「金利の低い銀行に預金するよりも、クラウドファンディングで運用してみたい」
「できるだけ安全性が高い方法で、さまざまな不動産に投資したい」
不動産への少額投資を検討する人に、不動産投資型クラウドファンディングの「TATERU Funding」はかつて大きな注目を集めていました。
当初は38億円もの資金を集めた実績があり、数多くのユーザーが投資している実績があったからです。
ユーザーの投資したお金は優先出資金となり、3割までの損失であれば元本が保証されるのがメリットと言われていました。
しかし現在、株式会社TATERUは350件の融資資料を改ざんした問題が起こったため、新規ファンドを公開していません。
いったいTATERUで何が起こったのでしょうか?
このコンテンツでは、TATERU Fundingの特徴やメリット、デメリット、そして、どのような不祥事が起こったのかを詳しくご説明します。
目次
Contents
TATERU Fundingの特徴
「TATERU Funding(タテルファンディング)」は不動産の企画から開発、運営を担当している株式会社TATERUが提供するサービスです。
株式会社TATERUは東証一部上場企業であり、当初は投資家からの信頼を得ていました。
TATERUは以下のような理由で、不動産投資家から大きな注目を集めていたのです。
ファンドの最低投資額は1万円であり、会員であれば誰でも不動産に少額投資できるのが特徴。
多額の資金がなくても不動産を間接的に運用できて、賃貸収入(インカムゲイン)や売却益(キャピタルゲイン)によるリターンを得られます。
TATERUが扱うファンドの予定分配率は約4%のものが多く、他のソーシャルレンディングに比べると利回りは低めです。
投資で得られるリターンが少ない分、損失リスクを抑えられる利点があります。
運営会社の融資資料改ざん等により2019年7月現在、新規ファンドの募集再開の見込みはありません。
ですが政府機関との協議の上、TATERU Fundingのサービスが再開する可能性は十分あります。
サービスの利用方法
不動産投資型クラウドファンディングを利用するには、まずTATERU Fundingの公式ホームページを開きます。
ページ上部に「会員登録する」ボタンがあるため、それをタップしましょう。
会員登録ページには、あなたの名前やメールアドレス、住所等を入力する項目があります。
各項目に情報を入力して申請することで、登録したメールアドレスとパスワードでマイページにログインすることが可能です。
マイページにある「会員情報変更」を開くことで、投資するために必要な情報を入力する画面に進めます。
出資者情報の入力や本人確認書類の提出が完了することで、運営会社から確認ハガキが送られる仕組みです。
登録した住所に届いたハガキを受け取ることで、投資家の本人確認が完了します。
後は案内メールやホームページから投資したいファンドを探して、可能であればファンドへの出資を応募しましょう。
ファンドへの出資が確定したら、契約への同意や出資金の振込が指示されます。
指示に従って手続きすることでファンドへの出資が完了して、問題なく運用が終われば分配金と出資金が払い戻される仕組みです。
投資先の具体例
2018年8月にTATERUはキャピタル重視型第44~47号のTATERU APファンドの募集が完了したことを告知しています。
各ファンドで運用している不動産はそれぞれ以下の通りです。
- 千葉県柏にある木造アパート1棟・募集総額は6,440万円・予定分配率は年利4.5%
- 大阪市にある木造アパート1棟・募集総額は6,510万円・予定分配率は年利4.5%
- 埼玉県川口にある木造アパート1棟・募集金額は8,680万円・予定分配率は年利4.5%
- 名古屋市にある木造アパート1棟・募集金額は6,580万円・予定分配率は年利4.5%
これらのファンドはすべてキャピタル重視型ファンドであり、物件の売却益によるリターン獲得を目的とします。
TATERUのアパート会員に建物を売却して、その売却益が投資家に分配される仕組みです。
不動産の建築前にファンドへ投資できて、より手軽にアパートの経営を経験できるのがメリット。
TATERUのWebサイトやスマホアプリから簡単にこのような不動産へ投資できます。
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TATERU Fundingのメリット
「利回りが低い傾向であるTATERU Fundingを利用する意味ってあるの?」と思う人はいるかもしれません。
TATERU Fundingで不動産投資することには、主に3つのメリットがあります。
- 出資したファンドを途中解約できる
- 出金時手数料が無料
- 元本の安全性が高い
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
出資したファンドを途中解約できる
大半のソーシャルレンディングではファンドの運用途中に解約することは不可能です。
しかしTATERU Fundingであれば、お問い合わせフォームから解約を申し込めます。
やむを得ない理由により解約を申請することで、運用途中のファンドを途中で解約できるのです。
もし急に資金が必要になったとき、途中解約することで資金不足を解消できます。
出金時手数料が無料
TATERU Fundingでは専用口座への入金手数料は有料ですが、出金手数料は無料です。
ファンドから払い戻された分配金や出資金を、手数料なしで銀行口座に出金できる利点があります。
出金手数料を有料とするソーシャルレンディング業者は多いですが、TATERUであれば少ない手数料で済むのが特徴。
手数料の支払いを気にする投資家にとってTATERUは最適ですね。
元本の安全性が高い
TATERU Fundingのファンドは投資家と運営会社がそれぞれ出資していて、投資家が優先出資できるルールです。
運営会社の出資割合は3割であり、3割までの損失であれば投資家の元本に影響しません。
つまりファンドをうまく運用できなかったとしても、元本割れを防げる可能性はあるもの。
