2018年にテレビ朝日で放映されたテレビドラマ「ハゲタカ」をご存知でしょうか?
元々は、2007年に土曜ドラマとしてNHKでハゲタカが題材になったドラマが放映された作品でした。
しかし、近年新しくドラマ化され、世間の注目を浴びました。
ただ、この「ハゲタカファンド」。
現実世界で実際にどのようなことを行っているか、詳しく知っている人は少ないかと思われます。
今回は、このハゲタカファンドについて、解説していきます。
目次
Contents
ハゲタカファンドとは?
ハゲタカファンドとは、「倒産間際の企業の株式や債券を買い占めて、その後、企業を再生、合併させるなどして業績を回復させ、
値上がりした株式、債券を売却し、多額の利益をえる」ファンドを指します。
ボロボロの企業を買い叩く姿が、鷲や鷹に似ていることから「ハゲタカ」という呼称が充てられるようになりました。
ハゲタカファンドは、企業の株、債券を購入した後、自ら企業再生に介入していきます。
企業を再生させないと、買った株式、債券がすべて紙くずになるため、再生させることを至上命題として改革に取り組みます。
この改革は、半ば力づくで行われることが多いため、社内ではリストラが横行する等、様々な事象が発生します。
ただ、倒産しかかっている企業を復活させるということは、
その企業にとっては意義にあるものになるため、ハゲタカを英雄視する人も少なからず存在します。
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ハゲタカファンドには種類がある?
ハゲタカファンドという形式のファンドはありません。
倒産間近の企業の買収・バリューアップを実行しキャピタルゲインを狙っていくファンドの中に存在しているのです。
上記のファンドは大きくわけて以下の系統に分類できます。
- PEファンド系
- ヘッジファンド系
- 投資銀行系
- ベンチャーキャピタル系
PEファンド系
「PEファンド」とは未公開株を取得します。
取得した企業を経営し、企業価値をあげて上場、もしくは会社売却を目標とします。
キャピタルゲインを獲得することを生業としている会社です。
PEファンドは未公開株にしぼって投資をしますが、ハゲタカファンドは上場企業を主な投資対象とする違いがあります。
米国ではBlack Stone、カーライルなどが有名です。
PEファンドはハゲタカファンドのように経営危機の会社の再建に取り組むだけではありません。
まだまだ成長余地のある安定した業績をあげている企業の株式を取得することもあります。
和製のPEファンドは、例えば以下のような会社があります。
■ ユニゾン・キャピタル:
ユニゾン・キャピタルは1998年に設立された独立系のファンドです。
日本では比較的老舗のPEファンドとして知られています。
金融、省庁と密接なパイプをもっており、投資先の企業再生に役立てています。
■ アドバンテッジ・パートナーズ:
アドバンテッジ・パートナーズは、流通・小売、メーカー、ITなど様々な企業の再生を手掛けてきた実績を持っています。
有名な企業では、東京スター銀行、やる気スイッチグループ、ポッカサッポロフード&ビバレッジ、ダイエー、ニッセンホールディングス、コメダなどが挙げられます。
企業の経営陣と協議を勧めながら再生事業を行っていくスタイルで、提携企業からの信頼も厚いヘッジファンドです。
■ 日本産業パートナーズ:
日本産業パートナーズは、2002年に創業されたヘッジファンドで、すかいらーく等の大企業や中堅企業に対する出資を中心に行っています。
得意分野は、大企業グループから戦略的な分割・独立で、これまで数多くの実績をあげています。
最近では、NECグループに属するIT企業、BIGLOBEの独立に対して出資する等、活発な投資活動を行っています。
ヘッジファンド系
ヘッジファンドは、主に富裕層から資産を預かり、市場環境を選ばずリターンを貪欲に求める組織形態となっています。
ヘッジファンドは通常株式や債券などを時には空売りを交えながら収益の追求をおこなっています。
特に運用手法に制限はなく、どのような状況でも収益獲得を狙う取引を行うファンドをヘッジファンドと呼んでいます。
運用方法の一つに、企業価値を高めることができる会社に投資をし経営参画しリターンを狙っていく方法があります。
手法の一つにハゲタカファンドのような動きをすることがあるのです。
ヘッジファンドはハゲタカファンドを包含しているということができるでしょう。
投資銀行系
投資銀行系のハゲタカファンドは、株式、債券回収後に自ら再生に着手するというのが少ないです。
大半は、外部から専門家や有識者を雇い、企業の改革に従事させます。
あくまでも、「出資する」ことにフォーカスしており、改革の流れや進め方は雇われた有識者、専門家に任されることが多いです。
投資銀行は資本の厚さから、多額の資金をつぎ込めるため、大型企業の再生や合併に介入することが多いです。
ベンチャーキャピタル系
ベンチャーキャピタルとは、設立間もないベンチャー企業に対して出資するファンドです。
もともと、ハイリスク・ハイリターンの事業であるため、倒産間際の企業の株、債券購入に対しても耐性があります。
ただ、コンサル系、投資銀行系のハゲタカと比べると規模が小さい傾向にあるため、
大企業の株式、債券回収には積極的に参入できていない印象ですね。
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ハゲタカファンドは正義か、それとも悪か?
