新興国の株式に投資をすると聞くと、まだまだ投資初心者の方からすると別世界の話かもしれません。
新興国は「Rising Nation」と英訳される通り、経済の成長がこれから爆発する可能性がある残されたフロンティア。
先進国株式に対して、リスクは多少高くはありますが、高いリターンを誇る新興国株式は魅力です。
このコンテンツでは、各新興国のファンダメンタルズ、為替、株式銘柄分析を実施していますので、参考にしてみてください。
目次
Contents
総論:2020年の新興国株式の見通し
新興国経済と言えば、2008年の「世界金融危機」からいち早く立ち直り、投資先として有力となっていました。
2009年の先進国のGDP成長率が▲3.4%とマイナス成長の中、新興国・途上国は2.8%とプラス成長していることがわかります。
世界 | 先進国 | 新興国・途上国 | |
2000 | 4.8% | 4.1% | 5.8% |
2001 | 2.5% | 1.6% | 3.6% |
2002 | 3.0% | 1.7% | 4.6% |
2003 | 4.3% | 2.0% | 7.0% |
2004 | 5.4% | 3.2% | 7.9% |
2005 | 4.9% | 2.8% | 7.2% |
2006 | 5.4% | 3.0% | 8.0% |
2007 | 5.6% | 2.7% | 8.5% |
2008 | 3.0% | 0.1% | 5.7% |
2009 | -0.2% | -3.4% | 2.8% |
2010 | 5.4% | 3.0% | 7.4% |
2011 | 4.3% | 1.7% | 6.4% |
2012 | 3.5% | 1.2% | 5.4% |
2013 | 3.5% | 1.3% | 5.1% |
2014 | 3.6% | 2.1% | 4.7% |
2015 | 3.5% | 2.3% | 4.3% |
2016 | 3.2% | 1.7% | 4.4% |
2017 | 3.8% | 2.3% | 4.8% |
2018 | 3.9% | 2.5% | 4.9% |
2019(予測) | 3.0% | 1.7% | 3.9% |
2020(予測) | 3.4% | 1.7% | 4.6% |
2012年以降には中国経済減速の予想が飛び交い、資源価格が低迷しました。
2013年には米国の金融緩和が終焉に向かい、量的緩和も終了、米国の利上げが2017年に。
市場は早くも利上げを織り込んでいた結果、新興国・途上国の経済成長もややブレーキがかかりました。
IMFの世界経済見通しによると、新興国の2019年1年間のGDP成長率(予測)は4%台を割り込み、3.9%と予測されており、全体的に精彩を欠く状況となりました。
米中貿易摩擦の解決に向けた動きがなかなか進まず、その影響で世界全体が下振れした格好になります。
とくに新興国は、アメリカと中国に対しての貿易がメインの収入源である国もあるため、貿易摩擦が長期化するほど、新興国にとっては悪影響になります。
では、今後の動向はどのように推移していくのでしょう?
「2019年と比較すると、2020年の新興国株の見通しは明るい」というのが結論です。
その根拠は、以下のとおりです。
- 米中貿易摩擦の緊張緩和
- 新興国での金融緩和による、景気下支え政策
- 新興国の景況感が相対的に良好
先ほどお伝えしたように、新興国の景気や株式市場は、よくも悪くもアメリカと中国の影響を受けやすいです。
2019年は米中摩擦が激しかったですが、20年に入り、少しずつ歩み寄りが進み、緊張緩和の兆しが出ています。
去年のマイナス要因がなくなる可能性が高まってきたので、新興国株にとっては明るい話題です。
また、米中摩擦による景気への悪影響を心配した新興国の各国は、金融緩和政策を実施することによる景気の下支えを行っています。
これに加えて、先進国と比較して新興国の景況感指数が良好になり、景気がこれからよくなるだろう、という気運が高まっています。
2019年の悪い要素(米中貿易摩擦)の影響が薄まり、よい要素(金融緩和・景況感)の影響が濃くなるので、2020年の新興国株は見通しが明るいです。
以下のコンテンツ内では、詳しくその点を解説していますので参考にしてみてください。
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【速報】新型コロナウィルスによる、新興国株への影響は?
