公的年金(国民年金+厚生年金)だけで暮らせていた時代は終わり、近年は「下流老人」「老後破産」などという言葉をネットや新聞などでもよく目にするようになりました。
私達が老後を迎える頃には今よりもさらに物価の上昇、消費税増税、医療費の増加、年金支給開始年齢の引き上げなどさまざまな問題が懸念されます。
2019年にさっそく消費税増税が実施されますよね。
Ⅰ 消費税の軽減税率制度の実施
平成31年10 月1日から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%へ引き上げられ、この税率引上げと同時に消費税の軽減税率制度が実施されます。
(引用:国税庁「消費税法改正のお知らせ」
公的年金だけで暮らすことが難しい将来を考えると、今からできる資産運用について真剣に考えておく必要があります。
将来もらえる年金を増やす一つの方法として、「個人年金保険」があります。
個人年金保険は将来の資産運用として有効なのか、メリットやデメリットなどをみていきましょう。
個人年金保険とは?
個人年金保険とは、「生命保険」の一種。
国民年金、厚生年金、共済年金などの公的年金とは別に民間の保険会社などと私的に契約を結ぶ年金保険のことをいいます。
老後の生活費の不足分を補ったり、長生きした場合の経済的なリスクを支えるもので、将来への不安から加入している人がいる保険商品です。
年金の受取り期間は、「一定期間受け取れるタイプ(確定年金)」と「一生涯受け取れるタイプ(終身年金)」の2種類があります。
自身のライフプランや、配偶者の雇用形態などに合わせて受け取り方を選ぶようにしましょう。
個人年金保険は、セカンドライフを経済的に支えてくれる頼れる存在ですが、受取開始まで長い期間を要する商品です。
契約途中に保険料の支払いができなくなった、説明をしっかり聞かずに契約してしまったなど。
このようなことのないように、疑問点は契約前にしっかりと解消して、無理のない範囲で支払っていくようにしましょう。
個人年金保険の魅力とメリット
近年のように低金利の時代では、銀行にお金を預けていても多くの利子はつきません。
このような場合、個人年金保険で積み立てていく方が最終的な受取額は大きくなります。
また、預貯金は銀行やネットバンキングを利用すれば簡単に引き出すことができます。
しかし、個人年金保険は途中解約をすると元本割れをするリスクがありますので、安易に解約はできません。
老後の備えとして、確実に資金を準備していくことができるものとしておすすめの商品と言えます。
さらに、契約期間中は保険料の控除を受けることもでき所得税、住民税などの税制優遇措置を受けることができます。
個人年金保険の一般的な返戻率は、102~105%あたりと言われています。将来より多くの個人年金を受け取るためにはいくつかのコツがあります。
返戻率を上げるためには、早くに加入する、保険料を一括で支払う、支払い回数を(半年払い、年払いなど)少なくする、などがあります。
またこのほかにも、「据え置き期間を長くする」というものがあります。
据え置き期間とは、払込み完了が60歳で、60歳から年金を受け取るのではなく65歳、70歳まで据え置きをしておく方法です。
据え置きをして受け取る方が返戻率は格段によくなります。
今すぐ必要ない場合は、据え置きして5年後、10年後に受け取る方がよいでしょう。
コラム:下流老人とは?
記事の冒頭で下流老人という言葉が出てきました。
下流老人とは何を指すのでしょうか?
そもそも「下流老人」とはNPOほっとプラス代表理事・聖学院大学人間福祉学部客員准教授の藤田氏による造語で、「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義されています。
実際に年収400万円程度だと、「老後にもらえる年金額は月20万円を下回る」ということが分かる。
そして、非正規雇用や不安定雇用が拡大し続けているなかで、それ以下の年収であれば、生活保護基準を割り込んだ年金支給額しか受け取ることができない場合も多く想定される。
高齢期は病気や介護など予期せぬ出費が増える時期でもある。
それまでに、個人的にも政策的にも、相当な準備をしておかなければ、下流になってしまう。
藤田氏は記事の中で、老後に向けて、年金だけをあてにしていると生活保護基準相当で暮らすことになる、という警鐘を鳴らしています。
年収400万円といえば、日本の政令指定都市に住む男女40代中盤の方々の平均年収(引用:総務省「各団体区分別の給与状況」)ですが、平均年収水準でも、老後に向けた貯蓄はしっかり準備しておく必要があることがわかります。
個人年金保険などで安全に確実に貯蓄を増やしながら、株式投資など資産運用を積極的に実行する必要がありますね。
資産運用の知識を、確実につけていきましょう。
個人年金保険のデメリットや注意点
上記で個人年金保険のメリットを紹介してきましたが、一方で、以下のような注意点やデメリットもあります。
■ 個人年金保険のデメリット:
- インフレリスク
- 保険会社の破綻
- 保険料が払えずに途中解約した場合元本割れのリスクがある
- 個人年金は受取時に雑所得扱いになるため、税金がかかる
特に、受取時に税金がかかる点は知らない人も多くいため注意が必要です。
基本的には個人年金保険の年金受取人に対し、毎年受け取る年金に所得税(雑所得)がかかります。
個人年金保険の年金受取人のみ(契約・被保険者は夫)が例えば妻であれば、年金開始時点で年金受給権の評価額に贈与税がかかります。
その結果、毎年受け取る年金に所得税(雑所得)がかかることになりますので、覚えておきましょう。
まとめ
個人年金保険が将来の資産運用として有効かどうかは、安定した収入があり途中解約をするリスクがない、個人年金保険料控除の対象になる人、株などのリスク資産を避けたい人などにはおすすめの商品と言えるでしょう。
ただし、インフレのリスクを回避するためには、個人向け国債やiDeCoなどの他の商品と合わせた分散貯蓄をおすすめします。
以上、【国民年金・厚生年金】公的年金だけで大丈夫?個人年金保険は将来の資産運用として有効なのかをメリット・デメリットを踏まえて解説…でした!
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