「レイ・ダリオ」
投資に興味のある方であれば、この名前を聞いたことがあるかもしれません。
このコンテンツでは、著名投資家であるレイ・ダリオ氏について、どういった人物なのか、投資手法はどういったものなのか、などを紹介します。
以下は今回のポイントです。
■ 今回のポイント:
- レイ・ダリオ氏はNY出身で若くして投資ファンド「ブリッジ・ウォーター・アソシエイツ」を設立した。
- 同氏は個人投資家について本人が思っている以上にリスクに弱いと考えており低リスクの投資を勧めている。
- 同氏の投資手法はどんな状況にも耐えうるオールウェザー・ポートフォリオを運用すること。
- リスクを抑えるためには、それぞれの投資商品のリスクに応じて保有比率を変えることが重要。
- 同氏が個人投資家に推奨しているのが、「オールシーズンズ・ポートフォリオ」。
それでは、内容に入っていきます。
目次
Contents
ヘッジファンド界の帝王「レイ・ダリオ」とは?
「レイ・ダリオ」は2019年現在、現役の投資家です。
世界最大の17兆円という巨額の運用資産を誇るヘッジファンド「ブリッジ・ウォーター・アソシエイツ」。
同氏は、そんなファンドを率いる、世界的な著名投資家です。
レイダリオ氏は1949年にニューヨークで生まれ、子どもの時に既に株式投資を経験しています。
経歴としては、有名なハーバード大学でMBAを取得。
その後、大手投資銀行だったメリルリンチに就職し、証券会社へと転職します。
しかし、この会社をなんと解雇されてしまいます。
そしてその後、ブリッジ・ウォーター・アソシエイツを設立し、現在に至ります。
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レイ・ダリオ氏が考える経済の仕組み
レイ・ダリオ氏は、経済の仕組みを以下のようにシンプルに捉えています。
「経済とは取引の積み重ね」
「取引」とは何かを売買する時は必ず発生するもの。
買い手が「お金と債務(借金)」を提供。
売り手は「商品やサービス」などを提供します。
経済を動かすのは、支払ったお金と債務を合計した支払総額です。
そして、取引が積み重なることで経済市場がつくられます。
例えば、自動車市場や株式市場などであり、取引が行われることで市場ができ、取引と市場の積み重ねが経済となるのです。
レイ・ダリオ氏は信用による借金(債務)が経済に重要だと考えています。
企業や国、人の借金によって経済は拡大します。
しかし、信用による借金が拡大し過ぎるとバブルとなり、バブルは金融危機を引き起こすという考えです。
債務には、経済の拡大と拡大の肥大化によるバブルという2つの波があります。
短期的な波では、債務の拡大により経済活動が活発化し経済が拡大します。
しかし、支出が増加することで価格が上昇しインフレが起こります。
すると、政府はインフレを避けるために金融引き締めを行います。
利子が上昇し、借金をする人が減りその結果、経済活動縮小し起こるのがデフレです。
デフレが続くと政府は金融緩和を行い、利子を下げて借金をする人や企業を増やそうとします。
短期的な波はこのようにインフレとデフレを繰り返しており、その周期は5年~8年です。
バブルは所得額増加し、それに伴い借金額も増加することで支出額がさらに増え発生します。
借金の増加以上に所得が増加していれば特に問題はありません。
ですが、所得額の増加を借金の返済額の増加が上回った時、支出は減り始め、バブルが崩壊します。
これが長期的な債務の周期です。
直近では、世界的金融危機の起きた2008年~2009年がこれに該当します。
上記までが、レイ・ダリオ氏の経済の捉え方です。
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レイダリオ氏の投資スタイル・手法
レイ・ダリオ氏は、「最小限のリスク」で「最大のリターン」を得ることを念頭に投資を行っています。
市場平均を上回ったリターンを「アルファ」とよびますが、レイダリオはアルファを重要視しています。
ファンドを運営しているのですから、当然市場平均を上回るリターンを出さなければ意味がない。
このように考えるのが、レイ・ダリオ氏です。
たしかに、市場平均以下のリターンであれば、市場平均に連動するETFなどを購入するだけで問題ありません。
ヘッジファンドにわざわざ高いコスト(手数料)を払う必要はありません。
ファンドとして運用する以上、「市場平均を超えるアルファ」を追及していくというのがレイダリオの運用の考え方です。
レイダリオの実際の運用はリスクを最小限にした投資を行っています。
レイダリオの投資スタイルは、どんな状況でもリターンを得るというもので、それが「オールウェザー・ポートフォリオ」です。
オールウェザー・ポートフォリオとは、レイ・ダリオ氏が考える4つの経済状況(季節)のどれにも対応できる全天候型(オールウェザー)のポートフォリオのことです。
