優待は日本独自の制度です。
自社商品・サービスやクオカードをはじめとした金券や商品券を株主に対して還元する「配当」以外の株主還元策です。
優待は基本的には3月と9月に集中しています。
しかし2月にもしっかりと優待権利が確定する銘柄が存在しています。
以下は優待株検索に便利なSBI証券の株主優待検索画面です。
3月、9月、12月についで4番目の量を誇っている意外な優待月でもあるのです。
本日は2月の優待銘柄としておすすめできる銘柄を3社ピックアップしていきたいと思います。
ちなみに2月の権利確定最終日は一部の銘柄を除き、基本的に2019年2月25日となっています。
目次
Contents
クオカード優待利回り1.95%を誇る『きょくとう』
『きょくとう』はJASDAQに上場している福岡に本店があり685店を展開しているクリーニング会社です。
■ 優待株『きょくとう』の魅力:
- 2月最高の商品券(クオカード)利回り1.95%を提供
- 配当利回りと合わせると最大4.1%
- 売上は安定して利益は上昇基調
- 株価はPBR上は割安水準
『きょくとう』の優待内容:高いクオカードの優待利回り
『きょくとう』は自社製品であるクリーニング無料、または汎用性が非常に高い『クオカード』を株主優待として付与しています。
2月の商品券利回りとしては最大となっています。
株価 2020年9月14日 | 予想配当利回 | 優待獲得条件 | 優待内容 | 最高 優待利回 | 優待利回り + 配当利回り |
517円 | 2.15% | 100株以上 (約5.1万円) | クリーニング又はクオカード 1,000円相当 | 〜約1.95% | 〜約4.1% |
500株以上 (約25.8万円) | クリーニング又はクオカード 2,000円相当 | 〜約0.8% | 〜約2.95% | ||
1,000株以上 (約52万円) | クリーニング又はクオカード 3,000円相当 | 〜約0.6% | 〜約2.75% | ||
5,000株以上 (約258.5万円) | クリーニング又はクオカード 5,000円相当 | 〜約0.195% | 〜約2.345% |
クオカードについては後述のコラムで情報をまとめていますので参考にしてみてください。
ちなみに現時点で『きょくとう』を空売りできるネット証券は信用取引に定評のある、楽天証券、松井証券、SBI証券には存在しませんでした。
『つなぎ売り』で優待だけを獲得することはできません。
『きょくとう』のファンダメンタル分析
『きょくとう』はクリーニング店が主要な事業ということで積み上げ型のビジネスであり、売上高は一定で推移しています。
以下は銘柄分析に便利なマネックス証券の銘柄スカウターから取得した過去10年分の売上高・利益の通期データです。
利益は2013年から2016年にかけて落ち込みました。
しかし、順調に回復してきており2019年度は一株あたり利益(EPS)が2011年以降で初めて40円台にのることが予想されていました。
2020年はコロナショックの影響もあり、EPSは20円台となっています。
『きょくとう』の株価水準
『きょくとう』は順調に株価が2018年まで右肩上がりでしたが、2018年は市場平均と同様に下落していきました。
PERの水準は基本的に21倍程度で安定しており、やや割高な水準といえます。
一方、PBRという観点からみると、1倍を下回った水準で推移しており割安な水準で推移しているとみることができます。
クリーニング店ということで積み上げ型ビジネスであり、利益水準も安定しています。
そのことから、現時点の株価から考えると、コロナウィルス感染拡大騒動の収まりと共に、ここから株価が大きく下落するリスクは低いと考えます。
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〜コラム〜優待として頻繁に利用されるクオカードとは?
