ストキャスティクスはデイトレーダーに最も使用されているテクニカル・ツールです。
今回はデイトレードの必需品であるストキャスティクスとはどのような指標であるのか?
また、実際にはどのような場面で活用するのか?
という点を中心にご紹介していきたいと思います。
目次
Contents
ストキャスティクスとは?
上図は日経平均株価の5分足チャートにストキャスティクスを組み合わせたものです。
実は上手を見ただけで多くの売買サインが点灯していることがわかるのです。
ストキャスティクスは売買サインが点灯しやすいテクニカル・ツールであるためデイトレーダーの愛好家が多いツールとなっています。
また、fxやバイナリーオプションで逆張りするトレーダーにも、良く用いられているテクニカル指標です。
ストキャスティクスとは
ストキャスティクスとは相場の「買われすぎ、売られすぎ」を判断するためのオシレーター系のテクニカル・ツールです。
RSIやMACDよりも素早く売買サインが点灯することからデイトレーダーに人気のあるテクニカル・ツールであるといえます。
ストキャスティクスの判断方法
一般的にストキャスティクスは20%以下が売られすぎ、80%以上が買われすぎと判断していきます。
ストキャスティクスには「ファーストストキャスティックス」と「スローストキャスティクス」の2種類が存在します。
両者には株価の動きに対する反応に違いがあります。
比較的敏感なのが「ファーストストキャスティックス」、比較的ゆっくりなのが「スローストキャスティクス」です。
それぞれの計算式と特徴についてお伝えしていきたいと思います。
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ファーストストキャスティクスの計算方法と特徴
ファーストストキャスティックスは「%K」と「%D」の2本のラインを利用したストキャスティクスです。
ファーストストキャスティクスの計算式
ファーストストキャスティックスの計算式は以下となります。
%K=(直近の終値-過去○日間の最安値)÷(過去○日間の最高値-過去○日間の最安値)×100(%)
%D=×日の%Kの単純移動平均
ファーストストキャスティックスの特徴とデメリット
ファーストストキャスティックスの特徴は売買サインが頻発するということです。
売買サインにフェイクが多くなるというデメリットにもなります。
上図は日経平均株価の5分足にファーストストキャスティックスを組み合わせたものです。
20%以下で購入し、80%以上で利確したとしても、売買サインが頻発しフェイクが多いことがわかります。
実際に相場で使うことはできません。
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スローストキャスティクスの計算方法と特徴
一般的にストキャスティクスを使う場合はスローストキャスティクスを利用します。
スローストキャスティクスの計算式
ファーストストキャスティングの%Dを利用します。
Slow%K= %D
Slow%D= 3日の%Dの単純移動平均
スローストキャスティクスの売りサインと買いサイン
【スローストキャスティクスの売りサイン】
基本的にSlow%Dが80~100%にある時は、買われすぎと判断し利確していくことになります。
また、80~100%でSlow%KがSlow%Dを上から下に抜けた場合(デッドクロス)は売りサインが点灯したと判断します。
【スローストキャスティクスの買いサイン】
Slow%Dが0~20%にある時は、売られすぎであると判断し買いに入ります。
0~20%でSlow%KがSlow%Dを下から上に抜ける(ゴールデンクロス)した場合は買いサインが点灯したと判断していきます。
スローストキャスティクスの特徴
上図は日経平均株価の5分足にスローストキャスティックスを組み合わせたものです。
前述したファーストストキャスティックスと同じ期間での表示ですが、かなり売買サインがすっきりしていることがわかります。
フェイクが少なくなったとはいえ、やはりフェイクが頻発していることがお分かりいただけると思います。
よって、ストキャスティック単品でのトレード判断はリスクが高いことがわかります。
ストキャスティクスを開発したジョージ・レーン氏の使い方
ストキャスティクスを開発したジョージ・レーン氏は以下の使い方を提案しています。
- スパイク・トップ(ボトム)
- ガービッジ・トップ(ボトム)
