「つみたて(積立)NISA」と「一般NISA」どちらがおすすめかを比較検証!投資家毎に新制度も加味してどちらが有効な戦略かを考察する!

「つみたて(積立)NISA」と「一般NISA」は結局どちらがおすすめなの?投資家毎に新制度も加味して有効な戦略を考察する!

一般NISAは2014年から、「つみたてNISA」は2018年から始まった非課税制度です。

両者の違いについては前回、以下のコンテンツでお伝えしました。

 

つみたてNISAのメリットとデメリットをNISA(ニーサ)と比較してわかりやすく解説する。どんな人におすすめの制度なのか?

「つみたてNISA(ニーサ)」とは?メリット・デメリットを一般NISAと比較しながら新制度への改正内容も含めてわかりやすく解説。

2018年12月31日

 

信太郎
どちらも魅力的じゃが、個人が開設できるのはどちらか一つだけなんじゃ。
淀姫
結局、どっちの方がよいんですか?
信太郎
人によるんじゃ。今回はどんな人が一般NISA向けで、どんな人が「つみたてNISA」向けかを検証してゆくぞ!

 

■ 今回の瓦版の内容:

 

  • 「NISA」と「つみたてNISA」のどちらが得られる非課税枠は大きいのか?
  • 一番大きな資産を老後に向けて構築できるのはどのような戦略なのか?
  • 上記戦略で平均的に見込める資産はどの程度なのか?
  • 壮年期から初老に差し掛かる方はどのような戦略をとればよいのか?

 

新制度を含めた「一般NISA」と「つみたてNISA」のおさらい

まずは「一般NISA」と「つみたてNISA」の制度の仕組みについて概要をおさらいしていきたいと思います。

 

信太郎
基本がわかっておる衆は次の本題までジャンプするがよいぞ!ただ、以下の内容を前提にしてシミュレーションを進めるから理解に自信がない衆は目を通した方がよいぞ!

 

NISAは最高の非課税枠は600万円(新制度では610万円)

一般NISAは2023年までは毎年120万円分の非課税枠が付与されます。

2019年までにNISAを始めた場合は元本ベースで最大600万円分の非課税枠を得られます。

 

NISAの仕組み

 

つまり2020年から投資を始める場合の各年度の非課税枠は以下の通りとなります。

 

信太郎
非課税枠は国内株だけでなく米国株をはじめとした外国株や株式投資信託も対象じゃぞ!

 

2024年から改正される新NISAでは2階建となっており、1階部分は「つみたてNISA」と同じ長期投資に適した投信への投資が必要となります。

上記1階部分を少額でも投資をした上で2階部分は現状のNISAと同じ個別株投資も可能となります。

 

新NISAの概要

 

信太郎
ただ、記載のとおり例外としてNISA口座を2024年までに開設していたり、2階部分で上場株式のみに投資をする場合は1階でのつみたては不要になるぞ!ただ、非課税枠はなるべく活用した方がよいからの!1階部分も活用する方がよいと思うぞ!

 

2020年から一般NISAを行う場合の非課税枠の推移

 

またロールオーバーができるという特徴があります。

従来のNISAから非課税枠が終わったとしても翌年度の非課税枠に移管することが可能です。

 

信太郎
例えば120万円分投資して150万円になっていたとしても全額ロールオーバーすることができるぞ!
淀姫
つまり最大10年間の非課税投資ができるということですね!
NISAのロールオーバー

参照:カブドットコム証券

 

新型NISAでも投資した金額の時価が122万円以上であれば全額ロールオーバーすることができます。

122万円未満であれば、2階部分の102万円から先に消費して、余った分を1階部分の消費していくこととなります。

 

また、一階部分の現状の「つみたてNISA」部分に関しては簿価でロールオーバーすることができる見込みです。

 

淀姫
つまり一階部分については20万円分投資して40万円分になっていたとしても「つみたてNISA」に20万円分としてロールオーバーできるんじゃな!

 

「つみたてNISA」の最高の非課税枠は800万円

「つみたてNISA」は金融庁が選定した長期投資に適した投信が非課税の対象になります。

非課税枠は年間40万円で20年間、最大800万円分の非課税枠が得られます。

 

つみたてNISAの非課税枠の開設可能期間

 

2020年から投資を始めた場合の年間非課税枠の推移は以下となります。

2039年から2042年までの4年間は最大の800万円の非課税枠を獲得でき、その後徐々に減少していくという仕組みになっています。

 

つみたてNISAの非課税枠の推移

 

信太郎
非課税課税期間が終了した時は順次、その時に売却を行うか、課税口座に移管するかを選択することになるぞ!

