フィリピン株は買い?比国の経済・財政をファンダメンタルズ分析!人口ボーナスとインフラ整備次第では今後も成長続伸。

フィリピン株は買い?比国の経済・財政をファンダメンタルズ分析!人口ボーナスとインフラ整備次第では今後も成長続伸。

フィリピン株に投資をするにも、まずはフィリピンの国について理解する必要があります。

ところで、フィリピンといえば、何を思い浮かべますか?

秀次郎
東南アジア唯一のキリスト国家、セブ島・・・色々と思い浮かぶのぅ。

日本人旅行者にも人気で、セブ島でバカンスを過ごす人も多くいますよね。

セブ島

(引用:Expedia)

 

そんなフィリピンに株式投資をするにあたり、ファンダメンタルズ分析をしていきます。

家三郎
参考にしてみるのじゃ。

フィリピンとは?

まずは基本一般事項と経済概況を【JETRO(日本貿易振興機構)】の情報を参考に見ていきましょう。

国・地域名フィリピン共和国 Republic of the Philippines
面積30万平方キロメートル 
人口1億98万人(2015年、出所:フィリピン統計庁(PSA))
首都マニラ首都圏(NCR) 人口1,288万人(2015年、出所:PSA)
言語フィリピノ語、英語、セブアノ語など
宗教カトリック教(82.9%)、その他キリスト教(10.0%)、イスラム教(5.1%)など
公用語フィリピノ語、英語

フィリピンは日本の国土の80%程度、人口は日本と同水準に当たります。

首都マニラの人口は1,288万人と日本の東京とこれもまた同水準です。

 

フィリピンの政治を語るには、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は外せない存在です。

ドゥテルテ大統領

(引用:NYtimes)

 

「麻薬捜査なら殺人に問わない」と公言するなど過激な発言で国民の支持を集めています。

「24時間以内に投降しろ、さもないと射殺する」。就任2カ月後、ドゥテルテは広報官を通じてエスピノサ父子を名指しして呼びかけた。警察に投降した町長のローランドは同年11月、刑務所内で警官に射殺された。カーウィンは国外に逃亡していたところを逮捕され、裁判が続く。誰も手が出せなかった麻薬王が「退治」されたのだ。

フィリピン危険薬物委員会の15年の調査では、10~69歳の推計麻薬使用者数は180万人。人口の1.7%ほどにあたる。「シャブ」と呼ばれる覚醒剤が広がり、問題になっていた。

「この国には麻薬中毒者が300万人いる」。ドゥテルテは大統領選のさなかから、別のデータを使って問題の深刻さを主張。当選すると、国内すべての町に麻薬の使用が疑われる住人のリストを提供させ、その家々を警官がじかに訪ねる捜査に着手。「麻薬捜査中に警官が人を殺しても罪に問わない」と公言した。政府発表によると、今年9月末までに取り締まり中に殺された市民は4948人。実際は2万人以上が殺されたと主張する人もいる。

(引用:GLOBE「取り締まりで死者5000人、それでも人気衰えず ドゥテルテのフィリピン麻薬戦争」

秀次郎
か、過激じゃな・・・。

 

続いて基本的なフィリピンの経済概況に移ります。

項目2018年
実質GDP成長率6.2(%)
名目GDP総額331(10億ドル)
一人当たりの名目GDP3,104(ドル)
鉱工業生産指数伸び率8.6(%)
消費者物価上昇率5.1(%)
失業率5.3(%)
輸出額69,307(100万ドル)
(備考:輸出額)FOB
対日輸出額10,322(100万ドル)
(備考:対日輸出額)FOB
輸入額112,841(100万ドル)
(備考:輸入額)FOB
対日輸入額10,818(100万ドル)
(備考:対日輸入額)FOB
経常収支(国際収支ベース)△7,879(100万ドル)
貿易収支(国際収支ベース、財)△43,533(100万ドル)
金融収支(国際収支ベース)△7,832(100万ドル)
直接投資受入額3,376(100万ドル)
(備考:直接投資受入額)認可額ベース
外貨準備高78,461(100万ドル)
(備考:外貨準備高)金・その他を含む
対外債務残高79.0(10億ドル)
政策金利4.8(%)
(備考:政策金利)期末値、翌日物借入金利
対米ドル為替レート52.7(ペソ)
(備考:対米ドル為替レート)期中平均値

