「株主優待」は「権利付最終日」に対象の銘柄を保有していることで優待を受け取ることができます。
しかし、「権利付最終日」翌日の「権利落ち日」には、優待目当てで株を保有していた投資家が株を売却してしまいます。
そのため、株価が下落する傾向にあります。
優待は魅力的だけど権利落ちによる損失が怖くて、なかなか優待株投資に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか?
上記のような不安をお持ちの方に権利落ち日の株価下落の対応策として「つなぎ売り」(≒クロス取引)という手法があります。
「つなぎ売り」を利用することで、権利落ち日の株価の下落の影響を受けずに優待を獲得できます。
今回はそのつなぎ売りの魅力と注意点について、わかりやすく説明していきたいと思います。
長くなりますので、ポイントも最初に列記しておきます。
◾️今回のポイント!
- 優待株投資は権利落ち日に下落する恐れが高い
- 優待だけを確保したい投資家におすすめなのが『つなぎ売り』
- 『つなぎ売り』は空売りと現物買を併用して権利落ち日の株価下落を抑える
- 空売りは優待株を継続保有したい投資家にも有用
- 『つなぎ売り』(≒クロス取引)には決まった手順がある
- 空売りを行うには信用口座を開設する必要あり
- 『つなぎ売り』を行うために空売りが可能な銘柄かを確認する必要あり
- 逆日歩の影響を受けないためには一般(無期限)信用取引が有効
- 一般(無期限)信用取引可能銘柄は松井証券が最多
- SBI証券の『株主優待検索』と松井証券の一般(無期限)信用取引を組み合わせるのが最強
- 『つなぎ売り』は株価下落の影響を抑えられるがコストが発生
- 『つなぎ売り』によるコストと株主優待の価値を見極めて『つなぎ売り』を実施しよう
目次
Contents
- 1 株主優待の基本
- 2 「つなぎ売り」は信用売りを利用した優待株権利落ち下落リスクを抑制する仕組み
- 3 〜コラム〜優待株を元々保有し権利落ち後も保有したい方も『空売り』は有効
- 4 『つなぎ売り』(≒クロス取引)が不正取引と違法と見做されないために気をつけること
- 5 『つなぎ売り』の具体的で簡単な手順 やり方とタイミングを解説
- 6 『つなぎ売り』の注意点①:信用口座は開設済み?対象銘柄は信用取引が可能?
- 7 『つなぎ売り』の注意点②:空売りにかかる侮れないコスト
- 8 『つなぎ売り』の注意点③:クロス取引のやり方を覚えるときは配当・優待無しも把握すべき
- 9 『つなぎ売り』の注意点④:クロス取引の注文価格は同一にすること
- 10 クロス取引にかかるコストをSBI証券の例をとって算出
- 11 まとめ
株主優待の基本
株式投資には、「株主優待」と呼ばれる、「商品券」や「施設利用券」などを得られるサービスも用意されています。
株主優待を受けるためには、株式購入日から数えて3営業日は保有する必要があります。
さもなければ、株主優待の「権利」を得られません。
もう少し詳しく説明すると、株主優待の権利確定日(優待が確定する日)から、3営業日前(権利付き最終日)に対象銘柄を保有する必要があります。
権利付き最終日は多くの投資家が株主優待の権利を獲得します。
対象株式銘柄は、購入・価格上昇する時期ですが、権利確定日後に多数の「売り」も発生します。
このような傾向があるため、通常の保有方法では、優待を得る一方で「含み損」まで抱えてしまうのがネックです。
そこで「クロス取引(つなぎ売り)」と呼ばれる手法を使用し、少しでも売買に伴う損失を抑えるようにしましょう。
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「つなぎ売り」は信用売りを利用した優待株権利落ち下落リスクを抑制する仕組み
「権利落ち日」の株価下落による損失は優待銘柄を買っていることによって発生します。
優待銘柄を保有していることによる損失を「空売り」(信用取引)という手法を用いて損失を補填する手法を「つなぎ売り」といいます。
〜空売りとは?〜
「空売り」とは名前の通り、空 (=株を保有していない状態)で株を売却する取引のことです。
株を保有していないのに、株を売却するって全く意味が分かりませんよね。
しかし、証券会社から株を借りることによって可能となるのです。
自分では保有していない、借りた株を売却して株価が下落した時に株を買い戻して利益を得る目的で空売りは実施されます。
権利付最終日に優待株を保有すると同時に同銘柄を同数量空売りします。