スパイク・トップ(ボトム)では、次のような判断を行っています。
- 15%以下のエリアから上回るときは買いサイン
- 85%以上のエリアから下回るときは売りサイン
スパイク・トップ(ボトム)はV字型の天井・底値を付ける相場で精度が高くなりやすいです。
一方、ガービッジ・トップ(ボトム)での判断は次のとおりです。
- 30%以下のエリアで%Kが%Dを2回上回るときは買いサイン
- 70%以上のエリアで%Kが%Dを2回下回るときは売りサイン
ガービッジ・トップ(ボトム)はN字型の天井や底値を付ける相場で精度が高くなりやすいです。
そのため、スパイク・トップ(ボトム)とガービッジ・トップ(ボトム)を相場にあわせて使い分けすると良いでしょう。
ストキャスティクスの逆行現象
ストキャスティクスやrsiなどのテクニカル指標では、逆行現象が見られることがあります。
株価が高値更新しているのに、テクニカル指標の高値は切り下がっていくという現象です。
この逆行現象のことを「ダイバージェンス」と呼んでいます。
ダイバージェンスが見られたときは、上昇トレンド終了が近いといった使い方が可能です。
逆に株価が安値更新しているのに、テクニカル指標の安値は切り上がっていく現象を「コンバージェンス」と呼びます。
コンバージェンスが見られたときは、下落トレンド終了が近いといった使い方が可能です。
逆行現象を使うときの注意点
ダイバージェンス・コンバージェンスを逆張りに使うときに注意したいのが、リスクが高い点です。
一度だけのダイバージェンス・コンバージェンスだと、精度が低いことがあります。
そのため、大きなポジションを取ると大けがしかねません。
ダイバージェンス・コンバージェンスは、一度だけより複数回のほうが精度が高まると言われています。
しかし、複数回のダイバージェンス・コンバージェンスが発生したからといって、必ずトレンド転換するわけではありません。
逆張りではなく、現在のポジションを解消するために使ったほうが良いでしょう。
また、ダイバージェンス・コンバージェンスの発生頻度は比較的少ない点にも注意してください。
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トレンド系指標『一目均衡表』『ボリンジャーバンド』との組み合わせ
見てきたようにストキャスティックはフェイクが多いテクニカルです。
それだけ、買いサイン・売りサインも他の指標と比較すると早く点灯するのですが、ストキャスティックだけでは逆に相場でロスカットが多くなってしまい、「ロスカット貧乏」になりかねません。
よって、ストキャスティックを利用する場合は他の指標と組み合わせて使いましょう。
一目均衡表との組み合わせ
一目均衡表とストキャスティックを組み合わせです。
「雲の下にある場合は参加しない」と決めてしまえば、売買サインがかなり少なくなります。
サインの信頼度も上がることがわかります。
ボリンジャーバンドとの組み合わせ
「ボリンジャーバンドの-2σのみでの参加」と決めてしまえば、かなりトレードの精度が向上します。
株価が上がらなかったケースは下図のように1度だけになります。
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パラボリックとの組み合わせ
ストキャスティクスは、トレンド系指標であるパラボリックとの相性も良好です。
パラボリックでは、次のような使い方ができます。
- 上昇していくSARが下落してきたローソク足と交差したら売りサイン
- 下落していくSARが上昇してきたローソク足と交差したら買いサイン
ある程度トレンドの期間が続くときに有効なのがパラボリックです。
ストキャスティクスだけで判断すると、トレンドの大きな流れを逃しかねません。
なるべく利益を伸ばしたいときは「パラボリックでサインが出るまで参加しない」と決めておくと良いでしょう。
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ストキャスティクスとオシレーター系のテクニカル『MACD』との組み合わせ
ストキャスティックと同じオシレーター系のテクニカルで相性が良いのはMACDです。
MACDは一般的に遅行指数であるため、それだけ売買サインの点灯が少なくなるからです。
ただし、デメリットはストキャスティックの特徴である「素早い売買サインの点灯」が効率良く活用できない点にあります。
