株式投資で利益を出すためには「キャピタルゲイン」。
もしくは「インカムゲイン」を得る必要があります。
「キャピタルゲイン」は株の「売買」で得られる利益。
「インカムゲイン」は配当など株を「保有する」ことで得られる利益のことです。
インカムゲインである配当は「権利確定日」というものが設定されています。
「権利確定日」に株を保有していない場合、配当を受け取る権利がないので、ここはしっかり理解しておく必要があります。
今回のコンテンツでは、この権利確定の仕組みについて、詳細に解説していきます。
目次
Contents
株価や配当に影響を与える権利確定日。変更があった際の調べ方・何時までに買えば良いのか?
株式投資における権利確定日とは、「株主として得られる権利」が確定される日にちのことです。
株主の権利を得るためには、必ず「権利確定日の2営業日前」までに株を購入しなければなりません。
この2営業日前の日を、「権利付最終日」と呼びます。
例えば、権利確定日が30日の場合28日までに購入する必要があります。
祝日や休日を挟む場合は、さらに前から購入しておかねばなりません。
上記の28日が日曜日の場合、26日(金)に購入することが求められます。
権利確定日は、株を発行する企業によって日付が異なります。
時間としては、権利付き最終売買日の取引が終わる15時までです。市場が開いている間ということです。
あらかじめ権利確定日を確認するのを忘れないようにしましょう。
権利確定日はSBI証券であれば、以下で調べられます(変更があった際も)。
(1)ログイン後、「国内株式」を押下
(2) 銘柄コードまたは銘柄名を入力し検索
(3) 株価照会画面の「情報表示」欄の「詳細」を押下
(4) 画面下部、「直近予想配当」欄の「権利付最終売買日」に当該銘柄の直近の権利付最終売買日を掲載しております。
楽天証券であれば、以下の通りです。
「権利確定日」は、優待や配当を取得する権利を保有する株主として登録される日のことです。
主に、「決算日」などが該当します。銘柄によって決算日は異なるので調べる必要があります。
ウェブ
個別銘柄ページの「株主優待」タブからご確認ください。
マーケットスピード(ログイン後)
「現物取引買い(売り)注文」、「信用取引新規(返済)注文」
権利付最終売買日が近づくにつれ、株価は上昇していく傾向にあります。
権利付最終売買日までに確実に株を購入しておけば、長期保有、または権利確定日以降にその株を保有していなくても、株主としての権利を手に入れることができます。
配当が高い企業や業績が好調で配当アップが見込める企業株の場合は特に、権利確定日付近での株価の上がり方が顕著になりやすいです。
しかし、高配当銘柄では、本来の企業価値よりも割高になることもあるので「配当権利落ち日」に株価が下落する可能性もあります。
PBRなど各種指標を使って株価の割高度合いを確認するようにしてください。
配当目的で株を購入する場合は、権利付最終売買日からなるべく離れた日に購入しておくことをお勧めします。
その方が、余分な費用をかけずに株を購入することができます。
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権利落ち日とは?空売りの機会と捉える投資家もいる?
「権利落ち日」とは、権利付最終売買日の翌営業日を指します。
権利落ち日になると、すでに「権利確定」がなされている状態になります。
この時点で株を売却しても、配当などの株主の権利を失うことはありません。
権利落ち日になると、株価は下降傾向になる場合が多いです。
これは株主として得られる権利がなくなる分、価値が低いと見なされてしまい投資家が売りにでやすいためです。
中には企業価値が高い企業の株でも権利落ち日に値を落とすこともあります。
つまり、新規購入する投資家にとっては「割安」となり、投資のチャンスとなります。
逆に、空売りを狙う投資家もいますが、どれくらいの確率で成功するのか理論値を持ってトレードに取り組みましょう。
ちなみに、権利落ち日に空売りをすると、配当を支払わなければならないので、その配当利回りを超えるリターンを1日で出す必要があります。
この点は詳しくはクロス取引のコンテンツでも解説していますので、参考にしてみてください。
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「権利落ち日」に買って「権利付最終日」の株価が上がるタイミングを狙って売却する手法
権利付最終日と権利落ち日の傾向を利用して、キャピタルゲインを稼ぐ方法があります。
まず、権利落ち日に株価が下落したことを確認して株の購入を行います。
この後、株価は低水準の状態が続くことが多いですが途中で損切りせずに長期保有をします。
そして、次の権利付最終売買日が近づいてきたら株価の動きに注意を払うようにしましょう。
権利付最終売買日に株価上昇のピークを確認したら売りに出します。
この手法は、投資初心者の方でも簡単に実践できるものです。
デイトレードのように毎日株価をチェックする必要がなく、権利付最終売買日と権利落ち日のみにフォーカスするだけでキャピタルゲインが狙えます。
例えば住友商事を例に説明していきたいと思います。
住友商事は配当利回りが5%以上の優良高配当銘柄です。
以下は住友商事のチャートです。
2019年3月26日の権利付最終日の翌日に大幅に下落しました。
また、半期の権利付最終日である2019年9月26日まで上昇したあと、権利落ち日に大きく値を下げています。