一方で、中国武漢市からはじまった、新型肝炎・コロナウィルスの、株式市場への影響はどうなるでしょうか。
新興国株への影響という観点からは、一時的には株式にはマイナス要因になるものの、そのマイナスも長くは続かないため、この下げ局面は、投資タイミングを探る上でいいタイミングになります。
今回の新型肝炎に似た事件として、2002年に流行したSARSがあります。
02年の10月~03年3月頃まで、SARSウィルスの感染者数が拡大を続けていた時期は、株式市場は全体的に低迷していました。
その後、03年4月頃に新たな感染者数の増加ペースが落ち着きはじめたころから、『そろそろ落ち着くだろう』という投資家が増え、株式市場も下落トレンドから上昇トレンドへ反転していくようになりました。
03年7月にWHOにより終息が宣言される頃には、SARSの発症が話題になる頃の株価を上回るほどに、株価が上昇していきました。
感染が広がっているあいだは不安が常につきまといますが、このようなトレンドは、必ず終わりがきます。
今回のコロナウィルスによる相場の下落も、SARSのときのように必ず終息するタイミングが来るので、この下落局面は、新興国株への投資を進めておくいいタイミングであると考えます。
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インド株
インドは今後新興国の雄となり、さらに世界経済の成長ドライバーになることが見込まれる大国です。
人口は今後も増加することが人口ピラミッド上確実です。
1人あたりGDP水準からも成長余地は非常に多く残されています。
また、モディ首相が長期安定政権を築き、政治も安定している点も安心できるポイントです。
国として、教育水準も数学を中心に高く、英語を喋ることができるという点も今後さらに経済成長にプラスに働いてきます。
2019年からは、景気下支え政策を積極的に展開している点も、株式市場にとって好影響を与えています。
- 中央銀行による、積極的な利下げ政策
- 法人税減税 とくにインド域内に製造拠点を設けたらアジア域内最低水準の税率が適用可
上記のような政府主導で経済基盤を固める努力をしており、今後も経済成長の可能性を秘めた国の1つです。
以下のコンテンツ内では、今後世界の中心となっていくインドのおすすめ個別株について紹介すると共に、投資する方法についてもお伝えしています。
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インドネシア株
バリ島、ナシゴレンで有名なインドネシアは投資をするにあたり魅力的な国なのかを、ファンダメンタルズ分析しています。
参考にしてみてください。
また、インドネシアルピーの動向についても為替分析しています。
実際に投資先として、インドネシア市場の個別株は、銀行株の代表である『バンクネガラインドネシア』。
また、日用品・食用品の代表である『ユニリーバインドネシア』等の魅力的な個別銘柄が存在しています。
人口増加と1人あたり所得の向上による内需主導の経済成長を、インドネシアは遂げてきました。
その方針は、2019年に再選したジョコ大統領のもとでも、変わらず行われる方針です。
このジョコ大統領の功績として、「ジャカルタ高速鉄道(MRT)南北線」が挙げられます。
2020年以降も、こうしたインフラ投資が継続的に行われることが予想され、雇用・消費を増やしていき、海外からの直接投資も増えていくと想定されています。
内需主導で、2020年以降も堅調な経済成長が見込まれており、期待は大きい国です。
投信ではアクティブ型投信の『NNインドネシア株式ファンド』が指数に負けないリターンを挙げています。
詳しくは以下のコンテンツ内で、具体的なインドネシア株の買い方も併せて以下のコンテンツで紹介しております。
◆ コンテンツ内ジャンプ:
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タイ株
タイといえば、タイマッサージ、トムヤムクン、ムエタイ・・・などで有名ですが、実際に投資先としてどうなのでしょうか?
タイの2020年以降の見通しは、期待もありながら、経済成長の鈍化につながる要素もあるため、注視する必要があります。
大きな理由は、タイ経済が輸出に頼っているという、輸出依存度の高さです。
輸出依存度が高いと、世界経済がいいときにはそれに伴いGDP成長も大きくなる一方、世界経済が悪化したときに、一気にそのあおりを受けてしますからです。
タイでは、とくに製造業の輸出依存度が高いのですが、この製造業の成長も、人件費が安いので利益を出しやすい、という構造もあります。
経済成長を続け、中所得国の仲間になったタイですが、中所得国なることで人件費が高くなってしまい、これまで『安い人件費で、安く製造できた』というメリットが薄くなってきているのです。
このせいで、「それなら他の安い国から輸入した方がいいのではないか」と考える国が今後増えてくるのでは、という懸念がタイにはあります。
また、国全体で高齢化が進んでいるため、これまでの製造業による「労働集約型」の産業ではなく、少人数でも大きな所得を生めるような産業構造に変化していく必要が出てきました。
こうした背景から、15年から「タイ4.0構想」という、IT分野をはじめとした知識産業主導型の経済への移行を目指しており、これが中長期的にうまく機能するかどうか、期待されています。
コンテンツ内では、そんなタイのファンダメンタルズ分析をしていますので参考にしてみてください。
また、セブンイレブンを運営する「CPオール(CP ALL PCL)」、三菱UFJ銀行の連結子会社「アユタヤ銀行」などタイの株式市場で魅力的な銘柄。
そして、具体的なタイ株の買い方も併せて以下のコンテンツで紹介しております。
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フィリピン株
東南アジア唯一のキリスト国家、セブ島・・・などで有名なフィリピンは、株式投資するには最適な地域なのでしょうか?
フィリピン経済は、2020年以降も経済成長が続く見込みであり、見通しの明るい国です。
2019年は、世界経済が鈍化した影響もあり、成長率が5.8%と予想より下回ってしまいましたが、2020年を6.1%、2021年6.2%と予測しており、堅調に推移する見込みです。
平均年齢が24歳と、フィリピンの人口構成は非常に若く、かつ2091年まで人口増加が続くという試算もあり、人口増加による経済成長が期待されています。
そして、内需を拡大して経済成長していくために、現大統領のドゥテルテ大統領の主導により、外資企業の誘致・海外投資の受け入れ拡大、積極的なインフラ投資を行っています。
上記を通して国民1人あたりのGDPが伸びていき、雇用や消費も増えていき、継続的に成長を続けていく見込みです。
コンテンツ内では、そんなフィリピンのファンダメンタルズ分析をしています。
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マレーシア株
ペトロナスツインタワー、ココナッツミルクで炊いたナシレマなどで有名なマレーシアは投資に最適なのでしょうか?