経済における4つの季節とは、以下の4つの状況です。
レイ・ダリオ氏は、経済にはこの4つの季節(シーズン)があり、どの季節が来るのかは予測が不可能。
その上、それぞれの季節で大きなリターンを出す商品は異なる。
そのため、4つの季節それぞれで利益が出る、リスクが同じポートフォリオ4つを組み合わせる。
これにより、そんな経済状況でも耐えることができるとしています。
これが「オールウェザー・ポートフォリオ」です。
ここで重要なのが、組み合わせる4つのポートフォリオそれぞれのリスクを同じにするという点にあります。
リスクが同じでない場合、結局リスクの高いポートフォリオの影響が強くなり、リターンはリスクの大きなポートフォリオ次第となってしまうからです。
リスクを抑えることを重視するのは、レイ・ダリオ氏が、人間は相場環境により心理を大きく乱してしまい、適切な投資判断ができなくなる、と考えていることが要因となっています。
その為、株式相場が暴落した時でも資産価値の下落を最小限とするポートフォリオを重視しています。
どんな状況でもリターンが狙えるポートフォリオが「オールウェザー・ポートフォリオ」なのです。
リスクを同じにする具体的な方法の例として、レイ・ダリオ氏は「債券を株式の3倍保有」するということを行っています。
レイ・ダリオ氏は株式のリスクは債券の3倍だと考えているからです。
また、どんな経済状況にも耐えうるポートフォリオの強みは、レバレッジをかけることができるという点にもあります。
様々な資産を組み合わせてリスクを小さくすることで、レバレッジをかけても過大なリスクを取ることなく投資することが可能です。
そして、レバレッジをかけることでリターンは大きくなり、市場平均を上回るリターンを得られる可能性のあるポートフォリオとなります。
実際のレイ・ダリオ氏のポートフォリオは、株式や債券の他に、金やコモディティーを組み合わせたものにレバレッジをかけて運用しています。
中には個人投資家には投資が難しい商品もあり、レイ・ダリオ氏が運用しているポートフォリオをそのまま真似することはできません。
よって、レイ・ダリオ氏は自分の投資スタイルである、経済における4つの季節どれにも対応できる「オールシーズンズ戦略」のポートフォリオを個人投資家に勧めています。
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レイダリオが勧めるオールシーズンズ・ポートフォリオとは?
レイ・ダリオ氏が個人投資家に勧めるオールシーズンズ・ポートフォリオは、それほど複雑ではありません。
ポートフォリオの内訳は以下の通りです。
このポートフォリオを維持することで、経済成長期はもちろん経済後退期、インフレ期、デフレ期のどの期間でもリスクを抑えることが可能。
いずれかの投資対象の価格上昇の恩恵を受けることができるとしています。
実際以下の通りオールシーズンズポートフォリオは株単体よりも低いリターンですがリスクは2分の1程度で安全性の高い運用となっています。
各資産についてオールシーズンズポートフォリオを組成する方法について纏めていますので参考にしてみてください。
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〜コラム〜レイダリオ氏が提唱する「パラダイムシフト」
レイダリオ氏は2019年にパラダイムシフトという論説を発表して市場をにぎわせました。
パラダイムシフトは景気循環や経済情勢が約10年毎に変化するというものです。
レイダリオ氏は2010年代の量的緩和による金融政策相場はそろそろ終わりを迎えると警鐘をならしています。
以下のコンテンツでは今後2020年からの世界がどうなっていくのか?
新たなパラダイムの元ではどのような投資戦略が有効になるのか?
という点についてお伝えしています。
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まとめ
今回は、ヘッジファンド界の帝王ともよばれる著名投資家レイダリオについて紹介しました。
■ 総括:
- レイ・ダリオ氏はNY出身で若くして投資ファンド「ブリッジ・ウォーター・アソシエイツ」を設立した。
- 同氏は個人投資家について本人が思っている以上にリスクに弱いと考えており低リスクの投資を勧めている。
- 同氏の投資手法はどんな状況にも耐えうるオールウェザー・ポートフォリオを運用すること。
- リスクを抑えるためには、それぞれの投資商品のリスクに応じて保有比率を変えることが重要。
- 同氏が個人投資家に推奨しているのが、「オールシーズンズ・ポートフォリオ」。
以上、ブリッジ ウォーター アソシエイツの「レイ・ダリオ」を特集!同氏が推奨するオールウェザー・ポートフォリオ&オールシーズンズ・ポートフォリオとは?…でした。