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ストキャスティックの実戦での活用方法
ストキャスティックは主に短期間のトレードで利用します。
具体的にはデイトレードです。
移動平均線との組み合わせ
5分足を使ったデイトレードです。
30日はストキャスティックが下降中であるため寄りから無謀に買いを入れるといった判断をしなくて済みます。
そして、ストキャスティックが20%以下になり「売られすぎ」になった場面を狙い、買いを入れます。
利確はストキャスティックが80%以上になり、「買われすぎ」になったところです。
今回ストキャスティックがドンピシャで活用できています。
それは以下の要因によるものです。
【相場格言の活用】:「初押しは買い」
今回25MAが初めて下落した、まさに初押しの場面です。
意外かもしれませんが、この相場格言の的中率はかなり高いです(筆者の経験値では8割以上)。
使う場面が適切な場合はストキャスティックもフェイクが起こらずにうまく機能することがお分かりいただけたと思います。
レンジ相場
ストキャスティックはレンジ相場ではフェイクが出にくくなることが上図からお分かりいただけると思います。
移動平均線の向き(横向き)からレンジ相場を探しストキャスティックを使ってデイトレードに参加することで勝率を上げることができます。
意外!スパンを伸ばすとフェイクが出にくい
下図は日経平均株価の日足チャートです。
デイトレード向きと思われがちなストキャスティックですがスパンを日足に伸ばすとフェイクが出にくくなることがわかります。
このストキャスティックの精度であれば、十分に短期相場で利益を上げることが可能です。
下図はさらにスパンを伸ばして週足です。
印をつけたところがストキャスティックの的中場面ですが、かなり精度が高いことがわかります。
特に下落場面ではなく、利確場面の精度は完璧です。
よって、スイング銘柄の利確にストキャスティックを活用することで確実に利確をすることができることがわかります。
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ストキャスティクスをmt4で使う
fx会社ではmt4(メタトレーダー4)という取引ツールを提供していることがあります。
特に海外ではメジャーとなっている取引ツールです。
mt4ではストキャスティクスをはじめ、数多くのテクニカル指標を装備しています。
スマホ版mt4のチャートにストキャスティクスを表示させたいときは、チャート画面にある「f」のアイコンを押します。
インジケータ画面より「メインウィンドウ」を押し、「インジケータ追加」画面より「Stochastic Oscillator」を押してください。
mt4でのストキャスティクスでは、次のパラメーターを用意しています。
- %K期間
- %D期間
- スローイング
- 適用価格帯
- 移動平均の種別
- メイン
- シグナル
ファストの設定は次のとおりです。
- %K期間:5
- %D期間:3
- スローイング:1
スローの設定は次をご覧ください。
- %K期間:5
- %D期間:3
- スローイング:3
相場にあわせて、%K期間や%D期間の設定を変更してみてください。
移動平均の種別の設定はSimpleのままで良いでしょう。
迷ったら%Kより%Dの動きに着目しよう
相場では買われすぎだけどもっと買われる、売られすぎだけどもっと売られるという現象がよく見られます。
ストキャスティクスで買われすぎ、売られすぎのゾーンに入ったけど、どうするか迷ったときは、%Kより%Dの動きに着目すると良いでしょう。
1度目のクロスだとフェイクにあうときは、2度目のクロスを参考にする方法も有効です。
また、mt4にはバックテスト機能が付いています。
ストキャスティクスで実際に取引する前にバックテストしてみてください。
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まとめ
今回はデイトレードの必需品であるストキャスティクスとはどのような指標であるのか?
また、実際にはどのような場面で活用するのかをご紹介してきました。
意外なことにストキャスティクスは長いスパンのほうが精度が上がることがお分かりいただけたと思います。
デイトレードだけではなく、買い銘柄の利確の判断にも活用したい指標であるといえます。
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