前回、2020年3月末時点でのウォーレンバフェットのポートフォリオについてお伝えしました。
本日は世界最大のヘッジファンドである「ブリッジウォーター」を運営するレイダリオの2020年6月末時点のポートフォリオについて紹介します。
レイダリオのポートフォリオのリターンはS&P500指数は凌駕
まずは肝心んばレイダリオのポートフォリオと米国の代表的な指数であるS&P500指数との比較を行います。
ではなぜ、レイダリオのポートフォリオがこのような堅調な成績を残しているのかを紐解いていきます。
レイダリオの2020年6末時点でのポートフォリオ
分類 | 銘柄 | 2020年6末 |
米国株S&P500 | SPY | 26.10% |
金 | GLD | 15.30% |
米国株S&P500 | IVV | 8.70% |
新興国株 | VWO | 7.50% |
金 | IAU | 4.50% |
アリババ | BABA | 3.40% |
中国大型株 | FXI | 3.20% |
中国株 | MCHI | 2.50% |
先進国株 | VEA | 2.40% |
欧州・豪州・極東株 | EFA | 2.40% |
投資適格社債 | LQD | 2.30% |
欧州・豪州・極東株 | IEFA | 2.20% |
新興国株 | IEMG | 1.40% |
JD.com | JD | 1.40% |
NetEase | NTSE | 1.10% |
Pinduoduo | PDD | 1.10% |
台湾株 | EWT | 1.00% |
新興国株 | EEM | 0.90% |
Baidu | BIDU | 0.70% |
TAL Education | TAL | 0.50% |
その他 | 11.40% |
SPYやIVV、GLDやIAUのように同じ属性のものとなるので分かりにくいですね。
2020年6末 | |
米国株指数 | 34.80% |
金 | 19.80% |
新興国株価指数 | 9.80% |
中国個別株 | 8.20% |
中国株指数 | 5.70% |
先進国株(除:米国以外) | 7.00% |
その他 | 14.70% |
以前、筆者がまとめたレイダリオ氏が執筆した「Paradigm Shift」で彼は金について強気な姿勢を示していました。
理由としては、各国政府が抱える債務を軽くするために通貨の価値の希釈をはかる政策を取ると読んでいるからです。
通貨価値の希釈のためには通貨発行を更に行い流通量を増やしていく必要があります。
結果的に相対的な金の価格が上昇していると読んでいるのです。レイダリオも強気のポートフォリオ全体の20%を金に組み込んでいます。
実際、金は市場最高値を更新し今後も期待できる値動きとなっています。
レイダリオの目論見通りということがいえますね。
もう一つの特徴は新興国株に強気であるということです。
新興国全体で約25%の投資比率となっており、全世界ETFであるVTの新興国比率約15%を大きく上回る比率となっています。
特に中国の比率は高く、新興国株価指数(VWO)等に組む入れられている比率も加味すると20%程度が中国株ということになります。
中国に対しては非常に強気に捉えているとみることができますね。
2020年3末時点でのポートフォリオと比較
今までは2020年6月時点でのレイダリオのポートフォリオを紹介してきました、
しかし、重要なのは3月末と比べて、どのようんびポートフォリオが変遷したのかという点です。
分類 | 銘柄 | 6末 | 3末 | 6末-3末 |
米国株S&P500 | SPY | 26.10% | 18.20% | 7.90% |
金 | GLD | 15.30% | 11.90% | 3.40% |
米国株S&P500 | IVV | 8.70% | 6.60% | 2.10% |
新興国株 | VWO | 7.50% | 9.20% | -1.70% |
金 | IAU | 4.50% | 3.50% | 1.00% |
アリババ | BABA | 3.40% | – | 3.40% |
中国大型株 | FXI | 3.20% | – | 3.20% |
中国株 | MCHI | 2.50% | – | 2.50% |
先進国株 | VEA | 2.40% | 1.70% | 0.70% |
欧州・豪州・極東株 | EFA | 2.40% | 1.70% | 0.70% |
投資適格社債 | LQD | 2.30% | 4.50% | -2.20% |
欧州・豪州・極東株 | IEFA | 2.20% | 1.50% | 0.70% |
新興国株 | IEMG | 1.40% | 2.70% | -1.30% |
JD.com | JD | 1.40% | – | 1.40% |
NetEase | NTSE | 1.10% | – | 1.10% |
Pinduoduo | PDD | 1.10% | – | 1.10% |
台湾株 | EWT | 1.00% | – | 1.00% |
新興国株 | EEM | 0.90% | 2.30% | -1.40% |
Baidu | BIDU | 0.70% | – | 0.70% |
TAL Education | TAL | 0.50% | – | 0.50% |
米国長期債 | TLT | – | 5.50% | -5.50% |
ブラジルETF | EWZ | – | 3.80% | -3.80% |
ハイイールド債 | HYG | – | 2.30% | -2.30% |
韓国ETF | EWY | 0.30% | 2.00% | -1.70% |
インドETF | INDA | – | 1.80% | -1.80% |
欧州・豪州・極東株 | EFA | – | 1.70% | -1.70% |
新興国債券 | EMB | – | 1.60% | -1.60% |
台湾ETF | EWT | – | 1.30% | -1.30% |
その他 | 11.40% | 16.20% | – |
【米国株:+10%】
主にコロナショック後の勢いのある回復による構成比率の上昇と考えられます。
【金:+4.4%】
レイダリオ氏が兼ねてからの論の通り、金に対して強気の姿勢を強めた結果だといえます。
【中国株:+13.9%】
とにかく中国株を指数並びに個別株を新規で購入していることが読み取れます。
【TLT(長期国債):▲5.5%】
長期国債の金利も1%未満という水準となり、これ以上の債券の値上がりが見込めないということを見込んでの売却と考えらえれます。実際、筆者も以下の記事で解説した通り、3末まで保有している長期国債債券(TLT)を売却しています。
まとめ
- レイダリオのポートフォリオは近年S&P500指数を大きく凌駕
- 2020年6月末のポートフォリオは米国株(35%)、金(20%)、中国株(20%)の比率が高い
- 2020年3月末と比較して債券が減少する一方、金と中国株の比率が顕著に上昇している
- 金と中国株に対して強気のポートフォリオであることが読み取れる