日本で最も有名な個人投資家であるBNF氏が活用している指標といえば、「移動平均乖離率」です。
資産を160万円から200億円以上にしたテクニカルとはどのようなものなのか興味がありますよね?
そこで今回は、移動平均乖離率についてご説明していきたいと思います。
また併せて、実際に相場で移動平均乖離率をどのように活用すればよいのかといった実戦向きのテクニックもご紹介していきたいと思います。
目次
Contents
移動平均乖離率とは?
移動平均乖離率とは移動平均線から現在の株価がどのくらい乖離(離れている)しているのかを示す指標です。
相場の買われすぎや売られすぎを判断するための指標といえます。
よって、移動平均乖離率は逆張り向きのオシレーター系のテクニカル指標です。
移動平均については以下で説明しております。
移動平均乖離率に使用する移動平均線のスパンとは
移動平均線には、5日移動平均線や25日移動平均線など、日数を自由に調整できる特徴もあります。
◼︎ 例:
- 5日移動平均線:過去5日間の終値を平均化、グラフ化したもの
- 25日移動平均線:過去25日間の終値を平均化、グラフ化したもの
そして移動平均乖離率で用いる移動平均線は、主に5日移動平均線と25日移動平均線です。
どちらも一般的な分析にも用いられ、短期・中期移動平均線とも呼びます。
なぜ100日や75日移動平均線といった長期移動平均線を使用しないかというと、短期売買を基本戦略とするためです。
短期間の売買には、同じく短期・中期の移動平均線を使用することで、より正確に分析できるようになります。
長期移動平均線では上昇トレンドでも、実際の株価は下落方向になっていることもあります。
そのため、売買を行うスパンと移動平均線の日数は、考えて設定しなければいけません。
移動平均線乖離率の計算方法
【移動平均乖離率の計算式】
移動平均乖離率(%)=(株価-移動平均線)÷移動平均線
【移動平均乖離率の計算】
(例1)移動平均線が1,000円、現在の株価が900円の場合の移動平均乖離率
移動平均乖離率={(900円-1,000円)÷1,000円}×100(%)= -10%
よって、移動平均乖離率は-10%という数値になります。
-10%は、一般的に売られすぎ・反発や上昇を示すレベルの乖離率です。
(例2)移動平均線が1,000円、現在の株価が1,100円の場合の移動平均乖離率
移動平均乖離率={(1,100円-1,000円)÷1,000円}×100(%)=10%
よって、移動平均乖離率は10%という数値になります。
10%は、一般的に買われすぎ・天井付近や下落の兆候を示すレベルの乖離率です。
【簡単に移動平均線乖離率を算出する方法】
証券会社などで提供されているツールを活用すると、自分で面倒な計算をすることなく移動平均線乖離率を算出することができます。
以下Yahooファイナンスで移動平均乖離率をみる方法をお伝えします。
- Yahooファイナンスのテクニカル分析に入る
- オシレーター系を選択する
移動平均線乖離率はオシレーター系のテクニカル・ツールです。
- 移動平均線乖離率を選択する
- 移動平均線乖離率が表示される
- 自分の投資スパンに合わせて、日足・週足・月足を使い分ける
自分の投資スパンに合わせたチャートを選択します。
≪投資スパンとチャート選択≫
投資スパン | チャート | 具体的な期間 |
長期投資 | 月足 | 1年以上 |
中期投資 | 週足 | 3ヵ月~1年 |
短期投資 | 日足 | 3か月未満 |
デイトレード | 5分足 | 1日 |
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移動平均線乖離率の基本的な活用方法
短中期移動平均線から短期移動平均乖離率で設定する
前半でも触れましたが、移動平均乖離率を活用した分析は、基本的に短期売買に用います。
ですので、個別銘柄のチャートも1日、もしくは1時間スパンに設定し、5日・15日・25日移動平均線のいずれかをチャートに照らし合わせます。
さらに移動平均乖離率も、25日もしくは15日などの短中期のスパンに設定することで、準備は完了です。
移動平均乖離率を日経平均へ活用
移動平均乖離率を活用した株価予測は、基本的に個別銘柄のチャートで行います。
しかし、株式投資初心者の中には、個別銘柄ごとに調べる手間が大変と感じるかと思います。
また、仕事で忙しく、なかなか分析できないという方は、日経平均に移動平均乖離率を活用してみるのもおすすめです。
日経平均株価は、東証一部上場のうち、代表的な日経225銘柄の平均値をチャートに表しています。
そして、25日移動平均線の移動平均乖離率が上下限10%となると、おおよその底値、および天井を判断可能です。
忙しい方は、日経平均と25日移動平均線の移動平均乖離率から、現在のトレンドを調べてみるといいでしょう。
移動平均線乖離率は逆張り投資向き
移動平均線乖離率は相場の買われすぎや売られすぎを判断するためのオシレーター系のテクニカル・ツールです。
ですから、逆張り投資で利用するのが一般的です。
買われすぎや売られすぎを判断できると、逆張りの重要なポイントでもある底値かどうかを分析しやすい状況につながります。
大きく移動平均線から乖離した場合
なぜ移動平均線乖離率を相場で活用することができるのでしょうか?