 

因みに、「つみたてNISA」だけを利用した場合に、景気循環に応じて悲観的シナリオの場合、楽観的シナリオの場合で、

どれだけ構築できる資産を期待できるのかという点について過去100年のデータを用いて以下のコンテンツで検証していますのでご覧ください。

 

「つみたてNISA」を活用した人生設計とは!?期待できる資産額と老後の出口戦略についてシナリオ毎に解説する。

「つみたてNISA」のシナリオ毎の出口戦略

2020年5月20日

 

それでは本題の「一般NISA」or「つみたてNISA」どちらが良いのか?

という点について見ていきたいと思います。

得られる非課税枠の総量は「つみたてNISA」単体戦略が圧倒

まずは得られる非課税枠の比較を行っていきたいと思います。

 

信太郎
以下を想定するぞ!

 

【一般NISA・新NISA→「つみたてNISA」戦略】

  • 2020年にNISAを満額始める
  • 全て楽天VTIかeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で運用
  • 2024年からはつみたてNISAを満額40万円で同じ投信を積み立てていく

 

【つみたてNISA戦略】

  • つみたてNISAを2020年から開始して毎年満額40万円の元本を楽天VTIかeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に積立投資

 

両方のパターンで得られる非課税枠の推移は以下となります。

 

NISAと「つみたてNISA」の非課税枠の比較

 

淀姫
ぱっと見ただけでも、「つみたてNISA」だけの戦略の方が得られる非課税枠は多そうですね?
信太郎
うむ。つみあげ方式の年間非課税枠の合計は『NISA→つみたてNISA」が1億6650万円に対して、「つみたてNISA」だけ戦略が1億8400万円と大幅に凌駕しておる!

 

得られる非課税枠
一般NISA・新NISAつみたてNISAつみたてNISA Only
2020120040
2021240080
20223600120
20234800160
20246020200
20256040240
20266060280
20276080320
20286100360
202948840400
203036680440
2031244120480
2032122160520
20330200560
20340240600
20350280640
20360320680
20370360720
20380400760
20390440800
20400480800
20410520800
20420560800
20430560760
20440560720
20450560680
20460560640
20470560600
20480560560
20490520520
20500480480
20510440440
20520400400
20530360360
20540320320
20550280280
20560240240
20570200200
20580160160
20590120120
206008080
206104040
合計積上非課税枠1億6650万円1億8400万円

 

結局単純に考えれば、「非課税枠」×「年率リターン」こそが非課税メリットと考えることもできるので基本的には「つみたてNISA」戦略がお得です。

 

信太郎
ただ、構築できる資産となるとまた別の試算が必要となってくるぞ!

 

非課税期間が終了した後に運用を継続した場合はどちらが有利?

「一般NISA・新NISA」→「つみたてNISA」戦略は「つみたてNISA」の単体戦略に非課税枠では遠く及びまん。

しかし、積立序盤に元本ベースで高い積み上げを行えています。

 

淀姫
最終的に大きな資産を築けるのはどちらなのですか?
信太郎
うむ。非課税分得をするのと、最終的に構築できる資産は違うからの。

 

そこで非課税期間終了後は積立を行わないものの、放置をするという戦略をとった場合どうなるかを検証していきます。

 

信太郎
老後まで時間のある若者が取りうる戦略じゃな!

 

【一般NISA・新NISA→「つみたてNISA」戦略】

  • 2020年にNISAを満額始める
  • 全て楽天VTIかeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で運用
  • 2024年からはつみたてNISAを満額40万円で同じ投信を積み立てていく
  • 非課税期間終了後は「つみたてNISA戦略」の非課税枠が終了する2061年まで課税口座で運用

 

【つみたてNISA戦略】

  • つみたてNISAを2020年から開始して毎年満額40万円の元本を上記と同じ投信で積立
  • 非課税期間終了後は非課税枠が終了する2061年まで課税口座で運用

 

【年率運用リターン】

  • 年率5%で運用できたと仮定(何%でも結果は変わらないため)

 

最終的に構築できる資産は非課税分を加味しても「NISA」→「つみたてNISA」戦略が圧倒

非課税枠自体は「つみたてNISA」の方が大きいのですが、構築できる資産自体は「NISA」→「つみたてNISA」戦略の方が大きくなります。

各戦略での資産の推移は以下となります。

 

信太郎
やはり序盤に大きな資産を積みませるNISAを使用した方が大きい資産を形成できるの!

