投資と聞くと、1日の間に売買を繰り返すデイトレードを連想しがちですが投資手法は他にも様々なものがあります。
サラリーマンの方に適した投資手法もあるので、「忙しくて投資ができない」と諦める必要はありません。
今回は、そんな数ある投資手法の中から「ポジショントレード」について紹介していきます。
目次
Contents
ポジショントレードとは?
ポジショントレードとは、数か月から数年にかけて株を運用して利益を出していく手法です。
デイトレードとスイングトレードとの期間の比較は以下の通りです。
デイトレード | 1日 |
スイングトレード | 数日〜数週間単位 |
ポジショントレード | 数ヶ月〜数年 |
ポジショントレードは、長期間での株価上昇を狙います。
そのため、目先の株価の推移だけでなく企業の展望や業績の高低を分析する力が求められます。
世界で「億単位」の資産を築き上げている資産家の多くは、このポジショントレードを行っています。
自分が「これだ」と決めた株は、ちょっとの業績悪化では売り払わずに保有し続けるのです。
デイトレードやスイングトレードではチャートの形を重視する投資手法です。
一方、ポジショントレードではファンダメンタル分析を重視する必要があります。
ファンダメンタル分析とテクニカル分析については以下のコンテンツで詳しくまとめていますのでご覧頂ければと思います。
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日米のポジショントレードの代表的な投資家
大きな成果を出している投資家は基本的にはポジショントレード投資家となっています。
以下は日米の有名なポジショントレード投資家です。
既に亡くなっている方もおりますが、今でも通用する考え方を伝えてくれています。
彼らの考えについては、それぞれ詳しくまとめていますのでご覧いただければと思います。
米国の代表的ポジション投資家 | ウォーレン・バフェット氏 |
ベンジャミン・グレアム氏 | |
ピーター・リンチ氏 | |
日本の代表的ポジション投資家 | かぶ1000氏 |
堀哲也氏 | |
2億貯め男氏 | |
本田静六氏 |
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ポジショントレードのメリット
それでは、ポジショントレードのメリットを説明していきます。
売買回数が少ない
ポジショントレードの最大のメリットは売買回数が少ないという点です。
数か月から数年単位での取引になるので、1日中チャートに張り付いて株価の推移をチェックする必要がありません。
1日の動きは長期的な視点ではそこまで影響しないためです。
また、売買をムダに繰り返してしまうと、手数料を多く払ってしまうことになり元本がどんどん目減りしていきます。
初心者の方ほど、「売買を繰り返す」傾向があるので、それを防ぐためにもポジショントレードは最適ですね。
サラリーマンでも無理なく続けられる
世のデイトレーダーたちのほとんどは、専業のトレーダーですので時間をすべて投資に集中させることが出来ます。
ただ、サラリーマンの方だと、昼間に取引時間を確保するのは中々難しいですね。
そんな中、ポジショントレードであれば昼間に時間を確保できなくても無理なく続けることができます。
数日や数週間で売りさばく訳ではないので、気持ちにゆとりをもって臨むことができるのです。
銘柄をじっくり吟味できる
ポジショントレードでは、デイトレードやスイングトレードのように、瞬時の判断が求められることはほとんどないです。
そのため、銘柄をじっくり選んで投資することができます。
どうしても、売買のタイミングが要求される取引では、銘柄選びがやや雑になってしまうことが多いです。
プロのデイトレーダーのように、短期売買に慣れていれば問題ありません。
しかし、初心者の方にとっては中々銘柄選びを瞬時に終えるのは難しいですね。
その点、ポジショントレードであれば時間に追われることはないので自分のペースで銘柄選びができます。
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ポジショントレードのデメリット
次に、ポジショントレードのデメリットを見ていきましょう。
業績の影響が大きい
ポジショントレードの場合、株価が長期的に上がっていくことが理想です。
企業の業績が良ければ、株価も伸びていきますが、反対に業績が悪化してしまうと株価も下がってしまいます。
事業内容や市場の動向など細かく分析したとしても、想定外の出来事で業績が落ちてしまうのはよくあることです。
たとえば、企業内の不祥事が公に出て、イメージダウンが起こってしまうことなどが挙げられます。
不祥事を予想するのは、どんなプロトレーダー、エコノミストでも難しいですよね。
良くも悪くも、業績によって長期的な株価が変動してしまうのがポジショントレードではデメリットになってしまうのです。
しかし、バフェットのように企業の実力に確固たる信頼があるのであれば危機が発生しても動じることはありません。
更に買いましを行なって購入単価を下げることもでいます。
社会情勢の影響を受ける
株価は、企業の業績のみならず、「社会情勢」の影響も受けます。
たとえば、震災が発生したり、近くで紛争が発生したりするとどうでしょうか?
