企業は年度決算を発表する時に、翌年度の決算予想を発表します。
翌年度が始まり実際に事業を運営していく中で業績予想を修正することがあります。
業績予測が上ぶれる場合は上方修正となりますし、下ぶれる場合は下方修正となります。
今回は「上方修正」について以下の項目についてお伝えし、皆さんの株式投資に活かしていただければと思います。
- 上方修正とは?
- 上方修正でなぜ株価が上昇するのか?
- 上方修正で実際に上昇するケースと上昇しないケース
- 上方修正期待で利益を得る具体的な方法
目次
Contents
上方修正とは?発表するタイミングとは?
まずは上方修正の定義について見ていきましょう。
企業が決算において以前掲げていた予想利益などの数字を引き上げることを指します。売り上げ増加や環境改善など、想定していなかった要因によって従来予想以上の達成が見込まれるときに発表されます。
(引用:SMBC日興証券)
上方修正は企業が従来発表していた売上や利益予想が上振れした時に発表を行います。
上方修正を発表するタイミングは2つあります。
上方修正を発表するタイミング①:四半期決算
1つは四半期決算のタイミングです。
四半期決算のタイミングで従来の予想を変更するということは恒常的に行われています。
例えば2018年3月期の業績予想について2017年3月期の年間決算時に以下のように発表されていました。
しかし、実際に2018年の半期決算では以下のように売上高、利益ともの上方修正を発表しています。
上方修正を発表するタイミング②:適時開示
2つ目は適時開示です。
事業年度中に事業が好調に推移したり、特別利益が出る場合に企業は上方修正を個別に出すことがあります。
業績進捗を月次で出しているような企業であれば上方修正を予想することができます。
以下が上方修正の例ですが、売上や利益の予想がどのように変更されるのか?
何故、上方修正となったのかという説明が発表されます。
その他にも、税的な計算方法の変更等で特別利益が発生する場合もあります。
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何故、上方修正は株価にプラスなのか?理論面をわかりやすく解説!
株価は理論的には以下の式で表されます。
株価 = 予想EPS × PER
予想EPSは純利益を発行済株式数で除して算出されます。
上方修正で純利益が上昇すると予想EPSも上昇します。
PERは投資家の期待を表す指標です。
PERが高いと成長期待が高いと投資家に思われている企業です。
逆にPERが低いと成長期待が低いと投資家に思われているということになります。
特別利益の計上ではなく本業が堅調という理由で上方修正が発表された場合はPERも上昇していくのです。
結果的に予想EPSの上昇を通じて株価を構成する要素である「予想EPS」と「PER」の上昇を通じて株価の上昇に寄与するのです。
上方修正で株価が上昇するケース
株価というのは予想を先取りして動き出します。
つまり予想通りの結果であれば株価は上昇しませんが、予想に反した発表があった時に株価は上昇します。
「突然上方修正が発表された」or「業績が予想以上に堅調であった」
特に上方修正が予想されていない環境で突如として上方修正が発表された場合、ポジティブサプライズとなります。
また、ある程度市場環境から上方修正が予想されている場合は事前に株価がじわじわと上昇しています。
このような場合に上方修正が発表されるとします。
上方修正の内容が市場の予想以上であった場合は株価は素直に上昇していきます。
【狙い目】上方修正が濃厚なのに市場が織り込んでいない場合
稀に明らかに上方修正が見込まれる銘柄なのに株価に動意がない銘柄が存在します。
市場が意識する前に自分が先んじて仕込んでおけば、上方修正が発表された時にキャピタルゲインを得ることができます。
上方修正で株価が下落するケース
次に上方修正が発表されても株価が下落するケースを見ていきたいと思います。
上方修正が既に十分に織り込まれていた場合
先ほども言及した通り、株価は期待で動きます。
既に上方修正が予想され株価が上昇していた場合、実際に上方修正が発表された時に逆に売られるケースがあります。
例えばEコマースを運営するHamee社は2020年3月11日に決算予想の上方修正を行いました。
上方修正を行ったのは3月11日の市場がしまったあとです。
その後、3月12日から下げ幅が加速しています。
Hameeは業績拡大期待から2019年の9月から2月初旬まで株価が2倍に上昇していました。
そこからコロナの懸念で下落している時に、上方修正が発表されました。
上方修正の内容は投資家の予想からすると低いものであったため材料出尽くしとなって株価にはネガティブに働いたのです。
特別利益によって上方修正となり継続性が見込まれない場合
また特別利益によって上方修正となる場合も株価に影響がない場合があります。
以下はシグマクシスが3月9日に発表した上方修正です。
上方修正となりましたが、今期だけの業績に影響を及ぼす内容です。
今後の利益に恒常的に影響を与える内容ではありませんでした。
結果的に株価は上方修正後も重たく推移しています。
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上方修正を利用してキャピタルゲインを狙える銘柄の読み方を紹介!
