米国(アメリカ)株高配当利回り投資ポートフォリオを組むのはおすすめできる戦略なのか?長期データを元に(二重課税の影響まで加味して)徹底分析!

米国株高配当利回り投資戦略は有効なの?長期データを元に二重課税の影響まで加味して徹底分析!!

高配当投資が果たして高いリターンを長期的に叩きだすのか?

どのような高配当投資を行えばよいのか?

 

という点は投資家の間でも尽きることのない論争として議論され続けています。

配当投資に積極的な方もいれば、配当金投資は合理的ではないと断ずる人の間で長期間争われているのを見かけますね。

 

果たして高配当銘柄への投資は市場平均を凌駕することができるのか?

という点について本日はデータを元にお伝えしていきたいと思います。

 

淀姫
機械的に投資をしてS&P500のような市場平均を凌駕できるリターンをあげられれば最高じゃよな!
信太郎
そうじゃな。今回は配当株投資を行う投資家たちにむけて「ウォール街で勝つ法則」とワシが集めてたデータから興味深い内容を伝えていこうと思うぞい!

 

「ウォール街で勝つ法則」はジェームズ・P・オショーネシー執筆の名著でベンジャミン・グレアム「賢明なる投資家」以来の傑作と言われています。

1951年から1996年までのデータを元に株式投資で市場平均よりも高いリターンを機械的にあげる方法はないかを探っています。

 

前回、アノマリーとして有名な時価総額が小さい銘柄が高いパフォーマンスを残すという「小型株効果」の実態について紐解いていきました。

 

【小型株効果は得られない!?】名著「ウォール街で勝つ法則」の45年分のデータを現代版に落とし込み徹底考察!

【小型株効果は得られない!?】名著「ウォール街で勝つ法則」の45年分のデータを現代版に落とし込み徹底考察!

2020年5月4日

 

このコンテンツでは、同じく1951年から1996年までのデータを元に高配当利回りのリターンについて紹介します。

また、筆者が集めた1997年-2020年までのデータを元に有効検証していきます。

その上で高配当利回りの有効性について、配当二重課税や直近のデータを交えて考察していきたいと思います。

 

信太郎
大作となったが配当投資を行うと考えている衆にとっては必見の内容となっておると自負しておる!

 

◼︎今回の概要:

 

▷ 過去45年(1951年末〜1996年末)のデータから検証

 

  • 単純に高配当利回り銘柄を抽出したポートフォリオのリターンは市場平均以下
  • 大型株の中から抽出した高配当利回りポートフォリオのリターンは大型株全体の成績を大幅に凌駕
  • ただ、大型株高配当利回りポートフォリオのリターンも市場平均と同等のレベル

 

1996年末〜現在のデータから検証

 

  • S&P500指数の平均時価総額より高い銘柄群から23年以上存続している超大型株高配当利回り上位20銘柄を抽出
  • 超大型株高配当利回りは長期的に市場平均を大きくアウトパフォーム
  • 米国株の配当には日米で2重課税(約30%)が発生するので市場平均とのリターンの差は縮小
  • 優位性は実証されたが生存バイアスや毎年銘柄見直しができない、1996年当時から高配当が持続という仮定が入っており非現実的

 

SPYDに投資しない理由

 

  • S&P500指数全体から高配当銘柄上位80社を抽出している。(大型株に限定しておらず中小型株も入っている)
  • 2重課税の影響をダイレクトに受けて更にリターンが低くなる

 

高配当投資は連続増配銘柄分散投資が現実的な選択肢

 

  • 米国には25年以上増配している「配当貴族銘柄」と50年以上増配している「配当王銘柄」が数多く存在している
  • 長期増配企業は堅調な事業基盤と財務体質を誇っている企業が多い
  • 配当王銘柄の過去27年のリターンは市場平均を大幅に凌駕している
  • 配当王銘柄の配当利回り自体は低いので二重課税の影響も少ない(配当貴族も同様)

 

▷ 個人投資家でも市場平均凌駕が期待できる現実的なポートフォリオの組成法

 

  • 配当貴族銘柄の中から時価総額上位20銘柄を選定
  • 各銘柄に5%ずつ均等投資してポートフォリオを組む
  • 毎年初に配当貴族銘柄の時価総額を再評価して上位20銘柄を選定し直す(※)
  • 新しく選定した50銘柄でポートフォリオを5%ずつのウェイトで組み直す(※)
  • (※)は実施しなくても高いパフォーマンスは実証されている。
  • (※)を行わない場合は新たに入金する時に割合が低くなっている銘柄に投資を行う
  • 但し、配当貴族銘柄でないものが現れたら、その時点で他の配当貴族銘柄で時価総額が大きい銘柄と入れ替える。
  • 10銘柄でよければ配当王銘柄の時価総額上位10銘柄で各銘柄10%ずつ上記と同様にポートフォリオを組成

 

目次

Contents

全銘柄から高配当利回り上位を抽出したポートフォリオの成績は悪い

それでは本題に入っていきます。

まず流動性がある程度の時価総額を誇る銘柄の中から高配当銘柄を抽出して取り出したポートフォリオのリターンを見ていきましょう。

 

「ウォール街で勝つ法則」で押さえておくべき定義

まず前提として同書は1996年末時点で時価総額が1.5億ドルの銘柄を全銘柄と定義しています。

つまり2020年時点でインフレをベースに補正すると2.4億ドル以上の銘柄を全銘柄としています。

 

信太郎
インフレについてはInflationData.com「Historical CPI」を元に算出しておるぞ!

