株式投資をしている人であれば、「投資の判断をするために会社の業績を知りたい」と考えるはずです。
株の売買により利益を増やすには、会社を分析することが重要です。
「決算短信」は投資家が企業を分析するのに役立ちます。
「有価証券報告書」に比べて、決算短信は情報量が少なく、投資知識があまりなくても企業の内部を把握できます。
このコンテンツでは、企業が発行する決算短信の特徴と読み方のポイントについて詳しく解説します。
目次
Contents
決算短信について
企業の決算状況(財務諸表)が簡単にまとめられた書類、それが「決算短信」です。
投資家や株主に対して、企業の決算状況をすぐに伝えるために、決算日から45日以内に決算短信は公開されます。
証券取引所に株式を公開している企業は、決算短信を発表することが法律により義務付けられているのが特徴です。
企業が決算状況を公開することで投資家が株に投資しやすくなります。
もし企業が決算状況を公開しなければ、業績や財務状況が分からないため投資するのが難しくなるのです。
結果として株式投資する人が減ってしまうと、経済に悪影響を及ぼします。
経済を支える企業への投資を促すために、証券取引所が企業に決算短信を発行することを指示しているのです。
投資家は企業の決算内容を知ることで株式投資の判断がしやすくなります。
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決算短信に含まれる内容
決算短信は、「サマリー情報」と「添付資料」の2項目により構成されています。
会社が発行する「決算短信のサマリー情報」には、以下のような内容が含まれます。
- 基本情報(会社名、代表者、コード番号、ホームページのURL)
- 経営成績(売上高、営業利益、経常利益、当期純利益)
- 財政状態(総資産、純資産、自己資本比率、1株あたりの純資産)
- キャッシュフロー(営業活動や投資活動、財務活動によるキャッシュフロー)
- 配当の状況(1年間の配当金、配当金の総額、配当性向、純資産配当率)
- 今後の業績予想(売上高、営業利益、経常利益、当期純利益)
- その他注意事項
決算短信の「添付資料」には以下のような内容が含まれます。
- 経営成績の状況(経営成績や財政状態の概況、利益配分の方針、事業のリスク)
- 企業集団の状況
- 経営方針(基本方針、目標となる経営指標、中長期的な経営戦略)
- 連結財務諸表(連結貸借対照表、連結キャッシュフローなど)
- 個別財務諸表(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)
- その他
会社によって決算短信の内容が異なる場合がありますが、サマリー情報の内容は共通です。
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有価証券報告書との違いは?
決算短信と似たような書類として、有価証券報告書があります。
有価証券報告書と決算短信には同じ情報が含まれますが、情報量や報告期限などに違いがあるのがポイントです。
例えば会社が発行する有価証券報告書の場合、金融商品取引法により決算日から3ヶ月以内に発表することが義務付けられています。
「決算短信」の場合は取引所の規則により45日以内に公開することが必要です。
情報量は決算短信よりも有価証券報告書のほうが多く、情報が確定しているのも特徴。
決算してからすぐに発表する必要がある決算短信では、情報の正確性が劣るところがあります。
有価証券報告書よりも決算短信のほうが先に公開されるため、株式市場に対する影響力は決算短信のほうが大きいです。
株式を売買する判断材料として決算短信を使うことが多くなるでしょう。
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決算短信を確認する方法
会社の内情を把握するために決算短信を確認するには、企業のホームページから投資家向け情報を探します。
上場企業でなければ決算短信が発表されていない場合もあるため注意しましょう。
決算短信が発表されてから1ヶ月以内であれば、適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で会社を検索することで決算情報を確認できます。
会社のホームページに決算短信がなければ、「TDnet」を活用してみましょう。
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決算短信の読み方とは
