企業には、国内の需要(内需)で業績を上げる企業と国外の需要(外需)で業績を出す企業とに大別されます。
それぞれ特徴を持った企業が多いので、投資する際には業界、企業形態を詳しく確認する必要があります。
今回は、内需企業にフォーカスを当てて、代表企業、関連銘柄などを解説していきます。
内需と外需関連の業界
内需をターゲットに事業を展開している業種は、以下が挙げられます。
■ 内需株:
- 銀行
- 保険
- 小売
- 建設
- 不動産
- 倉庫
- 電鉄
- 電力
- 鐵工
- 紙・パルプ
これらの業種は、事業の基盤が国内にあるため、内需が高まっているときは業績が好調になります。
国内の景気が良い時というのは、「国内の消費が増えている」時です。
したがって、内需関連の業種が好調なときは、国内の失業率なども低くなる傾向にあります。
また、「円高」も、海外から商品を輸入する内需関連企業の業績は良くなることが多いです。
内需関連企業と対極にあるのが、「外需」をターゲットする企業です。
外需は、「海外から生じる需要」のことで、国外から日本に対して向けられる需要を指します。
外需の業界は以下の通りです。
■ 外需株:
- 自動車
- 電気
- 化学
外需産業は、日本国内で製造された商品を海外に輸出して利益を出します。
近年は、人件費を安く抑えるために、日本国外に工場を作って、現地から直接外国へ輸出する企業もあります。
外需産業は、海外からの需要に加えて、「為替」の影響を強く受ける業界でもあります。
一般的に、円安の方が輸出で得られる利益は大きくなるため、円安の時は外需関連企業の業績は好調になることが多いです。
よって、発展途上国の中には、自国通貨が安くなるよう市場に介入することも少なくありません。
日本も、直接的ではありませんが、日銀の量的金融緩和によって円安が生じたため、それまで輸出で苦戦していた企業が業績を回復させた例があります。
この点については、「【輸出関連株】円安メリットのある代表銘柄!トヨタ自動車は「1円」の円高で営業利益が400億円変動?」で深掘りしている内容ですので、参考にしてみてください。
(目次に戻る)
内需関連企業の代表例
それでは、代表的な内需関連企業(東証第一部上場)をピックアップして紹介していきます。
セブン&アイ・ホールディングス
「セブン&アイ・ホールディングス」は、コンビニ大手のセブンイレブン、スーパーの老舗であるイトーヨーカドーなどを傘下にもつ小売グループ企業です。
主力であるセブンイレブンのコンビニ事業は、総菜やお弁当のクオリティを高めることで、他のコンビニと差別化を図っています。
セブンイレブンのフランチャイズ展開も積極的に行っており、販売エリアを全国に広げています。
スーパー事業のイトーヨーカドーに関して、こちらは売上が年々低下傾向にあり、店舗縮小の動きが加速しています。
イトーヨーカドーで働く社員をセブンイレブンへ転属させるなど、企業内での改革が進んでいます。
イトーヨーカドーに限らず、総合スーパーや百貨店は、全体的に苦戦している傾向にあります。
この背景として、Amazonや楽天などのインターネットショッピングの発展やメルカリなどのフリマアプリの浸透が挙げられます。
わざわざ、スーパーや百貨店に行って買い物をする必要が無くなってきているのです。
特に、イトーヨーカドーは、ドン・キホーテなどのディスカウントストアでもなく、専門店のように何か特定の商品を集中して販売しているわけではありません。
今後も、専門性のないスーパー、百貨店は日本から徐々に無くなっていく可能性が高いですね。
三菱UFJフィナンシャル・グループ
「三菱UFJフィナンシャル・グループ」は、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガンス・スタンレー証券などを傘下に置く総合金融グループです。
三井住友フィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループと並んで、「三大メガバンク」と呼ばれています。
国内の金融業界は、このメガバンクが席巻している状態です。
横浜銀行など地方に基盤を置く地方銀行や、中小企業向けに融資を展開する信用金庫などは、人口減少の煽りを受けて業績が低迷しつつあります。
地方銀行同士が合併を行ったり、メガバンクに吸収合併されるなど、業界再編が現在も継続している状態です。
三菱UFJフィナンシャル・グループも地方銀行の中京銀行を買収して、傘下に置いています。
日銀の量的金融緩和によって、銀行にマネーがたくさん集まっている状態ですが、銀行から個人、企業への融資がそこまで盛んになっていません。
これは、日本が数十年に渡ってデフレに苦しんできた為、「消費、投資を抑える」スタイルが確立されてしまったからです。
銀行としては、融資しなければ利益を出せないので、何とか融資をしたいところですが、内需と上手くかみ合っていないのが現状ですね。
このような状況を受けて、三菱フィナンシャル・グループ始めとしたメガバンクは「手数料」で利益を上げるスタイルに変貌しつつあります。
コンビニのATMで24時間取引をできるようにした代わりに、手数料を高く設定したのです。
1回あたりの取引手数料はとるに足らない金額ですが、これが何千万人という単位になれば、膨大な金額になってきます。
ただ、これは「いつでも簡単にお金を預け入れしたい」という内需を上手く取り入れた結果でもあり、銀行の生存に活路を見出したとも言えますね。
東京電力ホールディングス
「東京電力ホールディングス」は、電力発電や原子力開発、不動産事業などを展開する総合エネルギー企業です。
東電というと、東日本大震災での福島原発の事故が連想されますが、電力会社などのエネルギー産業は自然災害の影響を直に受けます。
地震で送電線が破壊されてしまったら、その時点で電力供給ができなくなり、利益を出せなくなります。
それでも、電力は一定の需要が必ずあるため、業績が著しく悪化することはこれまで見られませんでした。
ただ、2016年から電力の小売完全自由化が実施されるようになり、消費者は電力の購入先を自身で選択できるようになりました。
東京に住んでいるからといって、必ずしも東京電力から電力を購入する必要がなくなったのです。
小売完全自由化がスタートしたことで、電力とガスをセットで供給する事業者も登場してきました。
ただし、電力小売完全自由化が行われる前に期待されていた「電力の価格競争」はそこまで活発になっていないのが現状です。
消費者サイドがそこまで電力会社の選択にこだわらないことが要因として挙げられます。
結果的に、東電の一強状態は崩れることなく、今に至っている状態です。
今後は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの浸透が業界内で期待されています。
再生可能エネルギーは、まだエネルギー効率が高くない為、この効率性の問題を如何に解決していくかが鍵となってきますね。
(目次に戻る)
まとめ
内需関連業は、国内の需要や景気に業績が大きく左右されます。
内需が好調であれば、それに伴って株価も高くなる傾向にあります。
現在の日本は、東京オリンピックの特需によって、国内消費が下支えされていますが、オリンピックが終わった後、どのように内需が変化するか、注視しなければなりません。
内需関連企業は、私たちの生活にもっとも身近な企業とも言えるので、商品やサービスの変化にも気を配っておくようにしましょう。
些細な変化を知っておけば、投資の際の意識決定に役立てられます。内需は消費者1人1人によって作られるものです。
株価の推移だけではなく、お店の様子や商品のラインナップも把握しておくと、景気の流れを肌身で感じられます。
投資を日常生活とリンクさせて、分析の精度を上げていきましょう。
以上、【内需関連株】国内消費で業績を上げる代表企業・関連銘柄を紹介!…でした。
コメントを残す