多くのプロトレーダーに愛用されている「エリオット波動」。
プロが選ぶだけあって多くの投資の場面で、エリオット波動は役に立つテクニカルです。
今回は一見難しいエリオット波動理論を、テクニカル初心者でも投資で活用できるようにご紹介していきたいと思います。
目次
Contents
エリオット波動とは?
まずは、「エリオット波動はどのようにうまれたのか?」「なぜ重用されているのか」という点についてお伝えしていきたいと思います。
ラルフ・ネルソン・エリオット氏によって考案
エリオット波動はアメリカで活躍した株式アナリストであるラルフ・ネルソン・エリオット氏(1871年~1947年)が編み出した相場理論です。
理論内容は「相場は上昇5波、下降3波という周期性をもって動いている」という内容になります。
なぜ多くのトレーダーが愛用しているの?
なぜエリオット波動は多くのトレーダーが愛用しているのでしょうか?
ⅰ.的中の実績がある
1929年の世界大恐慌や、1987年のブラックマンデー大暴落をエリオット波動論から見事に読み取ることができたという実績から、多くのトレーダーに信頼されているといえます。
ⅱ.投資の先読みがしやすい
エリオット波動とフィボナッチ数列を組み合わせることで、具体的に株価を分析できる点もトレーダーに信頼されている理由の一つであるといえます。
エリオット波動には3つの原則がある
エリオット波動の原則をまとめると、次の3つとなります。
- 第3波動が上昇波動(第1・第3・第5)のなかで一番短くならないこと
- 第2波動が第1波動の安値を割らないこと
- 第4波動が第1波動の高値を割らないこと
ただし、第1波動と第2波動がみられても、必ずエリオット波動どおりに第3波動が発生する保証はありません。
あくまでも上記の3原則は、エリオット波動を確認するためのものと考えたほうがいいでしょう。
N波動を意識してエントリーと利確ポイントを計算しよう
トレンド相場、レンジ相場など、多くの相場で、チャートはN字を作ります。
エリオット波動分析を行う際に大切なのが、「N字を意識すること」です。
エリオット波動特有のチャートとなっていても、ひとつひとつはN字を作ります。
そのため、N字を意識するとエントリーしやすくなるでしょう。
また、チャートの理解を深めたい、利益確定や損切りのタイミングを知りたい際にも、N字の意識が役立ちます。
難しい方は、プロFXトレーダーのセミナーを受けてみるのもおすすめです。
面倒に感じるでしょうが、本気で勉強する方ほど、FXで勝ちやすくなります。
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エリオット波動とフィボナッチの関係
エリオット波動とフィボナッチは非常に関係性が深いといわれています。
フィボナッチ数列は初心者向けではなくなり難しいお話になってしまうので、結論だけ説明していきます。
エリオット波動では0.618、1.618、0.382、2.618という数値(フィボナッチ数列から算出された数値)をもとに、
株価の変動の目安やタイムサイクルなどを算出することができます。
よって押し目の目途や、戻りの目途を具体的に予測することが可能になります。
相場の将来を具体的な数値で把握することができることがエリオット波動の特徴の一つであるといえます。
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サイクルは上昇トレンド5波と下降トレンド3波
エリオット波動は、上昇5波・下降3波の合計8波が発生するとされています。
エリオットの5つの波を知ろう~上昇5波
エリオット波動が最も活躍するのはエリオットの5つの波です。
ここではそれぞれの波について説明していきたいと思います。
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第1波動
第1波動はじわじわと株価が上昇する上昇波動です。
第1波動は相場の初動の場面であるといえます。
第2波動
第2波動は下落波動です。
第1波の大半を打ち消すほどの大きな下落を起こすことが特徴です。
第3波動
第3波動は最も大きな幅値で動く安定性の高い上昇波動です。
第4波動
第3波動は下落波動です。
実際には高値圏の乱高下と呼ばれる動きになることが多くなります。
第5波動
第5波動はスピード感の高い上昇波動です。
よって、利確し損ねると、大損することも高いため、投資初心者が参加すべきではない波動であるといえます。
基本的に第5波動は空売りを逆張りで仕込む場面であるといわれています。
上昇5波の後には下落3波が登場
上昇5波が終了すると、長い下落の波が押し寄せます。
このため、5波はスルー(もしくは空売りの場面)がベターです。
高値で購入した株がものすごい勢いで長期間にわたって下落していくだけになるからです。
実際に上昇5波と下落3波を確認しよう!
