企業の新商品の開発や増配などの「好材料」により、株価が変動しやすい銘柄を「材料株(ざいりょうかぶ)」と呼びます。
材料株は短期間で価格が大きく変動します。
その点、株式トレードで利益を狙いやすいのがポイントです。
空売りなどを行う場合には特に、注目したい株取引の情報です。
このコンテンツでは、そんな材料株の特徴や見つける方法について解説します。
Contents
材料株とは?材料を見つけて投資に活用しよう!
投資家に対してプラスの材料があり、株価が上昇している銘柄を「材料株」といいます。
株価が安い銘柄ほど好材料により変動しやすく、過去にはストップ高まで株価が高騰した材料株も複数ありました。
基本的に株価は好材料により上がり、悪材料により下がる傾向があります。
例えば、会社が新商品を開発して売上が伸びることが予想されれば、その会社の株価も上昇しやすくなるのです。
ただ、材料株の場合は好材料だけでなく、株価の上昇により投資家の買いを集めている側面もあります。
そのため、株価が上昇した後に暴落する材料株は多いです。
材料株に投資して利益を得るには、ルールを決めて「損切り」を徹底することが重要です。
高騰・暴落を繰り返す傾向があるため、底値を見極めることでリターンを得やすくなります。
仕手株とのちがい
材料株と似たような意味合いで使われる言葉として仕手株があります。
仕手株は資金力のある投資集団や組織により株価が操作される銘柄であり、戦略的に売買されるのが特徴です。
利益を求める集団が株価をコントロールするため、材料に関わらず株価が変動するのが異なるポイントです。
過去には会社に関わるニュースがなくても、株価が高騰した仕手株も複数ありました。
株価が高騰した後に暴落するという値動きの特徴が似ているため、実際には仕手株と材料株を区別するのは難しいです。
そのため材料株と仕手株を同一視している投資家も一部にはいます。
過去の事例
過去に材料で株価が急激に変動した銘柄として「日本サード・パーティ(2488)」があります。
日本サード・パーティは2016年11月に大手IT企業であるNVIDIAとサポート契約を締結。
GPU分野におけるリーディングカンパニーと契約したことにより、2017年1月には株価が約1,400円程度まで高騰しました。
ですが、その後の2ヶ月で株価が800円まで下落しています。
その後も株価の高騰と暴落が繰り返し発生して、2019年10月18日には1,000円あたりを推移。
業績が大きく向上する契約を締結できたことで、日本サード・パーティの株価は大きく上昇しました。
会社のファンダメンタルがよければ材料による高騰・暴落があっても、最終的には株価が上昇していく傾向。
逆に材料だけで株価が伸びた銘柄の場合、暴落したままの株価が続くケースがよくあります。
材料株を見つける方法
「好材料によって株価が急騰しやすい銘柄を見つけたい」と思う人は多くいるでしょう。
買った後に株価が倍以上に高騰すれば、その分だけ大きなリターンを得られます。
あなたが高騰しやすい材料株を探すときに目安となる指標は次の通りです。
- 株価が500円未満の低位株であり、投資家からの人気があまりない銘柄
- 信用取引により売買できる銘柄
- 発行済み株式数が5,000万株未満であり、規模の小さい銘柄
発行された株式数が少なくて、株価が小さい銘柄であれば、好材料により高騰しやすいものです。
条件検索やスクリーニングなどを活用して、条件を満たした銘柄を検索してみましょう。
また、時代の流れに合わせてサービスや商品を開発している企業も材料株となる場合があります。
ニュースやインターネットでさまざまな情報や統計を見ておくこともオススメです。
投資するときのコツ
材料株は仕手株と似たような値動きをするため、高騰後に暴落するリスクがあります。
投資前にはルールを決めておき、損切りを徹底することが材料株でリターンを得るコツです。
例えば「購入価格から8%下がったら損切りする」「700円を下回ったら手放す」などのルールにより、
暴落による損失を抑えられます。
急な値動きで損を増やさないためには、ルールを守って損切りしなければなりません。
もしルールに従って損切りしないと、材料株が暴落した後に損失を持ち続けるリスクがあります。
上昇トレンドがなくなれば含み損だけが残り、利益を得る機会を失ってしまうものです。
どうしても損切りできないのであれば、最初から材料株に投資しないほうが安全です。
短期間で株価が急に変動する材料株には、暴落という大きなリスクがあることを知っておきましょう。
材料株・仕手株は損切りについて学ぶための格好の材料です。
株取引の技術や手法について学びたいなら、挑戦してみてもよいでしょう。
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株価が上がる材料とは
「どのような材料により株価が伸びるのか気になる」と思う投資家は多くいるでしょう。
一般的に株価が上昇する材料を好材料と呼び、次のような要素が好材料となりえます。
- 業績の上方修正
- 株主優待制度の拡充
- 新商品・サービスの開発
- 投資家への増配
- 自社株買い
- M&AやTOBの発表
それぞれの要素について詳しく見てみましょう。
業績の上方修正
企業は毎年決算発表で業績の実績値と来年度の業績予想を発表します。
しかし、業績が好調な場合、この業績予想を上方修正する場合があります。
業績の上方修正の発表があると、株価は上がります。
株主優待制度の拡充
株主優待制度が拡充されると、その企業で使える金券や商品が今よりも多くもらえるようになります。
その企業の人気が上がります。その結果、株価も上がります。
新商品・サービスの開発
会社が新しい商品やサービスを開発した場合、消費者のニーズを満たせることで売上が増える可能性があります。
業績がよくなれば配当に期待できるため、株価が高くなる場合がよくあります。
例えば大手IT企業であるAppleは毎年新しいiPhoneを開発した結果、2009年から2019年で株価を約10倍まで上昇させました。
