング事業者が投資家から資金を募って、その資金で企業の未公開株受け取る形式です。
メリットは通常手に入れられない未公開株を手に入れることができること
投資家はリターンとして、投資先の未公開株を手にすることができます。
未公開株を手に入れれば、その企業が上場した際に大きなリターン得ることが可能です。
ベンチャー企業を運営している経営者からすると、上場は売却によって大きな資金を得ることが大きなモチベーションになります。
そのため、なかなか大事な株式を手放すことはありません。
IPOや売却が実現すれば大きな利益を狙える未公開株に投資することができるのは大きなメリットなのです。
株式投資型クラウドファンディングとして最も有名なファンディーノについて以下で特集していますのでご覧下さい。
デメリットは上場や売却ができない場合の全損
投資家はあらかじめ、出資先の企業情報、財務情報を確認することができるためリスクの予測も行えます。
ただ、出資先の企業が倒産してしまうと未公開株の価値はゼロになるので、その点を踏まえて投資をする必要があります。
特に上場を成し遂げることができるベンチャー企業は殆どありません。
株式型クラウドファンディングは少額で分散投資をするのが懸命です。
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購入型クラウドファンディング
続いて「購入型」のクラウドファンディングです。
支援者がプロジェクトに対して資金を提供する代わりに、商品やグッズ、サービスがリターンとして返ってくる形式です。
メリットは特別な商品やサービスを受け取ることができること
原則として、現金でのリターンはありません。
しかし、プロジェクトでしか得ることが出来ない特別なモノ・サービスを受け取ることが出来ます。
先行割引特典や、先行上映会への参加、特別会員権などのプレミア感があるモノ・サービスを手に入れることが可能です。
デメリットは金銭的なリターンがないことと「All or Nothing型」の資金拘束の可能性
今までの「融資型」や「株式型」は実際に金銭的なメリットを獲得することが見込めます。
しかし、「購入型」の場合には金銭的なリターンを得ることができません。
また、購入型クラウドファンディングは、「All or Nothing型」と「All In型」に分かれています。
All or Notihing型は、募集目標金額が達成した場合にのみプロジェクトが成立します。
All In型は目標金額達しない場合でもプロジェクトが成立します。
All or Nothing型では、資金が集まらないと実行できないプロジェクトが多いです。
したがって、まだリターンが確実に得られるかが不明瞭なものが見られます。
All or Nothing型では不成立の場合は出資者に資金は返還されますが、その間資金拘束を受けるのもデメリットですね。
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寄付型クラウドファンディング
最後は「寄付型」のクラウドファンディングです。
メリットは社会貢献
寄付型クラウドファンディングは震災支援や環境問題等の災害や社会問題に対して行われるケースが多いです。
困っている人に手を差し伸べることができるという精神的なメリットを受けることができます。
デメリットはリターンを得ることができないこと
支援者が資金を提供するのみの形式で、支援者に対するリターンは一切発生しません。
ユニセフなどの募金事業と同様に、支援者の善意によって行われています。
このため、寄付型のプロジェクトには災害支援や福祉関連など、非営利関連のプロジェクトが多く見受けられます。
まれに、営利目的の寄付型プロジェクトも見受けられます。
しかし、よほど魅力的なプロジェクトでない限り、寄付型クラウドファンディングで資金調達するのは至難です。
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〜コラム〜何故、見返りのないクラウドファンディングが存在しているのか?
