【TCTZF】テンセントの株価推移を予想!力強い成長を見せる中国テックジャイアントの今後を見通す。

【TCTZF】テンセントの株価推移を予想!力強い成長を見せる中国テックジャイアントの今後を見通す。

テンセント(Tencent Holdings Limited)は1998年に馬化騰氏によって創業された売上高では世界最大のゲーム企業です。

 

特にアプリの収益は世界一を誇っています。

アクティビジョン・ブリザードやユービーアイソフトといった他の大手ゲーム会社の大株主でもあります。

同社の著名なゲームは「League of Legends」や「Fortnite」です。

 

創業者の馬化騰はアジア1位の富豪にもなっています。

2017年にはアジアの企業で初めて時価総額は5000億ドルを突破。

フェイスブックを超えてアップル・グーグル・アマゾン・マイクロソフトといった世界五大企業に入りました。

 

同社はゲーム事業以外にも、中国版Lineや中国版メッセンジャーとしばしば例えられる「WeChat」を提供。

中国のSNS市場を席巻しています。

月間アクティブユーザー数はおよそ11億人程度といわれ、世界最大のSNSとなっています。

 

競合であるLineの月間アクティブユーザー数は2.2憶人、メッセンジャーは6.0憶人程度であると言われています。

 

中国ではスマートフォンの普及が急速に進んでいます。

SNSの需要が高まっているのと同時に、ゲームに関してもPCからスマートフォンにシフトしつつあります。

このような市場の後押しもあり、時価総額では世界トップクラスです。

 

実際に、テンセントの中国市場でのクライアントゲームでのマーケットシェアは50%を優に上回り他社を圧倒しています。

中国の場合、政府の規制により海外の企業の参入が難しくなっています。

海外企業にとっては、テンセントのような大企業のプラットフォームに自社ゲームをライセンスすることは、中国市場を開拓するうえでも、大きなメリットとなっています。

たとえば、日本に本社を置くネクソンもテンセントを通じて、PCオンラインゲームであるアラド戦記「Dungeon&Fighter」を提供しています。

 

一度マーケットで大きなシェアを獲得してしまえば、国外の著名ゲーム会社との間でライセンス契約を締結することにより、

同社のシェアも日々拡大を続けていくわけです。

 

本記事ではそんな中国大手企業の中でも特に勢いのあるテンセントの展望について分析していきます。

 

 

■投資判断基準:中長期的に「買い」

▷ 企業規模が大きいにも関わらず高成長率を維持しており、多数のサービスをリリースしている。

▷ 主力のゲーム事業に依存せずFintechやクラウド事業、SNS等幅広く事業を展開している。

▷ 業績不振は一時的外的要因であると考えられる。

■ 指標関連:

▷ 直近5年間だけを見ても増配が継続されており、株価下落により配当利回りも悪くない水準。

▷ PERも過去5年間で最も割安な水準である。

■ 業績見通し:

▷2019年度も前期比大幅成長の見通し。

■ 株主還元:

▷直近5年は増配しており高評価。

 

 

売上構成比率もバランスがよくFINTEC市場にも進出!

2018年年度のテンセントの売上高構成を見てみると、かなりバランスの取れた構成となっております。

リスクヘッジがなされている状況ですね。

主力のゲーム事業の売上高は全体の33%とやや高めではありますが、ゲーム事業に依存しているわけではなさそうです。

 

SNSに関しても、「WeChat」は既に中国国内での地位を確立しています。

よって、今後大きく売り上げを減らすことは考えにくいと思われます。

 

テンセントの事業別の売上高校生比率

 

その他分野では、Fintech分野での売上高も注目に値します。

特にFintech分野の中でも各社がこぞって開発を進めているオンライン決済サービスですが、

同社も「WeChat Pay」を提供しています。

 

中国最大のSNSである「WeChat」を基盤としたオンライン決済サービスですので見込みユーザー数も多く、

今後の同社の成長を後押しするでしょう。

 

加えて、同社は海外進出も加速させており、海外売上高を増加させる方向であるようです。

クラウド事業については世界シェアの50%以上を占める米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」とマイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」と競合することとなりますので、

海外事業においては自社の強みであるゲーム、ショート動画、教育、ECなどの分野を優先的に拡大させていくものと考えられます。

 

決算に裏打ちされる力強い成長

それでは、テンセントの業績と最新の決算情報について確認していきたいと思います。

(百万CNY)Dec-14Dec-15Dec-16Dec-17Dec-18Dec-19
売上高78,932.00102,863.00151,938.00237,760.00312,694.00383,058.89
営業利益30,542.0040,627.0056,117.0090,302.0097,648.00101,895.00
税引前当期利益29,013.0036,216.0051,640.0088,215.0094,466.00116,681.13
当期利益23,810.0028,806.0041,095.0071,510.0078,719.0096,840.34

 

図に示すと以下の通りとなります。

 

テンセントの業績推移

 

過去5年の業績ですが、毎年右肩上がりの成長を実現しています。

2019年に米中貿易戦争が本格化しましたが、同社の2019年度の売上高は前年比大きなプラスとなる見込みです。

 

