「レバレッジ型投資信託」は近年急速に投資家の間で人気が高まっている投資信託です。
実際、2019年2月時点で楽天証券では15件のレバレッジ型投資信託を取り扱っています。
取扱投資信託数は2700本の中で楽天日本株4.3倍ブルの11位をはじめとして100位以内に5ファンドがランクインしています。
ちなみに2018年末に筆者が確認した時は楽天日本株4.3倍ブルは第3位でした。
本日は注目が高まっているレバレッジ投資信託の種類と、レバレッジ投資信託のメリットと知られざるデメリットについてもわかりやすく説明していきたいと思います。
目次
Contents
レバレッジ型投資信託の種類〜対象インデックスとブル・ベア型と豊富な組み合わせが可能〜
まずは一言にレバレッジ型投資信託といっても様々な種類がありますので、どのような種類があるのかという点を見ていきましょう。
対象となるインデックスの種類
レバレッジ型の投資信託は基本的には日経平均株価やTOPIXなどのインデックスの値幅を増幅させる商品です。
従い、増幅させる元となるインデックス毎に商品が異なります。
楽天証券やSBI証券が国内株価指数(日経平均・TOPIX)のレバレッジ投資信託を多く組成しています。
国内株価指数をレバレッジの対象としている投資信託が多いですが、国内債券や米国のS&P500指数やNASDAQ指数、さらに為替レートのレバレッジをかける投資信託まで組成されています。
楽天証券 | SBI証券 | |
国内株価指数 | 9 | 12 |
国内新興株価指数 | 1 | 0 |
米S&P500指数 | 1 | 3 |
米NASDAQ指数 | 1 | 1 |
国内債券 | 1 | 1 |
通貨 | 0 | 9 |
バランス型 (世界の株・債券・REIT) | 2 | 0 |
ブル型?ベア型?
一言にレバレッジ型の投資信託といってもブル型とベア型の二種類があります。
ブル型というのは雄牛のツノが下から上に突き上げている図から想像できるように、値動きを順方向に倍数させる投資信託です。
例えばある日にTOPIXが10%上昇した場合に20%上昇することを目指すような投資信託です。
一方、ベアというのはご存知クマなのですがクマは覆いかぶさるイメージで逆方向に倍率をかける投資信託をベア型といいます。
ベア型の投資信託では例えば日経平均が10%値下がりした場合に20%上昇するような投資信託のことを指します。
ブルは順連動、ベアは逆連動と覚えておいて頂ければと思います。
レバレッジの倍率の違い
一言にレバレッジといっても投資信託によって何倍のレバレッジをかけるのかの種類が全くことなります。
楽天証券やSBI証券で販売されているレバレッジの種類としては、それぞれブル・ベア毎に以下のようなレバレッジの商品を取り扱っています。
【ブル型】 | 【ベア型】 |
2倍 (ダブルブル) | 2倍 (ダブルベア) |
3倍 (トリプルブル) | 3倍 (トリプルベア) |
4倍 (4倍ブル) | 3.7倍 (3.7倍ベア) |
4.3倍 (4.3ブル) | 4倍 (4倍ベア) |
5倍 (債券ファンド) | – |
連動目標となるインデックスと、ブル型・ベア型、そしてレバレッジの倍率によって様々な形のレバレッジ型の投資信託が存在することがご理解いただけたかと思います。
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レバレッジ型投資信託の仕組み
レバレッジ型の投資信託はどのようにレバレッジをかけているのかという点について見ていきたいと思います。
まずどのようにレバレッジをかけるのかという点ですが、いわゆる日経平均先物等の指数先物を使用してレバレッジをかけます。
指数先物取引とは先物取引の一種で、ある決められた期日に決められた価格で売買する契約を行う取引で概ね元となっている指数と連動して上下動します。
指数先物取引ではFXのように証拠金を支払うことで、実際に保有している資金以上の取引が出来るようになりますのでレバレッジ型の投資信託を組成することが出来るようになります。
また、この後の説明に非常に重要になってくるのですが、レバレッジ型の投資信託が値動きにレバレッジをかけるのは日々の値動きに対してです。
後に詳述しますが1日1日の値動きが実際の何倍もになるように運用を行っているということです。
常にレバレッジ倍となるとは限らないということになります。
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レバレッジ型の投資信託のメリット〜レバレッジ以上に大儲けする可能性あり〜
まずはレバレッジ型の投資信託のメリットになりますが、自分の保有している資産以上の取引ができるため、大きな利益を得られる可能性がある。
これは当然なのですが、相場が右肩あがりの場合はレバレッジ倍以上に利益を獲得することが出来るというメリットがあります。
例を用いて対象インデックスに対して2倍のレバレッジをかけるダブルブルの値動きを考えてみましょう。
想定として対象インデックスは毎日10%ずつ上昇し、ダブルブルは日々インデックスの2倍の上昇となるので毎日20%ずつ上昇したとします。
すると上記のように対象インデックスは5日後に100→161と61%の上昇になるのに対して、ダブルブルは100→248と+148%の上昇になります。
(右にスライドできます➡︎) | 0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
対象インデックス | 100 | 110 | 121 | 133.1 | 146.41 | 161.051 |
対象インデックス増加率 | 0% | 10% | 21% | 33% | 46% | 61% |
ダブルブル | 100 | 120 | 144 | 172.8 | 207.35 | 248.832 |