個人で投資するのとは異なり、運営会社がある程度まで損失をカバーしてくれるのは大きなメリットですね。
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TATERU Fundingのデメリット
TATERU Fundingは不動産投資のリスクが少ないメリットはありますが、投資家にとってデメリットもあるサービス。
特に知っておくべきTATERU Fundingのデメリットは以下の2つです。
- 投資できるファンドがない(2019年7月現在)
- 運営会社に悪評がある
デメリットについて詳しく解説します。
投資できるファンドがない(2019年7月現在)
TATERU Fundingにおける最新のファンドは2018年8月に募集が終了していて、その後に新規ファンドは公開されていません。
たとえ会員登録をしても、投資できるファンドがないため注意しましょう。
運営会社に悪評がある
新規ファンドが公開されていない理由として、株式会社TATERUが350件の融資資料を改ざんした問題があります。
資金があまりない顧客と契約するために、社員が書類を改ざんしていたのです。
この問題によって2018年9月から新規ファンドの募集を一時停止して、ファンドの運用中止や解約という対応をしています。
新しいファンドの募集が始まるかどうかは今のところ不明です。
クラウドファンディングやソーシャルレンディングは、信頼性が最も重要です。
今回の資料改ざんのニュースは、タテル社には大きなインパクトを及ぼしています。
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TATERUが起こした預金データ改ざん問題とは?
TATERUで起こった預金データ改ざん問題とはどのようなものだったのか、もう少し詳しく見てみましょう。
簡単に言うと、融資の申請に通すために、TATERUの一部社員が申請者の銀行預金残高を改ざんした融資の申請書を作ったのです。
2018年に50代の男性会社員がTATERUと、約1億1000万円相当の木造3階建て全9戸のアパートの土地売買と工事請負契約を結びました。
その際に、男性の銀行口座の残高は約23万円だったので、融資の申請を通すのは明らかに無理です。
しかし、融資の申請は通ったため不審に思った男性は、申請に問題がなかったかを知るために銀行に残高証明書の開示を求めました。
すると、約23万円だったにもかかわらず、約623万円に水増しされていたのです。
その後の調査で、このような行為は2010年頃から行われていたこともわかりました。
調査の結果、残高の水増しは、調査対象の2,269件のうち、350件で行われており、不正にかかわっていた社員は31人だったということです。
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TATERUのその後は?
問題が明るみに出た後、TATERUは特別調査委員会を設置して実態調査を行っています。
また、再発防止策の策定や役員報酬の減額などの対応も行いました。
再発防止策として、業務フローの変更や契約手続きの厳格化、内部監査室による業務モニタリングの実施、コンプライアンス順守体制の見直し、内部通報制度の強化などです。
問題が発覚するまで、TATERUは順調に売り上げを伸ばしており、2016年末以降は四半期ごとに100億円台でした。
ところが、問題が発覚した2018年には、第2四半期には約226億円だったのに対し、第3四半期では約134億円にまで落ちました。
ただ、預金残高改ざんという大きな問題を起こした割には、2018年の第4四半期には過去最高の約283億円の売り上げをたたき出しています。
経営破綻するどころか、むしろ売上を伸ばしています。
これは、もともと会社に大きな資金力があったからだと考えられます。
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レオパレスやスルガ銀行の問題と何が違う?
同じような不祥事として、レオパレスやスルガ銀行の不祥事を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか?
どれも同じような問題のように見えますが、TATERUの問題とレオパレスとスルガ銀行の問題は大きく異なります。
レオパレスのケースは、1,324棟のアパートが耐火性基準を満たしていないことがわかり、約7,000人が転居を迫られたというものでした。
安全性の問題ですし、住んでいる人たちが退去を求められるという実害が出ています。
一方、スルガ銀行のケースでは、795件のサブリース物件で書類の改ざんを行っていました。
その結果、サブリース物件の運営会社は入居者を確保できなくなり破産したため、入居者が退去を余儀なくされた可能性があります。
しかし、TATERUのケースは、建物自体に問題はなく居住者の転居の必要もありません。
また、オーナーが賃料を得られないなどの問題も起こっていませんでした。
ですから、TATERUとは、本質的に問題が違うことがわかります。
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まとめ
TATERU Fundingは国内の不動産に投資できるクラウドファンディングサービスです。
1口1万円から投資できて、ある程度の損失まで元本が保証されるメリットがあります。
融資資料改ざんという不祥事が起きたため、一時的に売り上げを落としていますが、持ち直しています。
また、今後の対応によってはファンドの運用が再開する場合もあるとのことです。
ただ、一度不祥事を起こしてしまった以上、悪印象は拭えず、要注意とも言えるでしょう。
TATERU Fundingの今後の動向に注目です。
以上、【タテル】資料改ざんの不祥事ニュースで新規ファンド公開停止中!評判の「TATERU Funding」の特徴を解説。…でした。
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