ハゲタカファンドは、見方によって「正義」の存在にもなりますし「悪」の存在にもなり得ます。
たとえば、企業上層部にとっては倒産という最悪の状態を免れるため、ハゲタカファンドは正義に見えるかもしれません。
対して、従業員や取引先にとってはハゲタカの買収により経営方針が変わったり、
リストラが慣行されるため、悪の存在に見えるでしょう。
その狭間の中で、ハゲタカファンドは多額のキャピタルゲインを狙っています。
ハゲタカファンドは、ドラマのイメージもあるせいか、日本では「金に目がくらんだ組織」という印象が強いです。
ただ、アメリカやイギリスなどの金融先進国では、ハゲタカファンドは投資銀行の一形態に過ぎません。
弱った企業が買収されるのは当然のことという認識がなされています。
資本主義経済の思想を踏まえれば、ハゲタカの存在は至極当然であるというスタンスですね。
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今後、ハゲタカファンドはどうなる?
創業家が事業継承のために企業買収ファンドなどと提携する等、企業買収のニーズは年々高まっている傾向にあります。
戦前は、企業買収ファンドが行っていた出資は国が行っていました。
しかし、戦後の民主化、資本主義の促進によって、国の介入は無くなりました。
国が果たしていた役目を代替する形でハゲタカファンドなどが登場していきました。
企業買収ファンドは単なる利益獲得という段階を超えて、広く企業の経営を支援をします。
銀行が企業に出資するケースもありますが、銀行の本業はあくまでも「融資」であり、「出資」ではありません。
その点、企業買収ファンドは独自の地位を形成していると言えますね。
今後、企業買収ファンドはその存在感を更に高めていくことが予想されます。
太平洋戦争が終わって70年以上が経過し、戦後に設立された企業の事業継承が続々と行われています。
株式上場を目指す企業も多く、企業買収ファンドに上場に向けた買収を依頼するようになっています。
ドラマの影響もあり、「ハゲタカ=悪役」というイメージがあります。
しかし、実際のところは、「企業買収ファンド」としてビジネスが成立しております。
今や企業の上場手続きを代行する重要機関となりました。
まだ、ハゲタカファンドがメディアで大々的に扱われることはありませんが、近い将来、紙面に当然のように記載される日が来るかもしれません。
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まとめ
企業買収(ハゲタカ)ファンドは、企業の上場や経営体制の改善を支援する機関として、独自の地位をつくりあげています。
企業買収(ハゲタカ)ファンドは、お金儲けを第一にしているというわけではありません。
ベンチャーキャピタルのように、社会貢献に重きを置いているファンドもあります。
ハゲタカファンドが脚光を浴びることは、そこまで多くありません。
今後の事業継承ブームで、日本でもその存在感を強めていく可能性が高いです。
企業買収ファンドの動向に今後も要注目ですね。
以上、日本のテレビドラマで話題になったハゲタカファンドとは!ヘッジファンドとは何が違うの?その手口と仕組みを解説。…の話題でした。