個人で株式投資が簡単に行えるようになった現代は、次々に新しい金融商品が登場しています。
最近は、「仮想通貨」などの取引も広まってきて、投資の選択肢が非常に増えてきました。
ただ、どのような金融商品でも、かならず「リスク」があります。
投資した資金がすべてなくなってしまうことも可能性としてあり得るのです。
そんな中、リスクを最小限にして運用を行う金融商品が登場しました。
その名も「ファンドラップ」です。
今回は、このファンドラップについて、仕組みや購入方法などを解説していきます。
目次
Contents
ファンドラップとは?
ファンドラップとは、個人投資家が証券会社に一定の資金を預けて、証券会社と投資方針を話し合います。
その上で、さまざまな提案された金融商品などを購入し、資産を増やしていくサービスです。
どのような金融商品を組み合わせるかは証券会社の意向が反映されるところが大きいです。
「ファンドラップ」では、株や債券などの金融商品を組み合わせていくのが基本方針です。
たとえば、株式をファンドラップにいれるとします。
すると、以下の運用方針で資産が減るリスクを最小限に抑えたポートフォリオが組まれていきます。
- 値動きが逆行する銘柄を組み合わせる
- その時期に上昇気運の高い株を組み入れ
もちろん、逆行する株式をそれぞれ取り入れると、爆発的に資産が増えるということはなくなります。
その代わり、一気に資産が目減りするということもなくなります。
「安全に資産運用をしたい」
ファンドラップの始まりは、意外と古く、1970年代のアメリカで運用がはじまったのがきっかけです。
投資先進国であるアメリカでは、早い段階からリスク分散の考えが取り入れられていました。
様々な金融商品を組み合わせるファンドラップが、徐々に投資家たちの間で広がっていきました。
日本の場合、アメリカと異なり、一般国民の間で株式投資が行われるようになってからまだ日が浅いです。
金融商品の発達は、アメリカに遅れている状態です。
そんな日本でも、2000年代から「分散投資」の考えが一般投資家たちの間でも広がってきました。
日本でも、現在はファンドラップは資産運用の一手段として、地位を獲得しました。
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ファンドラップに元本割れはあるのか?
ファンドラップは、あくまでも「様々な金融商品の詰め合わせ」です。
そのため、元本割れのリスクは常について回ります。
但し、投資の世界で元本割れをしない金融商品は、ほとんど存在しません。
現預金でさえも、日本では1,000万円までしか元本保証をされていません。
国債に至っては、国がデフォルトに陥ったら価値はゼロに近くなります。
ファンドラップの運用利回りは、投資方針や証券会社によって大きくことなってきます。
リスクをとって高い利回りで運用することも可能です。
また、資産が減るリスクを最小限に抑えた運用も可能です。
どのようなポートフォリオを組み立てるかが非常に重要になってきます。
証券会社の担当者に任せっぱなしではなく、ある程度、自分でも金融知識を蓄えておくと安心ですよ。
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ファンドラップのメリットとデメリット
次に、ファンドラップのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット
ファンドラップの一番のメリットは、運用を証券会社が代行してくれるという点です。
サラリーマンなど、平日や日中に働いている人にとって、証券取引に十分な時間を割くことは難しいです。
証券取引が行われる時間帯は、ちょうどサラリーマンの方の勤務時間にあたるため、時間を取りたくてもとれないのです。
ファンドラップを利用すれば、自分の投資方針に沿って、証券会社が株や債券を購入してくれます。
日中に証券取引を行う必要がありません。
また、購入に際する手続きも代行してくれるので、効率的に資産運用を行うことができます。
途中で投資方針を変えるとなっても、電話やメールで証券会社に連絡すれば柔軟に対応してもらえます。
自分で投資先を決めるのが不安という人も、ファンドラップはピッタリですね。
デメリット
ファンドラップのデメリットは、「購入を代行する担当者は、必ずしもトレードのプロであるとは限らない」という点です。
私たちは、証券会社の社員と聞くと、さも証券取引に精通しているかのような錯覚に陥ります。