企業は事業を続けるどころではなくなるため、業績も右肩下がりになります。
これも、企業不祥事と同様、正確に予測することは難しいですね。
資金効率が悪い
ポジショントレードは長期投資になるため、デイトレード、スイングトレードと比べると資金効率が悪くなります。
すぐに利益がでるものでないため、短期での利益獲得を目指す場合は、ポジショントレードは適しません。
また、数年間に渡って運用したとしても、必ず利益がでるとは限りません。
数年分の時間を棒に振ってしまうリスクもあるのです。
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ポジショントレードのエントリータイミング
それでは、実際にポジショントレードを始めるタイミングを確認していきましょう。
企業の実力と株価が大きく乖離している時
ポジショントレードでは割安な株価を購入して、本来の価値に株価が収斂する過程で利益を狙います。
ファンダメンタル分析を駆使することで本来あるべき株価や将来の株価を推測することができます。
自分が妥当であると考える株価より現在の株価が低ければ低いほど購入チャンスということになります。
テクニカル分析も組み合わせる
いくら企業の実力と株価が乖離しており割安でも株価の下落が継続していれば更に株価が下落することもあります。
購入タイミングを見極める方法はいくらでもありますが、代表的な「グランビルの法則」を紹介しておきます。
グランビルの法則では移動平均戦を上回った時、又は反発した時に株式を購入します。
以下のコンテンツではグランビルの法則の売買タイミングや使用する移動平均線の種類についてお伝えしています。
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ポジショントレードのエグジット(利確・損切り)タイミング
ポジショントレードのエグジットタイミングもエントリータイミング同様二つあります。
購入した時のシナリオを「達成した」or「崩れた」時
ポジショントレードで株を売る時は以下となります。
- 購入した時に算定した理論的な株価自体が下落した
- 株価が上昇して当初予想した理論株価を上回った
例えば、購入当初には魅力的であった商品が陳腐化して利益の縮小が見込まれる場合は理論株価も下落します。
理論株価が下落してしまっては保有し続ける意味もありませんからね。
また逆に好材料が出て株価が急騰して当初の理論株価を上回れば利益確定をすることも重要となります。
手放すべきかどうかを迷った時は、まず、何故その銘柄を購入したのかという初心を思い出しましょう。
テクニカル分析で長期下落基調となった時
エグジットにおいては特に前項の考え方が重要となります。
ただ、テクニカル分析上も長期的な下落の形になってしまっては一旦損切りを行うのも一つの方針です。
損切りを行う場合の一つの指針としてエントリーの項目でも説明したグランビルの法則が参考になりますのでご覧ください。
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まとめ
ポジショントレードは、数か月から数年に渡って株を運用する取引で、時間のないサラリーマンの方でも無理なく行うことができます。
瞬時に売買のタイミングを判断することもなく、じっくり腰を据えて株と向き舞うこともできます。
企業の株価が長期的に見て上がるかどうか、業績や市場環境など様々な面から分析していきます。
これは企業、業界研究、さらには一国の経済研究にもつながり、経済リテラシーを高めることにも繋がりますね。
資金効率が悪いなど、ポジショントレードにもデメリットは存在します。
ただ、それを踏まえ得た上でも、投資初心者の方にとっては打ってつけの投資手法です。
初心者の方は、まずは長期保有を前提としたポジショントレードで投資経験を積みましょう!