 

つみたてNISAと(NISA+つみたてNISA)戦略の比較

 

構築資産非課税分手取り資産
NISA→つみたてNISA戦略8656.442739.997454.51
つみたてNISA戦略4187.712324.793809.26

 

 

淀姫
非課税分を加味しても手取り資産で大きな差が出てきますね!
信太郎
うむ。平均利回りが高くなればなるほど、この差は顕著になるぞ!5%の場合の各年度に積み上がる資産の推移は以下表の通りじゃ!

 

NISA+つみたてNISAつみたてNISA
2020120.040.0
2021246.082.0
2022378.3126.1
2023517.2172.4
2024665.1221.0
2025820.3272.1
2026983.3325.7
20271154.5382.0
20281334.2441.1
20291441.0503.1
20301553.0568.3
20311670.6636.7
20321794.2708.5
20331923.9783.9
20342060.1863.1
20352203.1946.3
20362353.21033.6
20372510.91125.3
20382676.51221.6
20392850.31322.6
20403032.81428.8
20413224.41540.2
20423425.61657.2
20433596.91740.1
20443776.81827.1
20453965.61918.4
20464163.92014.4
20474372.12115.1
20484590.72220.8
20494820.22331.9
20505061.22448.5
20515314.32570.9
20525580.02699.4
20535859.02834.4
20546152.02976.1
20556459.63124.9
20566782.53281.2
20577121.73445.2
20587477.83617.5
20597851.63798.4
20608244.23988.3
20618656.44187.7

 

信太郎
非課税期間終了後も運用を行う場合は「NISA」→「つみたてNISA」戦略の方が資産を築きやすいということことじゃ!

 

運用期間が長くなると株式投資のリターンは平均化して高いリターンを見込める

特に運用期間が長くなればリターンは安定します。

以下はある年に投資をした場合のS&P500指数の30年間の実質年率リターンです。

例えば1950年に投資した場合は1979年末までのリターンが平均年率どれだけでたのかという点を示しています。

30年間のS&P500の運用リターン

上記は実質リターンとなっているので、インフレの影響を加味すると最低でも年率6%以上のリターンが見込めることになります。

最初に一般NISAで投資した分を非課税期間終了した後も放置しておけば2061年時点では最低でも年率6%、

最高だと年率12%で運用することができるということになります。

 

信太郎
更に40年じゃと年率リターンは平均化するぞ!

 

40年間だと実質yで最低でも5%程度、インフレの影響を加味するまえの名目リターンだと7%となります。

40年間のS&P500の運用リターン

2020年に運用を開始した分は2061年まで40年以上運用したら莫大な資産まで増えていることになります。

2020年に投資する120万円が名目7%で運用できた場合は2061年末には1922万円にまで確度高く増加することになるのです。

 

信太郎
基本的には非課税期間が終了した後も放置した方が良いの!

 

ちなみに「NISA」→「つみたてNISA」戦略で平均年率7%で運用した場合の資産は1億6773万円となります。

非課税となる分は3454万円ですので、実質的な手取りは1億4067万円となります。

 

年率7%で運用した場合

 

信太郎
当然、最初の方に積み立てた分の40年リターンは安定しますが、最後の20年に積み立てた分の年率リターンは大きくブレることは考えておかねばならぬぞ。
淀姫
ただ、最初の方に蓄えるNISAの金額の方が大きいので結果的に大きな資産を構築することができるんですね!!
信太郎
そういうことじゃ!基本はこの戦略がワークするじゃろうな!

 

では、課税期間終了後に現金化する場合はどうでしょうか?

非課税期間が終了した時あとに運用継続せず現金化した場合はどちらが有利?

非課税期間終了後に運用を継続せずに現金化した場合を考えてみましょう。

 

信太郎
既に壮年期から初老期に差し掛かっておる場合は、老後に現金需要が発生するじゃろうから、このケースの考察も必要となってくるの!