しかし、実際は全員がプロであるとは限りません。
というのも、多くの証券会社の社員は、証券売買の「仲介人」です。
自らがトレードを行うわけではないのです。
デイトレーダーやアナリストのような、証券運用のプロも証券会社に在籍しています。
しかし、自分のファンドラップをプロが管理してくれるという保証はないのです。
そうなってくると、ファンドラップのポートフォリオの質が少し不安になってきます。
また、多くのファンドラップは売買手数料を「元本の資産」から徴収していきます。
利益が出ようが出まいが、手数料は必ず貰うというスタンスなのです。
たしかに、ファンドラップの本質は「購入代行」ですので、その分の手数料を払うことは当然とも言えます。
ただ、運用が上手くいっていない場合も手数料がとられてしまうのは、投資家サイドから見るとかなり痛手ですね。
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ファンドラップの相続について
最近は、ファンドラップが広まってきたこともあり、ファンドラップの相続など資産継承に関する悩みを持たれる人も増えてきました。
基本的には、ファンドラップには相続機能が付帯されていません。
投資家がファンドラップ運用中に亡くなった場合、誰がその資産を継承するのか、しばしばトラブルに発展しがちです。
ただ、最近は相続機能を付けたファンドラップも販売されるようになりました。
あらかじめ、ファンドラップを継承する人を指定することが可能になったのです。
無用な相続トラブルを防ぐことができるようになりました。
相続後の運用益は、ファンドラップを継承した人のものになります。
もちろん、税金の支払いは相続した人が行いますので、その点、ファンドラップを相続するに注意しなくてはいけません。
また、ファンドラップに含まれている金融商品や資産は、相続の際の「分割対象」になります。
遺言等で、相続の分割比率が定められている場合、ファンドラップ内の資産も分割される可能性があります。
遺言書等で、ファンドラップの相続相手を明記していれば問題ありません。
しかし、表記漏れがあると相続で揉める可能性がありますので、この点もしっかり明記しておく必要がありますね。
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ファンドラップに対する金融庁の見解
金融庁は、ファンドラップ等の投資信託型の金融商品に対して、「改善の余地が多い商品」であるとしています。
大手証券では、バランス型・インデックス運用投資信託は3%程度に留まっているが、その原因としては、バランス型運用商品としてファンドラップを販売していることが考えられる。
なお、ファンドラップについては、平成 27 事務年度の金融レポートにおいて指摘したとおり、投資一任 報酬のほかに信託報酬等がかかることから、長期投資により資産形成を目指す場合、ファンドラップの手数料が、提供されるサービスや運用成果の対価として適正であるか確認することが重要である。
ファンドラップ等の信託型の商品の場合、運用体制を管理することが非常に大切です。
現場ではその管理が行き届いてない可能性があると、金融庁は指摘してます。
また、支店の利益獲得を優先して、顧客に対して無理に投資信託の乗り換えを勧める等、プッシュ型の営業を行っているところもあるようです。
証券会社もビジネスでファンドラップを販売しています。
致し方ない部分もありますが、顧客からするとファンドラップを購入する証券会社や支店は慎重に選ばないといけません。
1つの支店だけ訪問するのではなく、複数の支店を回った上で、最も真摯に対応してくれた場所を選ぶのが無難かもしれません。
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まとめ
ファンドラップは、証券会社に金融商品の購入を代行してもらい、購入した商品を組み合わせて運用していく信託型のサービスです。
日中に証券取引を行う時間がない人にとっては、非常に便利なサービスと言えます。
運用方針も、あらかじめ証券会社と話し合って決めることができます。
一度方針を決めた後は、放っておいても運用を代行してくれます。
但し、運用担当者が必ずしもトレードのプロとは限らない等、問題点もいくつか見られます。
メリットとデメリットをしっかり理解して上で、ファンドラップを利用することが大切ですね。
以上、【ファンドラップとは?】分散投資で安定運用可能?メリット・デメリットを解説!…の話題でした。