- 上方修正が見込める企業を探す
- 1の銘柄が株価がまだ上昇していないかを確認
- 上方修正が出るor市場が気付き始めて株価が上昇したところで利確
上方修正が見込める企業を「Kabutan」で探そう
上方修正が見込める銘柄は「kabutan」で簡単に探すことができます。
KabutanのTopページから「銘柄探索」→ 「ファンダメンタルズで探す」を見ます。
今回は第1四半期時点の通期上振れ有望銘柄を探していきます。
上方修正期待があるにも関わらず株価に動意がないということは市場からの注目度が低いということを意味します。
そのため、新興市場でソートします。
そこで過去5年の第1四半期時点の平均進捗率よりも高い進捗率を多声している銘柄を探します。
今回は9823の「マミーマート」を取り上げます。
「マミーマート」は第1四半期時点で過去5年平均進捗率より10%も高い進捗率を記録しています。
そして、まだ上方修正が発表されていないかをホームページから確認することも怠ってはいけません。
マミーマートは9月決算です。以下の通り前年度9月決算を発表していこう上方修正はまだ発表されていません。
「Kabutan」で探した銘柄の株価推移をチェック
上方修正がみこまれていても株価が十分に上昇してしまっていては織り込み済みとなってしまいます。
織り込み済みとなっていては実際に上方修正が発表された時に下落する可能性すらあります。
以下はマミーマートの株価推移です。
2月13日に第1四半期決算が発表され堅調な進捗率が明らかになりました。
しかし、株価は上昇に転じていません。
マミーマートの時価総額は200億円と比較的小型株です。
市場の注目も高くはないため、まだ上方修正期待が織り込まれていない可能性があります。
以下はマネックス証券の「銘柄スカウター」の業績データです。
過去2年間売上高は堅調でしたが純利益が凹んでいました。
2020年9月期の純利益が2017年9月期の水準にもどれば、現在の1800円の水準から2017年末の2500円の水準に上昇することが期待されます。
上方修正または株価が目標値まで上昇したところで利益を確定する
実際に銘柄を購入したら、上方修正をうけて株価が上昇又は目標値まで株価が上昇した時に利確をします。
隠れた上方修正期待銘柄を見つけ出してキャピタルゲインを狙いましょう!
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まとめ
従来予想していた業績を上振れる確度が高くなった時に企業は上方修正を発表します。
上方修正をすると1株あたり利益(=EPS)が上昇し、投資家の期待も上がるので基本的には株価にポジティブです。
しかし、既に上方修正が市場で予想されており株価が上昇しきっている場合や、
一過性要因による一時的な業績上昇の場合は必ずしも株式市場で好感されるとは限りません。
上方修正を利用してキャピタルゲインを得るのであれば、まだ株価が動き出していない隠れた上方修正期待銘柄に先行投資をするのが有効です。
市場が気付く前にいち早く有望銘柄に投資を行いキャピタルゲインを目指しましょう!
今回の「上方修正」などの基礎知識は、株式投資で高いリターンを獲得するには必須です。
しかし、基礎知識だけではなかなか成果が出ないのも、株式投資の難しさです。
独学で株式投資に挑んで、失敗して株式市場を退場してしまう人は後を絶ちません。
これはひとえに学習方法が間違っていたか、市場、銘柄選定などの知識不足です。
現代では、株式投資を効率よく学べる手段がたくさん存在します。
以下のコンテンツでは、株を勉強するにあたっての効率的な進め方について特集していますので、ぜひ参考にしてみてください。
以上、【上方修正とは?】株式投資で上方修正が期待できる銘柄の読み方とは?タイミングを見極めてキャピタルゲインを狙おう!…でした。