 

現在S&P500平均の最も小さい時価総額が約8.6億ドル(約900億円)なのでS&P500指数よりも小さい銘柄を対象としていることになります。

また、同書は全体として特定の性質を持つ50銘柄を抽出して均等ポートフォリオを組み銘柄選定並びに毎年リバランスを行うこととしています。

 

信太郎
均等ポートフォリオとは50銘柄に投資するのであれば各銘柄2%ずつ投資をするというものじゃ!

 

また、当然配当金は再投資した前提ですすめます。

 

信太郎
つまり毎年最初に銘柄構成を見直して、全てポートフォリオの中に2%ずつ組み入れるリバランスを行うということじゃな。
淀姫
なんだか、高配当ETFで均等ポートフォリオのSPYDのようじゃな。
信太郎
SPYDより更に時価総額が低い銘柄も組み入れてはおるが似たようなもんじゃな。(後で詳しく解説するぞい)

 

全銘柄の高配当利回り50銘柄のリターン vs 全銘柄のリターン

1951年12月31日に1万ドルを投資した場合の1996年末までの資産の推移です。

全銘柄が1996年末に267.7万ドルになっているのに対して高配当50銘柄は163.4万ドルになっています。

全銘柄と全銘柄の中の高配当利回り銘柄のリターンの比較

 

リスク(=標準偏差)とリターン(単純平均、平均年率)についても比較すると以下となります。

全銘柄高配当50銘柄
リターン(単純平均)14.9714.08%
リターン(平均年率)13.23%11.99%
標準偏差19.51%21.27%

 

リターン(単純平均)とは各年度のリターンを単純に平均したものです。

一方、リターン(平均年率)とは複利で運用した場合の平均リターンでCAGRによって算出できます。

 

信太郎
リスクとは平均からブレる可能性のことじゃ!以下で詳しく解説しておるぞ!

 

投資におけるリスク(=標準偏差)

投資におけるリスク(=標準偏差)とは?株・投資信託のリスクリターンの意味・計算方法やシャープレシオという指標を理解しよう!

2019年4月26日

 

淀姫
高配当銘柄には投資しない方がよいということじゃな。。
信太郎
まあ一概にそうとも言えぬな。大型株に絞って高配当を抽出するとまた事情が変わってくるぞ!

 

 

 (目次に戻る

時価総額上位から抽出した高配当利回りのパフォーマンスは良好

先ほどは全銘柄から抽出した配当上位50銘柄のデータについてお伝えしました。

次は全銘柄の平均時価総額以上の銘柄の中から50銘柄を抽出して選んだポートフォリオと比較していきます。

 

信太郎
平均的以上の時価総額の銘柄は全体の約16%とのことじゃから名前を聞いたことがあるような大型株ということになるの!
淀姫
なぜ平均なのに上位16%なのですか?50%じゃないんですか?
信太郎
そちがいうておるのは中央値じゃな!平均値は上位の銘柄の時価総額が巨額じゃと平均値が引き上げられるからの!全体の5分の1以下になるのも納得じゃわい。

 

大型株の高配当利回り50銘柄 vs 大型株全体

まずは大型株と大型株高配当利回りの50銘柄を比べてみます。

大型株と大型株高配当利回りのリタ

 

1951年末時点で1万ドルを投資した場合を考えてみます。

大型株高配当利回りポートフォリオは289.8万ドルになる反面、大型株全体のポートフォリオは159.0万ドルにしかなりません。

データとしても年率リターンで大型株全体から年率1.5%アウトパフォームしていることになります。

 

大型株大型株高配当50銘柄
単純平均13.11%14.76%
年平均利回り11.92%13.43%
リスク(=標準偏差)16.01%17.52%

 

淀姫
大型株高配当50銘柄のポートフォリオは大型株を大幅に凌駕しておりますね!
信太郎
次に先ほど比べた、全銘柄のポートフォリオと比べてみようぞ!

 

大型株の高配当利回り50銘柄 vs 全銘柄

では高配当利回り50銘柄と全銘柄のリターンを比較してみましょう。

1951年末に同じく1万ドルを投資した場合の最終金額は以下です。

全銘柄は267.7万ドルになっており、一方の高配当銘柄は289.8万ドルになっています。

 

淀姫
殆ど変わりませんね。。

 

全銘柄のリターンと大型高配当株のリターン

 

データとしては以下となります。

大型高配当株と全銘柄のリターンは殆ど変わらない水準ですが、標準偏差は若干大型高配当株の方が優秀な数値となります。

つまり価格の変動幅は全銘柄の方が大きいということです。

 

全銘柄大型株高配当50銘柄
単純平均14.97%14.76%
年平均利回り13.23%13.43%
リスク(=標準偏差)19.51%17.52%

 

確かに、大型高配当銘柄の方が優れたパフォーマンスではありますが、大きな差と言えるレベルではありません。

 

淀姫
しかし何故全銘柄の高配当利回りは低いリターンなのに、大型高配当銘柄は全銘柄と比してわずかながらも高いリターンを叩き出しているのですか?
信太郎
ううむ。はっきりしたことはわからんが、大型高配当銘柄は長年にわたる事業活動と強固な財務基盤を持っていることが要因としてあげられておるな。

