本日は、三井住友銀行を傘下に持つ三井住友銀行フィナンシャルグループの分析します。
購入判断としては、短期的には日本銀行のマイナス金利政策などが続いており収益環境はそこまでよくありません。
同じく日本銀行が質的量的緩和の継続によりインフレ(物価上昇)率2%を目標にしていることから、着実に長期金利が上がってきており、中・長期目線では買い推奨です。
そもそもメガバンクは、個人投資家の保有も多いため、値動きも安定しており、長期保有しやすい銘柄として人気です。
それぞれの点について分析していきます。
■ 投資判断基準:短期、中期で『買い』
以下の点から2020年3月期に4,500円〜5,000円(現状3,739円)程度が妥当な水準と予想し、短期的にも割安で、中長期では高利回り・安定で買い推奨。
■ 業績見通し:
▷ 2019年3月期は堅調に推移しているが、収益環境は良い状況ではなく注視は必要。
■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):
▷ IMF(国際通貨基金)が金融機関の高収益の水準としている8%を下回っており低めではあるが、国内メガバンクのなかでは高め。
■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):
▷ 予想PERは現状株価で7〜8倍、PBR0.5倍とかなり割安な状況。
■ 他社との比較:
▷ 業界他社と比較すると国内リテールビジネスにしっかりと取り組んでおり、収益の堅調な伸びを期待できる。
■ 事業の傾向・特徴:
▷ 経費率が60%程度とメガバンクの中では効率的に収益を上げられる体質にあり、筋肉質な経営ができている。
Contents
三井住友フィナンシャルグループとは?
三井住友フィナンシャルグループは、メガバンクである三井住友銀行を中心とした金融グループです。

三井住友銀行の他には以下の会社がグループ傘下にはいっています。
- SMBC信託銀行
- SMBC日興証券
- プロミス等
- 三井住友カード
三井も住友も旧財閥の名前だということは知られています。
しかし三井住友銀行になる前は、住友グループの住友銀行と三井グループのさくら銀行だったことは今ではあまり知られていないかもしれません。
現在では、銀行グループ系では、三菱UFJフィナンシャルグループについで2番目に時価総額が大きく約5兆円です。
それでは直近10年の業績と株価水準について詳しく見ていきましょう。
過去10年の業績推移(PL)
まずは一番重要な過去10年の『売上高』『営業利益』『経常利益』『純利益』について見ていきます。
『営業利益』『経常利益』『純利益』の違いについて分からないという方は『損益計算書の見方』をご覧ください。
収益環境は良くない状況と解説しましたが、アベノミクス前の状況からはずいぶんと良くなっており、堅調に伸びてきています。
特に三井住友フィナンシャルグループは、筋肉質に経営されているかつ国内リテール向けに銀行の残高管理アプリをいち早く提供。
Face IDや指紋での認証でログインできるなど、最先端の機能を提供し、ある程度力を入れて収益を確保しています。

中期経営計画の中でも、以下の通り国内リテール事業について「本邦No.1のリテール金融ビジネスの実現」を掲げており今後の伸びも期待できます。
収益同様に、一株あたり利益(EPS)もアベノミクスの効果により金利が上昇していることで一時期よりも順調に伸びてきており、2011年3月期以降では最高水準になっています。

PER・PBR水準から割安な株価・高配当利回り
次に株価水準について見ていきましょう。
まずは、PER(=株価÷一株あたり利益:EPS)です。
以下の過去3年間グラフの通り、アベノミクス相場で一次上昇をしたものの基本的には10倍以下の水準で推移しており割高とは言えない水準と判断できます。

一方で、PBRを見てみるとアベノミクスの初期を見ても1倍を割れており、恒常的に割安、あまり評価されていないと言えると思います。
しかし、直近の0.5倍の水準は、国内3メガバンクの一角であることを考えると異常値であり、かなり割安水準と言えます。

さきほど紹介したとおり、一株あたり利益は増えていることから配当金も増加基調です。
更に株価も下落していることから直近の配当利回りは4.5〜5%程度と国内メガバンクという安定感を考えるととてもお得な水準に上昇しています。