因みにクオカードについてご存知ない方のために簡単に説明いたしますと、クオカードを使える店舗は以下のように多岐にわたっています。
特に主要なコンビニで利用できるのは嬉しい点ですね。
代表的なクオカードが利用できる店
カフェ | コンビニ | ドラッグストア | ファミレス | ガソリン スタンド | 書店 |
上島珈琲 | セブンイレブン | マツモトキヨシ | デニーズ | JASS | 丸善 |
ファミリーマート | ミドリ薬品 | エネオス | 紀伊國書店 | ||
ローソン | ジュンク堂 | ||||
三省堂 | |||||
文教堂 | |||||
ツタヤ | |||||
62書店 |
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高級和牛松阪牛が獲得できる『柿安本店』
2月の一押しの自社製品の優待銘柄は三重県に本拠地のある『柿安本店』です。
■ 優待株『柿安本店』の魅力と注意点:
- 松阪牛商品券を獲得できる
- 『優待つなぎ売り』は可能だが実施しない方がよい
- 業績は堅調で株価は割安水準
松阪牛が獲得できる柿安の優待
柿安では以下の(1)と(2)の優待を保有株に合わせて株主に優待として還元しています。
(1) | レストラン・お惣菜・和菓子取扱店で利用できる、1000円分の優待利用券です。 → 利用可能店舗 |
(2) | 10,000円相当の中から一つ ・すき焼き用松阪牛 580g(わりした付) ・しゃぶしゃぶ用松坂牛580g(ごまだれ付) ・プレミアムあぐーしゃぶしゃぶセット800g (ポン酢付) ・(1)×10枚 ・しぐれ煮詰め合わせ |
筆者も祖父母が三重県出身で松阪牛を食べる機会に恵まれるのですが、柿安は地元でも有名店舗で柿安のすき焼きやしゃぶしゃぶを優待でゲットできるのは嬉しいですよね。
(1)と(2)を元にした株主優待の内容が以下となります。
株価 2019年1月30日 | 予想配当利回 | 優待獲得条件 | 優待内容 | 最高 優待利回 | 優待利回り + 配当利回り |
2,365円 | 2.30% | 100株以上 (約23.6万円) | (1) 1枚 | 0.4%以下 | 〜2.7% |
300株以上 (約70.8万円) | (1) 3枚 | ||||
500株以上 (約118.2万円) | (1) 5枚 | ||||
800株以上 (約189.2万円) | (1) 8枚 | ||||
1000株以上 (約236.5万円) | (2) 1枚 | 0.4%以下 | 〜2.7% | ||
2000株以上 (約473万円) | (1) 5枚 および (2) 1枚 | 0.3%以下 | 〜2.6% | ||
3000株以上 (約709万円) | (2) 2枚 | 0.3%以下 | 〜2.6% |
優待利回りは決して高くないですが、商品が魅力的なだけにSBI証券では最も人気な2月の優待銘柄として紹介されています。
『つなぎ売り』は可能だが実施しない方がよい
空売りができる銘柄については『つなぎ売り』で優待だけの獲得を目指すことができます。
つなぎ売りに関しては詳しく「つなぎ売り(≒クロス取引)のメリットと注意点をわかりやすく解説!優待権利落ちによる株価下落リスクを対策しよう。」でも解説しています。
柿安本店は空売りを『SBI証券』『楽天証券』『松井証券』で実行することができます。
『つなぎ売り』を利用することにより僅かな手数料と貸株料を支払うだけで1万円分の商品をゲットすることもできます。
しかし、以下で算定する通り優待つなぎ売りで発生する費用を加味すると、優待価値を超えてしまうので『つなぎ売り』は実施しない方がよいでしょう。
SBI証券を使用して『つなぎ売り』を実施し1万円分の優待を手にする1000株(≒237万円)をつなぎ売りする場合以下の通りとなります。
- 信用売手数料:350円
- 現物買手数料:921円
- 貸株料(1日):237万円×1.15%×(1日÷365) =75円
- 配当金受払;45円×1000株×20% =9000円
合計:10,346円 > 優待 10,000円
現物の配当受取は税金徴収後の45000円×80%=36,000円しか受け取れません。
それに対して、空売り分については100%の45,000円を支払う必要があります。
結果的に配当金受払で9000円発生してしまい、優待の価値10,000円を超過してしまう結果となってしまいます。
『柿安本店』のファンダメンタル分析
柿安本店の当期純利益は右肩上がりで増加しており、業績は堅調に推移していることがわかります。
データでみると上記ではわかりにくいですが、売上高も右肩上がりで、一株あたり利益でありEPSが年々上昇している様がみて取れますね。
柿安の株価水準
柿安の株価(薄青)とPERの図をご覧ください。
業績が堅調なのに株価が下がり続けているので、PER上は割安度が増してきています。
長期的な水準でみてもかなり低い水準となってきています。
直近は下げ止まっていることから大きく下落するのは考えにくい水準となっており値上がり益も見込めそうなレベル感となっています。
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〜コラム〜優待利回りが低いが映画好きにはお得な「東宝」の株主優待
