米国株式市場は世界最大の株式市場です。
米国株式市場ではADR(American Deposit Receipt)という仕組みを用いて、ロンドン株式市場に上場しているHSBCに投資を行うことができます。
世界的なメガバンクであるHSBCは現時点で配当利回り8%という高配当銘柄です。
今回は、HSBCは投資妙味が高いのか?
HSBCに投資はどの証券会社で取引できるのかという点についてお伝えしていきたいと思います。
※2020年10月追記
2020年4月、新型コロナウィルスの影響を受けて、HSBCは2020年中の株主への配当を見合わせると発表しました。
HSBCホールディングスやバークレイズなど英国の大手銀行は31日、2020年中の株主への配当を見合わせると一斉に発表した。新型コロナウイルス問題への集中を求める、英イングランド銀行(中央銀行)の要請に応えた。英金融当局は融資などの危機対応を優先させるため、監督権限をちらつかせて株主還元を取りやめるよう圧力をかけていた。
現在HSBCを始めとして、金融セクターの株価は低迷していますが、将来的な復配を見込んで今の内に安値で購入しておこう、という動きもあるのが現状です。
ただし、まだまだ株価水準は低く、復配が決定してからでも、購入は遅くないとマネリテ編集部は考えています。
28日の香港株式市場で、英銀HSBCホールディングスの株価が上昇。終値で2009年以来の大幅高となった。先週は25年ぶりの安値を付けていた。筆頭株主の中国平安保険集団が将来的な復配を見込んで同行の保有比率を引き上げた。
目次
Contents
HSBCはロンドンに本拠地を置く世界最大のメガバンク
HSBCはHongKong Shanghai Banking Corporationの略です。
元々は1865年に香港で創設された香港上海銀行を母体として1991年に設立されました。
香港は英国領だったということもあり本店はロンドンのカナリーワーフという新金融街に立地しています。
カナリーワーフは伝統的金融街であるシティからは少し離れた場所にある外資系金融が集中しているロンドンの摩天楼地区です。
世界の時価総額ランキングでは日本のトヨタ自動車の42位にはわずかに負けるものの、英国最大企業として時価総額は1660億ドルで約18兆円の規模となっています。(2020年10月1日現在は794億ドル、約8兆円まで下落)
HSBCの主な業務としては以下の4つとなっています。
- 商業銀行 (通常の貸付業務)
- リテール銀行 (個人向けの銀行業務)
- 投資銀行 (M&A等を担当)
- グローバルプライベートバンキング (富裕層向けの特別対応)
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HSBCは業績横ばいであるが配当金も一定で安定した高配当を実現
HSBCは6%の高配当利回りを受け取ることができますが業績はどうなっているのか?
踏み込んでみたいと思います。
以下は楽天証券で確認できる過去5年間の売上と当期利益の業績推移を編集部で加工したものです。
Dec-15 | Dec-16 | Dec-17 | Dec-18 | Dec-19 | |
発表日時 | 2016/2/22 | 2017/2/21 | 2018/2/20 | 2019/2/19 | 2020/2/18 |
売上高 | 47,189.00 | 42,414.00 | 40,995.00 | 49,609.00 | 54,695.00 |
当期利益 | 13,522.00 | 2,479.00 | 10,798.00 | 13,727.00 | 7,383.00 |
売上高はほぼ横ばいで当期利益は2016年に凹んでいることを除いてはほぼ横ばいであることがわかります。
よりわかりやすくする為に、HSBCの過去5年間の1株あたりEPSと1株あたりの配当金を図示したものが以下となります。
Dec-15 | Dec-16 | Dec-17 | Dec-18 | Dec-19 | |
EPS(ドル) | 3.24 | 0.33 | 2.75 | 3.17 | 1.48 |
配当(ドル) | 2.55 | 2.46 | 2.56 | 2.55 | 2.55 |
2016年は利益が大幅に凹んでおりますが、それ以外は得られた利益の殆どを配当金として拠出していることがわかりますね。
2019年12月については再び業績が下落していますが、2020年はコロナショックの影響でさらに弱含むことが想定されます。
ただ、配当金水準も過去5年間は少なくとも1株あたり2.5ドルで一定という点は安定感がありますね。
現在の配当利回りは8.83%と非常に高い水準となっています。
特に2016年に利益が凹んだ時でも安定した配当を出しているところは経営陣の意思が示されているとみることができるでしょう。
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HSBCの株価と割安度チェック
株価はリーマンショックから回復後10年間横ばい推移を続けています。
2010年から$30から$60の間を往復した動きとなっています。
この間、配当金は$2.5で一定となっています。
$60の時に購入された方は4.1%、現在の最安値付近の$30の時に購入された方は8.3%の配当利回りとなります。
PERも現状は8.75と非常に割安な水準でもあります。
長期的に高配当を得ることを目的として購入するには良いタイミングかもしれません。
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日本の証券会社でHSBC株を購入する方法-ADRを用いて楽天証券で購入が可能!-
日本の証券会社で英国市場に上場してる株に直接投資を行う方法はありません。
ADR(American Deposit Receipt)の仕組み
ADRは米国市場に他の国の株式市場に上場されている銘柄を上場させて取引できるようにする手法です。
例えばインドの株の例で説明すると、インドに上場されているB社株をC銀行のインド支店が買付を行い現地の銀行で保管します。
C銀行がB社株の預託証券を発行して、米国で上場を行うことで米国市場でインドのB社株を売買することができるようになります。
ADR(American Deposit Receipt)のメリット
ADRは二重課税を防ぐことができるというメリットがあります。
通常、米国企業からの配当金を受け取る場合は米国と日本で二重課税を受けます。
最終手取配当額 = 米国配当金 × (100%-米国配当税10%) × (100% – 日本配当税20.315%)
しかし、ADRでは元々上場している企業の源泉税率が適用されます。
ここで英国の配当税率は0%なので、二重課税を防ぐことができます。
最終的に日本の配当税だけがかかることになります。
最終手取配当額 = 米国配当金 × (100% – 日本配当税20.315%)
10%に配当税が節約できるのは大変ありがたいですね。
ADR(American Deposit Receipt)でHSBCが購入できる証券会社
ADRでHSBCが購入できる証券会社として楽天証券とSBI証券があります。
両証券会社は外国株取引に定評のある証券会社なので海外取引を考えている方は口座を開設しておきましょう!
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まとめ
HSBCは業績は横ばいだが配当金を高水準で維持しているので、6%程度の配当利回りとなっています。
HSBCは上場されているロンドン株式市場から直接購入することはできません。
しかし、ADRという仕組みを利用して楽天証券とSBI証券で間接的に購入することができます。
ADRを利用すれば、英国の配当税が0%であるため米国での二重課税を防ぐことができるのも魅力となっています。
以上、【HSBC】米国株式市場で取引できる英国の高配当優良銘柄であるHSBCの株価・利回りを徹底評価!…の話題でした。