すると、権利落ち日の保有分の下落の損失を『空売り』分で相殺することができるのです。
最後に空売りで売り建てた分の返済を現渡で実施することで『つなぎ売り』が完了となります。
〜現渡とは?〜
通常空売りを閉じるときは空売りしている銘柄を同量買い戻して空売りの際に株を借りている証券会社に返却します。
しかし既に同じ銘柄を現物で保有している場合は、保有している銘柄を証券会社に返却することで空売りを閉じることを現渡といいます。
権利付最終日の寄り付き株価1000円で100株を保有と同時に空売りを行います。
翌日権利落ちで下落した時に現渡で保有している優待株を空売りの返済に当てるとします。
すると以下図のように保有している優待株からは1万円の損失が発生する代わりに、
空売りからは1万円の利益が発生するため権利落ちの下落による損失は相殺されます。
以上のようなつなぎ売りを行うことで価格下落の損失を回避しながら優待を獲得することが可能となるのです。
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〜コラム〜優待株を元々保有し権利落ち後も保有したい方も『空売り』は有効
『つなぎ売り』は優待のみを獲得しようとする方に向けた手法です。
権利付最終日に優待株の保有と空売りを同時に行って、優待をもらう権利だけを確保する手法です。
人気のある優待銘柄ほど価格変動が大きい
つなぎ売り(クロス取引)は、権利確定日に下落しやすい傾向でも、損失を抑えながら優待を獲得する手法の1つです。
しかし、全ての有名銘柄で、つなぎ売りをするほどの変動が発生するわけではありません。
一般的には、優待内容、もしくは業績が好調で人気のある銘柄でよく発生します。
また、権利確定日の2営業日前(権利付き最終日)に急上昇し、権利確定日に急落しやすい傾向となっています。
つまり、人気優待銘柄の優待を獲得したいときは、つなぎ売りを行うことで急落の影響をできる限り抑えることもできるということです。
しかし、投資家の中には優待だけを目当てにしているだけではない場合もあります。
投資している銘柄が魅力的で優待は付録くらいに考えている方も相当数いらっしゃるのではないでしょうか?
元々保有している優待株に加えて権利付最終日に追加で空売りを行います。
権利落ち日に下落したところで空売りを買い戻すことで権利落ち日の下落のリスクを抑えることができます。
元々から保有している優待株を現渡で返済していないため、継続して保有することも可能になります。
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『つなぎ売り』(≒クロス取引)が不正取引と違法と見做されないために気をつけること
『つなぎ売り』は権利付最終日に優待株の保有(買い)と空売りを『同時』に行います。
『同一銘柄』『同数量』の売買を『同時に行う』取引をクロス取引といいます。
しかし、クロス取引を行う際には複数の点に注意しなければ、不正取引となる恐れがありますので気をつけなければいけません。
不公正取引について簡単に説明すると主に相場の恣意的な操作を指します。
例えば大量に先に株を空売りしたとします。
すると、空売りによって株価は大きく下落します。
下落したところで株を買い戻すだけで利益を獲得することが出来ます。
相場操縦と見なされるため節税目的の取引も行わないよう事前に証券会社の規約やルールを確認しましょう。
銀行や証券のような大規模な資金を保有していない個人の投資家には、相場を動かすほどの力は基本的にはありません。
しかし中には非常に大規模な資金をもっている方が、信用取引でレバレッジをかけることにより可能な方もいらっしゃいます。
そのため各証券会社は一律でクロス取引を行う際には以下、注意すべき点を設けているのです。
- 権利付最終日の寄付までに買と売の発注を行う必要があります。
株式市場が開場中のザラ場や株式市場が閉まる引けでの注文は、直前の値から株価が変動する可能性があり不公正取引該当となる可能性があるためです。
- 寄付までに注文の必要があります。
株式市場が空いているザラ場や株式市場が閉まる時の注文では、株価が直前の値から変化しやすいため不公正取引のなってしまう可能性があります。
- 「同一株数」「同一執行条件」で注文を行う必要があります。
もし株数が売りと買いで異なる場合、例えば売りの方が量が多い場合は結果的に株価が下落して相場操縦となり、下落した時に株を買い戻すことで利益を取得することが出来てしまうので不公正取引に該当してしまう可能性があります。