2020年においては、米中貿易摩擦の緊張が緩和されれば、投資先としてのうまみはあるものの、貿易摩擦の動向の影響が大きいという点で注意は必要です。
マレーシアもタイと同様、輸出依存度が高い国のため、世界経済の好調・不調の影響を受けやすいです。
とくに輸出の上位3国を占める、シンガポール、中国、アメリカの影響は大きいでしょう。
中国とアメリカとの貿易摩擦により、2017年の5.7%増であったGDP成長率が、18年・19年と連続で4.7%増と、成長率が鈍化しました。
タイと同じく、マレーシアも安い人件費による製造業により成長してきたため、少しずつ人件費が高くなってきており、成長の頭打ちが近づいています。
政府主導で、再生可能エネルギー分野や世界中で急成長しているイスラム関連ビジネスにおいて、外資企業の誘致を進めており、産業構造に変革をもたらそうとしていますが、芽が出るのは中長期的な目線になります。
下記のコンテンツでも、マレーシアのファンダメンタルズ分析を実施していますので参考にしてみてください。
また、以下のポイントもコンテンツ内では解説していますので、参考にしてみてください。
- マレーシアの株価指数の現状と見通し
- マレーシアのおすすめ個別銘柄
- マレーシア株の購入方法
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シンガポール株
マリーナベイ・サンズ、マーライオンなどで有名なシンガポールは投資先として値するのでしょうか?
2019年は成長率が0.5%と、リーマンショック以来の低成長になりましたが、米中貿易摩擦の緩和により、相場は堅調に動いていく見込みです。
貿易依存度の高いシンガポールは、現状、アメリカと中国の景気動向に左右されやすい状況です。
そのため、貿易摩擦が顕著だった2019年は、シンガポール経済にとって逆風が吹き続いた状態です。
その米中の緊張関係が緩和に向かっていくことが、シンガポール株にとってのプラス要因になります。
下記コンテンツ内でも、シンガポールをファンダメンタルズ分析していますので、参考にしてみてください。
また、以下のポイントもコンテンツ内では解説していますので、参考にしてみてください。
- シンガポールの代表的な株価水準
- シンガポールのおすすめ個別銘柄
- シンガポール株の購入方法
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ベトナム株
フォー、生春巻きで有名なベトナムは投資先として優秀なのでしょうか?
2020年は、前年の米中貿易摩擦の緊張状態が緩和されることで、ベトナム株には追い風が吹くことが期待されます。
ベトナムは、GDPの構成割合が輸出産業と内需産業(サービスなど)とでほぼ半々のため、非常にバランスがいいです。
これまでのマイナス要因であった貿易摩擦が緩和されれば、堅調であった内需産業の伸びがベトナム経済を牽引します。
ベトナムは人口増加を継続しており、かつ平均年齢も若く、消費も旺盛のため、個人消費が内需を牽引しています。
下記コンテンツ内でも、ベトナムのファンダメンタルズ分析をしていますので、参考にしてみてください。
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ミャンマー株
バガン遺跡、女性政治家のアウンサンスーチーさんで有名なミャンマーは投資先として魅力はあるのでしょうか?
ミャンマーは、2019年に株式市場が外国人投資家に向けて開放されたばかりです。
そのため、株の流動性なども含めて、価格変動の大きさなどリスクも大きい市場ですが、その分リターンも大きくなる可能性も秘めている市場ではあります。
下記コンテンツ内でも、ミャンマーのファンダメンタルズ分析を実施しています。
参考にしてみてください。
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カンボジア株
東南アジアは、ASEANと呼ばれる経済共同体を形成しています。
そのASEANの中でも、近年注目を浴びているのが、カンボジアです。
カンボジアと聞くと、経済規模がそこまで大きくないというイメージですが、現代ではそのイメージは覆されつつあります。
コンテンツ内では、そんなカンボジアについて情報をまとめています。
2020年のカンボジア経済の見通しは、経済成長率7.1%の見込みと、非常に明るいです。
カンボジアは若年層の割合が非常に多く、個人消費も旺盛になってきています。
縫製業、観光業、不動産業、農業など、内需主導に経済成長を続けてきました。
ただし、インフラ投資や不動産開発などにおいて、中国からの投資マネーが多く流れ込んでいます。
リスク要因として、中国景気の減速により、投資マネーが中国へ帰ってしまうことで、カンボジア景気を冷やす懸念はあります。
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まとめ
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以上、【新興国(エマージング)株式市場特集】令和2年!2020年以降リターンを最大化できるのはどこの国?見通しを徹底検証!…でした!