「株主優待」と聞けば、近年はTVでよく見かける桐谷さんが有名ですよね。
毎日自転車で走り回り優待を有効活用されている桐谷さんをみて、優待株に興味を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はそもそも優待とはどのような仕組みなのか?
そしてその魅力と注意点、驚愕の利回りを誇る優待銘柄について紹介していきたいと思います。
目次
Contents
優待株投資は物やサービスを貰える日本固有の株式投資の特徴
「配当金」とは企業が稼いだ利益のうちから一部を『現金』として株主に分配する株主還元策です。
一方、優待は現金ではなく自社製品やサービス、自社で使える商品券で株主に還元するという日本独特の仕組みです。
お歳暮のように感謝を物で伝える文化がある日本だからこその独特な仕組みです。
筆者も欧州滞在時に外国人と株の話をしたことがあるのですが、優待についての話をした時に欧米にはない制度で驚かれました。
日本の優待株の歴史は非常に古くなんと明治32年の1899年に遡ります。
東武鉄道が優待株主41名に対して優待を実施したという記録が残っており実に100年以上の歴史を誇っています。
直近では優待ブームの後押しもあり、1400社を超える企業が優待を導入し、上場企業に占める割合は約40%にまで上昇しています。
(引用:大和IRより編集部作成)
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優待株投資の魅力①:配当金の利回りよりも高い優待利回り
現在日経平均の平均配当利回りは2018年の株価下落で高まっていますが、平均2.3%の水準で収まっています。
配当利回り = ( 配当金 ÷ 株価 ) × 100
最大の配当利回りを出している東証二部の『ベリテ』であっても約10%に留まっています。
一方の優待利回りはというと以下の式で表されます。
優待利回り = ( 優待の金額換算 ÷ 株価 ) × 100
優待利回りが10%を超えるような銘柄はざらであり、中には100%近い優待利回りを誇る銘柄も存在しています。
優待利回りが高くなる要因は二つあります。
一つ目はあくまで原価ではなく市場価格での算出となるということです。
例えば、ある企業が自社製品・サービスを優待として株主に配る場合を考えてみましょう。
製品・サービスを作る又は提供する原価は2000円であったとしても、街中で販売されている価格は5000円であるとします。
企業の負担は2000円であるにも関わらず優待利回りベースでは5000円で算出されるため優待利回りが高くなっていきます。
二つ目は自社製品の社会に対する宣伝つまりPR効果があるという点が挙げられます。
製品やサービスを優待として株主に提供すれば、世の中に対して自社の製品・サービスを宣伝することができるので、積極的に優待を出してきます。
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優待利回りが100%に近い2銘柄を紹介
優待銘柄の中には優待利回りがなんと100%に近い銘柄も存在しておりますので紹介したいと思います。
VTホールディングス(東証一部7593):優待利回り126.98%
VTホールディングスはホンダ・日産等の国内大手自動車のディーラーとして様々な車種を販売している企業です。
優待内容は以下のようになっております。
優待獲得必要株 | 優待内容 | 金額 |
100株 | 新車中古車購入時優待 | 30,000円 |
車検時利用優待 | 10,000円 | |
1,000株 | カタログギフト | 5,000円 |
5,000株 | カタログギフト | 10,000円 |
優待利回りが最も高くなるのは、100株保有した時に新車中古車購入時優待と車検時利用優待の合計40,000円を獲得する場合。
優待利回り=(40,000円 ÷ (1株315円×100株))×100 = 126.98%
という驚異的な優待利回り水準となっております。
優待利回りは高いのですが、VTホールディングスとしても車を購入して貰った時の優待です。
車好きの株主との間にはWIN-WINの優待割引であると言えますね。
一方、優待利回りが高くても一般の方にはハードルの高い優待ともいえるでしょう。
パートナーエージェント(マザーズ6181):優待利回り173.4%
パートナーエージェントは名前の通り結婚相談所として東証マザーズ市場に上場している新興銘柄です。
パートナーエージェントでは登録時に3万円の登録料がかかります。
100株以上の株主に対しては3万円の登録料が無料となります。
優待利回り=(30,000円 ÷ (1株173円×100株))×100 = 173.4%
非常に高い優待利回りとなっているのですが、結婚に需要のなる世代であれば魅力的ではあります。
しかし、優待でメリットを受ける方が少ないという点と、登録料を無料にしたとしてもパートナーエージェントは実質負担はないことで成し得る優待利回りとなります。
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〜コラム〜月毎の注目優待銘柄に注目しよう!