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『つなぎ売り』の具体的で簡単な手順 やり方とタイミングを解説
では『つなぎ売り』の具体的な手順を見ていきましょう。
さきほど説明してきたように優待獲得だけを狙って対象銘柄の『買』と『売』を行う『つなぎ売り』には不正取引とみなされる恐れがあります。
以下の手順を踏めば大丈夫。
- 権利付最終日の寄付(株式市場が開場する9時前)に成行で現物買と信用売り(=空売り)注文を同数量で行う。
- 翌営業日である権利落ち日に以降に現渡しで決済
たった上記の二つの手順だけです。
成行とは、その時に取引できる価格で執行してくださいという注文です。
株式市場が開場する前に成行注文を行うと開場時の価格で売買が両建でたつことになります。
仮に異なる価格で売買がたったとしても殆ど同じ価格です。
またコラムでお伝えした優待株を継続して保有されている方に関しては、権利付最終日の株式市場がしまる午後3時以前の好きな時に空売りを行って下さい。
翌日に権利落ち日の好きな時に空売りを株を買い戻して返済頂き、今まで保有している銘柄は継続保有し続けることが出来ます。
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『つなぎ売り』の注意点①:信用口座は開設済み?対象銘柄は信用取引が可能?
つなぎ売りには今までみてきたように空売りを行う必要があります。
空売りを行うには信用口座が必要となります。
信用口座を開設するには、どの証券会社でも条件が必要となります。
似たり寄ったりですのでSBI証券を例に以下のような点を審査されます。
- 80歳未満の成人かどうか
- 証券会社勤務や金融機関で証券を取り扱う業務に従事していないか
- 株式投資の経験はあるかどうか
- 十分な金融資産があるかどうか
信用取引は通常の株式取引に加えて信用買であれば、3倍程度のレバレッジをかけれたり空売りを行えるようになります。
つまり信用口座を開設することでリスクが高い取引ができるようになります。
そのため、ある程度の資金量と経験がある人に信用取引口座の許可を与えているのです。
ある程度の資金といっても筆者が最初に信用口座を開設した時は金融資産300万円。
株式投資経験1年で通過しました。
そこまで難しい基準ではありません。
また信用口座を開設しても、購入したい対象となる銘柄が空売りができない銘柄であれば、『つなぎ売り』を実施することが出来ません(後述)。
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『つなぎ売り』の注意点②:空売りにかかる侮れないコスト
ここまで読んできていただいた皆さんからすると、
『つなぎ売り』を利用すれば損失を出さず優待だけを獲得できるメリットしかない取引だと思われたかと思います。
確かに殆どのケースにおいて『つなぎ売り』はメリットが高い取引手法です。
しかし、空売りを行うことによるコストが優待のメリットを上回ってしまうケースも存在します。
具体的に『つなぎ売り』に関するコストとしては以下のものが挙げられます。
- 売買手数料(現物買と空売の売買コスト)
- 空売りにかかる貸株料
- 逆日歩
- 配当金受払
2.の貸株料というのは空売の際には証券会社から株を借りているので、貸していただいている代金として発生する金額です。
期間が長くなるだけ金額は増えていく、金利のようなものと捉えていただければと思います。
最も謎に満ちているのは3.逆日歩なのではないでしょうか。
逆日歩:制度信用取引の場合は、証券会社へ支払う手数料が発生・比較的高コスト
〜逆日歩とは?〜
『逆日歩』とは空売りしたい人が多いなどの理由で証券会社が投資家に貸し出せる株が不足した場合、証券会社は市場(機関投資家など大口顧客など)から株を調達しなければいけません。
そして証券会社は株を借りる代わりに、手数料を支払わなければいけません。そこで証券会社では信用売りを行う個人投資家から手数料を徴収しています。
逆日歩は高コストですので優待を加味しても、損失を招きやすいリスク要因のひとつです。
制度信用取引では逆日歩が発生しうるのですが、一般信用取引を行えば逆日歩が発生しません。
『つなぎ売り』を積極的に行う場合は一般(無期限)信用取引が行える量が多い証券会社を選択した方がよいでしょう。
クロス取引の手数料を抑える方法