 

高配当利回り戦略が高いリターンを叩き出す理由については以下の記事で詳しくお伝えしています。

 

【株式投資の未来】高配当利回り企業・増配持続企業に「分散投資する戦略」が市場平均を上回る理由!さらに高配当戦略最強のポートフォリオを考察。

【ジェレミー ・シーゲル教授の「株式投資の未来」を要約】高配当利回り企業・増配持続企業に「分散投資する戦略」が市場平均を上回る理由!さらに高配当戦略最強のポートフォリオを考察。

2020年5月26日

 

 (目次に戻る

「ウォール街で勝つ法則」から読み取れる高配当投資のまとめ

独自の考察を行う前にまずは今までの内容をまとめていきたいと思います。

時価総額が一定以上(約260兆円以上)の全銘柄の中の高配当50銘柄のリターンは、全銘柄のリターンに大幅に劣後。

全銘柄ポートフォリオ > 全銘柄の高配当50銘柄

 

一方、時価総額が平均以上の約16%の大型銘柄の中で高配当50銘柄のリターンは、大型株のリターンを大幅に凌駕。

大型株高配当50銘柄ポートフォリオ > 大型株ポートフォリオ

 

しかし、大型株高配当銘柄と全銘柄のリターンは長期的に大きな差はないレベルとなっている。

大型株高配当50銘柄ポートフォリオ 全銘柄ポートフォリオ

 

淀姫
あえて、大型株の中の高配当株に分散投資する妙味はなさそうじゃな。。

 

 

 

目次に戻る

近年も大型高配当銘柄のリターンは優秀な成績なのか?

「ウォール街で勝つ法則」は1951年末から1996年末までの成績を検証しているものです。

45年間のデータは膨大であり10年間のデータで比較するより非常に信憑性があります。

しかし、実際に近年も含めて大型株高配当利回りが高いリターンを出しているのかを確認していきたいと思います。

 

信太郎
不完全であることは承知しておるが、ある程度示唆深い内容になったぞい!

 

【概要】

  • 超大型高配当20銘柄は株式市場全体のリターンを凌駕している
  • しかしVTIが設定された2001年からでは二重課税の影響を考慮するとリターンは劣後
  • 1997年1月からのデータでみると二重課税の影響を考慮してもリターンはプラス

 

 

銘柄抽出方法と選出した20銘柄

 

【銘柄抽出方法】

 

  • 1997年1月からのリターンをみるために23年以上存続している企業
  • S&P500の時価総額475億ドル以上(約5兆円)の銘柄
  • 配当利回り上位10銘柄(2020年5月13日時点)

 

【不完全な点】

  • 生存企業だけを抽出しているので生存者バイアスがかかっている
  • 現時点での高配当銘柄が23年前から高配当であったと仮定している
  • 毎年年初時点で高配当銘柄を見直すことができない(データ不足)

 

信太郎
上記の基準で選んだ20銘柄が以下じゃ。皆の衆が知っている有名大型銘柄が殆どではないかの!(選出本当に疲れたわい。。)

 

配当利回り順位銘柄コード銘柄名時価総額配当利回り
1MOアルトリア67,551,6799.30%
2WFCウェルスファーゴ92,372,9458.36%
3XOMエクソンモービル177,381,9478.26%
4TAT&T200,141,2507.34%
5BAボーイング68,565,5296.82%
6CVXシェブロン165,601,0065.71%
7IBMIBN102,755,7365.60%
8Cシティ84,521,4054.89%
9SOサザン・カンパニー56,799,8584.70%
10Dドミニオン・エナジー66,309,2224.69%
11DUKDuke Energy60,109,6044.60%
12VZベライゾン226,969,0484.50%
13MMMスリーエム78,295,7304.40%
14JPMJPモルガン256,041,3324.15%
15PFEファイザー205,806,5914.05%
16CATキャタピラー56,548,6843.95%
17MSモルガン・スタンレー58,283,5293.71%
18GILDギリアド96,662,0143.50%
19BACバンクオブアメリカ181,060,0003.35%
20TXNテキサス・インスツルメンツ100,101,4623.32%

 

 

選出した20銘柄の均等ポートフォリオ vs VTI (2001年〜)

 

信太郎
それでは選出した20銘柄を各5%ずつ組み入れた均等ポートフォリオ(年一回リバランス)と米国株全体に投資できるVTI(設定2001年)との比較をみてみようぞ!

 

以下は配当金を再投資した場合の高配当20銘柄VTIのチャートの比較です。

大型株20銘柄高配当利回りとVTIのリターンの推移

 

2001年〜高配当20銘柄VTI
リターン(年率)8.43%7.70%
リスク(標準偏差)14.65%15.03%

 

淀姫
圧倒的に高配当20銘柄のリターンが高いのぉ!
信太郎
うむ。じゃがの、日本の投資家の場合は配当金の二重課税を気をつけなれけばいけないぞ!