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参考:アエリア(3758)週足チャート
上図はアエリアの週足チャートです。
きれいなエリオット波動を確認することができます。
まさに教科書通りですね。
見て分かるように、5波は急騰後、即暴落街道に突き進みます。
ですから、相場では参加してはいけない波であることが確認していただけると思います。
エリオット波動のチャートパターン
エリオット波動は、6つの波動、5つのトレンド回帰型、5つのトレンド転換型にパターンがわけられます。
波動の形状は6パターンある
波動の形状には、次のような6パターンがあります。
I波動 | シンプルな上昇・下落 |
---|---|
V波動 | V字型を作る(I波動からV波動へ) |
Y波動 | 高値・安値を更新しながら三角形を作る |
P波動 | 高値・安値を縮小しながら三角形を作る(Y波動の逆) |
N波動 | I波動+V波動を作る |
S波動 | ブレイクしたレジスタンスがサポートになり高値を作る |
N波動は、トレンド相場やレンジ相場でもみられる基本となる波動です。
S波動は、強気のトレンド相場によくみられます。
第2波動・第4波動でよくみられる5パターン
第2波動・第4波動でよくみられるのが、次の5パターンです。
トライアングル | 高値・安値を縮小しながら三角形を作る(P波動) |
---|---|
ブロードニングフォーメーション | 高値・安値を更新しながら三角形を作る(Y波動) |
ペナント | 高値・安値を縮小しながら三角形を作る/高値・安値を更新しながら三角形を作る |
フラッグ | 一定の範囲で上昇・下落を続ける |
ウェッジ | 長い時間をかけて値幅の上下が狭くなる |
ペナントは発生する前に、急上昇・急下降がよくみられます。
フラッグ(旗)はレンジ相場とよく似ていますが、旗の棒部分に急上昇・急下降がみられるのが特徴です。
上記5つのパターンは、「トレンド回帰型」に当てはまります。
第3波動・第5波動でよくみられる5パターン
第3波動・第5波動でよくみられるが、次の5パターンです。
ダブルトップ | 2つの山を作る |
---|---|
ヘッドアンドショルダー | 3つの山を作る/真ん中の山が一番高い |
ライン | 何度かレジスタンスで跳ね返される |
ソーサー | 何度かゆるやかな曲線で跳ね返される |
スパイク | 瞬間的に鋭角に高値・安値が付く |
ラインは直線で跳ね返されますが、ソーサーは曲線で跳ね返されるのが特徴です。
上記5つのパターンは、「トレンド転換型」に当てはまります。
エリオット波動で値幅を観測
エリオット波動では、次の方法で値幅の観測が可能です。
- N計算
- E計算
- V計算
- NT計算
どの値幅観測もN波動を基準としており、基準の値幅より2倍になるのが原則となります。
値幅の大きさはNT計算<V計算<N計算<E計算の順番です。
4つの計算すべて満たした際は、相場反転の合図といった使い方ができます。
エリオット波動分析を行う際に便利なインジケーター
証券会社のツールによっては、「ジグザグチャート」というインジケーターが装備されています。
ジグザグチャートは、高値と安値の線を自動で引いてくれるインジケーターです。
わざわざトレーダーが手動で線を引く手間がかかりません。
ローソク足だけ見るより、ジグザグチャートで線を引いたほうが可視化でき、分析にさらに役立てることができます。
エリオット波動分析をはじめて行う方にもピッタリです。
ジグザグチャートは、GMOクリック証券のプラチナチャートプラスに装備されています。
ほかにもMT4にもジグザグチャートが装備されているため、使ってみてください。
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〜番外編〜飛ばしていただいてもOKです
先ほどのアエリアのチャートを用いてフィボナッチについて触れていきたいと思います。
フィボナッチ数列を活用することで1波の動きから3波のおおよその動きを予測することができます。
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実際に1波から3波の株価を推測してみましょう。
【1波の幅値】
990-312=678
【フィボナッチ指数をかける】
678×1.618=1,097.004
678×2.618=1,775.004
678×3.618=2,453.004
【2波の安値(501円)に上記の計算値を足す】
1,598円
2,275円
2,954円
3波高値は3,098円です。
しっかりと計算しておけば、逃げ遅れることはないということがわかります。
このようにエリオット波動だということに気が付けば、一見して波が荒く予測が難しい新興銘柄でも、株価を予測することができます。
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面倒な計算不要!波動と相場の関連性
ここでは大まかなエリオット波動の流れと実際の相場での使い方をご説明していきたいと思います。