制度信用取引では、逆日歩と呼ばれる高い手数料が発生してしまいますが、一般信用取引で取引すれば発生しません。
なぜ逆日歩が発生しないかというと、以下の仕組みのためです。
一般信用取引とは、証券会社が機関投資家などから株を借りず、独自に調達した株式を活用して信用取引を行う形式です。
つまり、証券会社が機関投資家から株を借りる必要がないため逆日歩が発生しないのです。
一般信用取引にも貸株料と呼ばれる手数料があり(例:1%など手数料率で表記)手数料コストの負担は避けられません。
しかし、逆日歩のような損失リスクは抑えられるのが魅力的な点です。
現在一般(無期限)信用取引を行うことができる証券会社・銘柄数は、以下のようになっています。
■ 各証券会社の一般信用取引可能銘柄数:
優待取りの『つなぎ売り』を積極的に行うのであれば、SBI証券の『株主優待検索』で自分にあった銘柄を調べます。
一般信用取引が可能な銘柄が多い楽天証券・松井証券・auカブコムなどで『つなぎ売り』を行うというのが有効となります。
一般信用取引は、「無限」「短期」の2種類にわかれています。
無限の場合は株式の返済期限がなく、短期は約2週間程度の返済期限が存在します。(短期の返済期限は証券会社ごとに異なる)
また、一般信用取引で貸し出せる株式数には上限があり、権利付き最終日に向かって在庫0になる可能性も高くなります。
各銘柄の在庫数は、証券会社が公式サイトで公開しているので、定期的に確認しながら早めに動くことも大切です。
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『つなぎ売り』の注意点③:クロス取引のやり方を覚えるときは配当・優待無しも把握すべき
クロス取引(つなぎ売り)のやり方を覚えるときは、2つ注意すべきポイントがあります。
- 優待を得られないケース:長期保有を優待条件にしている場合は、権利付き最終日に購入しても優待を得られない
- 配当金なし:空売りの場合は配当金に相当する金額を支払う必要あり
優待を得ることが目的のクロス取引のはずが、優待を得られないとなってしまっては意味がありません。
ですので、購入前に優待条件は必ず確認しましょう。
また、配当金については、クロス取引を行う以上得られない利益です。
それどころか配当金が高い銘柄の場合は税金の関係で損失が大きく発生してしまう場合もあります。(後述)
配当金狙いの場合はクロス取引・信用売りをせず、現物買い・保有する必要があります。
メリットの多いクロス取引ですが、時と場合によっては、目的と異なる結果になる可能性もあります。
取引前に、「優待を得たい」「配当金を得たい」のどちらを重視しているのかよく考えた上でクロス取引、
もしくは長期保有を実行しましょう。
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『つなぎ売り』の注意点④:クロス取引の注文価格は同一にすること
クロス取引のメリットは、株価急落時の損失を抑えられる点です。
しかし、同じ価格で買い・売りをしなければ売買損失を抱えてしまいます。
市場が始まる寄付きの際に成り行き注文を行うのもいいでしょう。
また、むやみにクロス取引を行う必要もありません。
あくまで株主優待のサービス内容に価値を感じるのであれば、売買損失0・貸株料や手数料コスト有りでもメリットのある取引と考えられます。
しかし、株主優待にそれほど価値を感じない場合は控えましょう。
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クロス取引にかかるコストをSBI証券の例をとって算出
それでは実際につなぎ売りを行う場合にどれだけのコストが掛かってくるのかということを算出してみたいと思います。
対象銘柄①:三井松島ホールディングスと優待内容
今回シミュレーションを行う銘柄は三井松島ホールディングスです。
豪州で生産された石炭を新日鉄などに売却することを主な事業としている石炭事業輸入販売業社です。(参照:三井松島ホールディングス事業概要)
同社の優待内容について「優待株投資の魅力」でも紹介しているSBI証券の『株主優待検索』で確認すると以下のようになっております。
100株以上保有することで以下の宿泊施設の割引券3000円×2枚=6,000円を獲得することが出来ます。
家族旅行で使えそうな宿泊施設が目白押しですね。
また三井松島ホールディングスは一般信用取引が可能な銘柄となることも『株主優待検索』で確認することができます。
◾️三井松島ホールディングスの優待と配当:
