「防衛的投資家」とは、「安全」「シンプル」な投資を好む人とグレアム氏は定義しており、株式と債券の割合を50:50にして、市況の状況によっては株式の割合を25%-75%で調整することを推奨していました。
グレアム氏の考えとして、防衛的投資家は当時儲けを出しやすいとされていた株、債券を購入しても、平均的な成果を超える結果を望めないことから、「長期に亘って収益を上げている財政状態の良い優良企業の株式」のみを購入するべきだとしています。
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防衛的投資家が保有すべき株式と債券の適正な割合
グレアム氏は著書「賢明なる投資家」の中で、株式・債券は50対50の割合を維持し、緊急な状況などに際しては25%-75%で調整することを提唱していました。
この方法は株式市場で悪魔のように投資家に襲いかかる感情、熱狂や悲観に左右されることなく、機械的に安定運用を目指すものです。
債券のみの投資であればインフレに対抗は難しいです。
株を組み入れていることにより、インフレにも対応できることが有効な点であると説明をしています。
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実際に組み入れる株式はどのような企業銘柄なのか
積極的投資家はデイトレードなどに手を出すのではなく、銘柄分析に基づいたバリュー株投資を行うべきであるとグレアム氏は推奨しております。
しかし、防衛的投資家が銘柄選定に使用する基準としてはどのようなものなのでしょうか?
①分散投資
①十分な、しかし過度にならない程度の分散投資を行うこと。例えば、一〇銘柄以上三〇銘柄以下くらいが望ましいであろう。
(引用:賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法)
②財務状況が良好な大企業
財務状況が良好な企業とはどのような基準があるのでしょうか。
②財務内容の良い有名な大企業を選ぶこと。漠然とした基準に思えるかもしれないが、その意味はほぼ明白であろう。
(引用:賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法)
③長期の配当実績
③長期にわたる継続的な配当金支払いの実績があること(ダウ平均に採用されている銘柄は一九七一年現在、すべてこの要件を満たしている)。具体的にいうと、少なくとも一九五〇年以降、継続して配当が支払われていることを目安にすればよいであろう。
(引用:賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法)
④低PER企業
④ある銘柄を買い付けるに際しては、過去七年程度の平均企業収益に照らして支払うべき価格の上限を決めること。この上限価格としてわれわれが目安としているのは、過去七年間の平均企業収益の二五倍、そして過去一二カ月の企業収益の二〇倍である。
しかしこの基準によって、ほとんどすベての有力人気銘柄が投資不適格ということになってしまう。
特に、投機家と機関投資家の双方にここ数年人気の高い「成長株」の範疇に含まれる銘柄を、実質的にすべて除外しないとならなくなる。このような思い切ったことを提唱する理由を次に述べる。
(引用:賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法)
グレアム氏はグロース株のような成長株は、高値で取引される傾向にあり、一株利益の増加よりも株価の成長率が高い銘柄が多いと指摘しています。
成長株全体の投機性は非常に高まる傾向にあり、成長株の売買で成功するのは困難であり、投資はしないスタンスを取っているのです。
グレアム氏亡き後も、バリュー株はグロース株や市場平均に対してアウトパフォームしています。
グロース株は市場平均を下回り続けている事実があり、当時からグレアム氏が提唱していた投資理論は正しかったと証明された形となっています。
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まとめ
グレアム氏が考える、防衛的投資家が取るべき投資指針の紹介でした。
防衛的投資家が保有すべき株式と債券の適正な割合について、また実際にポートフォリオに組み入れるべき企業の算定基準などを参考に、株式投資の実践経験を積んでいきましょう。
以上、ベンジャミン・グレアムが提唱する防衛的投資家の投資指針を紹介!収益が高く財政状態の良い優良企業の見極め方。…の話題でした!