 

日米での30%の二重課税の影響を加味して比較してみる

以前お伝えした通り、米国からの配当金に対しては米国で源泉税を10%徴収された後に、日本で20.315%の税金が差し引かれます。

 

米国株の配当金の二重課税

 

米国株の配当金は二重課税!?投信に適用される二重課税調整と共に仕組みを解説!外国税額控除を利用して取り返すことも考えよう。

米国株の配当金は二重課税!?投信に適用される二重課税調整と共に仕組みを解説!外国税額控除を利用して取り返すことも考えよう。

2020年5月13日

 

淀姫
約30%も取られるんですね。。高配当投資にとっては手痛い痛手じゃな。

 

そこで高配当20銘柄の平均配当利回りが5.2%でしたので、日本の投資家の立場で以下のシミュレーションを行います。

高配当20銘柄:年率8.43%のリターンのうち5.2%が配当金と考えて30%の税金差し引かれた後に再投資
VTI:年率7.7%のリターンのうち2%が配当金と考えて30%の税金差し引かれた後に再投資

 

以下が上記の前提で10年運用した場合の両者の最終元本の違いです。

 

淀姫
あれ。。大型高配当20銘柄ポートフォリオが負けておりますね。。税金の影響大きいですね。。

 

配当金差し引きを加味した後でのリターンの比較

 

 

【大型高配当20銘柄】

運用年数配当金以外配当金税後配当金最終元本
110,323.00520.00364.0010,687.00
211,032.19555.72389.0111,421.20
311,790.10593.90415.7312,205.83
412,600.08634.70444.2913,044.37
513,465.71678.31474.8213,940.52
614,390.80724.91507.4414,898.24
715,379.45774.71542.3015,921.75
816,436.02827.93579.5517,015.57
917,565.17884.81619.3718,184.54
1018,771.90945.60661.9219,433.82
平均年率:6.87%

 

 

【VTI】

運用年数配当金以外配当金税後配当金最終元本
110,570.00200.00140.0010,710.00
211,320.47214.20149.9411,470.41
312,124.22229.41160.5912,284.81
412,985.04245.70171.9913,157.03
513,906.98263.14184.2014,091.18
614,894.38281.82197.2815,091.65
715,951.88301.83211.2816,163.16
817,084.46323.26226.2817,310.75
918,297.46346.21242.3518,539.81
1019,596.58370.80259.5619,856.13
平均年率:7.1%

 

 

選出した20銘柄の均等ポートフォリオ vs 市場平均 (1997年〜)

先ほどはVTIが設定された2001年からの比較でしたが「ウォール街で勝つ法則」が終了した1997年からのリターンはどうでしょうか?

選出した20銘柄の均等ポートフォリオの1997年1月から現在2020年4月末までのチャートが以下となります。

1997年1月に$10,000を投資した場合、現在は$110,344となります。

 

年率リターン:10.84%
リスク(=標準偏差):15.27%

 

1997年の高配当利回りポートフォリオのリターン

 

淀姫
年率リターンは先ほどより高くなっていますね!
信太郎
まあ、2000年代はITバブル崩壊とリーマンショックの二つの暴落に見舞われたからのぉ。

 

一方、株式市場全体のチャートは以下となります。

1997年1月に$10,000を投資した場合、現在は$60,742となります。

 

米国株全体の1997年からのチャート

 

1997年1月〜高配当20銘柄米国株全体
リターン(年率)10.84%8.04%
リスク(標準偏差)15.27%15.81%

 

 

信太郎
リターンの差も2001年から比較した時と比べて開いておるの!更にリスクも高配当20銘柄の方が低くおさえられておる!

 

では二重課税の影響も考えてみましょう。

 

1997年からのデータでは二重課税の影響を加味しても高配当利回りポートフォリオが優位

先ほどと同じく高配当20銘柄は配当利回り5%、米国株全体の配当利回り2%としてシミュレーションを行います。

結果は以下ですが高配当20銘柄の平均年率リターンは9.34%の一方、市場平均は7.44%と大きな差が出ています。

 

1997年からの高配当戦略と市場平均との比較

 

【高配当20銘柄】

運用年数配当金以外配当金税後配当金最終元本
110,584.00500.00350.0010,934.00
211,572.55546.70382.6911,955.24
312,653.42597.76418.4313,071.85
413,835.25653.59457.5114,292.77
515,127.46714.64500.2515,627.71
616,540.37781.39546.9717,087.34
718,085.24854.37598.0618,683.30
819,774.40934.16653.9220,428.32
921,621.331,021.42714.9922,336.32
1023,640.761,116.82781.7724,422.53
平均年率:9.34%

 

 

【市場全体】

運用年数配当金以外配当金税後配当金最終元本
110,604.00200.00140.0010,744.00
211,392.94214.88150.4211,543.35
312,240.57230.87161.6112,402.18
413,151.27248.04173.6313,324.90
514,129.73266.50186.5514,316.27
615,180.98286.33200.4315,381.40
716,310.44307.63215.3416,525.78
817,523.94330.52231.3617,755.30
918,827.72355.11248.5719,076.29
1020,228.50381.53267.0720,495.57
平均年率:7.44%

 

 

淀姫
23年間のデータじゃと大型株高配当戦略のリターンが凌駕していますね!しかし、何故こんな高いリターンになったのですか?
信太郎
次の項で紐解いていこうぞ!

