テレビニュースや新聞でよく目にする日経平均株価、TOPIX、などの株価指数。
この株価指数を構成するのは上場株式銘柄です。
一方で、上場していない株式は「未公開株」「未上場株」と呼ばれます。
このように上場していない未公開株は、個人投資家が売買するのは簡単ではありません。
今回は、そんな未公開株の概要と売買する方法について解説していきます。
目次
未公開株・未上場株とは?
未公開株とは、その名の通り、東証一部など株式市場に上場していない、公開していない会社の株式です。
そもそも、未公開株は中小企業やスタートアップなど、上場企業以外の会社を指します。
ほとんどの企業が未公開株です。
上場するとは、簡単なことではなく、若手のベンチャー経営者などは「IPOを目指しています」という人が多いです。
このようなベンチャー企業は上場するまでは、シード、アーリーなどステージがあります。
しかし、基本的にはエンジェル投資家とベンチャーキャピタルに資金調達を頼ることになります。
上場すれば保有株が株式市場公開時に何十倍にも跳ね上がり、大金を得る可能性を秘めています(可能性は著しく低いです)。
ベンチャー企業の他にも、世の中には上場審査を申し込めば通過するであろう企業がいくつも存在します。
例えば国内企業で言えば、竹中工務店、サントリー、などなど名だたる企業が並びます。
つい最近まで、実はあのリクルートも未公開企業だったのです。
【未公開も国内外大手企業】
国内 | 海外 |
竹中工務店 | カーギル |
サントリー | イケア |
ロッテ | マッキンゼー |
朝日新聞 | ロバート・ボッシュ |
ヤンマー | – |
富士ゼロックス | – |
カルピス | – |
アサヒ飲料 | – |
森ビル | – |
また、田舎にある企業のほとんどは既に収益基盤が確立しているのにも関わらず、上場していない未公開企業であることが多いです。
そもそも上場する最大のメリットとは、株式市場から資金調達しやすいことです。
すでに資金力がある会社であり、長年続いている老舗企業であり認知度があればそもそも上場する理由がないのです。
上場時も上場後も、年間上場料、監査報酬、株主名簿管理料などの諸経費が掛かります。
株主への説明責任など経営が阻害されるリスクというデメリットも考慮した上で、未公開にしているのでしょう。
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未公開株は売買できるのか
未公開株を個人で購入するには、会社の創業者をはじめとした株主と交渉し、直接購入する必要があります。
「エンジェル投資家」という位置付けになります。
エンジェル投資家とは、創業間もない企業に対して資金を提供し、経営アドバイスなどをする人です。
基本的に、企業創業者も経営アドバイスやすでに会社売却や上場などを経験している投資家を求めています。
起業経験などがないと少し厳しいでしょう。
そもそも起業していないとベンチャー企業創業者とのパイプも基本的にはありませんので投資は難しいです。
どうしても個人で主にベンチャーの未公開株を保有したい場合は、
将来IPOが見込めるような有望なベンチャー企業に就職してストックオプションを貰うしか道はないでしょう。
ストックオプションとは、「株式をあらかじめ定められた価格で取得できる権利」です。
創業間もない企業は資金が不足しており、優秀な人材を採用することが困難です。
共に上場時の株価上昇を目指すという建て付けの下、低めの給与でありながらもストックオプションを付与することでインセンティブとすることが一般的です。
ちなみに、未公開株の購入手続きは煩雑であり、購入に至るまでに以下のプロセスがあります。
手順 | 取締役会設置会社 | 取締役会非設置会社 |
1 | 株式の譲渡人が会社に対して株式譲渡承認請求を行う | 株式の譲渡人が会社に対して株式譲渡承認請求を行う |
2 | 招集権者が取締役会を招集する | 取締役の過半数の一致の決定により臨時株主総会を開催する。 |
3 | 取締役及び監査役に対して臨時取締役会の招集通知を出す | 臨時取締役会を開催して株主譲渡を承認する。 |
4 | 臨時取締役会を開催して株式譲渡を承認する。 | 株式の譲渡人に対して株式譲渡を承認した旨の通知をする。 |
5 | 株式の譲渡人に対して株式譲渡を承認した旨の通知をする。 | 株式の譲渡人と譲受人が株式譲渡契約を締結する。 |
6 | 株式の譲渡人と譲受人が株式譲渡契約を締結する。 | 会社に対して株主名義書き換え請求を行う。 |
7 | 会社に対して株主名義書き換え請求を行う。 | 会社が株主名義を書き換える。 |
8 | 会社が株主名義を書き換える。 | 新株主である譲受人が株主名義記載事項証明書の交付を請求する。 |
9 | 新株主である譲受人が株主名義記載事項証明書の交付を請求する。 | 会社から新株主である譲受人にある株主名義記載事項証明書を交付する。 |
10 | 会社から新株主である譲受人にある株主名義記載事項証明書を交付する。 | – |
(引用:株式譲渡(売買)手続きについて)
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未公開株に投資するVC(ベンチャーキャピタル)に投資をする選択
上記のように、未公開株に直接投資をするのは難しいことがわかりました。
ここで諦めなければならないのでしょうか?
例えば、JAFCO(ジャフコ)といったベンチャー企業に投資をする上場ベンチャーキャピタルに投資をすれば、間接的ではありますが、未公開株に投資をすることができます。
ジャフコの投資
■ インキュベーション(INCUBATION)
日米のライフサイエンス企業への投資と大学・研究機関の研究成果の事業化支援と投資を行っています。官公庁が推進する事業創出プログラムにも支援者として参加しています。
■ ベンチャー(VENTURE)
革新的かつ創造的経営を行う成長性豊かな企業に対し、ステージに応じたリスクキャピタルを供給し、経営や事業拡大にコミットする事で企業価値の向上を支援しています。
■ バイアウト(BUYOUT)
ベンチャーキャピタルのDNAを基に、一貫して成長支援を柱に据え、事業承継やスピンアウトに伴う資本的独立と企業成長に、経営陣とともに取り組んでいます。
JAFCOに投資をするにも、JAFCOの選球眼が重要になってきます。以下はJAFCOの2010年来の株価及び配当の推移です。
株価は安定せず、2015年/3月期のEPSが625円だったにも関わらず、2016年のEPSは384円、2017年のEPSは250円と大きく下落しております。
その後687円をつけましたが、また18/12期には282円に下落しています。
株価・EPSの上下動が激しくなっているのがわかります。
またベンチャーキャピタルの特性上、ポートフォリオを組んでいます。
そのため、投資先のベンチャー企業が上場しても、全体の投資額としてみると、利益は薄まってしまうのでベンチャー投資の醍醐味を味わうことも難しいかもしれません。
JAFCOについては、別コンテンツでも分析していますので参考にしてみてください。
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まとめ
未公開・未上場株の概要とその売買する方法について解説をしました。
未公開株に投資をするのであれば、起業家コネクションがない方は、以下が現実的な線と言えるでしょう。
- JAFCOを通じて間接的に投資をする
- ストックオプションを付与してくれる有望なベンチャー企業に就職
同様に高いリターンを目指すということで、上場が予定されているIPO株に投資をすることも検討すると良いかもしれません。
以上、【未公開株とは?】売買する方法はエンジェル(ベンチャー)投資・VC・ストックオプション。IPOを目指す未上場株銘柄を購入するメリットとは?…の話題でした。