「決算短信を確認する方法は分かったけど、どこを読めばよいのか分からない」と悩む人はいるかもしれません。
決算短信には5つの見るべきポイントが存在します。
■ 決算短信でチェックする項目:
- 経営成績
- 財政状態
- キャッシュフロー
- 業績予想
- その他
スムーズに会社を分析するために、それぞれのポイントを詳しく知っておきましょう。
経営成績で見るべきポイント
会社の経営成績で見るべきポイントは「売上高」と「営業利益」、そして「当期純利益」です。
各項目における数字の横に前期との伸び率が記載されているため、会社が売上や利益を伸ばしているのかチェックしましょう。
利益や売上が増えているなら会社が成長している分、会社の株価が上がる傾向があります。
特に株主への影響力がある当期純利益が増えていれば、株主への還元が増える可能性が高いです。
会社の規模によって伸び率の平均は異なり、小規模の会社であれば前期と比較して10%以上成長するところもあります。
より大きなリターンを狙うならば、将来性があって当期純利益が小さい会社に投資するのがオススメです。
ITベンチャー株などは中小型株として、「テンバガー」などを狙うには良い銘柄です。
しかし、リスクが高い側面があることも頭に入れておきましょう。
財政状態で見るべきポイント
会社の財政状態で見るべきポイントは「自己資本比率」です。
会社が保有する資金で事業を続けられているならば、もし売上が落ちても経営が傾きにくいメリットがあります。
自己資本比率が40%から50%以上あれば、会社がすぐに倒産する可能性は低いです。
逆に自己資本比率が10%以下の場合、会社が経営難に陥っている可能性が高いため注意しましょう。
過去数年分の決算短信を確認して、自己資本比率の増減をチェックすることも重要です。
将来性がある会社に投資するために、自己資本比率が下がり続けている企業を避けることを勧めます。
キャッシュフローで見るべきポイント
会社の「キャッシュフロー」で見るべきポイントは営業におけるキャッシュフローです。
会社は事業により売上を増やし、実際に資金が入金されることで経営を続けられます。
もし営業利益が増えているのに営業キャッシュフローが減っている場合、利益を獲得できているが資金を受け取ってない可能性が高いです。
例えば1年かかるプロジェクトを受注した場合、先に着手金を受け取って仕事が完了した後に残りの報酬が支払われることがあります。
仕事が終わらなければお金は入りませんし、何かしらのトラブルで利益を失う場合もあります。
営業キャッシュフローが明らかに低い場合は事業で失敗している可能性があるため注意が必要です。
業績予想で見るべきポイント
会社の業績予想で見るべきポイントは前期と今期との「増減比較」です。
業績予想は会社の目標であり、目標が前期よりも高ければ経営が良好であることが分かります。
もし会社の課題やリスクなどに反した業績予想が発表された場合、株価が変動しやすくなるため注意しましょう。
また大幅な増減益が予想されると、株価が一時的に変動することがあります。
その他の見るべきポイント
決算短信には株主が貰える「配当金」について記載されています。
配当金が増えていれば株主に利益を還元していることが分かります。
無配当であれば株主を冷遇していることが知れます。
過去数年分の配当金を確認して、株主に対してどれくらい利益を還元しているのかチェックすることが重要です。
配当金が多い会社に投資することで自分の利回りを改善できます。
ただし、配当を出さず、事業の成長に積極的に使いたいと考える企業も多数存在し、その場合はキャピタルゲインを見込める有望株である可能性もあります。
目先では配当による「インカムゲイン」が魅力ではありますが、長期目線で大きなキャピタルゲインを目指すことも視野に入れてみましょう。
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まとめ
決算短信は会社の決算情報が簡潔にまとめられた書類です。
証券取引所によって決算短信の発表が義務付けられていて、決算日から45日以内に会社から決算短信が公開されます。
株式投資で利益を増やすには、決算短信により会社の利益や財政状態などを知っておくことが重要です。
決算状況を把握できる決算短信を株式投資の判断材料として活用しましょう。
以上、企業の情報がまとめてある「決算短信」とは?その特徴と適切な読み方について徹底解説!…でした。
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