優待利回りとしては低いため、あえて大きくは取り上げませんが2月と8月は映画会社の東宝も優待を出しています。
東宝の優待を使用すると映画を無料でみることができたり、割引価格で観覧することができるようになります。
優待内容は少し複雑になっているので、以下のコンテンツで詳しくお伝えしています。
映画好きの方はご覧いただければと思います。
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優待利回り4%のカプセルホテル『シー・ヴイ・エス・ベイエリア』
次は2月優待の中で利回りが高い『シー・ヴイ・エス・ベイエリア』です。
CVSベイエリアはコンビニ事業を基本としておりましたが、カプセルホテルも運営しており優待はカプセルホテルの利用券となっています。
■ 優待株シー・ヴイ・エス・ベイエリアの概要:
- 自社のカプセルホテル利用券3,000円分が約7.5万円(利回り4%)
- 『優待つなぎ売り』が有効
- 事業売却による一過性利益で利益がでているが全体的に利益は落ち込み気味
- 今後得られたキャッシュの活用に注目が集まる
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの優待内容
まずシー・ヴイ・エス・ベイエリアの優待内容です。
同社はカプセルホテルを運営しているのですが約7.5万円以上(100株以上)投資することにより、3,000円分のカプセルホテル利用権を優待として送付しています。
株価 2019年1月30日 | 予想配当利回 | 優待獲得条件 | 優待内容 | 最高 優待利回 | 優待利回り + 配当利回り |
750円 | 約4.0% | 100株以上 (約7.5万円) | 自社運営カプセルホテル利用券 1500円×2枚=3,000円” | 〜4% | 〜8.0% |
カプセルホテルを利用しない人にとっては特に嬉しくないかもしれませんが、
終電を逃した時や、旅行先での宿泊費を浮かせたいという方にとっては価値のある優待ですね。
『つなぎ売り』が有効
シー・ヴイ・エス・ベイエリアはSBI証券、楽天証券、松井証券ともに空売りが可能です。
優待獲得だけを狙った『優待つなぎ売り』を行うことができます。
SBI証券の制度信用を用いた空売りを行なった場合のコストを計算します。
- 信用売手数料:90円
- 現物買手数料:90円
- 貸株料(1日):7.5万円×1.15%×(1日÷365) =2円
- 配当金受払;30円×100株×20% =600円
合計782円となりますので、優待の3000円分の価値が現金782円を上回るという方にとっては『つなぎ売り』を実施する価値は十分ありますね。
シー・ヴイ・エス・ベイエリアのファンダメンタル分析
CVSベイエリアは業績不振が続いており、2018年にローソンにメインのコンビニエンスストア事業の一部を吸収分割させて事業の縮小を行いました。
売上は大きく落ち込んでますが当期純利益利益は改善しています。
しかし営業利益や経常利益は特に上昇しているわけではありません。
一過性の利益が当期利益に貢献していることがわかります。
一株あたり利益であるEPSは大幅な改善をしています。
しかしほとんどの要因は以下のとおり事業売却に伴う一過性のものです。
決して業績が劇的に改善したわけではないということは注意てしおきましょう。
右が当期分の利益です。
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの株価水準
今期の一過性利益があまりにも大きいため、PERは0.9倍と異常な割安水準となっています。
通常の収益力から考えるとPERは30倍程度と特に割安というわけではありません。
一方、事業売却により大量の現金を手に入れたことによりPBR上は割安水準となっています。
今後得られたキャッシュをどれだけ有効に投資できるかが重要となってきますね。
現時点で有望かどうかを判断するのは難しい企業ということができそうです。
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まとめ
優待株は基本的に3月と9月に集中していますが、2月も12ヶ月中4番目に多い優待株銘柄数を誇っています。
今回は2月優待銘柄の中から商品券利回りが高いもの、優待内容が魅力的なもの、優待利回りが高いものという基準で分析してきましたので参考にしてみてください。
企業名 | 優待内容 | 最大優待利回り | つなぎ売り | 業績 | 割安度 |
きょくとう | クオカード | 1.60% | 不可能 | ○ | △ |
柿谷本店 | 松阪牛商品券等 | 0.40% | 可能だがワークしない | ◎ | ○ |
CVSベイエリア | カプセルホテル | 4% | 可能かつ有効 | × | △ |
以上、【2月株主優待】おすすめ優待株(高利回り)を紹介!「つなぎ売り(クロス取引)」の可否・権利落ち日とファンダメンタル分析の結果も発表。…の話題でした!
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