ニーズのある商品を生み出せる会社は株価が高くなりやすいです。
投資家への増配
会社の経営陣が株式に投資してもらうために、投資家への配当金を増やす場合もあります。
増配が決まると利回りが上昇するため、利益を求める投資家の買いにより株価が上昇しやすいです。
例えばソフトバンクは2019年5月に配当性向を85%まで高めて、10円も増配をしました。
その結果として株価が1,300円台から1,500円台まで緩やかに上昇した実績があります。
自社株買い
会社が投資家向けに発行した株式を、会社自ら買い戻すことを「自社株買い」と呼びます。
株式が買い戻されることで1株あたりの価値が上昇して、結果的に株価が上昇する仕組みです。
例えばトヨタ自動車は2019年5月から9月末までに5,000万株を上限とした自社株買いを決定。
トヨタが株式を買い戻すことで7月には5%の株価上昇を達成しました。
M&AやTOBの発表
M&AやTOBが行われると、買収される企業の株を買収企業が買い集めます。
そのため、買収される企業の株価が上がりやすくなります。
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株価が下がる材料とは
新商品・サービスの開発や投資家への還元といった好材料により、会社の株価は上昇します。
そして好材料の逆となる要素が悪材料となり、会社の株価を下げてしまうものです。
株価を下げる悪材料の具体例は次の通りです。
- 売上予想や業績の下方修正
- 配当金の減配・無配の発表
- 株主優待制度の廃止
- 公募増資
- 企業内における不祥事
- 大型投資の発表
例えば、バイトテロが発生した大戸屋ホールディングスでは、利益予想や配当の低下により株価が下落。
2019年3月から5月で200円ほどの株価が下がりました。
しかし、その後にコロワイド社が大戸屋HDの株式を大量に取得したため、2019年10月には株価が200円ほど上昇しています。
悪材料と好材料のバランスによりトレンドは変化するのです。
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株価材料の情報一覧
株価は円安になるとどうなるか?金利はどう関係しているのか?
季節によって業界の景気はどう動くのか?などを知っておくと、材料を見定めやすくなります。
ここでは、株価材料の情報一覧をご紹介します。
ただし、この表はそれぞれの材料に対する一般的な株価の変動を表しているものなので、必ずこうなるというものではありません。
ですから、あくまで参考程度にとどめることをおすすめします。
<株価材料一覧>
材料 | 株価の変動 | |
金利 | 上昇 | 下落 |
下落 | 上昇 | |
為替 | 円高 | 輸入企業:上昇 輸出企業:下落 |
円安 | 輸入企業:下落 輸出企業:上昇 | |
物価 | 上昇 | 上昇 |
下落 | 下落 | |
雇用 | 増加 | 上昇 |
減少 | 下落 | |
原油価格 | 上昇 | 上昇 |
下落 | 下落 | |
設備投資 | 増加 | 上昇 |
減少 | 下落 | |
企業動向 | 増益・増配 | 上昇 |
減益・減配 | 下落 | |
投資判断 | 引き上げ | 上昇 |
引き下げ | 下落 |
また、業界によっては、天候、景気、消費者の嗜好傾向、原油価格、海外情勢などの変化によって株価が変動することがあります。
各業界で次のようなものが材料となります。
- 水産業/農林業:天候、収穫高、消費者の嗜好
- 建設業:景気、公共事業、労働単価、金利
- 食品業:原材料価格
- 電気・ガス業:為替、天候、自由化の導入
- 情報通信業:通信技術開発、関連法案の制定・改定
- 小売業:景気、消費動向、出店
- 不動産業:景気、金利、地価、需要
- サービス業:景気、労働単価、消費動向
例えば、小麦価格が上昇すると製パン業者の株価が下落する、景気が後退すると小売業が後退し株価が下落するなどです。
その業界に関連する材料が変動すると株価に大きく影響しますので、しっかりと情報を収集しておくとよいでしょう。
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株価材料はどこで得られるのか?
株価材料は常に最新のものを得る必要がありますが、どこで得られるのでしょうか?
最新の株価情報を得られるサイトをご紹介しますので、ブックマークしておくとよいでしょう。
総合投資情報サイトのTRADERS WEBでは、最新のマーケットニュースや経済データが得られます。
Kabutanでは、市場ニュースや株価注意報、会社開示情報、銘柄の情報、証券会社比較など、株取引に必要な幅広い情報を得られます。
会社四季報のオンライン版です。マーケット情報や日本企業の旬な情報を得られるでしょう。
マーケット最新情報だけでなく、セミナーのお知らせなどの情報も得られます。登録すれば、無料のメルマガも読めます。
当サイトでもデーマ株特集を組んでおります。
今注目の銘柄群について興味のある方はご覧いただければと思います。
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まとめ
材料によって株価が変動しやすい銘柄が材料株と呼ばれます。
材料株は短期間で株価が高騰した後に暴落しやすく、仕手株と値動きが似ているのが特徴です。
これから材料株に投資して利益を狙うなら、決めたルールを守ってトレードすることが重要。
損切りできないと急な値動きで損失を増やしてしまい、リターンを逃すリスクがあります。
また、株価が変動する材料を把握しておき、日頃からニュースを見ておくことも重要です。
発行済株式数や株価の低い銘柄から材料株を探して、リスクを抑えた投資をしましょう。
以上、新商品開発などで株価が上昇する「材料株」とは?仕手株との違いと株価の変動しやすい銘柄の見つけ方を解説。…でした。