上図のように25日移動平均線と株価が乖離した場合、乖離後には25日移動平均線に株価が戻ってきていることがわかります。
このように株価が大きく移動平均線と乖離した場合、株価は移動平均線に戻ってくるという株価の特徴を利用した投資方法が移動平均線乖離率を利用した投資方法であるといえます。
移動平均線乖離率は銘柄によって異なる
移動平均線乖離率は銘柄や相場状況によってかなり違いが出る指標です。
ここでは具体的な事例を見ながら移動平均線乖離率について考えていきましょう。
一般的に移動平均線乖離率は25日線との乖離率が使われることが多いため、25日線の移動平均線乖離率を使用していきます。
【日経平均株価の移動平均線乖離率】
日経平均株価の25日線移動平均線乖離率は-4.587~5.628です。
【アエリアの移動平均乖離率】
ボラの高い新興銘柄であるアエリアの25日線移動平均線乖離率は-10.352~24.275です。
【急騰中の移動平均乖離率】
現在急騰中のコロプラの25日線移動平均線乖離率は-13.599~82.285です。
同じスパンの25日線移動平均線乖離率を3種類見てきました。
全く違う数値が出ていることがお分かりいただけると思います。
多くの記事を比較してみるとわかりますが、○%で売られすぎ、×%で買われすぎのように具体的な数値が出ている記事はありません。
移動平均線乖離率が銘柄によっても、相場状況によっても異なる数値が出るため決まった数値を算出できないからです。
普段から決まった銘柄の移動平均線乖離率をチェックしよう
見てきたように移動平均線乖離率は銘柄や相場状況によって、数値が異なるテクニカル指標です。
○%以上なら買われすぎなどといった決まりがないため普段から毎日相場をチェックできる人しか利用できないツールであるといえます。
ある意味、毎日相場をチェックしている専業トレーダー向きのツールだということができるため、BNF氏にピッタリのツールだったといえるのではないでしょうか?
ですから、BNF氏にあこがれて25日線移動平均線乖離率を利用するということは兼業で投資する方には難しいといえます。
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移動平均乖離率をFXに活用する方法
続いては移動平均乖離率のテクニックを、FXへ活用する方法を基本から紹介します。
FX取引もはじめている方は、参考にしてみてください。
移動平均乖離率を使用するタイミングは大きな変動が生じたとき
FXの相場は、基本的に株式投資よりも、大きな動きが生じやすい傾向です。
なぜなら、海外の経済指標の発表や安全保障など、世界の経済・政治と為替相場が連動しているためです。
そして移動平均乖離率は、急騰・急落といった短期間に大きな変動が起きるときと相性がいい傾向となっています。
移動平均乖離率の設定は、株式投資と同じく、短中期売買に活用しやすい25日移動平均線にて移動平均乖離率を分析するのもおすすめです。
FXにおすすめの手法
移動平均乖離率を使用したおすすめの手法の1つが、短期移動平均線と移動平均乖離率を使用した方法です。
こちらの方法は、いわゆる逆張りの買いタイミングを計る方法です。
FX相場が短期的に急落した際に10%など大きな移動平均乖離率を記録したとします。
そして、短期移動平均線が価格を上抜けて、上昇傾向と判断できれば買い注文を入れます。
- FX相場が急落
- 移動平均乖離率の数値も大きくなる(底値と判断)
- 短期移動平均線が価格を上抜ける(上昇トレンドと判断)
上記3点すべて揃った段階で、買いタイミングを判断するのがこちらの手法です。
FXで移動平均乖離率を活用する際のポイント
FXに移動平均乖離率を使用する場合は、2つのポイントを押さえた上で分析・トレードを行うことをおすすめします。
- トレードの条件を定めておく
- 分割売買で平均価格を下げる
1つ目は移動平均乖離率の数値と、エントリーのタイミングに関する条件です。
移動平均乖離率の数値が大きい場合のみをエントリーポイントにしてしまうと、取引しやすいもののエントリー回数は減少します。
また、数値の小さい状況でも、エントリーした場合は、エントリー回数は増えるものの、予測難易度は高まります。
しかし正解はありませんので、自分に合った移動平均乖離率の数値でエントリーすることが大切です。
2つ目は、分割売買を行うことです。
一般的なトレードは1度に売買しますが、逆張りは移動平均乖離率でも底値を完全に判断できません。
そのため、分割しながら少しずつ買い注文を入れることで平均購入価格を下げ、反発時の利益を少しでも残す方法でトレードを進めます。