GDP成長率は2018年は6.2%と高水準。

一人当たり名目GDPは3,104米ドルとまだまだ中所得国の罠(一人当たりGDP1万ドル水準)からは距離があります。

ここからはさらに詳しくフィリピン経済について考察していきます。

経済成長(GDP)の推移

フィリピンの過去からの経済推移を見ていきましょう。

フィリピンGDP成長率推移

(引用:IMF「フィリピンGDP成長率推移」)

 

推移を見ると、1998年はアジア通貨危機後にV字回復を果たしておりこれはASEAN諸国は同様の形をしています。

2008年にはリーマンショックの影響を多少受けていますが、以降は安定して5%前後の成長率を維持しています。

家三郎
世界経済危機が起きた後の回復力は新興国の強みじゃな。

ASEAN5」の中でフィリピンの経済成長率を比較すると以下の通りとなります。(↙️右にスクロール可能)

ASEAN5/年199519961997199819992000200120022003200420052006200720082009201020112012201320142015201620172018
Indonesia8.2%7.8%4.7%-13.1%0.8%5.0%3.6%4.5%4.8%5.0%5.7%5.5%6.3%7.4%4.7%6.4%6.2%6.0%5.6%5.0%4.9%5.0%5.1%5.2%Indonesia
Malaysia9.8%10.0%7.3%-7.4%6.1%8.7%0.5%5.4%5.8%6.8%5.0%5.6%6.3%4.8%-1.5%7.5%5.3%5.5%4.7%6.0%5.1%4.2%5.9%4.7%Malaysia
Philippines4.7%5.8%5.2%-0.6%3.1%4.4%2.9%3.6%5.0%6.7%4.8%5.2%6.6%4.2%1.1%7.6%3.7%6.7%7.1%6.1%6.1%6.9%6.7%6.2%Philippines
Singapore7.0%7.5%8.3%-2.2%6.1%8.9%-1.0%4.2%4.4%9.5%7.5%8.9%9.1%1.8%-0.6%15.2%6.5%4.3%5.0%4.1%2.5%2.8%3.9%3.2%Singapore
Thailand8.1%5.7%-2.8%-7.6%4.6%4.5%3.4%6.1%7.2%6.3%4.2%5.0%5.4%1.7%-0.7%7.5%0.8%7.2%2.7%1.0%3.1%3.4%4.0%4.1%Thailand

 

2018年のフィリピンの経済成長率は6.2%に対して、インドネシア(5.2%)、マレーシア(4.7%)、シンガポール(3.2%)、タイ(4.1%)となっています。

3年の平均ではフィリピン(6.6%)、インドネシア(5.1%)、マレーシア(4.9%)、タイ(3.8%)、シンガポール(3.3%)、となっております。

家三郎
ASEAN5」の中では最も成長率の高い国じゃ。フィリピン不動産で数年前に凄まじい人気を博していたが、まだまだ成長しておるんじゃな。

以下のグラフでは、灰色の線がフィリピンです。近年はASEANの中でも頭ひとつ抜けた成長を続けていることがわかります。

ASEAN5経済成長率

(引用:IMF「ASEANのGDP成長率推移」)

 

次に、一人当たりGDPに着目しましょう。

新興国株式の見通しについて解説しているコンテンツ「下落可能性は?2019年(令和元年)以降の新興国・途上国株式市場の見通し分析。」でも「中所得国の罠」(一人当たりGDP1万米ドル)について触れました。

中所得国の罠とは

「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを指す。これは、開発経済学でゆるやかに共有されている概念であり、その端緒は世界銀行が07年に発表した報告書にあるとみられている。

(引用:内閣府「中所得国の罠とは」)