ダブルブル増加率 | 0% | 20% | 44% | 73% | 107% | 149% |
つまり5日後にはダブルブルは61%の上昇の2倍つまり122%よりも大きい148%の上昇を実現することになるのです。
毎日の変動幅の2倍なので複利効果が高まり、自分の予想した方向に相場が動き続けた場合は想定以上の利益を獲得することができるようになります。
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レバレッジ型の投資信託のデメリット〜レバレッジ以上に大損する可能性あり〜
レバレッジ型の投資信託にも当然デメリットはあります。
大損する可能性がある
レバレッジ型の投資信託は大きく利益を獲得する反面、大きな損をする可能性があることは言を待たないと思います。
しかし、実はあまり知られていませんが自分の想定している方向と逆に行った場合はレバレッジ倍ほどは損失を被らないという特徴があります。
先ほどと同様の例を用いて説明します。
ダブルブルを保有していて対象となるインデックスが毎日10%ずつ下落した場合の対象インデックスとダブルブルの値動きを表したのが以下の図です。
対象インデックスが5日後に100→59.049と約▲41%となっているのでダブルブルは約▲82%程度になるかと思いきや、実際は100→32.768%と約▲68%の下落に留まっています。
(右にスライドできます➡︎) | 0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
対象インデックス | 100 | 90 | 81 | 72.9 | 65.61 | 59.049 |
対象インデックス増加率 | 0% | -10% | -19% | -27% | -34% | -41% |
ダブルブル | 100 | 80 | 64 | 51.2 | 40.96 | 32.768 |
ダブルブル増加率 | 0% | -20% | -36% | -49% | -59% | -67% |
数学の問題なのですが、1を超える数値の複利は増幅する一方、1を下回る数値の複利は下落幅を抑える方向に働くという効果があります。
大損することには変わりませんが、レバレッジ倍ほどは下落はしません。
基準価格が変わらない水準でも損失が発生しうる
次に実は見落とされがちなのですが、レバレッジ型の投資信託では対象インデックスの価格が殆ど変わらず、うろちょろしているだけの場合でもレバレッジ投資信託の価格が下落してしまう可能性があります。
同じ例で対象となるインデックスが100→90→110→90→110→100とフラフラ上下動しながら結局100に戻った場合の値動きです。
対象となるインデックスは100→100と5日後に結局増減率0%ですが、ダブルブルは100→86.74と▲13.26%と大きな下落を被っています。
(右にスライドできます➡︎) | 0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
対象インデックス | 100 | 90 | 110 | 90 | 110 | 100 |
対象インデックス増加率 | 0% | -10% | 10% | -10% | 10% | 0% |
ダブルブル | 100 | 80 | 115.55 | 73.53 | 106.02 | 86.74 |
ダブルブル増加率 | 0% | -20% | 16% | -26% | 6% | -13% |
また反対に対象となるインデックスが100→110→90→110→90→100と動いた場合も、以下のようにダブルブルは約15%の下落となってしまいます。
データでみても同様の結果ですね。
(右にスライドできます➡︎) | 0日目 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
対象インデックス | 100 | 110 | 90 | 110 | 90 | 100 |
対象インデックス増加率 | 0% | 10% | -10% | 10% | -10% | 0% |
ダブルブル | 100 | 120 | 76.36 | 110.30 | 70.19 | 85.79 |
ダブルブル増加率 | 0% | 20% | -24% | 10% | -30% | -14% |
つまり値動きに方向性ができると予測出来る局面以外でレバレッジ型投資信託を購入すると、原資産であるインデックスに変化がなくてもいたずらに資産を減らしてしまう結果を招いてしまうのです。
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まとめ
レバレッジ型の投資信託には、以下の形態で様々な商品が組成されています。
- 連動対象となるインデックスの種類
- ブル型とベア型の違い
- レバレッジ倍率の違い
レバレッジ型投資信託は『日々の値動き』にレバレッジをかけるため、以下の特徴があります。
- 自分の予想通りにインデックスが動き続けた場合レバレッジ以上の大きな利益
- 自分の予想と反対にインデックスが動いた場合レバレッジ未満の損失に抑制
反対にインデックスがあまり動かない場合は、元インデックスは価格が変わらないのにレバレッジ型投資信託のみ大きく下落するという危険を孕んでいる点には注意を払いましょう。
レバレッジ投資信託は自分が投資しようとしている相場の方向感に自信がある場合は大きな利益を見込むことができます。
しかし、余程自信が持てない限りは手を出さない方が懸命でしょう。
以上、レバレッジ(ブル・ベア型)投資信託の仕組みとメリット・デメリットを紐解く!基準価格が一定でも大損する可能性あり?…でした!
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