株主優待は決算のタイミングで発表されます。
日本企業は3月決算が多いですが、その他の月を決算月としている企業も数多く存在しています。
月毎にソートして自分にとって魅力的な銘柄を探すのも一つの手です。
- 【1月株主優待】食事やファッションが割引!ストリーム・ユークスなどオススメ優待銘柄6選を紹介。
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- 【4月株主優待】高優待利回り(600%以上!!)の『メガネスーパー』を始め3銘柄を選抜
- 【5月株主優待】高優待利回り(100%以上!!)の『ネクスグループ』を始め3銘柄を選抜
- 【6月株主優待】人気のすかいらーくHDをはじめ『おすすめ優待銘柄』5選を紹介!
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- 【9月株主優待】優待利回り90%超え?オススメ優待銘柄を5つ紹介!
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優待株を検索するのであればSBI証券の『株主優待検索』が便利
先ほど見てきた通り、非常に高い優待利回りを記録している銘柄は高額な自社商品の割引やニッチな自社サービスの提供となっています。
汎用性という観点からは魅力が薄い銘柄が多くなっています。
優待を貰うにしても自分にとって価値のある優待を貰わないと意味がありませんよね。
優待株投資を行うのであれば、自分の欲しい優待を検索することが出来るSBI証券が使い勝手が大変良いです。
SBI証券の『株主優待検索』を利用すれば、以下の条件で優待銘柄を検索することが出来ます。
- 優待内容 (金券、食料・飲食券・交通旅行・宿泊券等々)
- 優待権利獲得月
- 優待獲得に必要な金額
- つなぎ売りが可能かどうか(後述)
- ファンダメンタル検索(PER、PBR、配当利回り等)
優待株投資を行うにあたっては欠かせない機能ということが出来るでしょう。
[株主優待検索への画面推移]
SBI証券での株主優待検索への画面推移です。
まずSBI証券にログインを行い、国内株式の中の株主優待部分を押します。
すると以下の画面に推移します。
赤枠で囲った『株主優待検索』を押します。
すると以下の株主優待検索の画面に推移します。
先ほどお伝えした条件検索を左側の枠で行うことができる使い勝手のようにサービスとなっております。
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魅力②:魅力的な優待銘柄は下落に強い
優待銘柄の魅力は利回りの高さのみではありません。
魅力的な優待を用意している企業では高配当銘柄と同じく下落耐性が強くなります。
例えば株価が現時点で1,000円の企業Aが魅力的な100円分の優待を出していたとします。
現時点での優待利回りは【100円 ÷ 株価1000円=10%】となります。
その後株価が下落して500円となった場合、一気に優待利回りは【100円÷株価500円=20%】に上昇します。
するとあまりにも魅力的な水準となっているので、すかさず買が入り下落しにくくなります。
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優待株投資の注意点①:優待の権利が貰える条件が決まっている
優待株投資を行う上での注意点についてもまとめていきたいと思います。
まず株主優待には『権利付最終日』と『権利確定日』という二つの基準となる日があります。
権利付最終日(通常、権利確定日の3営業前)はその日までに株を購入すれば優待を得られる権利を確定できる日です。
翌営業日が権利落ち日と言われます。
権利落ち日以降に株を保有していなかったとしても、優待は獲得できるため優待狙いの株主が売却することで権利落ち日には株価が下落する傾向にあります。
以下は、一般的な銘柄の権利確定日と権利付最終日並びに権利落ち日のスケジュール感です。
権利付日と優待を獲得するための必要最低株式数について確認するの面倒だな…と思われた方もいらっしゃると思います。
しかし、先ほどお伝えした『株主優待検索』で簡単に確認できます。
まず『株主優待検索』のトップ画で興味のある優待銘柄の赤枠の『優待情報の詳細を見る』を押します。
すると以下の画面に遷移して、権利付最終日と株主優待を獲得するための必要株式数が一覧で確認することが出来ます。