フィリピンの一人当たりGDPは現在どのような局面にあるのでしょうか。

ここでもASEAN5を並べてみていきたいと思います。

(USD)199519961997199819992000200120022003200420052006200720082009201020112012201320142015201620172018
Indonesia1,254.021,394.501,308.11572.09829.574870.154834.1391,002.911,186.851,280.701,403.881,764.792,064.232,418.042,464.963,178.133,688.533,744.533,684.003,533.613,367.693,605.723,884.723,870.56Indonesia
Malaysia4,612.505,103.044,941.363,470.473,710.074,286.834,130.384,379.644,673.915,171.425,599.056,264.427,378.598,646.577,439.448,920.4810,252.5910,655.4610,699.6611,008.879,511.819,380.989,827.6710,941.75Malaysia
Philippines1,200.431,276.661,240.77958.161,078.001,051.97970.3771,013.421,024.771,093.481,208.931,405.211,683.691,941.001,851.072,155.412,379.942,591.632,768.472,849.272,882.772,953.212,988.903,103.62Philippines
Singapore24,937.2726,262.2626,386.3521,824.0121,796.2523,793.1121,576.8122,016.9823,573.8527,404.8129,869.9033,579.1639,223.5439,722.1538,577.1746,569.4053,363.9454,891.8756,519.3557,271.7255,330.5156,454.7459,990.0664,041.42Singapore
Thailand2,871.563,071.062,492.621,866.602,057.322,030.731,921.672,133.122,404.942,714.642,955.793,442.394,058.394,471.124,298.305,174.535,600.645,979.226,296.196,079.695,967.676,113.806,730.567,187.19Thailand

 

ASEAN5の一人当たりGDP

(引用:IMF「ASEAN5の一人当たりGDP」)

 

シンガポールはすでに6万米ドル台の一人当たりGDPを誇っており(グラフからは省略)、マレーシアが中所得国の罠にちょうど差し掛かったところ、そしてタイが続きます。

フィリピンはまだまだ一人当たりGDPが3000米ドル台と伸び代は十分にあります。

家三郎
中所得国の罠までまだまだ距離もあり、さらなる成長が期待されるのぅ。

ここからは、国の経済の成長ドライバーとなる「人口」に着目していきましょう。

人口推移とピラミッド

一般的に、中国やインドのように人口が多い国は経済成長力が強く、人口が継続して増えていく段階においてはその成長が加速していきます。

また、人口ピラミッドに表される人口の年齢構成も、若い世代が多ければ多いほど、労働力が担保され、経済成長は維持されます。

フィリピンはどのような人口推移、人口ピラミッドになっているのでしょうか?

まずは過去からの人口推移からですが、数字の方はせっかくなのでここでは「世界」と「日本」の人口と比較します。(国連データより

単位:千人199519961997199819992000200120022003200420052006200720082009201020112012201320142015
フィリピン69,83671,44673,06574,69476,33677,99279,66581,35283,03284,67886,27487,80989,29390,75292,22193,72795,27896,86798,481100,102101,716
(世界対比)1.21%1.23%1.24%1.25%1.26%1.27%1.28%1.29%1.30%1.31%1.32%1.33%1.33%1.34%1.34%1.35%1.35%1.36%1.37%1.37%1.38%
日本126,375126,654126,903127,127127,336127,534127,724127,903128,068128,214128,336128,433128,505128,551128,567128,552128,505128,426128,313128,163127,975
(世界対比)2.20%2.17%2.15%2.12%2.10%2.08%2.05%2.03%2.01%1.98%1.96%1.94%1.92%1.89%1.87%1.85%1.82%1.80%1.78%1.76%1.73%
世界5,751,4745,831,5655,910,5665,988,8466,066,8676,145,0076,223,4126,302,1506,381,4096,461,3716,542,1596,623,8486,706,4196,789,7716,873,7416,958,1697,043,0097,128,1777,213,4267,298,4537,383,009
フィリピンの過去からの人口推移

(引用:United Nation「DESA / POPULATION DIVISION」)

 