また、下落トレンドの場合も想定し、購入数量は少量に抑えるのもポイントです。
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移動平均乖離率インジケーターはMT4で使用・確認できる
MT4には、自動売買機能やテクニカル指標などが搭載されています。
しかし、移動平均乖離率を使用しながらトレードを進めるためには、移動平均乖離率専用のインジケーターをインストールする必要があります。
インジケーターについては、有志がフリーで配布しているものや金融関係の企業が開発しているものなどがあり、多種多様です。
「MT4 インジケーター 移動平均乖離率」で調べてみるといいでしょう。
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移動平均線乖離率を利用する際の注意点
ロスカット値を先に決めておく
移動平均線乖離率を利用した逆張りの投資方法は自分が想定した相場と異なる動きをした場合、大きな損失を出してしまうこともあります。
よって、この逆張りのデメリットを回避するために、先に「ロスカット」値を設定しなければいけません。
逆張り投資はロスカットありきの投資方法であると認識しましょう。
毎日相場と移動平均線乖離率をチェックする
移動平均線乖離率は見た目だけで判断することが可能なボリンジャーバンドやRSIと異なり、経験と努力が必要なテクニカル・ツールです。
ですから、毎日相場と移動平均線乖離率のチェックを怠らないように心がけましょう。
先入観が強く「決めつけ」タイプの人は利用しない
移動平均線乖離率は相対的な指標なので、○%で買われすぎといった決まった見方がありません。
よって、先入観が強く、「決めつけ」タイプの人には不向きの指標です。
特に注意したいのは、前述したコロプラ系の場合の移動平均線乖離率です。
「こんな異常な移動平均線乖離率はおかしい」と決めつけて、日計り売りに参加して爆損をしている人を良く見かけるからです。
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実践編:移動平均線乖離率を活用した方法、ランキングをうまく活用!
下図はかぶたんの乖離率ランキングですが、どの証券会社でも移動平均線乖離率のランキングが存在します。
このランキングを活用すると簡単に大きく移動平均から乖離している銘柄を簡単に検索することができます。
ⅰ.25日線マイナスカイリ(-10%)以上を検索する
こちらは2019年9月27日時点での25日線マイナスカイリ(-10%)以上の銘柄です。
このように簡単に銘柄を探し出すことができます。
ⅱ.出来高から銘柄を絞りこむ
この中から出来高が上がっている銘柄を選択していきます。
出来高が急増している銘柄は投資家の注目が集まっている銘柄であるため、それだけ反発可能性が高くなるからです。
ⅲ.逆張りは先に売買ポイントを決めておこう
出来高が急増し、投資家の注目が集まっていることがわかります。
また直近の安値付近でもあるためレンジであると判断している投資家が多く参加していることも見て取ることができます。
この場合、買いは5日移動平均線(3,545円)に乗った場面であり、利確は25日移動平均線(3,934円)と先に判断することができます。
また損切りは直近安値である3,395円割れに設定することがベターであるといるでしょう。
ボラティリティの小さい相場に注意
FX、株式投資どちらのチャートでも、ボラティリティの小さい状況に注意が必要です。
移動平均乖離率が活用できる相場は、基本的に動きのある状況です。
ボラティリティ(変動)の小さい相場では、移動平均乖離率の数値も小さく変化がありません。
そのためエントリーポイントや損切・売却ポイントを探ることができなかったり、判断ミスしてしまったりする可能性を高めます。
売買を検討している場合は、1日あたりの出来高や値動き率、チャートなどで変動の大きさを確認しましょう。
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まとめ
今回は移動平均乖離率についてご紹介してきました。
結論から申しますと、投資初心者が移動平均乖離率を活用する場合は売買ポイントがつかみやすいテクニカルリバウンド目当ての短期売買での活用がベターであるといえます。
うまく出来高と組み合わせて、勝率の高い銘柄をチョイスすることが勝利への近道であるといえるでしょう。
以上、BNF氏が愛用する「移動平均線乖離率」とは?実戦向きのテクニックも紹介。..でした。
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