 

【一般NISA・新NISA→「つみたてNISA」戦略】

  • 2020年にNISAを満額始める
  • 全て楽天VTIかeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で運用
  • 2024年からはつみたてNISAを満額40万円で同じ投信を積み立てていく
  • 非課税期間終了後は現金化

 

【つみたてNISA戦略】

  • つみたてNISAを2020年から開始して毎年満額40万円の元本を上記と同じ投信で積立
  • 非課税期間終了後は現金化

 

【年率運用リターン】

  • 長期5%、7%、9%で考える

 

長期平均5%での運用となった場合

長期平均で5%で運用できた場合、それぞれの戦略での現金含め構築できた資産は以下となります。

全て非課税なので課税金額を考慮する必要はありません。

構築資産
NISA→つみたてNISA戦略2740.0
つみたてNISA戦略2324.8

 

複利で5%で運用して課税期間終了後に現金化した場合

 

信太郎
5%だと、やはりまだ「NISA」→「つみたてNISA」の戦略の方が大きな資産形成ができるということじゃな!

 

長期平均7%での運用となった場合

長期平均で7%で運用できた場合、それぞれの戦略での資産は以下となります。

構築資産
NISA→つみたてNISA戦略3454.0
つみたてNISA戦略3327.2

 

複利で7%で運用して課税期間終了後に現金化した場合

 

淀姫
5%の時に比べて大分差は縮まっておりますね!
信太郎
うむ。更に年率リターンが高くなると「つみたてNISA」戦略の方が高くなるぞ!

 

長期平均9%での運用となった場合

長期平均で9%で運用できた場合、それぞれの戦略での資産は以下となります。

構築資産
NISA→つみたてNISA戦略4418.0
つみたてNISA戦略4730.3

 

複利で9%で運用して課税期間終了後に現金化した場合

 

淀姫
ついに、「つみたてNISA」戦略が形成できる資産を抜かしましたね!
信太郎
更に後半の利回りが高くなり場合はつみたてNISA戦略が有利になってくるぞ!

 

まとめ

 

信太郎
それでは今回の結果についてまとめていくかの!

 

【比較した二つの戦略】

移行戦略:
2020年からNISA(毎年120万円)・新NISA(毎年122万円)を2028年まで新規非課税枠獲得。
2029年からは「つみたてNISA」を2042年まで毎年40万円新規非課税枠獲得。
運用は米国株インデックス運用ができる楽天VTIかeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を選択
2061年末に最後の「つみたてNISA」非課税枠が終了するまで運用継続

 

つみたてNISA戦略:
2020年から「つみたてNISA」を2042年まで毎年40万円新規非課税枠獲得。
運用は米国株インデックス運用ができる楽天VTIかeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を選択
2061年末に最後の「つみたてNISA」非課税枠が終了するまで運用継続

 

【獲得できる非課税枠】

獲得できる非課税枠は「つみたてNISA戦略」が1億8400万に対して「移行戦略」は1億6550万円となり「つみたてNISA戦略」に軍配

 

【非課税期間が終了した後も放置して運用継続する場合】

  • 最終的に構築できる資産は運用利率に関わらず移行戦略の方が大きくなる
  • 株式投資の運用リターンは長期になるほど平均化するので最初のNISA分に関しては2061年末まで平均7%以上がほぼ見込める
  • 移行戦略で放置しておくのが最も大きな資産が形成可能で1億円以上も2061年末時点で十分望める。
  • 30歳前後の方であれば「移行戦略」をとり非課税期間終了後放置が最も有効なNISA戦略である。

 

【非課税期間が終了した後に現金化する場合】

  • 年率リターンが高くなるほど「つみたてNISA戦略」の最終構築資産が大きくなる
  • 年率7%-8%で「つみたてNISA戦略」は移行戦略を逆転する
  • 40歳-50歳で老後資産を考え今後の株価見通しが明るいと考えるのであれば「つみたてNISA戦略」が有効となる

 

以上、「つみたて(積立)NISA」と「一般NISA」どちらがおすすめかを比較検証!投資家毎に新制度も加味してどちらが有効な戦略かを考察する!…でした。

 

【NISA(一般)・つみたてNISA特集】積立を今すぐ開始しよう!利益・利回りを最大化するおすすめ証券口座と株式・投資信託銘柄を一挙に紹介。

【一般NISA・新NISA・つみたてNISA特集】やり方を徹底解説!利益・利回りを最大化するおすすめ証券口座と株式・投資信託銘柄を一挙に紹介。

2019年7月1日

 

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。