フィリピン(緑)は右肩上がりで人口が増加、1995年には7千万人だった人口は1億人を突破しています。

それでは今後の人口見通しはどのようになっているのでしょうか。

(単位:千人)201520162017201820192020202120222023202420252026202720282029203020312032203320342035203620372038203920402041204220432044204520462047204820492050
フィリピン101,716103,320104,918106,512108,106109,703111,303112,902114,497116,086117,665119,233120,788122,331123,860125,372126,868128,347129,807131,247132,668134,067135,445136,801138,136139,448140,737142,004143,248144,468145,665146,837147,986149,111150,213151,293
(世界対比)1.38%1.38%1.39%1.40%1.40%1.41%1.41%1.42%1.43%1.43%1.44%1.44%1.45%1.45%1.46%1.47%1.47%1.48%1.48%1.49%1.49%1.50%1.50%1.51%1.51%1.51%1.52%1.52%1.53%1.53%1.53%1.54%1.54%1.54%1.55%1.55%
日本127,975127,749127,484127,185126,855126,496126,109125,697125,259124,796124,310123,801123,273122,725122,160121,581120,987120,382119,765119,138118,500117,853117,198116,539115,876115,212114,548113,885113,226112,571111,923111,283110,650110,024109,406108,794
(世界対比)1.73%1.71%1.69%1.67%1.64%1.62%1.60%1.58%1.56%1.54%1.52%1.50%1.48%1.46%1.44%1.42%1.40%1.39%1.37%1.35%1.33%1.32%1.30%1.28%1.27%1.25%1.24%1.22%1.21%1.19%1.18%1.16%1.15%1.14%1.13%1.11%
世界7,383,0097,466,9647,550,2627,632,8197,714,5777,795,4827,875,4657,954,4698,032,4878,109,5338,185,6148,260,7108,334,8028,407,9008,480,0278,551,1998,621,4168,690,6748,758,9738,826,3168,892,7028,958,1279,022,5909,086,1049,148,6849,210,3379,271,0639,330,8469,389,6569,447,4559,504,2109,559,9099,614,5459,668,0939,720,5269,771,823

 

国連のデータによると、2050年まで、フィリピンも人口が増加していくことが予想されています。

2028年〜2029年でフィリピンは日本の人口を抜き、2049年には人口が1億5千万人を超える見通しが立てられています。(グラフは2035年まで)

フィリピンの今後の人口推移

(引用:United Nation「DESA / POPULATION DIVISION」)

 

人口について最後に人口ピラミッドを確認しましょう。

若い世代の比重の大きい形となっていれば人口も増加、労働力も十分、という状況になります。

フィリピンの人口ピラミッドは以下の図の通りです。

フィリピンの人口ピラミッド

(引用:JETRO資料「フィリピンのヘルスケア市場、日本企業の商機とは」)

 

綺麗に若年層に向かってピラミッドが膨らんでおり、同じASEANの雄・マレーシアに比べると、まだまだ人口(ボーナス)による経済成長のドライバーが期待される形となっています。

マレーシアの人口ピラミッド

(引用:JETRO資料「消費を支える世代:若者世代の増加」)

 

フィリピンの人口を総括すると、人口はまだまだ上昇、平均年齢は低い水準であり、長期的な経済成長に寄与することが見込まれます。

ここから先は、フィリピンの産業構造と財政について考察していきます。

産業構造は産業転換の段階を確認、財政については国を操縦する政府が経済成長に向けて適切な政策を取っているのかをみることを目的としています。

産業構造

フィリピンの産業構造を読み解いていきます。

以下はみずほ銀行、みずほ総研の資料です。

フィリピンのGDP産業構成比

(引用:みずほ総研「経済構造[産業・貿易]」)」

■ フィリピンでは第二次大戦後、周辺アジア諸国よりも早く工業化が進んだものの、その後は輸出志向型工業への転換が遅れたことから製造業が伸び悩む。一方サービス業の割合は上昇。特に近年はBPOビジネスが成長。

