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株主とは?大株主になるには?
「株主」とは、企業が発行している株式を購入して、その企業に出資した人のことを指します。
その株式を持っている間は「企業の持ち主の1人」として企業に対してさまざまな権利を持つことができます。
たとえば、企業に出資した額に応じてもらえる配当金や株主優待はもちろんのこと。
「株主総会」に参加して企業の経営者に対して意見を述べることも可能です。
さて、株主の中にも、企業経営に大きな影響力を持つ者もいます。
それが「大株主」です。
ちなみに5%を超える株を手にした株主は、保有日から5日以内に「大量保有報告書」を内閣総理大臣に提出しなければなりません。
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株主権における自益権と共益権とは?
株主は、企業に対して出資額に応じた「株主権」を持つことができます。
一言に株主権といっても大別すると「自益権」と「共益権」の二種類に分けられます。
権利行使の結果が個人の利益のみに関係する自益権と、権利行使の結果が株主全体の利害に影響する共益権があります。さらに共益権は、株主総会への出席権、株主代表訴訟提起権など1株(1単元株)の株主でも行使できる単独株主権と、会計帳簿閲覧請求権、株主総会招集請求権など一定割合以上の株式数を持つ株主でなければ行使できない少数株主権に分けられます。
参照:大和証券「株主権とは?」
自益権は株主として自分のみに効果がある権利で、一方の共益権は株主全体に利益が及ぶ権利のことを指します。
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株主権における代表的な自益権
まず株主としての権利を行使した場合に、自分自身に影響が及ぶ共益権についてお伝えしていきます。
利益配当請求権
まずは「利益配当請求権」です。
利益配当請求権を行使することで「配当金」を受け取ることができます。
「剰余金配当請求権」・「配当請求権」と呼ばれることもあります。
また、お歳暮文化が根付く日本特有の制度である株主優待も獲得することができます。
残余財産分配請求権
3つめは「残余財産分配請求権」です。
企業が解散した場合に負債を弁済したあとに残った「残余財産の分配」を受ける権利のことです。
受け取ることができる金額は保有している株数に応じたものとなります。
この権利は、もし企業が債権と債務を整理した上で債務の方が多かった場合には行使されません。
この点はご注意ください。
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株主権における代表的な共益権
次に株主としての権利を行使した場合に、株主全体に影響が及ぶ共益権についてお伝えしていきます。
共益権には1株でも行使できる単独株主権と、一定の株式数を保有していないと実施できない少数株主権にわかれます。
それぞれについてみていきましょう。
単独株主権:議決権
1つめは「議決権」で、株主総会での決議に参加して票を入れることができる権利のことです。
議決権とは、株主が株主総会の決議に加わる権利をいいます。株主は原則として1株1議決権を有しています。
(引用:企業会計ナビ「議決権」)
入れることができる票の数は、1単元株に対し1つというのが一般的です。
株主総会では、企業の運営や資産の使い方など、企業の今後を決定づけるような重要事項を決定します。
もし好き勝手に経営陣だけで重要事項を決定されて、それが思わしくない株価の大暴落を起こしてしまったら?
株主にとっては大きなダメージになりますよね。
そのため、議決権を行使して票を入れることで自分の意見を少しでも反映させることが求められます。
単独株主権:株主代表訴訟提起権
「株主代表訴訟」とは、株主が取締役などの役員に対して、会社に代わって責任を追求する方法です。
単元株以上の株を6ヶ月以上保有している株主であれば訴訟を起こすことが可能となります。
以下のコンテンツでは株主代表訴訟の概要、条件、流れ、費用、実際の事例についてお伝えしています。
少数株主権:株主代表訴訟提起権
少数株主権は一定の割合又は一定数の株式を保有する株主だけが行使することができる権利です。
少数株主権は非常に多いのですが代表的なものは以下の通りです。
少数株主権 | 必要な割合・議決権 | 概要 | |
株主提案権 | 議題提案権 | 1% or 300議決権 | 株主総会での議題を提案する権利 |
議案通知請求権 | 提出しようとする議案要領を招集通知に記載することを請求する権利 | ||
議案提案権 | 株主総会で議案を提案する権利 | ||
会計帳簿閲覧請求権 | 3% | 会計帳簿を閲覧することを要求する権利 | |
株主総会招集請求権 | 3% | 株主総会の招集を請求することができる権利 | |
役員解任請求権 | 3% | 役員を解任する議案が株主総会で否決された場合に行使可能。 株主がその役員の解任. を裁判所に請求できる権利。 | |
解散請求権 | 10% | 会社の解散を請求することができる権利 | |
株式発行における 株主総会請求権 | 10% | 支配株主が変わる株式を会社が発行する場合に株主総会を開いて決議を請求することができる権利 |
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株主責任とは?