 

 

 (目次に戻る

1997年から大型株高配当利回り戦略が高いリターンを出した理由と欠陥

最初に1951年末から1996年末のデータで大型株高配当ポートフォリオのリターンは市場平均と殆ど同じリターンでした。

一方、先ほど筆者が検証した1997年末から2020年のデータは二重課税調整後も大幅にプラスのリターンになりました。

 

信太郎
上記検証の欠陥と理由について考察していこうぞ!

 

検証で生じる致し方ない欠陥をまず明示!生存者バイアスも入っている。

先ほどの検証は完全ではありません。(ただし、一定の有効性を示しているとも考えています)

まずはデータの欠陥について予め宣言しておこうと思います。

 

◾️データの欠陥:

 

【欠陥1】

現時点での高配当銘柄を抽出しており1997年時点の高配当銘柄群を必ずしも抽出できているとは限らない

 

【欠陥2】

20銘柄では分散が十分ではない。50銘柄程度必要だとは思いますが労力の関係上申し訳ありません。

 

【欠陥3】

23年間でデータは長期とはいえ、贅沢を言えば50年近いデータで検証したいところ。

 

【欠陥4】(重要)

1997年時点で高配当で倒産又は時価総額が没落した銘柄が入っていない。つまり生存者バイアスが入っている

 

超大型株高配当利回り戦略となっていることが要因か?

上記の欠陥はあるとはいえ明らかに優位な成績を残していることは考察するに値します。

「ウォール街で勝つ法則」のデータは2.4億ドルという比較的小型銘柄を含んだ全銘柄の中の平均以上の時価総額を大型株としています。

 

しかし、筆者のデータではS&P平均の銘柄(最低時価総額8.6億ドル)の中の平均以上の時価総額の中から選出しています。

S&P500指数の平均時価総額は2020年5月13日時点で475億ドル(約5兆円以上)で117銘柄存在しています。

 

信太郎
トヨタが20兆程度じゃから条件を満たす銘柄は相当大きな銘柄といえるのぉ!

 

この中から1997年から生存している高配当20銘柄は優秀な事業基盤と財務基盤を持っている銘柄といえます。

つまり、超大型優良株の中の高配当利回りの銘柄は市場平均を凌駕する可能性が高いということになります。

大型株の中で更に条件(財務内容や売上高等の基準)で絞った銘柄の中から高配当利回りの銘柄を選べば更に高いリターンが見込めるというのは「ウォール街で勝つ法則」でも言及されていました。

 

信太郎
S&P500指数の構成銘柄の時価総額が平均以上の中から高配当銘柄を選出すれば長期的にみると市場平均を上回る高いリターンとなる確度が高いということじゃな!

 

ただ、毎年平均時価総額を算出して配当利回りが高い銘柄にリバランスをしていくという戦略を実施していくのは難しいですし手間がかかります。

そこで最後の項目で有効な配当金投資法についてもお伝えしています。

その前に大人気の高配当利回りETFのSPYDについて触れていきたいと思います。

目次に戻る

SPYDに投資をしない理由は二つ

S&P500指数の配当利回りが高い銘柄から80銘柄を均等ポートフォリオ形式で運用しているETFとしてSPYDがあります。

非常に人気のETFなのですが、筆者はSPYDには投資していません。

ここまでの議論で勘の良い方は理由を既に気づかれていると思いますが理由をお伝えしていきます。

 

S&P500銘柄の中の中小型株も組み入れられている

今までの議論から単純な高配当利回りの銘柄の均等ポートフォリオは市場平均より低いリターンであることをお伝えしてきました。

SPYDはS&P500指数の中から時価総額に関係なく高配当から上位80銘柄を組み入れているETFです。

 

淀姫
まさに「ウォール街で勝つ法則」が否定している手法ということですね。。
信太郎
うむ。S&P500は同書の全銘柄の基準よりは大きい時価総額とはいえクズ株で高配当銘柄が多く含まれておるからの。そもそものパフォーマンスが低い可能性が高いの。

 

まだ2016年からの実績しかないので何とも言えませんがSPYDはVTIを劣後しています。

筆者としては期間が長くなっても結果は変わらず市場平均に劣後する結果となると考えています。

 

米国個別株と米国ETFは二重課税を被る

先ほどの検証でも触れましたが、米国株の配当金を受け取る時は日本人投資家は米国側と日本側の二重課税を被ってしまいます。

合計30%の税金は特に高配当ETFにおいては大きな損失となることは先ほどの検証でも明らかとなりました。

 

米国株の配当金の二重課税

 

SPYDの配当利回りは5%程度です。

仮に配当金拠出前のリターンが7%とすると、配当金で5%を拠出すると税後配当金は3.5%となります。

結果として最終リターンは5.5%になってしまうのです。

同じく7%のリターンでもVTIのように2%の配当金しか拠出しない場合の最終リターンは6.4%となります。

 

SPYD仮想リターン市場平均仮想リターン
配当拠出前7.0%7.0%
配当以外①2.0%5.0%
配当金5.0%2.0%
税後配当金②3.5%1.4%
最終リターン
①+②
5.5%6.4%

 

淀姫
同じリターンでも1%近いリターンの差がでてきてしまうんじゃな。
信太郎
SPYDに投資しない理由については更に以下でも詳しく解説しておるぞ!