3月27日か28日に購入し、9月末に売却した人は2割ほどのキャピタルゲインを獲得できたことになります。
当然、半年間の間に株式市場の環境や経営環境が変われば下落する可能性もあることは注意してください。
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権利付最終日と権利確定日の一覧
2019年における権利付最終売買日(権利確定日が月末の場合)は以下の通りです。
2019年版 | ||
権利付最終日 | 権利確定日 | |
1月 | 1月28日(月) | 1月31日(木) |
2月 | 2月25日(月) | 2月28日(水) |
3月 | 3月26日(火) | 3月29日(金) |
4月 | 4月23日(火) | 4月26日(金) |
5月 | 5月28日(火) | 5月31日(金) |
6月 | 6月25日(火) | 6月28日(金) |
7月 | 7月29日(月) | 7月31日(水) |
8月 | 8月28日(水) | 8月30日(金) |
9月 | 9月26日(木) | 9月30日(金) |
10月 | 10月29日(火) | 10月31日(木) |
11月 | 11月27日(水) | 11月29日(金) |
12月 | 12月26日(木) | 12月30日(火) |
2020年の権利付最終売買日は以下になります。
2020年版 | ||
権利付最終売買日 | 権利確定日 | |
1月 | 1月29日(水) | 1月31日(金) |
2月 | 2月26日(水) | 2月28日(金) |
3月 | 3月27日(金) | 3月31日(火) |
4月 | 4月27日(月) | 4月30日(木) |
5月 | 5月27日(水) | 5月29日(金) |
6月 | 6月26日(金) | 6月30日(火) |
7月 | 7月29日(水) | 7月31日(金) |
8月 | 8月27日(木) | 8月31日(月) |
9月 | 9月28日(月) | 9月30日(水) |
10月 | 10月28日(水) | 10月30日(金) |
11月 | 11月26日(木) | 11月30日(月) |
12月 | 12月28日(月) | 12月30日(水) |
すべての企業が、上記のように月末に権利確定日を設定している訳ではありません。
企業によっては権利確定日を15日や20日に設定しているところもありますので注意してください。
3月決算の企業の中には、9月に中間配当を行うところもあります。
これは、会社にとって1年は長すぎるためです。
この中間配当を狙って、9月の権利確定日にだけ注意するという方法もあるでしょう。
ただし、中間決算の配当は、必ずしも年間配当の半分というわけではなく、中間を少なめにし、期末を多めにすることが多い傾向にあります。
また、数は少ないですが、3か月毎(四半期毎)に配当を出す会社も存在します。
一般的には、配当の回数が多い方が好まれます。
そのため、四半期の会社は、それだけ株主への還元を重視している経営方針の会社ということになるため、評価できます。
一年のうち、何回に分けて配当をもらえるかは重要な判断材料のため、しっかり確認するようにしましょう。
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本当に必要な株主優待か見極める
配当金の権利確定日まで株を保有することで「株主優待」の権利も得ることができます。
日本では40%の企業が株主優待を実施しています。
最近では桐谷さんの影響もあり株主優待のみで生活をする人など、株主優待を効果的に利用する人が増えてきました。
ただ、手に入れようとしている株主優待が本当に必要なものなのか購入前に考えてみてください。
株主優待の大半は、購入した株の数によってグレードが分かれます。
いわゆる「大口株主」レベルにならないと、グレードの高い株主優待を受けられない場合もあります。
株主優待欲しさに、権利付最終売買日の直前に購入してしまうと、費用に見合わない株主優待を得ることになってしまいます。
株主優待はあくまでも「付随的なもの」という認識でいた方が欲に惑わされずに済みます。
実際、株主優待で得られるサービスや商品は、株主優待を利用しなくても手にいれられるものが多いです。
視点を変えてみると、株主優待欲しさに権利付最終日に駆け込みで購入する投資家が一定数いるということでもあります。
これを利用して、権利付最終日と権利落ち日の株価の差を狙った空売りで利益を狙うというのも一つの投資手法です。
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まとめ
配当や株主優待の権利を得るには、権利付最終売買日までに株を購入する必要があります。
権利落ち日になれば、株を売却しても権利を失うことはありません。
権利確定日と権利落ち日を正確に把握しておくことで、インカムゲインのみならずキャピタルゲインも狙うことができます。
特に権利落ち日は株価が下降する傾向にありますので大きく値を落としている企業がないかチェックするようにしましょう。
権利落ち日に購入した株は、次の権利付最終売買日まで保有しておくことをお勧めします。
権利付最終売買日が近づけば株価が再浮上する可能が高いので、そこで購入した株を売りに出すのです。
権利付最終売買日と権利落ち日を知っていれば、誰でも簡単にできる投資手法です。
ぜひ、取り入れてみてくださいね。
以上、配当の「権利付最終日」「権利確定日」「権利落ち日」とは?其々の特徴を理解して株式投資に取り組もう!…でした。