第1波動
第1波動は突発的に発生する予測しにくい波です。
ここではポジションを取らずに、次に来る第3波動に備え、情報を収集することが重要です。
第2波動
第2波動はかなり速いスピードで株価が下落するのが特徴です。
しかし、ここは怖がらずに逆張りで段階的に買いを入れていく場面です。
第2波動を我慢することで大相場に有利なポジションで参加することができます。
第3波動
第3波動は相場の醍醐味を感じる場面です。
第3波動がはじまるのを確認してからエントリーしても、充分間に合います。
しかし、なるべく多くの値幅を取りたい際は、第1第2をカウントし、第3波動を予測したら早めにエントリーしたいところです。
エリオット波動のなかでも、第3波動は値幅が大きい分、稼ぎやすいのが魅力です。
含み益が200%、300%に増えてきて利確したくなる衝動を抑えつつ、利益を最大限に伸ばす場面です。
なお基本的に第3波は逃げ遅れることはありません。
高値圏で株価が乱高下する第4波動に続くからです。
第4波動
第4波動に入ったら、第3波動で利確し損ねた場合は利確を忘れずに行いましょう。
次の第5波動は予測が難しい急落波動ですので、ここで監視も切ってしまいましょう(見ると、参加したくなるからです)。
第5波動
第5波動は急騰の上昇波動です。ですから、見てしまうとどうしても参加したくなってしまいます。
頭を切り替えて、他の第1波動を見つけたほうがリスクは少なく、相場に初動で参加することができます。
しつこいようですが、第3波動で大もうけした方がこの波に巻き込まれて儲けを全消しするパターンが圧倒的です。
第5波動は空売りするための波動であると心得ましょう。
ただし、上昇中の逆張りは失敗のリスクが高まるため、大きなポジションは控えたほうがよいです。
また、エリオット波動分析に頼りすぎてもいけません。
通用しないことがあるため、ほかのテクニカル指標と併用してください。
トレンドを判断したい際はボリンジャーバンドや移動平均線など、買われすぎ売られ過ぎを知りたい際はMACDやRSIなどのテクニカル指標が便利です。
テクニカル指標の併用により精度を高めれば、トータルで勝つ可能性が高まるでしょう。
波動のまとめ
波動 | 上昇or下落 | 特徴 | 実際の相場への参加スタイル |
第1波動 | 上昇 | 突発的に発生する | ノンポジで観察に専念する |
第2波動 | 下落 | 速いスピードで株価が下落 | 逆張りで買いを入れる |
第3波動 | 上昇 | 安定した上場相場 | 利確ポイントを探す |
第4波動 | 下落 | 急落や乱高下 | 逃げる |
第5波動 | 上昇 | 急騰波動 | 絶好の空売りポイント |
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エリオット波動のポイントと注意点
エリオット波動のポイント
エリオット波動は以下の3つがポイントです。
■ エリオット波動のポイント:
- 第1、3、5波の上昇で第3波が一番長い波になる
- 第2波は第1波の安値を割らない
- 第4波の下落値は第1波の波の頂点より高い
エリオット波動の注意点①:第5波動の高値を見極める難しさ
エリオット波動のポイントには第5波動の高さに関する注意点がありません。
よって第5波動の株価の頂点が第3波動以下になることもあるので注意が必要です。
エリオット波動の注意点②:第3波動の出来高を確認しよう
上図は先ほど紹介したアエリアの週足です。
多くの場合第3波動の出来高は第1波動の出来高を抜く大相場になります。
よって、フェイクを掴まないためにも必ず出来高を確認しましょう。
エリオット波動の注意点③:各波動の中に小さい波動が存在
上昇1・3・5波の中にもエリオット波動が存在します。
上図のようにアエリアの第3波の中にも1~5の波が存在することがわかります。
よって、最も資金拘束がない投資方法は第3波の中の第2波を狙って購入する方法ということになります。
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まとめ
今回はテクニカル初心者でも実戦で使うことができるエリオット波動入門をご説明してきました。
単純に第3波動に投資すれば相場の勝利者になれることがお分かりいただけたと思います。
多くの投資家はフェイク的な上昇波動である1波や5波に投資してしまうため、大損したり、長期で資金を拘束したりすることになっているのです。
エリオット波動から難しい計算をすることができなくても第3波動だけを確認することができれば、相場で簡単に利益を上げることができます。
今後は「この波は第○波動なんだろう?」と考えながら投資するように心がけましょう!
>3波高値は3,098円です。
とありますが、(1波の値幅×フェボナッチ指数)+2波安値=3098にはなりません。。。
その後の計算方法をご教授願えませんでしょうか?
計算によって導き出される値は本文記載の通り2,954円です。ただ、実際のチャートで具現化した3波高値は3,098円です。
3波高値はある程度予想できる幅に収まることをご理解いただきたく、この例を用いました。