株主は、株式を購入することで企業に出資をしています。
企業が事業を営んでいる中で、万が一不祥事・業績悪化によってその企業が倒産に追い込まれることがあるかもしれません。
その場合、株主は何か責任を負わなければいけないのでしょうか?
「株主責任」と聞くと、企業に対して何か新しい義務を背負わされたりするイメージを持ってしまいます。
株主は、その企業に対して出資した額の範囲内でしか責任を負う必要はなく、これを「有限責任」と呼びます。
つまり、株式を購入したときに支払ったお金が失われる(戻ってこない)可能性はあります。
しかし、それ以上の責任や支払い義務というのは生じないということです。
「出資した額の範囲内での責任」とはどういうことでしょう。
たとえば、減資によって株主権が減ったり消滅したりするほか株価下落によって損失を被るといったことが挙げられます。
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株主になるにはどうすればいい?
では、実際に株主になりたい場合はどうすればいいのでしょうか?
実は、株主になるためには大きく分けて2つの行動をとる必要があります。
1つずつ見ていきましょう。
証券会社で証券口座を作る
株主になるには、株式を購入する必要があるということはみなさんご存知かと思います。
ただし株式は、手持ちの現金や普段利用している預金口座の残高を利用して購入することができません。
というのも、株式の購入には証券会社での証券口座が必要になるからです。
日本には多くの証券会社が存在しています。
手数料やサービスの手厚さなどからどの証券会社が自身に合っているかということを吟味する必要があります。
株式を購入する
証券会社で証券口座を開設したら、ついに株式の購入に移ります。
株式を購入するときは、証券口座に購入代金を入金しておきましょう。
そして、証券会社の仲介のもと株式を購入します。
注意点として、株式には「単元株」という売買単位があります。
100株・1,000株などが一般的です。
もし購入したい株式の単元株が100株であれば、「100株・200株」といった100株単位での売買になります。
つまり、「101株や110株」といった単元株の倍数以外での株数では売買ができないということです。
よって、購入に必要な代金は「(株価×購入数)+売買手数料(証券会社による)」となります。
株式が購入できたら「株主」になることができます。
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株主のメリット
ここでは、株主になることのメリットについてシンプルにご紹介します。
配当金(インカムゲイン)がもらえる
「配当金」とは、企業が得た利益の一部を株主に還元させるものです。
上記でも少し触れましたが、私たちが株式を購入することはその企業への「出資」です。
つまり、株主の出資のおかげで事業がうまくいったという考えから、利益の一部を株主に還元しようという行為になります。
日本の企業は、配当金の支払いを年1回~2回おこなうことが多いです。
売買益(キャピタルゲイン)が得られる
この「売買益」こそが、株式投資によって得られるメリットとして強くイメージされるものかと思います。
売買益とは、株式を購入価格より高い価格で売却することで得られる利益のことです。
ただし、この売買益はもちろん株主になったからといって確実に得られるわけではありません。
株価が購入価格よりも下がってしまった場合には売買損(キャピタルロス)に変わるというリスクがあるので注意が必要です。
株主優待
「株主優待」とは、企業が株主に向けて自社商品・サービスなどの優待品を送る制度のことです。
「株主に還元している」という意味でいうと、配当金と似ています。
すべての企業が株主優待を実施しているわけではありません。
しかし、直近のデータでは2018年9月末時点で1,450社の上場企業が実施しており、これは過去最高の導入企業数でした。
優待品はプリペイドカード・商品券などが割合として多く、サービス業による新規導入が目立ちました。
また、企業側としては株式を短期的に保有してすぐ売却する株主よりも、
長期的に保有してくれている株主の方にメリットを感じます。
そのため、株主優待において「長期保有制度」という制度も取り入れられるようになりました。
長期保有制度では、通常の株主優待に優待品がプラスされるのでよりお得感が増します。
株式分割による無償増資を受けられる
「株式分割」とは、企業が発行している株式1株をいくつかに分割して発行済株式数を増加させることです。
株式分割による「無償増資」とは、株式分割によって増えた株式を現在の株主の保有株式数に応じて無償で交付する行為のことをいいます。
もちろん「無償」なので、株主がお金を支払う必要はなく企業の資本金は増えません。
株式は普通「(株価×購入数)+売買手数料(証券会社による)」が購入に必要ですが、この費用が無償になるのはかなりのメリットではないでしょうか?