 

【SPYDとは?】米国高配当利回りのETFは評判どおり?HDVやVYMとの株価の比較も含めて徹底評価。

【SPYDとは?】評判の暴落から回復中の米国高配当利回りETFは魅力的?HDVやVYMとの株価の比較も含めて徹底評価。

2020年2月4日

 

 

 (目次に戻る

長期間連続増配銘柄への均等投資は市場平均をアウトパフォーム!?

超大型銘柄の高配当利回りの銘柄群のリターンは高いリターンを叩きだす可能性があります。

しかし、現在の高配当利回りが1997年から続いているという仮定の基での成績であり1997年時点で同じ選択を下すのは難しいです。

 

そして、そもそも毎年S&P500銘柄の時価総額を調べて上位銘柄の中から高配当を選出するのは非常に骨が折れますし、

リバランスの費用がかかります。

 

ここからの二項で個人投資家の皆さんが、

  • 出来る限り煩わしい思いもせず
  • 市場平均より高いリターンを叩き出せる可能性が高く(あくまで過去検証からの可能性)
  • 二重課税の影響も被りにくい

配当投資戦略をお伝えしていきます。

 

淀姫
無思考で高配当投資戦略で高いリターンを出す方法はないのかのぉ。
信太郎
うむ。わしがおすすめするのは連続増配銘柄への投資じゃな。

 

「配当貴族」「配当王」といった連続増配企業への投資の魅力

 

米国には25年以上増配を実現している配当貴族銘柄と、50年以上増配を実現している配当王銘柄が存在しています。

それぞれ現時点での配当利回りは2%-3%程度ですが、長期保有で持ち値ベースで高配当銘柄となります。

 

配当王銘柄の魅力

 

信太郎
更に一定以上の年数安定して事業運営していることが保証されておるのも魅力的じゃな!配当王にいたっては基本的には優良大型株といっても差し支えないの。

 

配当貴族銘柄は25年以上増配しているので最低でも25年以上運営を実施していますし、

配当王銘柄に関しては50年以上増配を実施しているので最低でも50年以上運営を実施していることが挙げられます。

 

淀姫
50年間増配を続けているということは事業基盤が堅調に拡大し財務基盤が堅実であることを示しておるの!

 

「配当王」銘柄を紹介

では配当王銘柄を紹介していきます。現状24社存在しています。

【配当王全銘柄】

会社名時価総額(億ドル)連続増配年配当利回り
(2020年5月)
過去3年
増配成長率
AWRアメリカン・ステイツ・ウォーター27.91651.61%7.07%
NWNノースウェスト・ナチュラル・ガス17.89643.26%0.48%
DOVドーバー123.06642.29%2.50%
PGプロクター・アンド・ギャンブル2817.53632.78%2.90%
GPCジェニュイン・パーツ102.42634.45%4.15%
EMRエマソン・エレクトリック318.93633.75%1.28%
MMMスリーエム782.21594.32%7.01%
CINFシンシナティ・ファイナンシャル81.9594.75%3.85%
KOコカ・コーラ1876.87573.75%2.63%
JNJジョンソン・エンド・ジョンソン3889.72572.74%4.60%
LOWロウズ833.39571.99%13.12%
LANCランカスター・コロニー39.49571.95%7.56%
CLコルゲート・パルモリーブ574.39562.62%2.65%
ITWイリノイ・ツール・ワークス489.22562.76%14.38%
HRLホーメル・フーズ255.87531.95%11.00%
TRトーツィー・ロール・インダストリーズ22.72531.06%0.20%
TGTターゲット599.49522.20%2.66%
FRTフェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト52.96526.00%1.98%
ABMABMインダストリーズ.20.27522.43%2.86%
CWTカリフォルニア・ウォーター・サービス21.14521.96%3.14%
SJWSJWグループ15.14522.41%11.32%
SWKスタンレー・ブラック・アンド・デッカー160.99522.64%4.48%
SCLステファン19.79521.25%9.41%
CBSHコマースバンクシェア61.01511.97%4.94%

 

上記の中には時価総額が低い銘柄が低い銘柄も含めれているので時価総額上位10銘柄を抽出したものが以下です。

 

会社名時価総額(億ドル)連続増配年配当利回り
(2020年5月)
過去3年
増配成長率
PGプロクター・アンド・ギャンブル2817.53632.78%2.90%
EMRエマソン・エレクトリック318.93633.75%1.28%
MMMスリーエム782.21594.32%7.01%
KOコカ・コーラ1876.87573.75%2.63%
JNJジョンソン・エンド・ジョンソン3889.72572.74%4.60%
LOWロウズ833.39571.99%13.12%
CLコルゲート・パルモリーブ574.39562.62%2.65%
ITWイリノイ・ツール・ワークス489.22562.76%14.38%
HRLホーメル・フーズ255.87531.95%11.00%
TGTターゲット599.49522.20%2.66%

 

 

配当王銘柄のポートフォリオのリターン(1993年〜)

配当王銘柄と市場平均のリターンを比較していきましょう。

 

青:配当王24銘柄の均等ポートフォリオのチャート
赤:配当王時価総額10銘柄の均等ポートフォリオのチャート

配当王銘柄のリターンの高さ
1993年〜リターンリスクWorst YearBest Year
市場平均9.18%15.00%▲37.40%35.79%
配当王銘柄12.25%12.29%▲12.99%43.47%
配当王大型10銘柄13.11%13.67%▲20.68%38.03%

