ベンジャミン・グレアムの成長株(グロース)を明確に否定する理由と割安株投資の実験結果を踏まえた積極的投資家向けバリュー株投資とは?

ベンジャミン・グレアムの成長株(グロース)を明確に否定する理由と割安株投資の実験結果を踏まえた積極的投資家向けバリュー株投資とは?

 

これまで、合計3つのコンテンツでグレアム氏の「思考法」を学んできました。

 

■ グレアムの思考:

 

バリュー投資の父・ウォーレン・バフェットの師匠:「ベンジャミン・グレアム」の思考を解説

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2019年3月1日
ベンジャミン・グレアムが考える「インフレ」と「企業収益」の関係と株式投資の有効性を賢明なる投資家から読み解く

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2019年3月1日
ベンジャミン・グレアムが提唱する防衛的投資家の投資指針を紹介!収益が高く財政状態の良い優良企業の見極め方。

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2019年3月1日

 

信太郎
猿!積極的投資家はバリュー株投資をグレアム氏は勧めておりましたが、積極的投資家として、具体的にどのように投資をしていくべきとグレアム氏が考えているか理解しておるか?
秀次郎
それは….「トレーディング」「短期的銘柄選択」「長期的銘柄選択」などはせず、割安株に投資すべし、ということではないですか?
信太郎
割安株投資の具体的な基準は理解しておるのか?
秀次郎
それは….

 

今回は積極的投資家が選ぶべき銘柄選択の基準について解説をしていきます。

ベンジャミン・グレアム氏が定義する「防衛的投資家」は安全かつシンプルな手法を好む投資家です。

 

そして、「積極的投資家」は市場平均以上の利益、オーバーパフォームを得ることを目的とした投資家を指します。

 

積極的投資家について、市場平均を超える成績を残すことを希望しています。

それにも関わらず、グロース株投資ではなく、バリュー株投資を勧めているのが特徴です。

 

バリュー株・グロース株投資とは?2つの投資手法の違いと実際のリターンを比較解説

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2019年1月4日

 

実際に、投資局面ではどのような戦略を進めていくのでしょうか。

目次

グロース株投資(成長株)はなぜ推奨しないのか

グレアム氏が定義するグロース株とは、過去に「一株当たりの利益(EPS)」が一般の株式より高い割合で上昇しており、その状況が継続し高いリターンを出すというものです。

 

成長株は期待ができそうですが、なぜグレアム氏は投資を推奨しないのでしょうか。

信太郎
グレアム氏はグロース株投資を二つの観点から否定しているのじゃ。

 

1つ目として、グロース株は、相対的に高い価格で取引されていることを指摘しており、現在の「株価」は企業の将来性を既に織り込んだ価格となっているためです。

2つ目は、「成長株」と言われている企業の未来は誰にも予想ができないということです。

 

秀次郎
はぁ…。当たり前のことを言っているように思えるのじゃが…。

 

説明として、企業が既に大きく成長しているのであれば、さらなる躍進は非常に難しく、その成長率は横ばい又は下降線となることが多いとしているのです。

 

信太郎
グレアム氏は未来に悲観的じゃな。

 

グロース株成長織り込み済み

(グロース・成長株の推移)

 

秀次郎
実績はどうなんです?

 

実際に、グレアム氏が集計した実績として、10年以上に亘る成長株ファンドの実績は「ダウ平均」や「S&P500指数」の市場平均と同等、または低い運用結果となっていると指摘しております。

 

信太郎
一流ファンドと言えば、優秀な頭脳集団じゃ。彼らでさえ、平凡な成績しか残せないということは、個人はこの分野に進出すべきではないとしている。
秀次郎
たしかに個人は厳しそうですの。

 

信太郎
バリュー株とグロース株の成長に関してはグレアム氏亡き後の根拠データもあるぞ。バリュー株投資の方が好成績を残しておるのー。

 

野村證券「バリュー、グロースインデックスの超過リターン累計値」

(引用:野村證券「バリュー、グロースインデックスの超過リターン累計値」)

 

 

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積極的投資家のバリュー株投資手法

信太郎
グレアム氏は、投資家が長期的に平均以上の成果を達成するには、以下が大切であると述べておるのじゃ。

 

①客観的かつ整合性のある基準からみて根本的に堅実な投資であること。

②大多数の投資家や投機家の投資と異なる観点で銘柄を見極めること。

 

その上で、グレアム氏が提唱する重要な基準3つを確認していこうぞ。

 

人気企業には投資をしない

人気企業には投資をせず、あまり評価されていない優良企業に投資をすべきと述べています。

 

魅力ある企業の株が注目を浴びて過大評価されることがあるのであれば、注目を浴びておらず「市場で気づかれていない」過小評価されている企業は必ず存在するということに触れています。

淀姫
そしてその企業にこそ投資すべき、ということじゃな!