■ こうした産業構造を背景に、サービス業が主な雇用の受け皿に。失業率は他のASEAN諸国対比高水準で、賃金上昇率は低位。

右図の2017年に目を向けると、サービス業の強さが目を引きますね。

  • サービス業:60%
  • 工業:30%
  • 農業:10%
  • 金融・保険:8%
  • 建設:7%
  • 運輸・倉庫:4%
  • 電気・ガス:3%
  • 宿泊・飲食:2%
  • 情報・通信:2%
  • 鉱業:1%
  • 不動産:0%

サービス業の比率高く、すでに知能集約型産業への転換が進んでおり、バランスの良い構造しています。

半面、伸びているのが製造業だ。10~12月期の製造業の伸び率は8.8%。5四半期連続で全体を上回り、GDPの供給サイドに占める割合は25%に拡大した。依然、サービスなどの第3次産業が5割強を占めるものの、第2次産業の存在感が徐々に高まっている。

トヨタ自動車はこのほどラグナ州にある工場に樹脂成型機を導入した。バンパーなどの生産を近く始める。19年には大型プレス機も導入する計画。政府の自動車生産振興策を受け、部品生産の現地化を進める。フィリピンはタイやインドネシアと比べて車産業の裾野が狭く、市場は輸入車に席巻されていたが、モノづくりの基盤が根付きつつある。

(引用:日経新聞「フィリピン 6・7%成長 17年 製造業の重み増す 」

フィリピンの場合は、少し特殊で、輸出志向型工業への転換が遅れたことから製造業が伸び悩み、サービス業が先に比率が高くなりました。

現在はまだまだ状況的にも人件費が低い状況であり、ようやく製造業の比率が上昇している段階です。

すでにサービス業が高い水準を誇りますが、今後中所得国の罠に差し掛かったところで、金融など知識集約型産業へシフトしていくでしょう。

支出面からみるGDP成長率

ここでGDPとはそもそもどのような計算式で導かれるのかを念のため、おさらいします。

[GDP = 個人消費 + 政府支出 + 民間と政府の投資(=固定資本) + 純輸出 (輸出 – 輸入)]

家三郎
それぞれの言葉の定義は以下の通りじゃ。そう難しくはないじゃろう。
  • 個人消費:国民のモノ・サービスへの消費
  • 政府支出:政府が使用した金額
  • 固定資本:民間+政府の投資
  • 純輸出:貿易で得た利益

ここで注目したいのは「個人消費」と「固定資本」です。

個人消費で経済成長が伸びていればそれは「内需」、つまり自国の力で成長していることが判断できます。

「固定資本」は、基本的に、経済成長を継続していくには投資を止めることができず、投資を継続していく必要があります。

すでに国の投資比率が高い水準にある場合は、今後さらに投資を実行していく必要があります。

投資金額も巨額になっていくため、どこかで経済成長にブレーキがかかります。

 

また、その投資先がとある他国との貿易のため(工場設備への投資など)に実行しており、大規模であればあるほどそのとある他国への依存度は高くなります。

家三郎
資産運用と同様、「分散投資」の観点は国の経済成長に於いても非常に重要なことなのじゃ。
フィリピンの消費

(引用:みずほ銀行・総研「経済情勢」)

■ 実質GDP成長率の年間の推移をみると、個人消費の安定した高い伸びと、総固定資本形成の伸びの高まりが成長を押し上げ。

■ 四半期の推移をみると、直近の2018年4~6月期においては、前年比+6.0%と、前期の同+6.6%からは伸び が低下。ただし、総固定資本形成。

 

上記図を見て見ると、個人消費(内需)が大きい割合を占めており、健全に経済成長に寄与していることがわかります。

しかし、総固定資本形成の割合は2018年は高く、今後も高い割合で進むようであれば、投資への依存度が高くなってしまう懸念が残ります。

経済成長の段階として、これから速度を上げていくための投資でもあるため、個人消費との対比は注視していきたいところです。

 

総固定資本形成の内訳としては、インフラ関連支出の伸びが見られ、建設投資の伸びに寄与しています。

フィリピン固定資本形成の内訳

(引用:みずほ銀行・総研「経済情勢」)

 