 

因みに上記は毎年一回、各銘柄均等となるようにリバランスを行なっていますが、リバランスを行わなかった場合のリスクリターンは以下となります。

若干ではありますがパフォーマンスは悪くなりますが市場平均を大幅にアウトパフォームしていることには変わりありません。

また、リバランスの際の手数料や税金等を考えるとリバランスなしの方が最終的に良い水準ともいえますね。

 

1993年〜リターンリスクWorst YearBest Year
配当王銘柄
(リバランスなし)
11.60%13.07%▲13.18%42.19%
配当王大型10銘柄
(リバランスなし)
13.11%13.67%▲18.34%37.93%

 

 

淀姫
配当王ポートフォリオは高いリターンで尚且つ低いリスクなんじゃな!
信太郎
うむ。更に最もパフォーマンスが悪い年でも市場平均より大幅に損害が低く抑えられておるの!

 

配当王銘柄のリターン vs VTI ( From2001〜)

以下はVTIの運用が開始された時点からのリターンの比較です。

青:配当王24銘柄の均等ポートフォリオのチャート
赤:配当王時価総額10銘柄の均等ポートフォリオのチャート
黄:VTIのリターン

 

配当王銘柄のポートフォリオとVTIの比較
2001年〜リターンリスクWorst YearBest Year
VTI7.7%15.03%▲36.89%33.45%
配当王全銘柄10.26%12.37%▲12.99%43.47%
配当王全銘柄
(リバランスなし)
9.66%12.41%▲13.63%25.99%
配当王大型10銘柄9.68%12.57%▲20.68%38.03%
配当王大型10銘柄
(リバランスなし)
9.18%12.57%▲21.92%34.15%

 

 

信太郎
配当王銘柄全体が最も高くなるという結果となったが、配当王銘柄の方が市場平均より優秀な結果となっておるの!
淀姫
配当王銘柄は現時点での配当利回りが特段高いわけでもないので二重課税の影響も少ないのも魅力じゃな!

 

ここまでは配当王銘柄を例にして連続増配銘柄に投資する有効性についてお伝えしてきました。

ここから個人投資家でもできる市場平均を凌駕しうるポートフォリオの組成方法についてお伝えしていきたいと思います。

 

 

 (目次に戻る

個人投資家でもできる配当貴族銘柄投資戦略!

配当王は50年以上増配を実施している銘柄ですが、現在だと銘柄数も少なく20銘柄で分散ポートフォリオを組成することができません。

 

信太郎
10銘柄で分散ポートフォリオを組むなら配当王銘柄への分散投資でも良いが、大型株20銘柄で分散を効かせたいのであれば配当貴族銘柄も視野に入れた方が賢明じゃな!

 

現在配当王銘柄として存在している銘柄も昔は25年連続増配している配当貴族銘柄でした。

 

信太郎
配当貴族銘柄の数は82銘柄あるからの!時価総額上位20銘柄で大型株ポートフォリオを組成することができるぞ!

 

配当貴族銘柄の魅力

株価上昇・毎年増配!?「配当貴族・配当貴族指数」とは!米国と日本の代表個別株式銘柄と共に魅力を紹介。

2019年9月21日

 

因みに何故最初に配当王銘柄で検証を行ったかというと検証を行った27年前に既に配当貴族銘柄だったからです。

当時配当貴族銘柄に投資をしていれば、これだけのリターンが得られていたということは、

現在配当貴族に投資したら同様の成果をえられることを実証検証したかったためです。

今の配当貴族銘柄は30年前は配当貴族銘柄ではありませんからね。

 

ポートフォリオの組成方法と運用方法

まず現時点で配当貴族銘柄の中から時価総額上位20銘柄を選出します。

大型株に集中投資する理由は前半の考察を踏襲しています。

 

淀姫
時価総額第20位のAPDでも最初の方で触れたS&P500の時価総額の平均値程度となっているので超大型株でポートフォリオを組むことができますね!
信太郎
うむ。また、平均配当利回りは2.68%と配当王銘柄同様に高くはないので二重課税の影響も低く抑えることができるの!

 

ティッカー企業名配当利回り連続増配年数時価総額(億ドル)
JNJJohnson & Johnson2.65%56年3874.96
WMTWal-Mart Stores1.75%44年3522.86
PGProcter & Gamble2.38%62年2788.07
TAT&T5.40%34年2012.1
KOCoca-Cola Co.2.97%56年1917.67
PEPPepsiCo2.81%46年1864.52
XOMExxon Mobil4.99%36年1786.84
CVXChevron Corp4.02%33年1678.88
ABTAbbott Labs1.66%46年1604.87
MCDMcDonald’s2.54%42年1296.02
MDTMedtronic, Inc.1.89%41年1262.03
LOWLowe’s1.84%56年837.54
MMM3M3.39%60年776.46
BDXBecton Dickinson1.18%47年710.1
TGTTarget2.06%51年608.19
ADPAutomatic Data Processing2.17%44年576.93
CLColgate-Palmolive2.52%55年576.44
ECLEcolab Inc.1.01%33年556.51
SHWSherwin Williams0.78%40年498.04
APDAir Products & Chemicals1.99%36年497.26

 