残余財産の分配を受けられる
「残余財産」とは企業が解散した後、債権の回収と債務の返済をして残った企業の資産のことです。
この残余財産は株主に分配されます。
分配においては「株主平等原則」に則り、株主数に応じて平等におこなわれます。
また、残余財産は基本的に換価して金銭という形で分配されるのが原則です。
ただ、場合によっては不動産などの現物を分配されることもあります。
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株主のデメリット
株主となるデメリットも当然存在します。
売買損 (キャピタルロス)が発生する可能性がある
株式の値上がりで利益を得られる反面、場合によっては株価が下落して損失を被ってしまう可能性があります。
ただ、株式投資は決してギャンブルではありません。
資本主義が継続する限りは世界経済が成長するにつれて株式市場は拡大しつづけます。
基本的に全体としてみると株式市場は上昇をし続ける全員が勝ちうる投資なのです。
しかし、勘で闇雲に投資をしてしまっては大きな損失を被ってしまうのです。
ギャンブルと違い株式はしっかりと分析をすることができます。
倒産して株式価値が0となる可能性がある
先ほど株主の責任は有限責任だとお伝えしました。
確かに株主は出資した額以上の損失を被ることはありません。
逆にいうと投資している企業が倒産してしまった場合は、出資した額までは失ってしまう可能性があるのです。
ただ、企業が四半期毎に発表している財務諸表をしっかりと確認していれば倒産するまでに売却することができます。
流動性リスクがある
株主は保有する株式を換金したい場合、当該株式を欲しがっている株主に売却する必要があります。
会社に対して株式の換金を要求することはできないのです。
つまり、いくら売却したくても買いたい投資家が存在しなかったら売却することができないのです。
大企業であれば流動性リスクは気にする必要がありませんが、超小型株の場合は留意しておきましょう。
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まとめ
このコンテンツでは、株主の定義や株主になるまでの流れ・メリット、そして株主になったことで生じる権利や義務について紹介しました。
株主になるとただ売買益を得られるだけではなく、ほかの面でもメリットが多いことがお分かりいただけたかと思います。
また、企業にもし万が一のことがあっても、出資額以上の責任は被らなくていいので安心ですよね。
株式投資をしていて「もっとこの企業のことを応援したい」と思うのであれば、権利を行使して株主総会に参加したり票を入れるだけでも十分に力になれます。
今回の「株主」などの基礎知識は、株式投資で高いリターンを獲得するには必須です。
しかし、基礎知識だけではなかなか成果が出ないのも、株式投資の難しさです。
独学で株式投資に挑んで、失敗して株式市場を退場してしまう人は後を絶ちません。
これはひとえに学習方法が間違っていたか、市場、銘柄選定などの知識不足です。
現代では、株式投資を効率よく学べる手段がたくさん存在します。
以下のコンテンツでは、株を勉強するにあたっての効率的な進め方について特集していますので、ぜひ参考にしてみてください。
以上、株主とは?大株主になるにはいくら必要?株主の権利・責任・メリットまでわかりやすく解説!…でした。