投資信託の購入を検討するに当たり、目論見書を読み進めると、新しい単語が出てくると思います。
一つ一つの単語を理解した上で投信は購入したいものです。
今回は、投資信託の中でも購入を決断する時に重要な指標となる「基準価額」の概要とその見方を解説していきます。
目次
基準価額とは
「基準価額」とは投資信託では「値段」という意味となります。
代表的な投資信託の基準価額の一覧はMUFG、大和投資信託、野村アセットマネジメントのサイトなどで網羅的に確認することができます。
基準価額の算出方法としては「純資産総額÷総口数」となります。
投資信託を購入する際は、1口、2口と口数を取引単位として投資商品を購入していきます。
【基準価額 = 純資産総額 ÷ 総口数】
例えば、1口=1円で運用を開始した投資信託は、通常、公表上(目論見書)では1万口あたりの基準価額を出しています。
上記の計算式を簡単に表現すると、以下の通りです。
◾️ 基準価額の具体例:
- 2人(Aさん&Bさん)の投資信託購入者
- Aさんは6万口(6万円)を購入、Bさんは4万口(4万円)を購入
- つまり、10万口=10万円がファンドへ
[パターンA]
- 3年後にファンドの運用で10万口=15万円まで上昇
- 1万口あたりの基準価額=15,000円(一口あたり1.5円)
[パターンB]
- 3年後にファンドが運用で10万口=7万円とマイナスが発生
- 1万口あたりの基準価額=7000円(一口あたり0.7円)
ちば銀行のページにも良い例がありましたので、紹介します。
例えば、Aさん・Bさん・Cさんが、それぞれ5万口・2万口・3万口購入した総口数10万口のファンドがあったとします。投資のプロ(運用会社)へ支払う運用費用を差し引いた純資産総額が15万円だった場合、このファンドの基準価額は以下の通りとなります。
【純資産総額15万円÷総口数10万口=1.5円 1万口当たり基準価額15,000円】
このように投資信託の基準価額は、スーパーで売られている野菜の値段のように、需要と供給のバランスといった市場原理によって決まる「価格(Price)」ではありません。性質としては不動産の固定資産税評価額に近く、投資信託の客観的な評価額(Value)を表していることから「基準価額」と表現されているのです。
(目次に戻る)
基準価額は1日に1度だけ公表される
基準価額は投資信託の申し込みの締め切り後に公表されます。
これを「ブラインド方式」と呼びます。
基準価額を「公表する前」に投資信託を購入する形を取ることで、同時期に取引をする投資家の公平性を保っているのです。
基準価額は1日に1度だけ公表され、投資信託の換金は、その公表された基準価額を基に取引をします。
証券取引所に上場している株式は、株価が市場取引時間は常に動いている状況なので、1度しか公表されない投資信託とは対照的ですよね。
(目次に戻る)
投資信託の買い時。基準価額は高い方が良い?
基準価額は運用がプラスであれば上昇します。
しかし、基準価額が高ければ高いほど優秀なファンド、と判断しその投資信託を購入をしても良いのでしょうか?
一見、基準価額を見て高くなっていればそれが投資信託の買い時かと考えてしまいそうですが、その思考は危険です。
投資信託の基準価額は上記でも述べたように、設定日の「前営業日」の基準価額が公表されているのです。
また、そもそもの基準価額の設定タイミングによって、運用成績は異なります。
運用成績が同水準である投資信託でも、銘柄ごとの基準価額は大きく異なっているのです。
考え方としては企業の貸借対照表(BS)と似ています。
企業は毎日、毎分毎秒取引をしているもので、バランスシートはそのたびに数値を変えます。
「現金」など特に変動が大きい勘定科目です。
上場会社のIRを見ればわかりますが、公表しているバランスシートは、その瞬間の1枚の写真でしかなく、必ず日付と共に掲載されているはずです。
投資信託の基準価額に関しても日々大きな変動が起きています。
一概に「基準価額が高ければ買い」とは言えません。(ある程度の水準は把握できますが)
例えばインデックスファンドであればベンチマークに対する過去の実績、トータルリターンは高いのかなど、様々な指標を基に判断する必要があります。
その他にも、例えば「分配金」が実行されると、当然ですが基準価額は分配金の額に応じて下落します。
タイミングは異なりますが、毎月分配金を出している投資信託(有名どころではゼウス投信)。
また、短期で一定期間の収益を投資家に分配する方針を立てている投資信託は、基準価額自体が低くなります。
基準価額を一つの重要指標とするのであれば注意が必要です。
(目次に戻る)
〜COLUMN〜人気投資信託販売ランキング・基準価額の水準は?
人気の投資信託はどのような基準価額の水準で購入されているのでしょうか。
まずは投資信託の販売額ランキングを見てみましょう。
順位 | ファンド名 | 分類 | 基準価額 | 純資産 | トータルリターン(1年) | レーティング |
(前日比) | (百万円) | |||||
1 | ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド | 国際株式 | 15,250 | 111,993 | -6.39% | ★★★★ |
2 | レオス-ひふみプラス | 国内株式 | 37,160 | 601,690 | -17.85% | ★★★★★ |
3 | ニッセイ-ニッセイ日経225インデックスファンド | 国内株式 | 23,934 | 147,305 | -8.44% | ★★★★ |
4 | 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 国際株式 | 11,522 | 35,209 | -6.29% | — |
5 | 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 国際株式 | 10,273 | 12,444 | — | — |
(引用:SBI証券「投資信託販売金額人気ランキング」※集計期間:2019/1/4~2019/1/31)
1位のニッセイの15,250円に対して、2位のレオス・ひふみプラスは37,160円と非常に高い水準ですね。
3位のニッセイ日経225ファンドは23,934円と、上位3つを見るだけでも基準価額のバラツキが多く、多くの投資家が基準価額のみで投資判断をしていないことが読めますよね。
(目次に戻る)
まとめ
投資信託の「基準価額」の基礎知識を解説してきました。
基準価額はどれほどの規模の商品なのかを見る指標として活用可能です。
しかし、投資信託を購入する際は、ベンチマークに対してアウトパフォームしているか、トータルリターンなどをしっかり目論見書で把握するようにしましょう。
以上、投資信託に於ける基準価額とは?その概要と読み方(買い時)を簡単に解説します。…の話題でした!
コメントを残す