見返りのない資金調達手段はかつては募金だけでした。
しかし、クラウドファンディングの登場で低コストで大量の資金を集めることができるようになりました。
災害に被災地支援や、環境や歴史的建造物の保存への取り組みなどに利用されてきた歴史があります。
クラウドファンディング本来の姿は、寄付型にこそ見出すことが出来るのです。
現在では投資商品としての側面が強くなりソーシャルレンディングが隆盛を誇っています。
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クラウドファンディングのプロジェクトの流れ
クラウドファンディングの種類についてお伝えしてきました。
しかし、基本的にどのクラウドファンディングもプロジェクトの流れは共通しています。
資金調達者側の流れ
まずは資金を調達したい側の人の流れです。
<資金調達者側の行動>
■ 掲載するクラウドファンディングサイトに入力フォームで内容を記載
↓
■ 運営担当者と相談して資金募集を行うページの作成
↓
■ サイト内掲載や自社サイト、SNS広告などを用いて拡散
↓
■ 調達完了後、調達した資金を元にプロジェクトを始動
支援者側の流れ
次に支援者側の流れについてお伝えしていきます。
<支援者側の行動>
■ クラファンサイトで出資するプロジェクトを検索
↓
■ ページからリターンやリスクを分析して出資の是非を検討して出資を行う
↓
■ プロジェクトの進捗を確認しながら、リターンを受け取る
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代表的なクラウドファンディングサービス
次に、日本国内の代表的なクラウドファンディングサービスをご紹介していきます。
Funds(ファンズ )
ファンズは安全性が最も担保されている融資型のクラウドファンディングつまりソーシャルレンディングです。
ソーシャルレンディングの第一人者ともいえるクラウドポートによって運営されています。
Fundsは上場企業に資金を貸し付けて2%-6%の利息を受け取ることが出来る画期的なサービスです。
通常、ソーシャルレンディングは中小企業に融資をする代わりに銀行預金より遥かに高い金利を受け取ることが出来ます。
そのため貸し倒れリスクを考えなければいけません。
しかし、上場企業に融資ができるFundsでは貸し倒れリスクを殆ど考える必要がないのが大きな魅力です。
Crowd Bank(クラウドバンク)
クラウドバンクは再生可能エネルギー投資に融資を行うことで利息を受け取ることができるソーシャルレンディング です。
特に太陽光発電投資を多く取り扱っており年率7%程度のリターンを獲得することができます。
各再生可能エネルギーについては高い価格での売電を既に契約しています。
そのため、安全にFundsよりも高い利息を受け取ることができます。
以下でクラウドバンクについては詳しくお伝えしていますので参考んしてみてください!
Readyfor(レディーフォー)
「Readyfor」は2011年3月にリリースされた購入型クラウドファンディングサイトです。
社会貢献型のプロジェクトを中心に展開されていて、地方公共団体、大学などの公的機関が関わっているプロジェクトも見られます。
国内でも大手のクラウドファンディング事業者なので初心者の方でも安心してサービスを利用することができます。
MotionGalley
「MotionGalley」は、映画ジャンルを中心に購入型クラウドファンディングを展開しているサイトです。
MotionGalleyでクラウドファンディングを受けた映画が、実際に東京国際映画祭、カンヌ国際映画祭など名だたる映画祭に出展しています。
間接的に映画製作に関われるクラウドファンディングですので、映画好きの人にはたまらないですね。
Makuake
「Makuake」は、株式会社マクアケによって運営されているクラウドファンディングサービスです。
飲食店、日本酒、ファッションなど多様なジャンルのプロジェクトを掲載しています。
国内資金調達金額は、クラウドファンディング業界の中でもトップクラスとなっています。
案件の中にはクラウドファンディング史上No.1の資金調達額を記録したものもあります(折り畳み式電動自転車、1億2千万円)。
CAMPFIRE
「CAMPFIRE」は2011年にリリースされたクラウドファンディングサービスです。
社会貢献系や地域活性化系を中心にプロジェクトが掲載されています。
CAMPFIREは、クラウドファンディングアプリの開発にも着手しており、現在「polca」と呼ばれるアプリをリリースしています。
スマホ1台でクラウドファンディングを行うことができる画期的なサービスとなっています。
2019年1月時点で、プロジェクト数は18,000件にも及び、流通総額は約95億円となっています。
今後も堅調に利用者を増やしていくことが見込まれてます。
A-port
「A-port」は2015年3月に株式会社朝日新聞がリリースしたクラウドファンディングサービスです。
映画や伝統工芸などのプロジェクトを中心に展開しています。
A-portの知名度が上がったきっかけは、アイドルグループ「SMAP」の解散時に募集された「SMAPにありがとうを伝えたい」というプロジェクトです。
このプロジェクトをサポートしたことで、一気に知名度が高くなりました。
このSMAP関連のプロジェクトによって、国内購入型クラウドファンディングの支援者数記録を更新しました(13,103人を突破)。
その他にもそれぞれの特徴を捉えてクラウドファンディングアプリを紹介しているコンテンツもあります。
参考にしてみてください。
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まとめ
クラウドファンディングは、新しい資金調達の手段として急速に広まっています。
個人、法人問わずに利用できる資金調達手段で、アイディアさえあれば資金を大量に集めることができます。
もちろん、魅力あるプロジェクトでないと資金は容易には集められません。
ただ、これまでの資金調達を大きく変える手段であることは間違いありません。
国内のクラウドファンディング事業者も増えてきて、今後さらにクラウドファンディングが広がっていくことが予想されます。
アイディアで資金を集めることが当然となる時代が舞い降りてくるかもしれません。
以上、【クラウドファンディングとは?】新しい資金調達の手段!クラファンの種類とリターン(見返り)わかりやすく解説。…でした。