長期的な株価推移という意味では、業績が堅調に推移すると思われる一方で株価は周辺環境にも左右されます。
しっかりと収益状況を見ながら判断していくのが良いと考えます。
一方で、短期的には以上の要素からかなり割安と判断できます。
かた配当利回りは銀行の場合あまり年間配当の傾向が変わることは考えにくいです。
買った水準でほぼ推移すると考えると(年間の配当額÷買った時の株価)積極的に買っていける水準でしょう。
三井住友フィナンシャルグループのROEは競合比高め
では、投資に対する収益性の面ではどうでしょうか。
以下は過去10年間の三井住友フィナンシャルグループのROEとROAですが、直近ではROEは7%程度となっています。
IMF(国際通貨基金)が、金融機関の収益性について言及した際に8%を上回るかどうかで高収益かを判断しています。
そこには少し足らず国際水準では物足りないレベルです。
一方で国内メガバンクに目を向けると高めの水準であり、比較的収益性高く経営されていると言えます。

競合他社比較
ここまでもいくつか比較してきましたが、三井住友フィナンシャルグループと他メガバンク、三菱UFJフィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループをいくつかの指標で比較しておきましょう。
時価総額は、三菱 UFJフィナンシャルグループがNo.1で、三井住友フィナンシャルグループは2番目です。
三井住友 | 三菱UFJFG | みずほ | |
株価 | 3,866.0 円 | 513.0 円 | 157.3 円 |
売買単位 | 100 株 | 100 株 | 100 株 |
時価総額 | 54,101 億円 | 70,116 億円 | 39,942 億円 |
予想PER | 7.7 倍 | 7.5 倍 | 8.5 倍 |
PBR | 0.50 倍 | 0.41 倍 | 0.46 倍 |
予想配当利回 | 4.66% | 4.87% | 4.77% |
実績配当利回 | 4.66% | 4.29% | 4.77% |
ROE | 6.75% | 5.39% | 1.10% |
ROA | 0.36% | 0.28% | 0.05% |
自己資本比率 | 5.30% | 5.20% | 4.30% |
また、比較表には入れていない項目ですが、メガバンクともなればインフラです。
維持していくのにどれだけのコストがかかっていて、そこからどれだけの収益が上がっているかがとても大切です。
先ほどのROEの比較にも少し繋がりますが、メガバンクの中でも三井住友フィナンシャルグループは経費率が低いです。
より筋肉質の効率よく経営されていることで有名です。
新たな挑戦への投資と既存ビジネスの効率化のバランスが良い金融グループと言えます。
以下は、三井住友フィナンシャルグループの中期経営計画の一部です。
こちらにも経費率を60%にすること、ROE8%を目指すことがしっかり書かれており、経営としても効率的で高収益体質な方向を目指していることが分かります。
まとめ
三井住友フィナンシャルグループは、言うまでもありませんがメガバンクの一角です。
国内リテール、ホールセール事業が安定的な収益源である一方で、メガバンクの中では比較的新しいサービスにも投資をしている挑戦的な金融グループと言えます。
そういう意味で長期的にも注目できることに加え、なんといっても短期的に防衛戦争などの外部要因でかなり株価が下がっており、割安・高配当利回りのお得な買い時がやってきています。
短期的に投資をしておいて、高配当利回りを確保しておきつつ、長期的には事業戦略をしっかりと観察していけば、一定のリターンは得られるのではないかと考えます。
■ 投資判断基準:短期、中期で『買い』
以下の点から2020年3月期に4,500円〜5,000円(現状3,739円)程度が妥当な水準と予想し、短期的にも割安で、中長期では高利回り・安定で買い推奨。
■ 業績見通し:
▷ 2019年3月期は堅調に推移しているが、収益環境は良い状況ではなく注視は必要。
■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):
▷ IMF(国際通貨基金)が金融機関の高収益の水準としている8%を下回っており低めではあるが、国内メガバンクのなかでは高め。
■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):
▷ 予想PERは現状株価で7〜8倍、PBR0.5倍とかなり割安な状況。
■ 他社との比較:
▷ 業界他社と比較すると国内リテールビジネスにしっかりと取り組んでおり、収益の堅調な伸びを期待できる。
■ 事業の傾向・特徴:
▷ 経費率が60%程度とメガバンクの中では効率的に収益を上げられる体質にあり、筋肉質な経営ができている。
以上、【SMFG】三井住友フィナンシャルグループ(8316)の株価を業績推移と見通しを基に予想!挑戦的な取組みと金利上昇への期待から買い推奨…でした。
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