ウィリアム・J・オニールは1962年10月から1964年12月までの26ヶ月で、自身の口座の資金を20倍に増加させ、30歳の時に投資管理研究会社「ウィリアム・オニール社」を設立しました。
彼は「マーケットの魔術師」に取り上げられており、1984年の「インベスターズ・ビジネス・デイリー紙」の発行者でもあります。
本日は彼の代表的名著である「オニールの成長株発掘法」の中から、彼が好んだ代表的なチャートパターンである「Cup with handle(=カップウィズハンドル)」についてお伝えしていきたいと思います。
オニールの成長株発掘法は成長株投資家(=グロース投資家)の教科書として一般的になってきています。
銘柄選択術ではバフェットを大きく上回る成績を残しており、なおかつ個人投資家でも再現可能な内容なのが人気の理由です。
より詳しく知りたいという方は「オニールの成長株発掘法」を購入することをおすすめします。
オニールのCAN-SLMはファンダメンタル的要素を取り上げていますが、同氏はチャートを分析することも非常に重要としています。
同書の第1章では1880年-2008年までに大化けした100銘柄のチャートを収録しています。
理由としては、大化け銘柄のチャートパターンから法則性を学ぶ必要があるためとしています。
実際、同書の書き始めの一部でも以下のように言及しています。
投資の秘訣-株式市場で大化け銘柄を見分ける方法を学ぶには、まずこれからお見せするような過去の先導株を分析し、大化け銘柄に共通する特徴を知ることにある。このように観察していくと、これらの銘柄が劇的な株価上昇をする直前に、どのようなパターンを形成したかを見極めることができるようになる。
本日はオニールが愛好したカップウィズハンドルについて、カップウィズハンドルとはどのような形なのか?を解説していきます。
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目次
Contents
カップウィズハンドル(=Cup with handle)とは?
カップウィズハンドルは文字通り、コーヒーカップの「取っ手(とって)」のついたような形をしたチャート形状のことをいいます。
カップウィズハンドルはカップを形成し始めてから7週間から65週間にかけて形成されます。
だいたいは、3-6ヶ月ほどの期間で形成されます。
このような形を形成した後に株価が上昇する可能性が高いとしています。
買いポイントとしては、取っ手を形成した後に、カップの高値を上抜けたポイントとなります。
実際、筆者もチャートを見る限り勝率が高いように感じます。
ただ、カップウィズハンドルの後に下落したり、少し上昇したあとに下落するパターンも存在しています。
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カップウィズハンドルの意義とは?なぜカップウィズハンドルを形成すると上がりやすい?
株価が大幅に上昇するためには大きな資金を持っている機関投資家の買いが必要不可欠です。
一方、個人投資家や短期トレーダーは頻繁に利益確定を行います。
そして、流動性の観点から機関投資家は長期間保有するため簡単には利益確定を行わず腰の入ったポジションを保有します。
そのため、上昇基調の銘柄で個人投資家や短期筋の買いポジションが積み上がると一旦それを消化する必要がでてきます。
上記の図の①はまさに個人投資家や短期筋の買いポジションが解消され機関投資家に入れ替わる局面です。
個人投資家や短期筋の売り玉が枯渇したら上図の③の通り上昇を開始します。
そして③の機関に新たに購入して利益が出ている短期筋や個人投資家の買いポジションをこなす期間が④です。(取っ手にあたる部分ですね。)
④の期間の間に③で形成された買いポジションが機関投資家によって入れ替えが完了します。
最終的に機関投資家の買い上げによって上記の図の買いポイントを迎えると、
直ぐに利益確定する個人投資家や短期筋がいないので売り玉がでてこず大きな上昇が見込まれるようになるのです。
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【カップ編】上抜け後、失敗せずに上昇するカップウィズハンドル(=Cup with handle)の見分け方!
ただカップウィズハンドルといっても買いポイントを上抜けた後に失敗するケースも多く存在します。
このような上昇に失敗するケースを「騙し(だまし)」といいます。
では「騙し(だまし)」に合わずカップウィズハンドルを見極める方法についてお伝えしていきます。
まずはカップウィズハンドルのカップの部分の特徴についてです。
カップ形成前から30%以上上昇しているか?
カップウィズハンドルは上昇トレンドの中で形成されてこそ意味のあるチャートパターンです。
カップ部分を形成する前に既に前回の損値から30%以上の上昇を達成しているかどうかを第一条件として確認するようにしましょう。
カップはU字型になっているか?
カップは鋭いV字型ではなく、丸いU地肩の形をしている方がよいとしています。
これは、カップの底付近で2〜3回小幅に下落することで、腰の入っていない買持の投資家を十分にふるい落すことができるからとしています。
カップの頂点から安値までの調整幅は12%-33%
カップの調整幅は12%-33%が理想的としています。
例えば50%下落してしまった場合、カップ形成前の高値を更新した時点で底値で仕込んだ人は100%の上昇を享受することになります。
すると、利益確定売りが優勢となりカップウィズハンドル後の価格上昇が浅いものとなってしまうためです。
また、強気相場であっても弱気相場であってもS&P500指数のような平均株価の2.5倍以上の下落を見せた銘柄は保ちあいの期間が長くなります。
広くて締まりのない深いカップを形成してしまった場合はダマシとなるパターンが多いと継承を鳴らしています。
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【ハンドル編】上昇するカップウィズハンドルの特徴
必ずしも取っ手を形成しなくても株価が上昇することが多くあることも確かです。
ただ、取っ手を形成することで株価上昇の成功率は高くなります。
特徴①:カップの上半分で出現して10週移動平均より上で形成
取っ手は10週移動平均より上で、形成されたカップの上半分で形成される必要があります。
カップの下半分や10週移動平均より下で形成された取っ手は需要が不十分で上昇に失敗する可能性が高いと警鐘をならしています。
特徴②:基本的には2週間以上で形成され調整幅は浅め
取っ手は一般的に2週間以上かかって形成され、腰の入っていないホルダーのふるい落としの役割を果たします。
また、値動きが激しいハイテク株などでは取っ手形成の時間が1-2週間と短い場合もあるとしています。
オニールの成長株発掘法でも取っ手部分の調整幅は強気相場では8%-12%、弱気相場で最大でも20%-30%が妥当としています。
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だましに引っかからないために!買いポイント(=ピボットポイント)で出来高が急増するか要確認!
