個人でも大きな資産を築いている方々の中に、ありがたいことに自身の運用実績・投資銘柄を公開している方がいらっしゃいます。
その代表格が、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
『かぶ1000投資日記』を運用されている『かぶ1000』さんです。
かぶ1000氏は14歳から株式投資を開始。
2001年からの累積投資利益は3億7000万円に到達。
個人ブログで日々投資銘柄の公開・アップデートを行っております。
そんなかぶ1000氏の投資手法である「かぶ1000流バリュー株投資手法」(現代版ネットネット株投資)について、このコンテンツでは取り上げてみたいと思います。
目次
Contents
ベンジャミン・グレアム流の『ネットネット株』
かぶ1000さん流のネットネット株投資について説明する前に。
かぶ1000さんが参考にしている偉大な投資家の話をまずしなければいけません。
かぶ1000さんの投資哲学の根幹を形成しているのは、ウォーレン・バフェットの投資の師である「ベンジャミン・グレアム氏」。
そのベンジャミングレアム氏が開発した投資手法が「ネットネット株」です。
本家本元の「ネットネット株」について詳しくは、『ベンジャミングレアム流ネットネット株』で解説しています。
彼は将来の利益を予測するのではなく、「今あるバランスシート」(資産と負債の状況)から投資する銘柄の判断を行っていました。
ベンジャミン・グレアム氏が開発したネットネット株は、以下の条件を満たした銘柄を投資対象としています。
- 正味流動性資産× 2/3 > 時価総額
「流動資産」は原則として一年以内に現金化が可能な資産です。
■ 流動資産の主な内訳:
- 現預金
- 売掛金
- 受取手形
- 売買目的有価証券
- 棚卸資産
流動資産から全ての負債を差し引いた『正味流動性資産』の2/3が時価総額より大きい資産に投資を行うという方法です。
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ベンジャミン・グレアム流『ネットネット株』の理論的弱点
ベンジャミン・グレアム流、ネットネット株は非常に保守的な基準なので、安全な投資先です。
しかし、2つの理論的な弱点があります。
1つはなぜ2/3するのかという理論的な根拠が示されていない点です。
たしかに保守的に見積もって、ざっくりといったことろなのでしょう。
しかし、理論で納得する人間にとっては腑に落ちないところです。
2つ目は、流動資産の構成要素に含まれる棚卸資産の資産としての価値の不透明性です。
棚卸資産とは企業が抱えている在庫商品のことです。
在庫商品が企業の帳簿に乗っている価値が本当にあるのであれば問題ありません。
しかし、実際には売れない商品であれば価値は実質的には0となってしまいます。
つまり、一見、正味流動性資産がピンク(以下表右下部分)の分だけあると思っていたとしても、棚卸資産が実際には売れないもので実質的な価値は0であったとする場合はどうでしょう?
『存在するはずの正味流動性資産』は『正味流動負債』になってしまうのです。
企業が計上している棚卸資産の数値には不透明性があります。
つまり、正味流動性資産ベースで投資対象銘柄を選定するのは完璧な理論とは言えないのです。
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かぶ1000さん流のネットネット株
かぶ1000さん流のネットネット株は、上記の元祖ネットネット株の欠点を見事に補完するものとなっています。
かぶ1000さん流のネットネット株は、資産を現金性資産と事業性資産に分け、現金性資産から負債を差し引いたものを正味現金性資産としています。
「正味現金性資産>時価総額」
となる銘柄を基本的には投資対象としています。
- 正味現金性資産 > 時価総額
現金性資産は流動性資産から棚卸資産を除外しています。
現金性資産の主な内訳は以下となります。
■ 現金性資産の内訳:
- 現預金
- 売掛金
- 受取手形
- 売買目的有価証券
現金性資産は現金と売掛金や受取手形のように将来入ってくる角度の高い現金性資産と、時価で売買できる有価証券といった現金同等物のみをカウントします。
現金性資産から全ての負債を差し引く正味現金性資産は、保有している現金から全ての借金を支払って残った現金ということです。
わかりやすく言うと、1億円の現金を持っている人がローン等の借金が7000万円あった場合は、正味現金性資産は3000万円となります。
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かぶ1000さんが投資する銘柄を複数のわかりやすい例で説明
理論は少し難しかったかもしれませんので、わかりやすいように噛み砕いた2つの例で説明したいと思います。
わかりやすいシンプルな企業を例にして説明
上記の例で現金5,000万円、建物2000万円、機械1000万円を保有している企業Aが銀行からの借入金が2000万円あったとします。
(負債は借入だけとします)
一方A社の発行済株式数は1,000株、株価は10,000円とします。
つまり、企業全体の価値である時価総額は2,000万円となります。
すると正味現金性資産は3,000万円なので時価総額2,000万円を上回り、かぶ1000さんの投資対象候補になります。
この銘柄がどれだけ魅力的か想像に難(かた)くないと思っています。
借金払ったあとに3000万円保有している企業が2000円で売られているわけですからバーゲン価格となっています。
最低でも株価は1.5倍になるべきですよね。
さらに事業性資産建物2000万円と機械1000万円の合計3000万円に、今後稼ぐ利益を考えるとさらに高くなることが期待されます。
財布を例にして説明
もっとわかりやすい例はないのか?
というご要望にお伝えして日用品を例に説明していきたいと思います。
例えば2万円の価値がある財布があり、その中に3万円の現金が入っていたとします。
実質的に5万円の価値がある財布を2万円でお譲りしますと言われたら如何でしょうか。
現金3万円が入っているのに、2万円で購入できるわけですから、どう考えても2万円支払いますよね。
かぶ1000さんのネットネット株とはまさに、このような銘柄のことを指します。
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株式投資には様々な投資手法があり、自分のスタイルを確立する必要がある
このコンテンツでは、かぶ1000流バリュー株投資について紹介をしてきました。
多くの人が、かぶ1000氏の投資手法を参考にしているでしょう。
しかし、株式投資は投資する人の性格、リスク許容度、リターンの目標設定など様々な「変数」がありますので、ただ手法を真似しても想像する結果を出すことは難しいでしょう。
まずは、株式投資の基礎、投資の考え方、成功している投資家の思考についての知識を増やしながら、トレードに取り組むべきでしょう。
そのアシスト役となるお金の学校も存在しています。
これから本格的に株式投資に取り組んでいきたいと考えている方は、真剣に検討してみると良いでしょう。
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まとめ
有名投資ブロガーで投資歴30年の個人投資家である『かぶ1000』さんはネットネット株と安全域の大きい株に投資を実行。
下落リスクを最小限に抑えながら高いリターンを出し続けています。
ネットネット株はバフェットの師であるベンジャミン・グレアムが80年ほど前に開発した投資手法です。
しかし、かぶ1000さんは更に確度を高めて洗練させたかぶ1000さん流のネットネット株投資を行っています。
以上、著名投資ブロガー『かぶ1000投資日記(@kabu1000)』さん流のネットネット株投資法をわかりやすく説明。…の話題でした!