【最新決算情報】市場予想の下限に届かず・・・

2019年11月13日、テンセントが発表した2019年第3四半期の決算ですが、

中国経済の減速により市場予想の下限を下回る結果となってしまいました。

 

売上高は約1兆5558億円(972億元)で前年同期比で21%の増加、

オンラインゲーム事業売上は約4576億円(286億元)、前年同期比で11%増、

スマホゲーム事業売上は約3888億円(243億元)、前年同期比25%増とゲーム事業売上が引き続き拡大しましたが、

決算は最も弱気なアナリスト予想をも下回る結果となりました。

 

景気が減速した際に真っ先に削られる費用である広告費が削減されたことにより、

中国の景気減速で企業の間で広告を打つ意欲がそがれ、

動画や音楽のストリーミングサービス契約も振るわなくなったことで、広告収入が打撃を受けました。

 

更に中国で青少年の近視率が上昇したことを受け、

政府が新規ゲームの承認を凍結したことで成長が一時的に鈍化したことも重荷となりました。

 

テンセントの株価を指標から紐解く

テンセントのPERについて見ていきましょう。

 Dec-14Dec-15Dec-16Dec-17Dec-18Dec-19
PER(倍)39.3444.4139.0448.234.6329.3

 

図示すると以下のようになります。

テンセントのPERの推移

 

PERについては、2014年から2017年までは40倍前後で推移していましたが、2018年から2019年にかけては低下しています。

特に2019年は決算が不振であり、株価下落に伴いPERも下落しました。

次にテンセントの1株あたりの純利益(EPS)と純資産(BPS)の推移をみてみましょう。

 

 Dec-14Dec-15Dec-16Dec-17Dec-18Dec-19
EPS2.573.094.387.598.3310.08
BPS8.5312.7618.4226.9533.9843.1

 

図示すると以下のようになります。

テンセントのEPSとBPSの推移

 

BPSはテンセントの売上高に連動する形で毎年上昇していますが、

直近3年間のEPSは新規事業への投資による費用の増加や中国政府のゲーム規制といったマクロ的要因により減少しています。

 

最後に同社の配当金についてみてみましょう。

 

 Dec-14Dec-15Dec-16Dec-17Dec-18Dec-19
配当
(ドル)
0.190.390.540.730.871.09
配当利回り2.54%2.25%2.56%2.07%2.89%3.41%

 

同社は過去5年間をみても、収益率が不安定な中増配を継続しており積極的な株主還元を進めています。

特に2019年は、中国政府の規制の影響が決算に表れ株価が下落したことにより、配当利回りが相対的に上昇しています。

 

テンセントの将来は?

以下はテンセントの直近5年間の株価水準ですが、テンセントの株価は、直近5年間で3倍以上に成長していますが、

2019年前半から下落トレンドに入っており、直近は40ドルから45ドル前後で推移しています。

 

テンセントの株価推移

 

2019年度の同社の不振な決算は中国政府のゲーム承認の凍結といった規制によるものですので、一時的な落ち込みであると考えられます。

今後は主力であるゲーム事業は海外企業とライセンス契約を積極的に締結し、

中国国内のみならず海外に積極的に売り込みに行くことで活路を見出すことが想定されます。

 

EPSの増加率から株価水準を予想する

テンセントの2014年から2019年までのEPSの年平均増加率はCAGRを用いて算出すると31.43%と算出されます。

保守的にEPS成長率10%、20%、5年平均31.43%で上昇した場合のEPSの推移は以下となります。

 

EPS予想10%成長20%成長31.43%成長
20-Dec11.0912.1013.25
21-Dec12.2014.5217.41
22-Dec13.4217.4222.88
23-Dec14.7620.9030.08
24-Dec16.2325.0839.53
25-Dec17.8630.1051.96

 

PERについては、保守的に2014年12月期から2019年12月期まで最小値である29.30倍を使用して株価を算出します。

 

なお、EPSについては中国元ベースであることから、こちらをUSD換算します。

1USD=7.04CNY程度ですので、計算には1USD=7.04CNYを換算レートとして用いました。

 

株価予想10%成長20%成長31.43%成長
20-Dec46.1550.3455.14
21-Dec50.7660.4172.47
22-Dec55.8472.4995.24
23-Dec61.4286.99125.18
24-Dec67.56104.39164.52
25-Dec74.32125.27216.23

 

現時点の株価が$42近辺ですので、テンセントの成長率が鈍化しない限り、

保守的に見積もっても2025年には$74-$125を目指せる水準となります。

 

尚、上記の想定はあくまでテンセントのクレジットイベントが発生せず且つカントリーリスクが顕在化しないうえで、

同社が現状の成長率を維持するという見通しである場合の想定となります。

まとめ

テンセントは常に成長していますが、予想比で弱ぶくんだことで一時的に株価は下落しています。

そのため、割安になっていますが今後も業績は急成長が見込まれています。

長期的に中国のSNS市場を制していることもあり大きな期待が見込める企業であるといえます。

 

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2019年9月17日

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。