ウィリアム・J・オニールは「マーケットの魔術師」としてグロース株投資の神様として崇められています。
彼は1984年に「インベスターズ・ビジネス・デイリー紙」を創刊し、以後ITバブル崩壊やリーマンショック等の数々の暴落を当てています。
彼が提唱した銘柄選択法である「CAN-SLIM」の『M』はMarket Direction(=相場の方向性)のことです。
オニール氏は彼が運営する「Investors Business Daily」(以下IBD)の中で相場動向について見解を述べています。
過去にはITバブルやリーマンショックの前に購読者に現金化を呼びかけ購読者の多くを大幅な下落から救ってきました。
マネリテ編集部では同紙を購読することとしましたので、重要局面においては随時皆様に対してIBDの見解をお伝えしていきたいと思います。
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7月30日:ナスダックはGAFA決算良好でGDP下落もブル
木曜日のマーケットは米国の2QのGDPが32.9%下落と衝撃的な数値となったことで大きく下落して始まりました。
しかし、ナスダックはGAFAの引け後の決算の期待感もあり0.4%の上昇となりました。
NASDAQ:+0.4%
S&P500:▲0.4%
ダウ平均:▲0.9%
結果としてGAFAの決算は良好だったこともあり、本日夜の米国株は期待できるとしています。
Tech giants Alphabet, Amazon, Apple and Facebook reported earnings after the close. Their results will drastically impact Friday’s trading session, and the early indications were positive.
ではそれぞれの銘柄について見ていきましょう。
Alphabet(GOOGL)
まずはグーグルの親会社のAlphabetです。
Alphabet edged higher late Thursday after the internet giant’s better-than-expected Q2 results. The parent of Google is extended above a 1,415.63 buy point in a cup with handle after a breakout in late May.
グーグルの決算は予想よりよく5月末にカップウィズハンドルの1415ドルを上抜けており形上も綺麗だとしています。
アマゾン(AMZN)
次にアマゾンです。マイクロソフトのクラウド事業の成長減速が懸念されていたので注目されていました。
また前回、2Qの利益は見込めないと宣言していたので注目されていました。
Amazon’s Q2 earnings and sales were much better than expected, sparking a 6% advance after the close. The company reported adjusted earnings of $10.30 per share on revenue of $88.9 billion. Wall Street expected earnings of $1.48 a share on revenue of $81.4 billion. Shares are far above a 2,186.05 buy point in a cup base after a breakout on April 14.
予想EPS$1.48 → 結果EPS$10.3
予想収益$81.4 → 結果EPS$88.9
という予想を上回る好決算を受けてアフターマーケットで6%高となっています。ただ、クラウドに関しては全四半期33%の成長に対して、今四半期は29%の上昇と減速していることは懸念されています。
一方、本業でもあるe-commerce事業が小売店の破産が相次いだことで需要が急増しており急成長していることがポジティブ要因になりました。モルガン・スタンレーは2800ドルから3450ドルに目標株価を引き上げています。
アマゾンは2186ドルの高値抜け買いポイントを抜けてから上昇基調を継続しています。
アップル(AAPL)
アップルも決算後に上昇しました。
The Cupertino, Calif.-based company earned $2.58 a share on sales of $59.7 billion in the quarter ended June 27. Analysts had predicted Apple earnings of $2.04 a share on sales of $52.25 billion. On a year-over-year basis, Apple earnings rose 18% while sales climbed 11%.
予想EPS$2.58 → 結果EPS$2.04
予想収益$59.7 → 結果EPS$52.2
予想比で堅調な結果でした。理由としては幅広い製品が世界中で広範囲に売れたためとしています。
ただ、今回次の四半期の予想については出しませんでした。
通常アップルは新しいモデルを9月に出すのですが、コロナの影響で発売が遅れることが懸念されています。
また決算と同時に1株を4株に分割する株式分割が8月31日に行われることが発表されました。
株価は素直に好感して5%近く上昇して、カップウィズハンドルを上抜けた288.35ドルからの上昇基調を維持していて上昇が見込まれます。
フェイスブック(FB)
フェイスブックの決算も予想比で大幅上昇となりました。
The company reported adjusted earnings of $1.80 on revenue of $18.68 billion. Wall Street expected earnings of $1.44 on revenue of $17.29 billion.Facebook stock surged 7%, near 251, during after-hours action.
予想EPS$1.44 → 結果EPS$1.8
予想収益$17.29 → 結果EPS$18.68
ただ、コロナで広告費が減少することが見込まれることや、セキュリティー問題が今後下押し圧力になるとしています。
つまり、CEO自身が見通しについてはネガティブに見ているということが読み取れます。
The pandemic is adding to the pressure as many advertisers have pulled back spending. In addition, Facebook is under antitrust scrutiny.
Daily active users on Facebook jumped 12% to 1.79 billion from the year-ago period. Monthly active users were 2.70 billion, also up 12%.