 

信太郎
ベンジャミン・グレアムが提唱する防衛的投資家の投資指針を紹介!収益が高く財政状態の良い優良企業の見極め方。」で、防衛的投資家は以下にに投資すべき、と述べておった。

 

①分散投資

②財務状況が良好な大企業

③長期の配当実績

④低PER企業

 

②④はほぼ同様のことじゃな。

 

人気のない企業と言っても、探すのが大変なレアな企業を探せということではありません。

一時的に」人気の停滞している大企業をここでは指しています。

 

秀次郎
なるほどですな。

 

「大企業」としている背景には、そこまで大きな企業になった「地力」を評価しており、大きな資本と優秀な人的リソースのある企業であれば、再び従来の収益軌道に戻る可能性が高いとしています。

 

また、大企業が従来の姿に復活しはじめた時に市場が反応し、必ず株価に反映される、としているのです。

 

信太郎
以下の表はグレアム氏の実験じゃ。ダウ平均の中で「PER」が低い企業10社とPERが高い企業10社を1年間保有した場合の結果を著書「賢明なる投資家」の中で発表したのじゃ。

 

5年ごとの平均年間損益率の比較

(引用:賢明なる投資家「5年ごとの平均年間損益率の比較」)

 

 

【PER低 >> 平均 >> PER高】の順で好成績となっていることが分かります。

 

信太郎
PERが高い銘柄はグロース株が多く、ここでも最初に成長株を否定した根拠にもなっておるな。しっかり自分で実験して証明しているあたり、やはり一流の投資家じゃ。

 

実際にグレアム氏は1969年まではこの手法で良い成績を収めました。

 

1969年-1971年6月30日までの結果は低PERのポートフォリオの成績が振るわず、ここでバリュー株投資に本腰で乗り出しました。

 

バリュー株投資

PERだけをみて投資をしてきたグレアム氏でしたが、1971年以降、企業の資産価値に踏み込んで割安かどうかを判断しました。

 

 

グレアム氏が提唱するバリュー株投資は、「正味流動資産の価格が時価総額の3分の2以下の企業」に投資するという手法です。

 

正味流動資産のみを考えた簿価よりも安い価格で買える株をなるべく多く取得する。我々が買い付けた銘柄のほとんどは、この「スリム化された」資産価値の三分の二以下の価格で入手したものである。

(引用:賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法)

 

バリュー株投資の是非についても、グレアム氏は実験しており、結果は以下のようになっています。

 

■ バリュー株銘柄を85銘柄を2年間保有した結果:

 

  • 大半の銘柄の時価総額が正味流動資産の総計と同水準まで上昇(大幅に下落した銘柄はほぼなし)。
  • 割安株銘柄のポートフォリオの集計はS&Pを50%のアウトパフォーム。
  • 二年前と同じ水準の銘柄は7銘柄、残りの78銘柄は高収益を叩き出した。

 

秀次郎
ほう・・・。大幅下落がほとんどないというのは衝撃ですな殿!

 

 

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まとめ

グレアム氏は株式市場が好況な場合、このような銘柄は殆どないのが欠点であり、銘柄探しに労力を要するとしています。

しかし、例えば、日本株は上場銘柄数が多く、バーゲンセールとなっている割安株が多い市場とも言えます。

 

秀次郎
バリュー株銘柄を探す上で、投資の経験を身につけていくのが最適解ということですな!

 

 

以上、ベンジャミン・グレアムの成長株(グロース)を明確に否定する理由と割安株投資の実験結果を踏まえた積極的投資家向けバリュー株投資とは?…の話題でした。

 

 

【賢明なる投資家・ベンジャミン・グレアム特集】バフェット氏の師匠・バリュー投資の父の思考回路を解読。

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2019年6月4日

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。