  1. ポートフォリオに上記20銘柄を5%ずつ組み込む
  2. 毎年配当貴族銘柄を時価総額順に並び変えて銘柄選定を行う 
  3. 選定し直した銘柄をそれぞれポートフォリオの5%ずつとするよう組み直す

2と3は行なっても行わなくてもよい

 

過去の配当貴族銘柄のリターン

銘柄組み換えは実施できていませんが先ほどの上位20銘柄の過去のリターンを見ていきましょう。

配当貴族大型20銘柄ポートフォリオ vs VTI

大型配当貴族銘柄とVTIのリターンの差

 

2001年〜リターンリスクWorst YearBest Year
VTI7.7%15.03%▲36.89%33.45%
配当貴族上位20銘柄10.06%11.68%▲15.66%29.96%
配当貴族上位20銘柄
リバランスなし
10.50%12.00%▲16.27%30.36%

 

平均リターンもさることながら、価格のブレ幅であるリスクも低く抑えられ更に最大損失も大幅に小さく抑えられています。

更に長い1993年からの期間でみると以下の通りリターン、リスク、最大損失と全てにおいて優れた成績を残していることがわかります。

 

1993年〜リターンリスクWorst YearBest Year
市場平均9.18%15.00%▲37.40%35.79%
配当貴族上位20銘柄12.97%12.27%▲15.66%37.26%
配当貴族上位20銘柄
リバランスなし
12.65%13.01%▲16.55%38.45%

 

淀姫
10銘柄で分散投資をしたいのであれば配当王銘柄から、20銘柄でもっと分散を効かせたいのであれば配当貴族の時価総額上位銘柄で分散を効かせるのがよさそうじゃな!!

 

あくまで過去検証を行った結果であり、将来のリターンを保証できるものではありません。

ただ、30年近いデータとして確認できていることではあるので非常に期待が持てる戦略であると考えています。

 

 

目次に戻る

まとめ

 

信太郎
今回は盛りだくさんじゃったな!

 

▷ 過去45年(1951年末〜1996年末)のデータから検証

 

  • ある程度の時価総額の中から高配当利回り銘柄を抽出したポートフォリオのリターンは市場平均以下
  • 大型株の中から抽出した高配当利回りポートフォリオのリターンは大型株全体の成績を大幅に凌駕
  • しかし大型株高配当利回りポートフォリオのリターンも市場平均と大差のないレベル

 

1996年末〜現在のデータから検証

 

  • S&P500指数の平均時価総額より高い銘柄群から23年以上存続している超大型株高配当利回り上位20銘柄を抽出
  • 超大型株高配当利回りは長期的に市場平均を大きくアウトパフォーム
  • 米国株の配当には日米で2重課税(約30%)が発生するので市場平均とのリターンの差は縮小
  • 優位性は実証されたが生存バイアスや毎年銘柄見直しができない、1996年当時から高配当が持続という仮定が入っており非現実的

 

SPYDに投資しない理由

 

  • S&P500指数全体から高配当銘柄上位80社を抽出している。(大型株に限定していない)
  • 2重課税の影響をダイレクトに受けて更にリターンが低くなる

 

高配当投資は連続増配銘柄分散投資が現実的な選択肢

 

  • 米国には25年以上増配している「配当貴族銘柄」と50年以上増配している「配当王銘柄」が数多く存在している
  • 長期増配企業は堅調な事業基盤と財務体質を誇っている企業が多い
  • 配当王銘柄の過去27年のリターンは市場平均を大幅に凌駕している
  • 配当王銘柄の配当利回り自体は低いので二重課税の影響も少ない

 

配当投資家に推奨したいポートフォリオの組成

 

  • 配当貴族銘柄の中から時価総額上位20銘柄を選定
  • 各銘柄に5%ずつ均等投資してポートフォリオを組む
  • 毎年初に配当貴族銘柄の時価総額を再評価して上位20銘柄を選定し直す(※)
  • 新しく選定した50銘柄でポートフォリオを5%ずつのウェイトで組み直す(※)
  • (※)は実施しなくても高いパフォーマンスは実証されている。
  • (※)を行わない場合は新たに入金する時に割合が低くなっている銘柄に投資を行う
  • 10銘柄でよければ配当王銘柄で上記と同様に各銘柄10%ずつでポートフォリオを組む

 

 

以上、米国(アメリカ)株高配当利回り投資ポートフォリオを組むのはおすすめできる戦略なのか?長期データを元に(二重課税の影響まで加味して)徹底分析!…でした。

 

【株の配当金生活に必須の全知識】失敗しないおすすめ高配当・優良銘柄(日本・米国)も一挙に紹介!

【株の配当金生活に必須の全知識】失敗しないおすすめ高配当・優良銘柄(日本・米国)も一挙に紹介!

2019年7月4日

[おすすめ株式投資セミナー特集]

 

株式投資を「専門家や現役で成功している投資家に学びたい」という方は多いのではないでしょうか?

 

 

現在は、有難いことに、会場開催型、オンライン型など、優良セミナーが数多く開催されています。

 

ここでは、株式投資で成果を出したい初心者の方におすすめできるセミナーを以下の観点から、ランキング形式でお伝えしています。

 

◯ 講義は満足できる内容か?

◯ 運営は信頼できるか?

◯ 口コミや評判は良好か?

 

株式投資セミナー

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。