“Our business has been impacted by the Covid-19 pandemic and, like all companies, we are facing a period of unprecedented uncertainty in our business outlook,” the company said in written remarks.
It continued, “Looking forward, as shelter-in-place restrictions continue to ease, we expect the number of Facebook daily and monthly users to be flat or slightly down in most regions in the third quarter of 2020 compared to the second quarter of 2020.”
とはいえ、ここまでフェイスブックは他のGAFAMに対して弱いパフォーマンスだったこともありアフターで7%の上昇となっています。
ゴールドマンサックスは265ドルに株価目標を引きあげました。
木曜日に50日移動平均の上でひけました。215ドルのカップウィズハンドルを上抜けており上昇基調の継続が見込まれます。
金曜日はナスダックを中心に急進がみこまれますね!
7月28日:ナスダック中心に株価下落継続
株式市場は後場で反落しました。ただ、出来高はそこまで大きくなく下落幅は小幅に踏みとどまりました。
一番の下落幅を記録したのはナスダック総合指数で1.3%となり、S&P500指数の0.7%の下落より大きくなりました。
ナスダックは4月6日にうわ抜けた50日移動平均線が近づいてきています。50日移動平均線にサポートされるかが注目ポイントとしています。
相場が下落した要因として市場が米政府の第五回財政刺激策が完遂されるまで時間がかかるという見方が広がった為です。
失業給付に対する内容でもめていたり、民主党から批判がでていたりと懸念事項が多く出てきています。
少なくとも、今回のコロナショックからのラリーは米政府の経済対策に支えられているものなので行く末が不透明なことはネガティブポイントです。
FOMCは金利水準は0%-0.25%で不変であるとの見方が大勢でサプライズはないでしょう。
7月27日:ナスダック中心に株価下落継続
先週木曜金曜の下落とは一転してマーケットは楽観ムードで始まりました。
理由としては以下の二点を挙げています。
- 上院共和党が新たに失業給付の延長のために1兆ドルの追加支出を計画していることが発表された
- モデルナ社のワクチン期待
コロナショックからのラリーは間違いなく、米政府の財政支出と金融緩和でした。
期限が切れることをおそれていた失業給付が延長されるということは大きな楽観要因でしょう。
また、ワクチンがでるかどうかはコロナ収束の決定打になる事象です。
ワクチン開発レースで先頭をはしるモデルナが米国内3万人を対象に最終段階となる臨床試験を開始したというニュースが好感されるのは当然ですね。
Investors Business Dailyも再び相場は上昇トレンドに回帰したとしています。
ただ、セクターに関してはハイテクセクターに対して徐々に買われすぎというレポートが出ていると警鐘を鳴らしています。
モルガン・スタンレーはハイテクセクターの評価を「attractive(=魅力的)」から「in line(=普通)」に引き下げました。
よって、ハイテクセクターは一旦足踏み感が強くセクターアロケーションが進行しているとしています。
月曜は工業セクターや金鉱株が強く、特にNewmont(NEM)はチャート上もベースを抜けているとしています。
以下はNEMの株価推移です。
出来高を伴って高値を抜けているので本格上昇の綺麗な形をしています。
また「98」という評価からもわかる通り、「Investors Business Daily」も期待を寄せている銘柄ということになりますね。
98という評価点はマイクロソフトと同様の数値となります。
7月24日:ナスダック中心に株価下落継続
7月24日時点では「CAN-SLIM」のMの項で解説した、ナスダックで出来高が上昇して下落する売り抜けが短期間に発生して危険な状態です。
要因としては木曜日に発表された新規失業保険が悪かったことと、マイクロソフトの決算に対する見方が別れたことに加え。
金曜日に中国が米国に成都の領事館を閉鎖することを要請し米中関係が悪化したことが挙げられます。
ナスダックは過去数カ月にわたってサポートされてきた21日移動平均線に近づいているとIBDは警鐘をならしています。
今週は機関投資家の売りも確認されたそうで不透明感は高まっていますね。
一つ目は今までの株価の回復速度が速すぎたことです。
持続不可能なレベルで短期的に上昇していたので、調整や横ばいの動きは健全な動きだとしています。f
ナスダックの上昇速度が原則する方がUptrend相場が長く続くので好ましいとしています。
2つ目はS&P500指数の建設業や小売セクターのLGIHやOLLI、LULUといった実態経済の影響を受ける銘柄が回復してきていることです。
株価だけの上昇だけでなく実態経済も回復傾向であるとの見通しが強まっている証拠であるとしています。
3つめはテクノロジー系企業で有望な銘柄の買いチャンスが訪れることを挙げています。
特にIBDではShopifyが今後1週間〜1ヶ月の間にBuy Pointが訪れる可能性があるとしています。
これらの新興企業が本格上昇前のCup with Handleの近いベースを形成したら絶好の機会到来としています。
今後のマーケットを注視していく必要がありますね!随時、状況をアップデートしていきます!