株式投資を行う上で最も重要である要素の一つが「リスク管理」です。
自分がどの程度のリスクを取っているのかわからない。
それは、赤信号です。
必要以上に過大なリスクを取ってしまうことが理由です。
例えば、暴落時に再起できないほどの大損失を被る可能性もあります。
リスクを低下させる手段として効果的であるのが「分散投資」です。
しかしながら、分散投資は複数銘柄購入すれば良いというわけではありません。
リスクを判断する上、また分散投資をする上で重要となるのが「ベータ値(β値)」です。
今回は、そんなベータ値(β値)について紹介します。
ぜひ最後まで読んでいただき参考にしてください。
◼️今回のポイント!
- ベータ値とは市場平均の値動きに対してどれくらい連動するのかを示した指標
- ベータ値が1より大きい場合は市場平均より値動きが大きいことを示す
- ベータ値がマイナスの場合は市場と逆の値動きをすることを示す
- 景気敏感株はベータ値が高く、ディフェンシブ株はベータ値が低い傾向がある
- 自分のリスク許容度に応じたベータ値になるポートフォリオを構成することが重要
目次
Contents
ベータ値(β値)とは!マイナスの場合は何を意味する?
「ベータ値(β値)」とは、ある株がどの程度市場の変動と連動しているかを示すリスク指標です。
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市場の動きに対して、どのように動いたかを示します。
「市場感応度」とも呼ばれます。
市場とは例えば、日本株であれば「TOPIX」、アメリカ株であれば「S&P500」などの指数です。
ベータ値が1の株は市場と全く同じ動きをすることを示します。
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ベータ値が+2であれば、市場平均の2倍の値動きをする株となります。
一方、ベータ値がマイナスの場合は市場平均の動きと逆の動きをすることを示します。
市場が上昇すれば下落し、市場が下落すれば上昇するような株です。
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ベータ値が大きいほど値動きが大きいことを表しますのでリスクは高くなります。
ベータ値が0に近い株は市場の動きに左右されにくい株です。
では、どういった銘柄のベータ値が高く、どんな銘柄のベータ値が低いのでしょうか?
つづいて業種ごとのベータ値の傾向を紹介します。
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景気敏感株とディフェンシブ株
一般的に景気敏感株のベータ値は高く、ディフェンシブ株のベータ値は低い傾向があります。
例えば、「景気敏感株10種類で組んだポートフォリオ」と「ディフェンシブ株10種類で組んだポートフォリオ」の2つがあったとします。
同じ10銘柄のポートフォリオであっても、リスクは大きく異なります。
自分が保有する銘柄のベータ値を確認してリスクを把握することが重要です。
景気敏感株とは
景気敏感株はその名の通り景気に敏感に反応する株のことです。
該当するのは、金融業や証券業、鉄鋼や海運などになります。
このような業種は景気が良い時は業績が好調です。
一方、景気が悪くなると急激に業績が落ち込むため景気により業績が大きく左右されます。
例えば、景気が良い時は資金需要が活発になります。
銀行は融資により手数料や金利収入を得ることができます。
しかし、不況になると資金需要が減少しますので、銀行から資金を借りる借り手が減り銀行の収益は落ち込みます。
従い、景気敏感株は景気動向を示すニュースが流れると大きく変動することがあります。
値動きが激しくつまり、ベータ値も高くなりがちです。
ディフェンシブ株とは
ディフェンシブ株とは景気に関係なく一定の需要がある業種のことです。
例えば、食品や医薬品などが当てはまります。
景気が悪くとも食品は人が生きていくためには必ず必要です。
不況期にも需要があるので景気敏感株に比べて業績が安定していることが特徴です。
そのため、株価の動きも比較的安定しておりベータ値も低い傾向があります。
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大型株と小型株のベータ値の傾向とは?
ベータ値は時価総額の高い業界大手の大型株より、新興企業や業界下位の時価総額の低い小型株の方が高い傾向があります。
小型株は大型株ほど市場で売買されず出来高が少ないため、大口の注文が入ると大きく株価が変動するためです。
小型株ばかりを保有している場合は分散投資を行っていてもリスクが高くなっているかも知れませんので注意してください。
一方、日経平均に採用されているような銘柄ですと市場との連動が高くなります。
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連動するETFや投資信託の運用会社によって売買されて市場平均にひきづられる動きをしやすくなっているのです。
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ベータ値が高い=悪いというわけでは無い
ベータ値の絶対値が高い銘柄はリスクが高いということは間違いありません。
しかし、リスクが高いということは必ずしも悪いことではありません。
ベータ値が高いということは値動きが大きいということです。
損失が大きくなる可能性がありますが利益も同様に大きくなります。
上昇相場ではベータ値が高い銘柄はベータ値が低い銘柄より上昇しますので大きな利益を得ることが可能です。
あくまでもベータ値が高いということは値動きが大きいということを意味します。
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リスクを把握しておくということが重要
重要であるのはリスクをきちんと把握しているかということです。
ベータ値が高い銘柄を保有していても、きちんと認識して資金管理をする必要があります。
市場が下落した際に保有株が大きく下落してもパニックになることなく対応できます。
しかし、自分の保有する銘柄が考えているよりベータ値が高い銘柄ばかりだった時は要注意です。
市場が暴落した際に保有銘柄はそれ以上に下落する可能性が高いので思わぬ損失が出てしまうことになります。
投資をする上で、リスクについてしっかりと理解し投資を行うことが最も大切です。
そのためにベータ値を役立ててください。
例えば、リスクを取っても高いリターンを狙いたい方であれば、ベータ値の高い株に投資する。
できるだけリスクを取りたくない方であれば、ベータ値の低い株に投資する。
このように、投資家のリスク許容度に応じてベータ値を利用して投資を行うという方法もあります。
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分散投資におけるリスクの低下
複数の金融商品を組み合わせて、分散投資を行うことでリスクを低下させることが可能です。
複数銘柄に投資をするだけで、単一の銘柄に投資を行うよりリスクを低下させることができます。
しかし、ベータ値を利用することで更にリスクを軽減させることができます。
例えば、プラスのベータ値の金融商品とマイナスのベータ値を持つ金融商品を組み合わせることです。
それぞれの値動きを打ち消すような値動きをしますので、効果的にリスクを低下させることができます。
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ベータ値がマイナスの金融商品としては債券が有名です。
投資の世界では古くから株式と債券への投資が活発に行われてきました。
リスクを軽減させる効果が高いことが証明されています。
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株式の中でも前述のように、大型のディフェンシブ銘柄などはベータ値が低くなっています。
ポートフォリオ全体のリスクを調整する際には、ベータ値を確認しながらこのような銘柄を検討してみてください。
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まとめ
今回は、株式市場全体の動きとどの程度連動するのかを示す指標ベータ値について紹介しました。
最後にベータ値についての重要点をまとめます。
◼️今回の総括:
- ベータ値とは市場平均の値動きに対してどれくらい連動するのかを示した指標
- ベータ値が1より大きい場合は市場平均より値動きが大きいことを示す
- ベータ値がマイナスの場合は市場と逆の値動きをすることを示す
- 景気敏感株はベータ値が高く、ディフェンシブ株はベータ値が低い傾向がある
- 自分のリスク許容度に応じたベータ値になるポートフォリオを構成することが重要
ベータ値はリスクを測る上で欠かせない指標です。
自分が考えているリスクに近いポートフォリオとなっているか一度確認してみてください。
以上、分散投資をする上で重要な「ベータ値(β値)」とは?リスク軽減するための有用な指標活用方法をわかりやすく解説。…でした。