カップウィズハンドルを形成し、いよいよ買いポイントとなった時の注意点についてみていきましょう。
取っ手の高値を上抜ける買いポイントをピボットポイントと呼びます。
そしてピボットポイントを迎えた後は急激に出来高が増加します。
一日辺りの出来高は通常時に比べて少なくとも40%-50%は上昇します。
新しい主導銘柄が大きくブレイクアウトする場合は平均出来高が200%-500%、あるいは1000%上昇することも珍しくありません。
ピボットポイントを迎えるとブレイクアウトをともなって本格的な上昇となります。
すぐ利益確定しない機関投資家の買いに加えて、カップウィズハンドルで買い残高が減っていることが要因です。
カップウィズハンドルが完成してビポットポイントを待つことができるかが最後の勝負の分かれ目ですね!
https://twitter.com/nobutaro_mane/status/1385536203559104514?s=20
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カップウィズハンドルと共にファンダメンタルも確認する重要性
カップウィズハンドルとはあくまで株価が上昇する可能性が高いチャートの形状ということになります。
最初にお伝えした通り、CANSLIMというファンダメンタルとチャートを合わせること成長株投資では卓越したリターンを叩き出すことができます。ただ、CANSLIMを分析しようとすると非常に骨が折れますし、どう分析していいか分からない方も多いと思います。
そこで、マネリテ編集部として「成長株投資マガジン」をnoteで刊行することにしました。(現在無料で公開しています。)
成長株投資マガジンでは、事業内容、業績、CANSLIM分析、チャート分析を纏めて行っています。
更に、一度分析した銘柄を放置せず四半期決算毎に追跡してCANSLIM分析も更新していっています。
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直近のカップウィズハンドルの例〜アマゾン〜
直近最も顕著にカップウィズハンドルが出現したのが米アマゾンです。
オニールは週足でカップウィズハンドルを確認します。
日足でも上昇する確率は高いのですが、より確かで大きい上昇を目指すのであれば収束でみていくのがよいでしょう。
以下のチャートをご覧ください。
- 2019年7月にカップが始まる前に前回の底値からは50%以上の上昇
- カップの底までの調整幅は約15%
- カップはU字を形成
- 取っ手からの調整幅は約30%と基準値だがコロナショックの時期のため致し方ない例外と考える
- ピボットポイントではできだがが増加している
という条件をみたし、ピボットポイント通過後は上記のように株価が大幅に上昇しています。
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まとめ
成長株投資で実績をあげているオニールの愛好するチャートパターンとしてカップウィズハンドルがあります。
ちょうど、取っ手付きのコーヒーカップのような形のチャートを形成するため、このような名前となっています。
ただ、一見するとカップウィズハンドルの形をしていても、条件を満たさずダマシとなってしまうことも多々あります。
今回お伝えした条件を確認しながら真のカップウィズハンドルを見つけて大きな上昇を取っていきましょう!
オニールの投資法については以下の「オニールの成長株発掘法」に詳しく記載されています。
同書はバフェットよりも高い銘柄選択術を有するオニール流の全てが詰まっており筆者も何度も読み返しています。
尚、株式投資で高いリターンを獲得するには、マクロに経済、時代の情勢を読むファンダメンタル分析ができる知識。
また、市場の反応、株価の動きをチャートパターンから捉えるテクニカル分析(今回のカップウィズハンドルを含む)ができる知識の双方が非常に重要になります。
ファンダメンタル分析、テクニカル分析の基礎を押さえれば、あとは実践と共に知識は飛躍します。
しかし、その域に達するまでに挫折してしまう人が後を絶ちません。
やはり、投資の上達に直結する知識を効率よく吸収していく必要があります(ただでさえ、現代人は忙しいので)。
以下のコンテンツでは、ファンダメンタル・テクニカル含め、株式投資について効率的且つ効果的に学ぶ方法を提案しています。
ぜひ参考にしてみてください。
現在の株式市場は、コロナショックを経て金融相場(数年続きます)となり、投資をしている人としていない人との間で格差が最も開く時期です。
株式投資を学ぶ時期としてはベストでしょう。老後資金を構築するなど、そもそもまだ年金を貰っていない世代は投資は避けられません。
株式投資に限らず、投資全般を学びマネーリテラシーを高めたいという方は、「お金の学校」も選択肢に入ってくるでしょう。
以下のコンテンツも、ぜひ参考にしてみてください。
以上、【カップウィズハンドルとは?】ウィリアム・J・オニールが愛したチャートパターン「Cup with handle」をわかりやすく解説する!…でした。
昨年10月から株売買を初め昨年度最終的に初期投資金は、最大損益35%~利益率10%増加。たまたま運が良かっただけの初心者。