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注意点②:権利落ち日に下落する可能性が高い(つなぎ売り対策)
先ほど権利落ち日には優待だけが目当ての投資家が売却するため、権利落ち日には株価が下落する傾向にあります。
優待を得たものの、優待で得られる価値以上の金額の株価が下落してしまえば、最終的には損となってしまうことがあり得ます。
例えば100株以上保有で2,000円相当の優等をつけるA社を考えます。
1株1,000円の株を権利付最終日の時点で100株、つまり計10万円分(1,000円×100株)保有していたとします。
権利付最終日が終わり翌営業日の権利落ち日になると優待だけを狙った株主がA社の株を投げ売り、
株価が10%下落して900円となったら▲100円×100株 = ▲1万円となってしまいます。
結果的に優待との合計損益=優待+2,000円 – 株価下落 10,000 = ▲8,000円となってしまうのです。
しかし、権利落ち日の下落にはしっかりとした『つなぎ売り』という対策が用意されています。
詳しくは「つなぎ売り(≒クロス取引)のメリットと注意点をわかりやすく解説!」で説明しております。
つなぎ売りは権利付最終日→権利落ち日までの価格の下落を打ち消す取引です。
方法としては権利付最終日に信用取引で優待銘柄の保有量と同量を『空売り』をします。
『空売り』というのは株を保有していないにも関わらず、証券会社から株を借りて株を売るという特殊な取引です。
空売り後に株価が下落した場合に買い戻して利益を得られます。
話を本題の『つなぎ売り』に戻しましてA社の例を基にすると以下の図のように、
権利付最終日には優待を取得するための現物買(1,000円×100株)と同時に信用売り(1,000円×100株)を建てます。
翌日権利落ちとともに株価が100円下落して900円となったとします。
保有している現物株:▲100円 × 100株 = ▲1万円
権利付最終日の売建:▲100円 × ▲100株 = +1万円
すると優待を受け取るための現物株から発生する損失1万円と権利付最終日の売建から発生する1万円が相殺できます。
権利落ち日に信用売りを行なった分を現在現物で保有している株に『現渡し』します。
すると、権利落ちによる下落を避けることが出来るのです。
現渡しとは信用取引の売り建玉を新たに株を買い戻して証券会社に返却するのではありません。
現在保有している現物の買建玉を返却することです。
売と買を二回閉じるという手間が省けるだけでなく手数料を節約することが出来る取引です。
権利付最終日での信用売りと権利落ち日の現渡しで閉じる『つなぎ売り』で権利落ち日の下落の影響を抑えることができるのです。
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注意点③:優待利回りが高いだけで有望な銘柄と考えるのは早計
優待投資に熱中しすぎて優待の内容だけで株価を選んでしまう方もいらっしゃいます。
しかし、あくまで優待は配当と同じく特典であるということを忘れてはいけません。
たとえ優待が魅力的であったとしても、企業業績が下降傾向であったり株価が割高であった場合、優待で得られる利益よりも大きな損失を株価下落で被る可能性があります。
銘柄を選択される際は優待のみではなく、企業のファンダメンタルズ分析を怠らないようにしましょう。
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まとめ
優待は現金ではなく自社製品やサービス又は商品券で株主に対して還元を行う日本独特の株主還元策です。
配当利回りに比べて優待利回りは高い銘柄が多い傾向にあります。
ただ、現金とは異なり使途が限られているものも多いため自分の欲しい優待を提供してくれる銘柄を選ぶのが重要です。
SBI証券の『株主優待検索』が優待の種類や必要価格などを検索できて使い勝手がよくておすすめできます。
優待を貰うためには権利付最終日時点で必要な株を保有している必要があります。
翌営業日の権利落ち日には優待目当ての投資家による売りによって株価が下落するおそれがあります。
権利落ちによる株価下落には『つなぎ売り』という対策が確立されているので活用を考えた方が良いでしょう。
以上、【利回り100%の銘柄?】配当よりもお得と評判の優待株投資とは!魅力と注意点に迫る。…でした!