インフラ投資は経済を加速させるいわば起爆剤ですので、フィリピンは経済成長が継続していくことが予想できます。

ドゥテルテ大統領もインフラ整備を経済政策の肝として計画に掲げており、この政策が追い風になるでしょう。

 

フィリピンの「輸出」に目を向けると、ASEAN主要国の中でも中国依存度は低いです。

輸出面は中国経済が減速しても、フィリピンへの影響は限定的となりそうです。

中国輸出依存度

(引用:公益財団法人 国際通貨研究所)

 

但し、輸入に関しては中国に依存している部分あり、中国の経済状況次第で内需(消費)に影響が出る可能性を残しています。

(シェア順)

(1)輸出(2016年)日本(20.7%),米国(15.4%),香港(11.7%),中国(11.0%),シンガポール(6.6%)(2)輸入(2016年)中国(18.5%),日本(11.8%),米国(8.9%),タイ(8.0%),シンガポール(6.6%)

(引用:外務省「フィリピン共和国(Republic of the Philippines)」

 

家三郎
最後にフィリピンの財政面を見ていくぞよ。

財政

フィリピンはまだまだ中所得国の罠からも遠い水準の一人当たりGDPであり、漸く製造業のGDP寄与率が進捗してきたことから、今後も投資先として魅力的な国といえます。

しかし、経済成長をしていくにはその国の「ドライバー(運転手)」、つまり政府がしっかりと成長へ導く必要があります。

 

政府の財政を見る、というのは高度なことのように感じます。

しかし、稼ぎに対して借金がどれくらいあるのか、という視点で考えるとわかりやすいです。

ポイントは政府の債務額に着目することですが、これはGDPに対しての比率を見ます。

マレーシア政府債務

(引用:公益財団法人 国際通貨研究所「マレーシア経済の現状と展望」)

 

右の図、「公的(政府)債務残高」は40%水準、これはASEAN主要国の中では中間値にあります。

ASEAN主要国の一般政府債務残高対GDP比率の推移

(引用:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

 

まだまだ発展途上な国では、財政不安がある状況下では株式市場、債券市場などから外資資本の資金が引き上げられてしまいます。

上記のようにASEANの中でもフィリピンの対GDP債務比率は低いほうですが、直近はどのような状況になっているのでしょう。

フィリピンの財務省財務局は1月29日、2018年12月末時点の政府債務残高が7兆2,925億ペソ(約15兆2,300億円)だったと発表した。前年同月末から9.6%、前月末から1.4%それぞれ増加。政府債務残高の対国内総生産(GDP)比は41.9%となり、前年同月末の42.1%からわずかに低下した。

政府債務残高の対GDP比は、政府計画の42.1%を下回った。財務局は、支出と債務の慎重な管理と堅調な経済成長が、債務の対GDP比の低下につながったとみている。

(引用:NNA ASIA「18年末の政府債務残高、10%増の7.3兆ペソ」

政府債務残高は、対国内総生産(GDP)比は前年同月末から41.9%とわずかに低下したと報じられています。

このまま低下を続ければ良いですが、引き続き注視する必要があるでしょう。

まとめ

フィリピン株を分析するにあたり、ファンダメンタルな要素を読み解いてきました。

新興国株式投資で基本的に重要となる指標は上記で解説した経済成長(+率)の推移、人口・産業構造、財政があります。

国自体の経済成長が期待できることを理解した上で、為替リスク、そして株価・個別株分析をしていくことになります。

 

現状、フィリピンの経済成長は政府の今後の舵取り、政府債務残高を改善し、計画通りにインフラ整備を進められるかどうかがポイントになっていくでしょう。

人口ボーナスに乗り、中所得国の罠の水準までは走り切ってほしいところです。

 

リターンの大きい新興国株式投資、考えられるリスクは回避できるよう、分析を実施した上で楽しく投資をしていきましょう。

以上、フィリピン株は買い?比国の経済・財政をファンダメンタルズ分析!人口ボーナスとインフラ整備次第では今後も成長続伸。…でした。

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2019年6月27日

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