- 優待獲得には最低13.4万円必要(=1,344円×100株)
- 優待価値は6,000円(=3,000円×2枚)
- 配当4,000円(=1株40円×100株)
- 権利付最終日2019年3月26日
- 権利落ち日2019年3月27日
この情報を元に三井松島ホールディングスのコストを算出していきましょう。
売買手数料
まずは売買手数料なのですが売買共に13.4万円となります。
- 現物買:113円 (10万〜20万円のスタンダードプラン)
- 信用売:145円 (10万〜20万円のスタンダードプラン)
■ 貸株料:
SBI証券の無期限の貸株料率は2.0%となっております。
そのため権利付最終日に空売りを行い、最速で権利落ち日に現渡した場合の2日を算定に用いると、以下となります。
貸株料=13.4万円×(2%➗365日)×2日 = 15円
かなり安いですね。
■ 配当金受払:
三井松島ホールディングスは優待の権利付最終日とともに配当を1株あたり40円実施しています。
現物保有のみであれば、40円×100株=4,000円の配当を受け取るだけです。
しかし、空売りしているので、反対に証券会社に配当金を支払わなければいけません。
同額の支払いだと問題ありません。
しかし、配当金受け取り側は税金20.315%を徴収される一方、株を支払う側が全額支払う必要があります。
- 配当受取側:4,000円×79.685%=3,187円
- 配当支払側;4000円
差額:813円の負担
■ つなぎ売りのコストまとめ:
ここまでのコストを合計すると、1,086円となります。
- 現物買手数料:113円
- 信用空売手数料:145円
- 貸株料:15円
- 配当金受払:813円
合計;1,086円
6,000円分の優待を受け取るために、実質的に1,086円のコストが発生するということです。
あくまで優待は現金ではないことを思い出しましょう。
6,000円分の優待が自分にとって、1,086円以上の価値があるものなのかどうか?
しっかりと見極めて優待株投資を実践しましょう。
対象銘柄②:ココスジャパンと優待内容の事例を紹介
もう1つ、優待内容とクロス取引で抑えられる損失を紹介します。(2019年9月時点で廃止)
「ココスジャパン」といえば、誰もが1度は利用、もしくは見たことがあるファミリーレストラン「ココス」を運営している企業です。
同社は、以前株主優待を実施していました。
優待内容は、最低取得額16万6,000円で、食事券1,000円分でした。
仮にココスジャパンでクロス取引を行った場合、どのようなコストになるのかシミュレーションしてみましょう。
- 売買金額16万6,000円、17万円
- 貸株料:約18円
- 手数料:430円
- クロス取引のコスト:約448円
クロス取引を行わない場合は、4,000円の損失が発生します。
しかし、クロス取引によって4,000円の損失は相殺され、手数料含め約448円で済みます。
また、食事券は1,000円ですので、552円お得になったと考えることもできます。
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まとめ
『つなぎ売り』を有効活用して良い投資ライフを送りましょう!
今回の『つなぎ売り』についての要点が多かったので、以下の通りまとめました。
◾️今回の総括:
- 優待株投資は権利落ち日に下落する恐れが高い
- 優待だけを確保したい投資家におすすめなのが『つなぎ売り』
- 『つなぎ売り』は空売りと現物買を併用して権利落ち日の株価下落を抑える
- 空売りは優待株を継続保有したい投資家にも有用
- 『つなぎ売り』(≒クロス取引)には決まった手順がある
- 空売りを行うには信用口座を開設する必要あり
- 『つなぎ売り』を行うために空売りが可能な銘柄かを確認する必要あり
- 逆日歩の影響を受けないためには一般(無期限)信用取引が有効
- 一般(無期限)信用取引可能銘柄は松井証券が最多
- SBI証券の『株主優待検索』と松井証券の一般(無期限)信用取引を組み合わせるのが最強
- 『つなぎ売り』は株価下落の影響を抑えられるがコストが発生
- 『つなぎ売り』によるコストと株主優待の価値を見極めて『つなぎ売り』を実施しよう
株主優待(食事券・商品・施設利用券・サービス券など)を目的とした取引を始める場合は、クロス取引がおすすめです。
以上、つなぎ売り(≒クロス取引)とは?メリットと注意点をわかりやすく解説!優待権利落ちによる株価下落リスクを対策しよう。…の話題でした。